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第一部 不毛の大地開拓 頑張ろう編
21 再利用と芋と香辛料
しおりを挟む市場に入り奥へと進みキャサナの店に向かう、迷うかもとも思ったが自動マッピングを使うまでもなくすんなり辿り着く。
「こんにちわー」
「あら、いらっしゃい。何か面白いものできた?」
「面白いか分かりませんけど、これ昨日もらった布で作ってみたんでよかったら…あのおばちゃんの分もあります」
新しいエコバッグからキャサナの分の花柄の布と、艶やかな赤い紐を使った巾着袋を渡す、キャサナに巾着袋の使い方を説明すると興奮気味に奥へ行く。
「ちょっと!アンタみてこれ!話してた子が来てこれを作ったんだって!」
「これは!君がこれをつくったのかい?」
奥から出てきたのはガタイの良い詠斗よりも頭2個分も高い男が出てくる、強面だが笑い方が豪快な気持ちの良い賛成だった。
「こんなすごいものが出来るんだな、あの端布で…。良ければ作り方を教えて欲しい。こん端布でも職人が丹精込めて織った物や縫った物だ、無駄になんかしたくないんだ…こんな風に新しい袋に作り替えてくれて、俺は…俺は…」
「ごめんなさいねぇ。この人涙脆くて…でも嬉しいのよ。さ、おばあちゃんにも見せにいきましょう」
「勿論良いですよ、おばあちゃんの分も作ったんです」
「きっと喜ぶわぁ」
早速3人でおばあちゃんの店に行くと昨日と同様暖かい笑顔で迎えてくれ、お茶を出してくれる。
「まぁまぁ、こんな素敵なもの貰って良いのかい?」
「はい、もちろん」
優しい色合いのクリーム色の布と白い紐の巾着袋を渡すととても喜び、早速作り方を皆に教える。
「意外と簡単に出来るのね、みんなきっと驚くわー」
「この髪紐もこんなふうに使えるのねぇ」
「はい、大きさとか変えたりするともっと便利に使えますよ」
「なるほど大きくしたり、小さくすれば飽きもこないな。早速作るぞ!ばあちゃん、髪紐沢山編んでくれ!」
「あいよー」
皆気合が入った所で小腹が減ったので、エコバッグの中から収納袋モドキを出し、皆にギョロリの串焼きと蒸し焼きやビワモドキや木苺を振る舞う。
「おいしいぃっ!」
「うまいっ!」
「こんな柔らかい魚初めて食べたわ!」
「これギョロリの串焼きと蒸し焼きです。結構おいしいですよねー」
『………は?』
3人が沈黙するギョロリと言えば高級珍味、非常に鱗が固く素材としても1匹中々の値段が付く代物である。
「なんだか若返ったきがするわぁ」
「え、ええ…お肌すべすべになった気がするわ」
「いやぁ、今日は良い日だ」
「ですね、他にも端布でこんな物も作ってるんです、今作っている最中ですけど。寝る時の掛け布にしようかと思っていて…」
収納袋モドキから布を縫合わせて作っていくパッチワークを出す、縫い合わせたばかりなのでまだ小さいが楽しく縫っている。
「これは!アンタこれはすごいわよ!ちょっとアンタしっかりしてよ!」
パッチワークを手に取り呆然としている夫の肩を強く揺さぶる、我に返り何も言わずパッチワークを詠斗に戻し走り去っていく。
「あーなったら止められないわ、私も行くわ忙しくなるわ!また来て!」
「俺も、まだ買い物があるので行きます。おばあちゃんまた来ます」
「はいはい、またおいで。私も髪紐編むからねぇ」
キャサナが手を振り去っていく詠斗も一礼し店を去り、次の店は野菜を扱う所折角だから種芋を幾つか購入し育てようと思っているからだ。
「よぉいらっしゃい、何をさがしているんだい?」
「種芋です、育てたくて…」
「初めてかい?」
「はい」
藁で出来たような茣蓙を引き胡坐を掻いた良く日焼けした男がニカッと歓迎しくれる、何種類もの芋が籠に入れられ食べたくなる。
「じゃあ、これとこれがおススメだ!育てやすくて荒れ地にも悪天候にも強い!」
小ぶりな芋を2種類渡される、鑑定 芋:育てやすくて美味 芋:環境に強い 美味 と出る、この種芋を5㎏ずつ購入し、すぐ食べたいので全種類の芋を2㎏購入する。
「兄ちゃんいっぱい買うなー、収納袋便利だよな!見習いの商人か!よしこれはオマケ!家族で作った干し芋だ、甘くてうまいぞー」
葉に包んだ干し芋を渡され代金を支払う、全部で6,000ログ相場は分からないが気持ちの良い接客で嬉しかったので、そのまま支払いホクホクして次は香辛料の店に向かう、探すのは簡単にスパイスの匂いが漂い詠斗の胃を刺激するからだ。
「いらっしゃい、若いお客様」
ニコリと詠斗の母親と同じ年ごろの女性が迎えてくれる、女性の店は狭いが木箱に入った色取り取りの香辛料が置かれていた。
「あ、どうもえと…塩ってあります?」
「あら貴方トタラナのルールを知らないの?」
「あ、はい…田舎から出てきてまだ日が浅くて」
何か拙いことを聞いてしまったのかここは、知らぬ存ぜぬをと通してみる。
「純粋な塩・・・・は商業ギルドのマスター達の商会でしか売られいないのよ…。加工した塩ならうちでも売っているのこのハーブの塩と果物の皮を乾燥させて細かくしたものを塩に混ぜたもの。はい、特別に味見させてあげる、手を出して…」
小さな木の匙で詠斗の手に、まずハーブの塩次に果物の塩を味見させてくれる。
「美味しい!両方とも!俺果物の方好きです!」
まさかズィーガーの商会でしか売られてないなんてとも思ったが、日本で売ってる塩よりも味があって美味しい。
塩2種類と辛めの香辛料を20,000ログ分買い、お茶を出してくれる。
「あ、このお茶香りが良いですね」
「でしょう、花の蜜を淹れているの沢山買ってくれたからご馳走しちゃう」
ハーブを練り込んで焼き上げた焼き菓子も貰いまた来ますと店を後にする、今日の買い物はこの辺にして人気のない路地に入り《不毛の地》最初に転移した場所に転移魔法を使い移動する。
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