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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

STAGE.2-4 あ、テンプレに遭遇したぽいわ

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《トルゥードン》の街の入り口で《ズィーガー商会》に用意して貰っていた身分証兼冒険者証を出し、入街料5000ログ(高め)を渡してさっと入場する、ジロジロと上から下まで見られたが身分証は確かな物だ何事も無く入れば、印象は雑多な小汚ない街、懐記は周囲を見渡しまずは情報収集として冒険者ギルドに…適当に向かう事にした。
懐記の姿は浮く…本人もそれは分かっている、街の中心に足を向ければ厳つい冒険者達が多く流れに沿って歩けば冒険者ギルドの扉の前にたどり着く、扉は開いていてごつい冒険者や依頼をしに来た民やらで賑わいを見せ懐記も足を踏み入れた。

「聞いてる!?クビよ!《黄金の剣》から抜けて貰う!」
「荷物運びなんかそこらにいるし、キリング様には言っておくから!」
「む、無表情怖いですぅ」
懐記が足を踏み入れた冒険者ギルドの第一印象…あ、テンプレに遭遇したぽいわだった。
懐記はラノベなどは読まないが、スロットはやっていたせいか流行りのファンタジーは知っている、所謂追放系に今遭遇している様だった。
「ほら、手切れ金よ!」
「ありがたいでしょ?役立たずにお金あげてるんだからー」
「こ、これでお別れですぅ」
懐記も他の冒険者と同様遠巻きに眺めている、冒険者パーティーの修羅場を見てファンタジーぽいと懐記は思った。
それはさておきその少女達、巨乳とまあある貧乳3名から散々言われている男…の容貌が懐記は気になり顔が見える位置に移動した。
黒すぎる黒髪に長身痩躯な魔王ぽい容姿、なんなら序列第1位のニアと並ぶ美形…そしてその瞳、黄昏時の色…昼が終わり夜に向かう間の短い時間に現れる色、懐記が1番好きな時間帯の色、魔王だよな?間違いなく魔王だろう、懐記が鑑定を掛けてみる ✕✕……と表記される、試しに他の鑑定をしてみる ユリーシュ:《黄金の剣》の魔法使い 年齢を3歳誤魔化しています キリングが好き…やっぱり不具合を起こしている可能性があると懐記は思ったがこの男は魔王ではないのかと思う。
「分かりました…」
男が小さく呟く良く通る良い声、足元に投げ捨てられた革袋に入れられたコインを拾い頭を下げた。
「ふん、もう私達に近づかないでよ!」
「あーせいせいした」
「さ、さようならですぅ」
ユリーシュ達3名はさっさと冒険者ギルドを後にする、男は革袋を懐にしまう、懐記はこれは丁度良いとばかりに男に近づいた。

「懐記君からラインが来たね」
「…ファンタジーっぽい場面に遭遇って、何しているんでしょう?懐記さん」
「本当に何しているんだろ」
「…問題は無さそうだな」
「でも、楽しそうかもー?」
「無事に《トルゥードン》に入った様なので良かったです」
カジノタワーの商業エリア、現在は各店舗の開店準備に終われていた。
その合間を縫って皆で集まり懐記のラインのメッセージを確認し一安心、《トイタナ》の店に頼んだパンやポップコーンに《ガルディア》の炊き出しを皆に配り各自自由に食事を採って貰う。
「みなさん、懐記さんて今《トルゥードン》にいるのですか?」
そこに店の準備を終えたメルガドールとユラヴィレオが挨拶をしに来たようで《トルゥードン》という名を聞いたメルガドールの顔色が曇っている、千歳がその顔色を見て心配症の率と晴海に他の店の様子を見て来るように頼み、率が晴海を連れて行く。
「あの街に最も行って欲しくない人が1人で行きましたね…」
「詳しく教えてくれるかい?」
「ええ、あの街を納めているバウンドランドトーカーの王族が…まあ好色と言いますか…」
「懐記殿の様な方を好む、気に入った者を手段選ばずにな」
「懐記さんは…色が白く細身で宝飾品が似合う方ですから、貴族が好む性質を兼ね備えているので」
「その手の者がそそられる人物だという事だ、あまり良い状況では無さそうだな」
『………』
「分かった、注意はしておく」
「こちらからも部下を出しましょうか?到着までに時間は掛かりますが…」
「大丈夫、大丈夫。少し調査するだけだよ、すぐ戻るから」
何か理由があって詠斗達が一緒には行けないのだろうとメルガドールの提案に詠斗が首を振る、何かあれば手を貸すとメルガドールとユラヴィレオが約束を交わして自分の店に戻る。
「懐記くんの事だ心配はしていないが…」
「何故かトラブルが向こうからやって来そうな気配がしますね…」
『……』
「何、懐記《トルゥードン》にいんの?不味くね?」
「あ、ティスとライガル。来てたの?」
「はい、ドラゴンの店の視察です。兄上も後程此方に」
「俺は他の奴の手伝い」
話しを終えたタイミングで晴海と率がティスとライガルを連れてくる、ほとんどの店の準備が完了し午後からは客を入れられる所迄整っている。
「事情は晴海と率から聞いた、見てくるわ」
「私も行きます、甥に釘を刺しておきます」
「アイツが聞くわけないだろ、つか仕事は?」
「それでも皆さんはこの世界の大事な救世主ですから…仕事はナイル殿チグリス様に私の仕事を頼みますよ、采配権はあのお2人にもありますから」
『は?』
「えーと、まずあの街に行くと身体に異変が起こりますよ?」
「ま、それも行って確かめてくるわ」
「では、こちらに仕事の書状が入ってます。分からない事はスマホに連絡して下さい」
巾着の収納袋をライガルが綴に渡す、何故か何処となく焦っているライガルとティスに止める間も無く転移札で《トルゥードン》に向かう。
「あ、ライガルさんとティスに渡した転移札…自由に行けるやつ…」
「とりあえず、ナイルさんとチグリスにこれ渡しとく」
「そうですね…」
「これであの2人が《トルゥードン》に入れるなら心強いが…」
「んー、どうなんだろうねぇ」
「よっぽどライガルさんの甥っ子に何かあるんでしょうね」
後で来たニジェルガが事情を知り顔が僅かに引きつり、仕事を渡したナイルとチグリスについでにラウラスの顔も思い切りひきつったのは言うまでも無い…。
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