あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
287 / 1,079
第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第32話 伝染病 2

しおりを挟む
「熱を下げる薬は出来たぞ、症状が重いやつには薬草ダンジョンの下のドロップ品を使ってくれ」
「こっちはミルク粥出来たわ、運んで食わせてやってー」
島船の大食堂で薬草を煎じるラジカや龍皇国からの助っ人に、厨房で料理をしては出していく懐記、料理や薬を運ぶおりがみの子達、舵やベルン達もこちらで手伝いをしていた。
「うい~魚とった~」
「なかなかだったな魚ダンジョン、足りなければすぐにまた行こう。私は魚を捌く手伝いをしてくる」
「助かるわ」
「俺は風呂いこっと」
「んーゆっくりしてこいよ」
「はあーい」
魚ダンジョンの周回を終えたトラング達が戻り、カトゥーシュカは厨房で魚を捌きトラングは風呂へ向かった。
まだまだ病人は運ばれ、バタバタと騒がしく出入りが行われていた。
「はい、薬草ダンジョンから持って来ましたよ」
「ナイルっちサンキュ」
「いえ、詠斗さん達が町の様子を見に行くそうなのでもう
1度ダンジョンに行ってきます。まだ千華様達もいますし」
「なら、これ弁当。持ってって」
「ありがとうございます、行ってきます」
タッパに入れられたおかずと、おにぎりを受け取りまたナイルが転移札を使い薬草ダンジョンへ戻った。

「ふう、この辺りの村の人達は連れて行けたようだね」
「ええ、詠斗さんと崇幸さん達が町に向かったそうなので合流しますか?」
「そうだね、その前に小腹が減ったね。少し休もうか」
「そうですね、お茶とドーナツとサンドイッチで良いですか?」
「いいね、ありがとう」
ラジカが懐から収納袋を取り出しテーブルと椅子、お茶とサンドイッチにドーナツをセッティングした。
大きな木の木陰で風のそよぐ心地好さを感じながら、温かいお茶を飲み休憩を行った。
「この辺りは作物が育ちにくいのかな?皆栄養失調気味のようだったけど」
「それもありますが、領主の圧政もあり働き手は出稼ぎに出ている為に農作物が自分たちの分位しか確保出来ないのでしょう」
「領主ね…だから若い男性があまりいなかったんだね」
「ええ、この辺りは特産物もないですし」
「ふうん」
ラジカがミルクを淹れて飲む、千歳はストレートで飲むが目はラジカの方を見ていた。
表情の読めない感情を消したラジカだが、不機嫌なのが伝わってくる。
「機嫌悪いね、ラジカさん」
「ええ、悪いです」
「可愛いね」
「そうですか」
不機嫌を隠す気も無く褒めてもさらりと受け止め照れたりもしない、紅茶を飲み終わりサンドイッチとドーナツも食べて千歳が食べ終わるのを待っている。
「ラジカさんは村人を助ける気は無かったのかな?」
「どちらでも、貸しを作っておきたかっただけですね」
「今日会いに来た人に?」
「ええ、あの村だけで良かったのですが」
「皆優しいし思い遣りがあるからね」
「千歳さんもですね、この世界は自分の事で精一杯な生き物ばかりですから」
「住んでいた世界も違うし、助けられる力や能力や金があれば助けるって所かな」
「この世界では難しい事ですね」
「そうだね、だから彼らは運が良かった。ご馳走さま、さ、行こうか」
「はい」
収納袋にテーブル等をしまい町に向かう、ラジカの不機嫌はまだ直らない。

「この辺の葉は沢山水分を含んでいるので、そのまま食べたり料理に使うんです」
「へえ、どれ…お、噛むと水が出てくるな…」
「うん…味ない?」
「ゆき…子供達は奥…怪我をしている…大きな木の穴にいる」
「急ごう」
シアに村の奥に案内されると背の低い木に蔦の植物が絡み付く群生地がありシアが蔦の葉を指して崇幸とグローリーがそれを口に入れ良く噛むと葉から水が溢れたが味はない、不思議な食感にグローリーが首を傾げ、千眼が子供達の安否を確認崇幸が足早に奥へ向かう。

「寒い…」
「熱い…」
大きな木の洞の中で子供2人が身体を震わせ身を寄せあっているのを崇幸が発見し駆け寄り、洞から2人を抱き抱え急いで全員を連れて島船に戻った。
「子供を連れてきたぞ」
「ああ、マール!」
「ホロ!」
「ママ…」
島船の広間で横たわる母親が起き上がり子供を抱きしめ、子供達も泣きながら親の身体に必死にしがみ付いた。
「なんとお礼を…」
「ありがとうございます!」
親達が何度も頭を下げ、崇幸達に礼を言い子供達の分のスープを受け取り食べさせた。
「俺達は町の様子を見に行こう、シアはここで残って皆の所で飯を食うといい。腹減っているだろう」
「あ…はい」
崇幸が付いて行きたそうにしているシアの頭を撫でて、綴達に後を託しグローリーと千眼、おりがみの子達を連れて町に転移しようとすると懐記から待ったの声が掛かる。
「崇幸っち、大河っちから今から町に領主が火を放つって。町ごと伝染病を消すつもりみたいだわ」
「ちっ、崇幸!町の中に入るぞ!詠斗、率、晴海、懐記!町の奴ら全員ここに連れてくるぞ」
薬草を煎じていたジラが盛大に舌打ちをし、崇幸が不安そうなシアに笑顔を向けて転移魔法を掛けた。

「今からこの町は領主様の命令で火を放つ」
「何故だ」
「この先には入れない」
「なんて事を!?」
少し時間は遡り、大河と綴が町の入り口に転移し中に入ろうとすると、松明や矢を大量に持った兵士達から阻止される、訳を知り綴の表情が青ざめた。
「そうか、分かった」
「大河君!?」
「一旦引くだけだ」
あっさりと引く大河に肩を抱かれ綴が悲鳴にも似た声を上げる、町から少し離れた場所で懐記にラインを送り、千歳に電話を掛け情報を共有した。
「あ…声を荒げてすみません…町に入り火を放たれる前に町の人々を船に連れていくんですね」
「ああ、後はラジカが一度兵士と交渉するようだ。俺達も町に入り住民達を連れて行くぞ」
「はい!」

「とんでもない事をするね」
「よくある手段ですよ、無かった事にした方が早いと言う領主や国もね。時間稼ぎをしましょう」
千歳が大河からの通話を切りラジカに訳を話し、町の入り口前で兵士の様子を伺う。
「ジラさん達が町に入ったようだね」
「では、いきましょうか」
ラインを確認しジラ達と大河達が町の中に入り手分けして、船に転移させていく間、火を放たれない若しくは撤退をして貰うようにラジカと千歳が交渉の為に兵士達の前に立った…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...