あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第12話 おんせーん

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「大分街の外れに来たな」
「工房教えて貰った道と間違えたかな」
こちらは、崇幸(千眼同伴)、晴海、舵、シアチーム、街から外れ緩やかな坂道を崇幸が晴海とシアと手を繋ぎ、舵はその後ろをヒヨコを身体に乗せて歩いていた。
「あ、あそこに看板がある」
「どれどれ、この先程臭いに注意…宿屋は休業中?」
「におい…?」
「仕方ない引き返すか、向こうから人がくるから工房通りの道を教えて貰おう、すみません」
「はい、どうしました?」
「道に迷ったようで、工房通りに行きたいんです」
「ああ、たまーに間違える人いるんですよねー、俺も今から商業ギルドに行くんで案内しますよ」
「それは助かる」
「ねぇ、おにーさん。この看板の臭いって」
「ああ、この先の俺の宿屋の地下から温かて変な臭いのする水が最近出てきて…閉鎖しているんだ。身体に害はないんだけどどうにも臭いがねー」
「温かくて変な臭いの水…あ。なあ、ちょっとその宿見せてくれ!」
向こうからやって来た青年がどんよりとした重い空気を放ち教えてくれる、その水の正体になんとなく気付いた崇幸が食い付いた。
「えー本当に具合悪くなりますよ?」
「いや、むしろその逆だ!案内してくれ!頼む!」
「まあ、そこまで言うなら。俺はロックスです」
「俺は崇幸だ」
「俺、晴海」
「僕、シアです」
「俺は舵だよー」
変わった4人組に頼まれ再び宿に戻るロックス、どのみち今日中に商業ギルドへ行けば良いかと思い4人とヒヨコ(?)を案内する事にした。

「う…このにおい…」
「シアは無理か、よし皆の所に行こう」
「ゆき…結果…」
「うわあ、急に人!?」
「………」
宿が近づくと口と鼻をシアが抑えて立ち止まる、崇幸の左胸の蝶から千眼が現れ結果を張り臭いを遮断してくれた。
「ま、気にしないでくれ。ほら、あそこが君の宿屋か?」 「え、えー、はいそうです」
ますますおかしな組み合わせだが、これでも一応宿屋の主人だ人の事は詮索しないのが常だ。
「落ち着いた雰囲気の宿屋だな」
「安さが取り柄のオンボロ宿屋です、臭い消してくれてありがとうございます。水は地下ですが行きますか?」
「もちろん」
「こっちです、地下の貯蔵庫から水が出て来ているんで」
宿屋の隣の小さな扉が付いた木造の物置小屋の扉を、ロックスが魔力で解錠すればすぐ目の前には階段があり温かい空気が流れている。
「お、これはすごいぞ!」
「わ、お湯っていうかこれ温泉だよね?」
「おんせん?」
「この水の正体が分かるんですか!?」
「まあな、なるほど勝手に涌き出てどこかに流れているのか」
「奥を視る…」
お湯は一定量までしか上がらず何処かへ流れて行っているようだ、一旦外に出て皆を集める事にした。

「崇幸さん!温泉て本当?」
「温泉に入れるのか?」
「この世界温泉があるんですね!?」
「ここの宿屋は入浴だけ出来るんですか?」
「アルケールっちとナイデルっち呼ぼ」
「1度に何人入れるのかな?」
温泉という言葉に釣られた日本人メンバー達が大興奮で崇幸に寄ってくるが、詳しい事情を説明する事にした。

「なるほど、確かに臭いは馴染みがないと辛いね」
「宿屋を潰すのは勿体ないな…よしこの建物と土地を買おう、幾らだ?」
「さっすが、大河君!《アウトランダーズ商会》の保養所にしよう」
『さんせーい!』
千歳と大河、崇幸が盛り上がり、詠斗達も乗り気でいる。
「なら、詳しい話しをしましょう」
「ええ、えー。ぐぎゅるるるーあ、わ、すみません!この所ろくに食べてなく…」
「じゃ、昼にしよ。屋台で沢山買ってきたし」
ラジカが商談の話しに持ち込もうとすると、ロックスの腹から盛大な音が聞こえ詠斗が昼の準備を始めた。

「へぇ、親御さんを亡くして1人で切り盛りしていた所に温泉が運がいんだか悪いんだかだな」
「俺達は温泉入れて嬉しいけど」
「この辺の土地も購入してホテルにしたいな、もちろん、ロックス君の宿屋は残すからね」
「なら、千歳っち空間繋げていつでも来られるようにしてよ。仕事終わった後の温泉はいいっしょ」
「最高だね」
テーブルをいくつも出して懐記が収納の中に入れた食事や、崇幸のスキルコンビニのパンに詠斗達が購入した屋台の料理を所狭しと並べて大勢で食事を始めた。
「お、美味しい!」
「沢山食べてよ!」
「は、はいい!」
もう涙を流しながらパンや肉をかっこむ、こんな美味い食事は両親がいた時以来だった。
「皆さんがこれだけ喜んでいるのだから素晴らしい物なのでしょうね」
「風呂でしょ~」
「このミルク美味ですねぇ」
別テーブルではゴーシュ、ライガル、トラング、カトゥーシュカ、ティス、ゴーシュがゲットしたトーリカが食事をしていた。
「ゴーシュさん、その方先程から気になっていたのですが」
「お、流石はラジカ!ご名答だ」
「これはお久しぶりですね。親子揃って食事とは明日は嵐ですかね?」
「相変わらずですね、明日の天気等貴方にはお見通しでしょうに。良く口説き落としましたね」
「店の物1つくれるって言うから店主貰った貰った」
「よくもまあ、そんな事を」
「皇国で店やらせるぞー」
「なら、探す手前が省けますね」
ラジカがゴーシュにトーリカの件を尋ね呆れ返る、当のトーリカは気にせずミルクを飲んでいた。
「妖精王がいますよ」
「へぇ、どの妖精王だい?」
「6色虹眼の王ですよ」
「あの方、結果を抜けたのかい?」
「偶々ですよ、会いますか?」
「そりゃあね、後で行くさ」
トーリカの眼が鈍く輝く、ラジカもそれだけ伝えて自分のテーブルに戻った。
「面白い面白いよ」
「だろだろ、ミルク飲むか?」
「貰う」
ゴーシュがミルクを注いでやる、トーリカは美味しそうにミルクを飲んだ。

「ゆき…温泉は問題ない…入ろうと思えばすぐ入れる」
「よし、早速入るぞ!アルケールさんとナイデルさんを誘おう!」
「崇幸兄の趣味温泉、銭湯巡りだもんなー」
「僕も好きだね、仕事が休みの時とかは行っていたよ」
「あ、なんかイメージできる。新幹線とかで1泊何万する客室露天風呂付きの部屋にいそう」
「良く分かったね、海を眺めながら入る露天風呂は良いよね」
「はぁ、住む世界が違うハイスペイケメン魔王様だー」
「ふ…褒めてくれてどうも可愛い魔王様」
「はあ、イケメン」
舵が千歳の笑顔を見て顔を覆う傍ら、崇幸がはしゃいでアルケールとナイデルに連絡していた。
「皆が入りやすいように土魔法で形整えとこうか」
「は、入るんですか?」
「そうだよ!ロックスさんも入ろう」
「じゃ、着替えように家出すか」
懐記が着替え用に空き家を2軒出して、率がシャンプーやタオルや石鹸等必要な物をスキルで購入していく。
「あ、アメニティ色々増えてる」
「何か良いシャンプーとトリートメントある~」
「これとか使います?」
「ん~いいね~ありがとう」
率がスキルで購入したシャンプーとトリートメントをトラングに渡す、こういうのにこだわりがあるのは千華やトラングやナイルで後は出された物を皆使っている。
「崇幸殿!なんでもすごい風呂があると!?」
「どこです?」
「さ、服を脱いで行きますよ!」
転移札でバタバタと現れたアルケールとナイデルを空き家に入れて準備させる、笑顔が地下で土を魔力で固め身体を洗える場所を作り、崇幸が光魔法で周囲を照らし皆が降りて来てそのまま温泉に浸かる事にした。

「こ、これは普通の湯とは違うな!」
「身体の力が抜けますね」
「気持ち良いですね」
「まさかこの温かい水がこんなに気持ち良い物だなんて…」
「………………………」
「あー魔王やっぱり分かる分かる?」
「いるよなー」
「ああ…」
「気配を隠すのが上手いな…」
「どうする~」
温泉に浸かりながら皆が寛ぎ気が抜けている最中、千眼はじっと湯の底、温泉は濁りで全く見えない底を見ていた。
ゴーシュとティスとカトゥーシュカにトラングも気付き顔を見合せ、どうするかと悩む、どうやら害は無いが何かいるらしい。
「皆が湯から上がったら出してみよう、おそらくこのお湯の原因が底にいる。敵意は無いようだが」
「それとこのお湯ちょっとした回復効果があるみたいだな」
「ええ、身体を軽くしますね」
「お湯…匂い…回復…気配…あ、もしかしてクラークラックかもしれません!」
「大分昔に絶命した種族だが…生き残っていたのか」
カトゥーシュカが底の先を見つめ、他の面々が温泉の効能に驚き、シアが情報を吸い上げ何度も読み込んだ手帳から情報を追い出す。
「ん、ヒヨコっち達が先に話ししてくるって」
「お願いします、ヒヨコちゃん達」
「無茶しちゃダメだよ」
温泉をプカプカ浮いて楽しんでいたグローリーの魔法で造られたヒヨコ達が懐記に伝え、綴や晴海に応援され潜っていく。
「グリのヒヨコなのにグリあいつらの言っている事わからないもんなー」
「おりがみの子達も皇国で自由に過ごしてるしなー」
「この間、兄上とお茶を飲んでいましたね」
「結界をすり抜けていくるから皇城の兵士達が頭を抱えていますよ」
「酒も飲むぞー!」
ティス、ライガル、ナイデル、アルケールがヒヨコとおりがみの子達の生態について…考えるないようにした。
「そちらに預けている奴隷商のあの方は?どうですか」
「懐記の家でおりがみの子達が世話しているからな、グリがいなきゃ出れないし」
「食事もしていますか?」
「ああ、食べないとおりがみの子達があいつ囲んでじっと見てるからな」
「こわ、何そのホラー」
ラジカがゴーシュに奴隷商人の現在の様子を伺い舵が引く、和製ホラーじみて想像したら怖い。
「戻ってきたよー懐記さん達おしえてー」
「ん、急ぐかシュカっちよろしく」
「そうだな、急ごう。皆さん湯から出てくれ」
「回復が僅かでも出来るのなら船の人達にいいかもしれないね、僕の収納に温泉を収納するよ」
「分かった」
懐記とカトゥーシュカがヒヨコ達から話しを聞き温泉から出て階段に向かうよう指示を出す、皆階段に向かいカトゥーシュカが手を翳し湯が渦を巻き上げ千歳の収納に吸い込まれていった。
「俺の家にこんな大きな穴が!」
「下にクラークラックが30匹以上いるって、俺が降りるわ」
「ええ!そんなに!?」
「うんじゃ、俺も行くか」
「僕も行こうか言葉分かるし収納に入れて上がってくるよ」
「大人数でいっても怯えるからな、攻撃してきたら俺が対応するか」
懐記の台詞に両頬を抑えて青褪めるロックス、懐記、ゴーシュ、千歳、ジラで降りる事にして…。
「みんな服着てからにしましょうか」
綴の落ち着いた声に腰に巻いたタオル一枚で降りようとした、4人を止めて着替えてから向かう事にした。
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