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第8章 黒竜の雛と特級冒険者
危険毒物
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「あ、咲良さん!大丈夫でしたか?!」
ハワード邸に戻るとユイルが咲良の元に駆けてきた。
「あぁ、問題ない。それよりユイルこそ何もなかったか?」
「はい。何時も通りでしたよ」
「そうか…それならいいんだ」
(こっちには来ていないのか。なら奴らは今何を……やはり何かしらの準備をしていると見るべきか。これは大事になる前にこっちから仕掛けた方が良いかもしれないな)
咲良はこれからの行動は守るのではなく攻撃を主体にするべきなのではないかと考えた。現在こちらには見えざる者の覚醒者ソフィと特級冒険者の椿という強力な味方が居るのでしっかりと協力すれば先手を取る事が出来るはずだ。
「ユイル、さっき証拠が手に入った。」
「本当ですか!」
「あぁ。ただ証拠を突き付けただけでは逃れられる可能性もある。つまり…今度はこちらから仕掛ける」
「仕掛けるって言ってもどうやって…」
「近い内に仲間から有力な情報が得られるはずだ」
「し、しかし…」
「心配するな。周りに被害が出ないようにひっそりとするさ」
「気を付けてくださいね!」
それから数日間、ユイルとルーナの身には何も起こらなかったがある日の夜、クロに呼ばれた気がしたので現場に行ってみるとソフィと椿もその場にいた。
「何か分かったか?」
「えぇ、雇われたと思われる暗殺者があの屋敷に集まっているようです」
「なるほどな。しばらく大人しかったのはこの為か」
咲良は前に建っている古い屋敷の気配を探ると数十人程の暗殺者が群れているのが感知出来た。
「依頼主は?」
「ここにはいません。一緒にいる所を見られると不味いのでしょう」
「なら本命の所に向かってる可能性があるな。早く済ますぞ、手伝ってくれ椿」
「もちろんです」
「あの…」
「悪いがソフィはそこにいてくれ。時間は掛けられないからな」
「はい…」
「キュイ!」
ソフィは自分も何かしたいと思っているのだが今回は暗殺者の捕縛が目的だ。ソフィでは足手纏いにしかならないのでここは我慢してもらう他ない。クロはその心情を汲み取ったのかソフィの肩に留まったので一緒にいてくれる様だ。
「椿、なるべく殺すなよ」
「分かっていますよ」
椿がニヤリと笑ったのを確認した咲良は気配を消して屋敷に忍び込んだ。
(目の前から消えたと錯覚するほど気配がありませんね…やはり相当な実力者の様ですね。しかし今は目の前の事に集中しますか)
椿も気配を消すと咲良の後を追いかけて屋敷に忍び込んだ。
「こ…これは…」
椿が屋敷に入った頃には既に半数の暗殺者が倒され床に伏せていた。流石に咲良1人に任せる訳にはいかないと椿も刀を抜いて峰打ちで切り伏せていく。
「な…何なんだこいつらは!」
「一体どこから来やがった!」
「くそっ!どこに居やがる!グハッ!」
暗殺者達は咲良と椿の姿を捉える事が出来ないまま次々に気を失っていく。
「か、簡単な依頼のはずだろう」
「こんなの聞いてねーぞ!」
「おい椿、この二人何か知ってそうだぞ」
「それは色々お聞きしなければなりませんね」
咲良と椿が悪い笑みを浮かべると2人の暗殺者は顔面蒼白となり後ずさりする。
「心配するな。拷問なんぞするつもりはない」
「ただお話を聞くだけですよ」
「「ひ、ひぃぃぃぃぃ」」
咲良と椿の迫力に暗殺者はその後ベラベラと知っていることを全て話してくれた。だからといって逃がすつもりは一切無く、暗殺者達は全員予め連絡しておいたギルド本部の職員に連れていかれた。
「椿、ソフィ、クロ、このままハワード邸に行くぞ。この下らない争いを終わらせる」
「はい!」
「そうしましょう」
「キュイキュイ!」
4人はそのまま急ぎ足でアワード邸に向かった。咲良の考えでは全ての元凶は今ハワード邸でユイルとルーナの命を狙っているはずだ。先程捕らえた暗殺者を送り込み、その混乱に乗じて殺す手筈だったのだろう。
「咲良、言い忘れていましたがこんな物を手に入れました」
ハワード邸に向かう道中で椿が咲良に小さな小瓶を手渡した。その小瓶には毒々しい紫色の液体が入っていた。
「さっきの屋敷でか?」
「えぇ、暗殺者の1人が持っていました。何か分かりますか?」
「これは…クロウ貝の体液だ」
「クロウ貝?聞いた事ありませんね」
「漁師の間では有名な貝でな。一口でも食べれば即死する猛毒の体を持っている。これはそのクロウ貝をすりおろした物だ」
「そんな危険な物でしたか…これを暗殺者が持っていたという事はまさか」
「だろうな。これは益々急いだ方が良さそうだ」
咲良はソフィを抱えると速度を上げる。椿も難なく着いてきており、クロもかなり成長したようで翼を羽ばたかせて何とか食らいついている。
速度を上げた時、咲良達を追いかける者がいた。咲良はそれが瞬時に敵ではない事を悟ると少しだけ速度を落とす。すると追いかけていた者はすぐに追いついてきた。
「レオの使いか?」
「はい。グランドマスターよりこの書類をあなたに渡すようにと」
咲良はレオの使いから書類を受け取り目を通す。
「なるほど。ギルドはギルドで動いていたわけか。助かる」
「いえ、ではこれで」
レオの使いはすぐにその場を離れた。その者の動きから特級ではないにしろかなりの実力者である事が窺える。
その後4人はハワード邸に到着すると二手に別れた。咲良はユイル、椿とソフィ、クロはルーナを守るためだ。これからの行動については既に話し合ったので後は流れに任せるだけだ。
バンッ!
咲良はユイルの気配のする部屋の扉を勢い良く開けた。そこは食堂で丁度料理が出てきた頃だった。
「さ、咲良さん!」
「何事だ!慌ただしい!」
「あら?新人さんかしら?」
「本当だわ!誰なの!?」
中にはユイルだけでなく現当主のクレイダル、第一夫人のメルシア、第二夫人のアマルダが食卓を囲んでいた。咲良はメルシアとアマルダに会うのはこれが初めてだ。メルシアは仕事でよくアルカナを離れており、アマルダは別荘に住んでいるので会う機会が無かったのだ。
「咲良さんどうされたのですか?」
「ユイル!それを口にするな!」
咲良が怒鳴るとユイルが手に持っていたスプーンを瞬時に手放した。
「ま、まさか…」
ユイルは今ので何が起こっているのか察した様だ。その状況把握能力は流石次期当主候補と言うべきだろう。
「当主様。お食事中失礼いたします。少しお時間をいただけませんか?件の犯人が判明しました」
「……聞こう。無礼は許す」
クレイダルは咲良に許可を出した。無礼というのは先ほど咲良がユイルの事を呼び捨てにした事だろう。
「では僭越ながら…」
咲良はふぅっと息を整えると静かに語りだした。
ハワード邸に戻るとユイルが咲良の元に駆けてきた。
「あぁ、問題ない。それよりユイルこそ何もなかったか?」
「はい。何時も通りでしたよ」
「そうか…それならいいんだ」
(こっちには来ていないのか。なら奴らは今何を……やはり何かしらの準備をしていると見るべきか。これは大事になる前にこっちから仕掛けた方が良いかもしれないな)
咲良はこれからの行動は守るのではなく攻撃を主体にするべきなのではないかと考えた。現在こちらには見えざる者の覚醒者ソフィと特級冒険者の椿という強力な味方が居るのでしっかりと協力すれば先手を取る事が出来るはずだ。
「ユイル、さっき証拠が手に入った。」
「本当ですか!」
「あぁ。ただ証拠を突き付けただけでは逃れられる可能性もある。つまり…今度はこちらから仕掛ける」
「仕掛けるって言ってもどうやって…」
「近い内に仲間から有力な情報が得られるはずだ」
「し、しかし…」
「心配するな。周りに被害が出ないようにひっそりとするさ」
「気を付けてくださいね!」
それから数日間、ユイルとルーナの身には何も起こらなかったがある日の夜、クロに呼ばれた気がしたので現場に行ってみるとソフィと椿もその場にいた。
「何か分かったか?」
「えぇ、雇われたと思われる暗殺者があの屋敷に集まっているようです」
「なるほどな。しばらく大人しかったのはこの為か」
咲良は前に建っている古い屋敷の気配を探ると数十人程の暗殺者が群れているのが感知出来た。
「依頼主は?」
「ここにはいません。一緒にいる所を見られると不味いのでしょう」
「なら本命の所に向かってる可能性があるな。早く済ますぞ、手伝ってくれ椿」
「もちろんです」
「あの…」
「悪いがソフィはそこにいてくれ。時間は掛けられないからな」
「はい…」
「キュイ!」
ソフィは自分も何かしたいと思っているのだが今回は暗殺者の捕縛が目的だ。ソフィでは足手纏いにしかならないのでここは我慢してもらう他ない。クロはその心情を汲み取ったのかソフィの肩に留まったので一緒にいてくれる様だ。
「椿、なるべく殺すなよ」
「分かっていますよ」
椿がニヤリと笑ったのを確認した咲良は気配を消して屋敷に忍び込んだ。
(目の前から消えたと錯覚するほど気配がありませんね…やはり相当な実力者の様ですね。しかし今は目の前の事に集中しますか)
椿も気配を消すと咲良の後を追いかけて屋敷に忍び込んだ。
「こ…これは…」
椿が屋敷に入った頃には既に半数の暗殺者が倒され床に伏せていた。流石に咲良1人に任せる訳にはいかないと椿も刀を抜いて峰打ちで切り伏せていく。
「な…何なんだこいつらは!」
「一体どこから来やがった!」
「くそっ!どこに居やがる!グハッ!」
暗殺者達は咲良と椿の姿を捉える事が出来ないまま次々に気を失っていく。
「か、簡単な依頼のはずだろう」
「こんなの聞いてねーぞ!」
「おい椿、この二人何か知ってそうだぞ」
「それは色々お聞きしなければなりませんね」
咲良と椿が悪い笑みを浮かべると2人の暗殺者は顔面蒼白となり後ずさりする。
「心配するな。拷問なんぞするつもりはない」
「ただお話を聞くだけですよ」
「「ひ、ひぃぃぃぃぃ」」
咲良と椿の迫力に暗殺者はその後ベラベラと知っていることを全て話してくれた。だからといって逃がすつもりは一切無く、暗殺者達は全員予め連絡しておいたギルド本部の職員に連れていかれた。
「椿、ソフィ、クロ、このままハワード邸に行くぞ。この下らない争いを終わらせる」
「はい!」
「そうしましょう」
「キュイキュイ!」
4人はそのまま急ぎ足でアワード邸に向かった。咲良の考えでは全ての元凶は今ハワード邸でユイルとルーナの命を狙っているはずだ。先程捕らえた暗殺者を送り込み、その混乱に乗じて殺す手筈だったのだろう。
「咲良、言い忘れていましたがこんな物を手に入れました」
ハワード邸に向かう道中で椿が咲良に小さな小瓶を手渡した。その小瓶には毒々しい紫色の液体が入っていた。
「さっきの屋敷でか?」
「えぇ、暗殺者の1人が持っていました。何か分かりますか?」
「これは…クロウ貝の体液だ」
「クロウ貝?聞いた事ありませんね」
「漁師の間では有名な貝でな。一口でも食べれば即死する猛毒の体を持っている。これはそのクロウ貝をすりおろした物だ」
「そんな危険な物でしたか…これを暗殺者が持っていたという事はまさか」
「だろうな。これは益々急いだ方が良さそうだ」
咲良はソフィを抱えると速度を上げる。椿も難なく着いてきており、クロもかなり成長したようで翼を羽ばたかせて何とか食らいついている。
速度を上げた時、咲良達を追いかける者がいた。咲良はそれが瞬時に敵ではない事を悟ると少しだけ速度を落とす。すると追いかけていた者はすぐに追いついてきた。
「レオの使いか?」
「はい。グランドマスターよりこの書類をあなたに渡すようにと」
咲良はレオの使いから書類を受け取り目を通す。
「なるほど。ギルドはギルドで動いていたわけか。助かる」
「いえ、ではこれで」
レオの使いはすぐにその場を離れた。その者の動きから特級ではないにしろかなりの実力者である事が窺える。
その後4人はハワード邸に到着すると二手に別れた。咲良はユイル、椿とソフィ、クロはルーナを守るためだ。これからの行動については既に話し合ったので後は流れに任せるだけだ。
バンッ!
咲良はユイルの気配のする部屋の扉を勢い良く開けた。そこは食堂で丁度料理が出てきた頃だった。
「さ、咲良さん!」
「何事だ!慌ただしい!」
「あら?新人さんかしら?」
「本当だわ!誰なの!?」
中にはユイルだけでなく現当主のクレイダル、第一夫人のメルシア、第二夫人のアマルダが食卓を囲んでいた。咲良はメルシアとアマルダに会うのはこれが初めてだ。メルシアは仕事でよくアルカナを離れており、アマルダは別荘に住んでいるので会う機会が無かったのだ。
「咲良さんどうされたのですか?」
「ユイル!それを口にするな!」
咲良が怒鳴るとユイルが手に持っていたスプーンを瞬時に手放した。
「ま、まさか…」
ユイルは今ので何が起こっているのか察した様だ。その状況把握能力は流石次期当主候補と言うべきだろう。
「当主様。お食事中失礼いたします。少しお時間をいただけませんか?件の犯人が判明しました」
「……聞こう。無礼は許す」
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