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第8章 黒竜の雛と特級冒険者
母ノ思ヒ
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「まずユイル様のお食事にはクロウ貝の体液、つまり毒が混入している可能性があります」
「なんだと!」
「それは大変ね!ユイル、食べてはダメよ」
「何を言っているのかしら?」
咲良の発言に食堂にいる者は様々な反応を示す。
「こちらを。クロウ貝の毒です」
咲良はクレイダルに椿が発見したクロウ貝の体液が入った小瓶を手渡す。
「これをどこで?」
「別荘にて発見いたしました」
「なに?我が家の別荘だと?」
クレイダルは驚きと共に第二夫人のアマルダを見やる。アマルダは別荘に住んでいるので当然の反応だろう。
「わ、私は何も知らないわ!でたらめよ!」
「ちなみにですが、別荘でユイル様を狙ったと思われる複数の暗殺者と遭遇いたしました」
「暗殺者だと?」
「はい。既に全員捕らえております。その者達に聞いたところアマルダ様より依頼を受けたそうです」
「ふざけないで!私はそんな事はしていない!」
アマルダは不愉快だとばかりに声を荒げる。
「ならお前は我妻が息子のユイルを狙ったというのか?」
「はい。間違いありません」
「誰か!この無礼者を摘み出してちょうだい!」
「待てアマルダ。咲良と言ったな…その発言には確証があるのだろうな?」
クレイダルは咲良を鋭い瞳でじっと睨む。流石貴族の当主と言った所で、軟な者ならその眼力だけで動けなくなりそうだ。
「証拠は既に揃っております。まずユイル様はアマルダ様の命でルーナ様の薬をドレシアまで取りに行かれましたが薬は無く、それどころか2度も命を狙われました。これは予めユイル様の行動を知っている者にしか出来ない事です」
「つまりアマルダだと?」
「はい。私も現場にいた事から、第二夫人のアマルダ様が怪しいと目星を付けました。そして別荘にて先ほどの毒物と暗殺の依頼書を発見いたしました」
咲良はクレイダルにソフィが見つけてくれた依頼書を手渡す。クレイダルはそれをまじまじと見つめた後アマルダに向き直る。
「アマルダ。これは一体どういうことだ?」
「でっち上げよ!そんな物知らないわ!…そうよ!私は誰かに嵌められたのよ!」
「言い逃れは止めたらどうだ?もう証拠は揃っているんだ。潔く罪を認めろ」
咲良は口調を元に戻してアマルダに呼びかける。犯罪者に敬意を払う必要はもうない。
「無礼よ!黙りなさい!」
「既にあんたが雇った奴らは全て吐いたぞ。物的証拠も揃っている。言い逃れは見苦しいだけだ」
「黙れと言っているのよ!」
「アマルダ。お前は何て事を…ユイルの命を狙うとは」
クレイダルは怒り哀しみが混じった複雑な表情を浮かべる。
「まだ認めないと言うならここにあんたが雇った暗殺者を連れてこようか?」
「く……そ、そうよ!私が雇ったわ!でも殺すつもりなんてなかったわ!」
アマルダは遂に認めたが殺意は無かったと言い張り罪を軽くしようとする。
「それは嘘だな」
「嘘じゃないわ!信じてあなた!」
アマルダはクレイダルに縋る様な目で訴えかけるが既にそこに夫婦としての関係はもうない。
「殺意はあった。間違いなくな」
「なぜそう言い切れるのだ?」
「是非聞かせてもらえるかしら?」
クレイダルと第一夫人のメルシアは何故咲良がここまで自信を持って言うのか気になった。
「長男のエノル様と次男のライオネル様もあんたが殺した」
「なんだと!!そんなバカな!」
「そ、それは本当なの!?」
クレイダルとメルシアはあまりの衝撃に冷静さを失う。
「本当です。ギルド本部のグランドマスターが直々に調査したので間違いありません。エノル様は当時の記録から見て現在ルーナ様が罹っている病気と同じです。つまりルーナ様の命も狙ったという事です。そして次男のライオネル様は冒険者として活動している中で暗殺者に襲撃され亡くなられています。ギルドはライオネル様のご遺体を回収したので間違いありません」
この咲良の情報は先ほど出くわしたレオの使いから齎された情報だ。レオも独自に動いてくれたようで重要な情報を提供してくれた。
「それを私がやったという証拠なんでないじゃない!」
「確かに確実な証拠と言うのは無い。だがあんたが過去に雇った暗殺者を見つける事は容易い。もっといえばエノル様とルーナ様の病気の原因は翡翠晶だが、鍛冶師でもないあんたが翡翠晶を買った記録は既にギルドが得ている」
「翡翠晶?それは何かしら?」
アマルダは翡翠晶を知らないと白を切るが咲良には通用しない。
「あんたに1つ残念なお知らせだ。ルーナ様は既に治療済みだ。もう病気で死ぬことは無い。そしてそのルーナ様が教えてくれたぞ。いつも食事はあんたが運んでくるとな」
「アマルダ。貴様はもう我妻ではない!この大馬鹿者めが!」
「そこまでして息子を当主にしたかったのですね」
クレイダルとメルシアは口々にアマルダを責め立てる。
「全ては愛する息子の為よ!あの子の為なら何だって出来るわ!」
アマルダは開き直ったのか次々と自白をしていく。もう周りに味方は居ないと悟ったのだろう。
するとその時、ルーナの元に行っていたはずの椿が食堂に入ってきた。それもぞろぞろと大勢のギルド職員を連れてだ。
「流石だな椿。仕事が早い」
「必要かと思いましてね。それに…私を騙した依頼主をこの手で捕まえたかったので」
椿はルーナの無事を確認すると直ぐにギルド本部に行き、人員を集めていたのだった。
そのギルド職員はアマルダに手錠を掛けるとそのまま連れて行こうとした。
「お母さま!」
そこへまだ10才にも満たない子供が叫びながら食堂に入ってきた。その子供はケナン・ハワード。アマルダの一人息子である。
ケナンは必死にアマルダを助けようともがくが、大人に勝てるはずもなくアマルダは連れていかれた。
「では私もこれで失礼いたします。ユイル、依頼終了だ。これから頑張れよ」
咲良も屋敷を後にしようとするがクレイダルに引き留められた。
「咲良と言ったな。感謝する」
「ありがとうございました」
「本当にありがとうございました」
クレイダルとメルシア、そしてユイルは咲良に深々と頭を下げる。
「いえ、お気になさらず。後始末はご家族でよろしくお願いします」
「咲良、後日必ず来なさい」
クレイダルにまた来るように言われた咲良は小さく頭を下げると椿とソフィ、クロと共にハワード邸を後にした。
「なんだと!」
「それは大変ね!ユイル、食べてはダメよ」
「何を言っているのかしら?」
咲良の発言に食堂にいる者は様々な反応を示す。
「こちらを。クロウ貝の毒です」
咲良はクレイダルに椿が発見したクロウ貝の体液が入った小瓶を手渡す。
「これをどこで?」
「別荘にて発見いたしました」
「なに?我が家の別荘だと?」
クレイダルは驚きと共に第二夫人のアマルダを見やる。アマルダは別荘に住んでいるので当然の反応だろう。
「わ、私は何も知らないわ!でたらめよ!」
「ちなみにですが、別荘でユイル様を狙ったと思われる複数の暗殺者と遭遇いたしました」
「暗殺者だと?」
「はい。既に全員捕らえております。その者達に聞いたところアマルダ様より依頼を受けたそうです」
「ふざけないで!私はそんな事はしていない!」
アマルダは不愉快だとばかりに声を荒げる。
「ならお前は我妻が息子のユイルを狙ったというのか?」
「はい。間違いありません」
「誰か!この無礼者を摘み出してちょうだい!」
「待てアマルダ。咲良と言ったな…その発言には確証があるのだろうな?」
クレイダルは咲良を鋭い瞳でじっと睨む。流石貴族の当主と言った所で、軟な者ならその眼力だけで動けなくなりそうだ。
「証拠は既に揃っております。まずユイル様はアマルダ様の命でルーナ様の薬をドレシアまで取りに行かれましたが薬は無く、それどころか2度も命を狙われました。これは予めユイル様の行動を知っている者にしか出来ない事です」
「つまりアマルダだと?」
「はい。私も現場にいた事から、第二夫人のアマルダ様が怪しいと目星を付けました。そして別荘にて先ほどの毒物と暗殺の依頼書を発見いたしました」
咲良はクレイダルにソフィが見つけてくれた依頼書を手渡す。クレイダルはそれをまじまじと見つめた後アマルダに向き直る。
「アマルダ。これは一体どういうことだ?」
「でっち上げよ!そんな物知らないわ!…そうよ!私は誰かに嵌められたのよ!」
「言い逃れは止めたらどうだ?もう証拠は揃っているんだ。潔く罪を認めろ」
咲良は口調を元に戻してアマルダに呼びかける。犯罪者に敬意を払う必要はもうない。
「無礼よ!黙りなさい!」
「既にあんたが雇った奴らは全て吐いたぞ。物的証拠も揃っている。言い逃れは見苦しいだけだ」
「黙れと言っているのよ!」
「アマルダ。お前は何て事を…ユイルの命を狙うとは」
クレイダルは怒り哀しみが混じった複雑な表情を浮かべる。
「まだ認めないと言うならここにあんたが雇った暗殺者を連れてこようか?」
「く……そ、そうよ!私が雇ったわ!でも殺すつもりなんてなかったわ!」
アマルダは遂に認めたが殺意は無かったと言い張り罪を軽くしようとする。
「それは嘘だな」
「嘘じゃないわ!信じてあなた!」
アマルダはクレイダルに縋る様な目で訴えかけるが既にそこに夫婦としての関係はもうない。
「殺意はあった。間違いなくな」
「なぜそう言い切れるのだ?」
「是非聞かせてもらえるかしら?」
クレイダルと第一夫人のメルシアは何故咲良がここまで自信を持って言うのか気になった。
「長男のエノル様と次男のライオネル様もあんたが殺した」
「なんだと!!そんなバカな!」
「そ、それは本当なの!?」
クレイダルとメルシアはあまりの衝撃に冷静さを失う。
「本当です。ギルド本部のグランドマスターが直々に調査したので間違いありません。エノル様は当時の記録から見て現在ルーナ様が罹っている病気と同じです。つまりルーナ様の命も狙ったという事です。そして次男のライオネル様は冒険者として活動している中で暗殺者に襲撃され亡くなられています。ギルドはライオネル様のご遺体を回収したので間違いありません」
この咲良の情報は先ほど出くわしたレオの使いから齎された情報だ。レオも独自に動いてくれたようで重要な情報を提供してくれた。
「それを私がやったという証拠なんでないじゃない!」
「確かに確実な証拠と言うのは無い。だがあんたが過去に雇った暗殺者を見つける事は容易い。もっといえばエノル様とルーナ様の病気の原因は翡翠晶だが、鍛冶師でもないあんたが翡翠晶を買った記録は既にギルドが得ている」
「翡翠晶?それは何かしら?」
アマルダは翡翠晶を知らないと白を切るが咲良には通用しない。
「あんたに1つ残念なお知らせだ。ルーナ様は既に治療済みだ。もう病気で死ぬことは無い。そしてそのルーナ様が教えてくれたぞ。いつも食事はあんたが運んでくるとな」
「アマルダ。貴様はもう我妻ではない!この大馬鹿者めが!」
「そこまでして息子を当主にしたかったのですね」
クレイダルとメルシアは口々にアマルダを責め立てる。
「全ては愛する息子の為よ!あの子の為なら何だって出来るわ!」
アマルダは開き直ったのか次々と自白をしていく。もう周りに味方は居ないと悟ったのだろう。
するとその時、ルーナの元に行っていたはずの椿が食堂に入ってきた。それもぞろぞろと大勢のギルド職員を連れてだ。
「流石だな椿。仕事が早い」
「必要かと思いましてね。それに…私を騙した依頼主をこの手で捕まえたかったので」
椿はルーナの無事を確認すると直ぐにギルド本部に行き、人員を集めていたのだった。
そのギルド職員はアマルダに手錠を掛けるとそのまま連れて行こうとした。
「お母さま!」
そこへまだ10才にも満たない子供が叫びながら食堂に入ってきた。その子供はケナン・ハワード。アマルダの一人息子である。
ケナンは必死にアマルダを助けようともがくが、大人に勝てるはずもなくアマルダは連れていかれた。
「では私もこれで失礼いたします。ユイル、依頼終了だ。これから頑張れよ」
咲良も屋敷を後にしようとするがクレイダルに引き留められた。
「咲良と言ったな。感謝する」
「ありがとうございました」
「本当にありがとうございました」
クレイダルとメルシア、そしてユイルは咲良に深々と頭を下げる。
「いえ、お気になさらず。後始末はご家族でよろしくお願いします」
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