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第9章 派生流派と天乱四柱
奇抜作戦
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「椿、ジャンはどんな人物なんだ?」
道中咲良が椿に尋ねる。琴音からある程度聞いたとはいえ椿の方がジャンについて詳しそうだ。
「私の兄の様な人でした。確かに問題もありましたが私はあの人の強さに憧れていたのです」
「お前も琴音も評価が高いんだな」
「それはもちろんです。当時師匠の跡を継ぐのはジャンとまで言われていましたから。実際私は模擬戦で一度も勝ったことがありません」
「それでよく名乗りを上げたな」
「ジャンが破門になってからは必死で修行しました。いつか再会した時に誇れるようにと。しかし…こんな形になるとは思ってもいませんでしたが」
「何事も上手くは行かないものだ。まぁ修行の成果を見せるチャンスとでも思っとけ」
咲良は椿を慰めるように言葉を掛ける。
「そうですね。そう思うのが一番でしょう」
「だが1つ忠告しておく。もし…ジャンを説得しようとしているなら止めておけ」
「え?…いやまさか…そんなつもりはありませんよ」
椿はボリボリと後頭部を掻きながら苦笑いを浮かべる。その表情に咲良は不信感を覚えたがそれ以上追及はしなかった。
「そういえば気になったのですが…どうして咲良さんは護衛を引き受けたのですか?師匠に頼まれたから、というのは理由として弱い気がしまして」
「簡単な事だ。暁月流は暁流の派生流派だからな。俺としても流派を汚すような奴らは見逃せないと思っただけだ」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「それより椿…分かってるな?」
「えぇもちろん。向こうから接触してくれるとは探す手間が省けましたね」
実は先程から2人の後をつけている気配がある。探ってみると人数は4人。
情報によると奴らはトーレリアスまでの道のりで盗賊行為をしている事が多かったので、高貴な格好をしていると襲ってくるのではないかと考え、屋敷で着替えてから出発したが、こうも上手くいくとは思っていなかった。
「奴らで間違いないな」
「ですね。盗賊にしては動きに無駄が無いように思えます」
「あぁ、恐らくジャンに暁月流の手ほどきを受けているんだろう」
「では予定通りに行きますか」
「気は乗らないが…仕方ないか」
そのまましばらく歩いていると盗賊共は行動を開始した。
「おい、止まれ」
「良いカモが見つかったな」
「有り金全部置いていきな」
「そうすれば見逃してやるよ、へへっ」
4人の盗賊は2人の前に現れると盗賊らしいセリフを吐く。
「い、命だけは…」
「お金なら差し上げますから!」
咲良はぎごちなく答えるが椿は中々様になっている。
先程椿が言った予定通りにというのは、敢えて襲われるふりをするというものだ。奴らは成果を上げると潜伏先に戻るはずなので、その跡を追う予定となっている。咲良は演技などした事が無いので気が引けるが地道に情報収集するより手っ取り早いのは確かだ。
「へへっ、たんまり持ってるじゃねえか」
椿から金貨の入った革袋を受け取った盗賊は笑みを浮かべながらジャラジャラと金貨を数える。
「ついでに身ぐるみも剥いでいくか」
「だな。服も値打ち物みたいだからな」
咲良と椿は身ぐるみを剥がされ下着同然の姿となった。
「命だけは助けてやる」
「次ここを通る時もまた襲ってやるよ」
「じゃあな」
盗賊共はそのまま去っていった。咲良が一瞬動いた事には気付かずに…
「はぁ…露出狂になるのは二度とごめんだな」
「良い案だと思ったのですが、良い気分はしませんね」
「やる前から分かっていただろうが…さっさと準備しろ」
咲良は拡張袋から仕舞っておいた各自の服や武器を取り出す。
拡張袋も盗賊に取られたが去り際に高速で動いて取り戻していた。
「拡張袋はやはり便利ですね。私も欲しいものです」
「そこまで珍しくもないだろう」
「いえいえ、そこまで容量の大きい拡張袋は見た事がありませんよ」
「そんな事より後を追うぞ。奴ら移動が速い」
「分かりました。行きましょう」
咲良は黒竜の装束と外套、そして愛刀の村正を腰に差し、椿は着物に長羽織を羽織って愛刀を腰に差す。
2人の正装とも言える格好に着替え終わると盗賊の跡を追いかける。
「中々のスピードですね」
「冒険者でいえば全員B級はあるな」
「ジャンは教え方も上手でしたから」
「そうか。だが奴らの人数も定かじゃないとなると…少し厄介だな」
「ですね。全員B級以上の可能性もありますから」
「まぁ作戦に変更はない。このままでいく」
「良いのですか?咲良さんにかなり負担が掛かる事になりますが…」
「気にするな。邪魔はしないしさせないから精一杯やれ」
「はい!ありがとうございます!」
椿と話している内に追っていた盗賊共は動きを止めた。
どうやら潜伏先に着いたようなので、咲良と椿は気配を消してギリギリまで近づいていく。
盗賊達が止まったのは山の山頂付近。そこには立派な木造建築が建っており、奇しくも暁月流の屋敷とそっくりだった。ジャンは破門になった今でも何かしらの思い入れがあるのかもしれない。
『どうしますか?』
椿が気付かれない様に念話で咲良に話しかける。
暁月流は魔力操作を基本とした流派だ。したがって念話を使えて当然なので咲良に驚きはない。
『建物の構造が分からないから隠密は適さないだろう。無難に正面突破で良いんじゃないか?』
『確かに。堂々と行くのも悪くありませんね』
2人は視線を合わせて軽く頷くと行動を開始する。
道中咲良が椿に尋ねる。琴音からある程度聞いたとはいえ椿の方がジャンについて詳しそうだ。
「私の兄の様な人でした。確かに問題もありましたが私はあの人の強さに憧れていたのです」
「お前も琴音も評価が高いんだな」
「それはもちろんです。当時師匠の跡を継ぐのはジャンとまで言われていましたから。実際私は模擬戦で一度も勝ったことがありません」
「それでよく名乗りを上げたな」
「ジャンが破門になってからは必死で修行しました。いつか再会した時に誇れるようにと。しかし…こんな形になるとは思ってもいませんでしたが」
「何事も上手くは行かないものだ。まぁ修行の成果を見せるチャンスとでも思っとけ」
咲良は椿を慰めるように言葉を掛ける。
「そうですね。そう思うのが一番でしょう」
「だが1つ忠告しておく。もし…ジャンを説得しようとしているなら止めておけ」
「え?…いやまさか…そんなつもりはありませんよ」
椿はボリボリと後頭部を掻きながら苦笑いを浮かべる。その表情に咲良は不信感を覚えたがそれ以上追及はしなかった。
「そういえば気になったのですが…どうして咲良さんは護衛を引き受けたのですか?師匠に頼まれたから、というのは理由として弱い気がしまして」
「簡単な事だ。暁月流は暁流の派生流派だからな。俺としても流派を汚すような奴らは見逃せないと思っただけだ」
「そうでしたか。ありがとうございます」
「それより椿…分かってるな?」
「えぇもちろん。向こうから接触してくれるとは探す手間が省けましたね」
実は先程から2人の後をつけている気配がある。探ってみると人数は4人。
情報によると奴らはトーレリアスまでの道のりで盗賊行為をしている事が多かったので、高貴な格好をしていると襲ってくるのではないかと考え、屋敷で着替えてから出発したが、こうも上手くいくとは思っていなかった。
「奴らで間違いないな」
「ですね。盗賊にしては動きに無駄が無いように思えます」
「あぁ、恐らくジャンに暁月流の手ほどきを受けているんだろう」
「では予定通りに行きますか」
「気は乗らないが…仕方ないか」
そのまましばらく歩いていると盗賊共は行動を開始した。
「おい、止まれ」
「良いカモが見つかったな」
「有り金全部置いていきな」
「そうすれば見逃してやるよ、へへっ」
4人の盗賊は2人の前に現れると盗賊らしいセリフを吐く。
「い、命だけは…」
「お金なら差し上げますから!」
咲良はぎごちなく答えるが椿は中々様になっている。
先程椿が言った予定通りにというのは、敢えて襲われるふりをするというものだ。奴らは成果を上げると潜伏先に戻るはずなので、その跡を追う予定となっている。咲良は演技などした事が無いので気が引けるが地道に情報収集するより手っ取り早いのは確かだ。
「へへっ、たんまり持ってるじゃねえか」
椿から金貨の入った革袋を受け取った盗賊は笑みを浮かべながらジャラジャラと金貨を数える。
「ついでに身ぐるみも剥いでいくか」
「だな。服も値打ち物みたいだからな」
咲良と椿は身ぐるみを剥がされ下着同然の姿となった。
「命だけは助けてやる」
「次ここを通る時もまた襲ってやるよ」
「じゃあな」
盗賊共はそのまま去っていった。咲良が一瞬動いた事には気付かずに…
「はぁ…露出狂になるのは二度とごめんだな」
「良い案だと思ったのですが、良い気分はしませんね」
「やる前から分かっていただろうが…さっさと準備しろ」
咲良は拡張袋から仕舞っておいた各自の服や武器を取り出す。
拡張袋も盗賊に取られたが去り際に高速で動いて取り戻していた。
「拡張袋はやはり便利ですね。私も欲しいものです」
「そこまで珍しくもないだろう」
「いえいえ、そこまで容量の大きい拡張袋は見た事がありませんよ」
「そんな事より後を追うぞ。奴ら移動が速い」
「分かりました。行きましょう」
咲良は黒竜の装束と外套、そして愛刀の村正を腰に差し、椿は着物に長羽織を羽織って愛刀を腰に差す。
2人の正装とも言える格好に着替え終わると盗賊の跡を追いかける。
「中々のスピードですね」
「冒険者でいえば全員B級はあるな」
「ジャンは教え方も上手でしたから」
「そうか。だが奴らの人数も定かじゃないとなると…少し厄介だな」
「ですね。全員B級以上の可能性もありますから」
「まぁ作戦に変更はない。このままでいく」
「良いのですか?咲良さんにかなり負担が掛かる事になりますが…」
「気にするな。邪魔はしないしさせないから精一杯やれ」
「はい!ありがとうございます!」
椿と話している内に追っていた盗賊共は動きを止めた。
どうやら潜伏先に着いたようなので、咲良と椿は気配を消してギリギリまで近づいていく。
盗賊達が止まったのは山の山頂付近。そこには立派な木造建築が建っており、奇しくも暁月流の屋敷とそっくりだった。ジャンは破門になった今でも何かしらの思い入れがあるのかもしれない。
『どうしますか?』
椿が気付かれない様に念話で咲良に話しかける。
暁月流は魔力操作を基本とした流派だ。したがって念話を使えて当然なので咲良に驚きはない。
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