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第9章 派生流派と天乱四柱
裏切ル者
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「ジャン!あなたの悪行は私の手で終わらせます!」
椿は飛燕を刀身に留めたまま切りつける。
咄嗟の行動にしては理に適っている為威力はかなり上がったが、それでも決定打には欠ける。
その後も椿は怒涛の攻撃をジャンに仕掛けるがあまり効果は無い。それどころか魔臓薬を飲んでからかなりの時間が経過した為にジャンは溢れ出る魔力を徐々に制御出来るようになっていた。
その様子を咲良は厳しい眼で見つめていた。
椿の気持ちを咲良は理解できる。だが気持ちに流されてしまえば望まない結果になる事は充分にあり得るし、何より先ほどの覚悟は偽物だったのかと口には出さないが非難する。
(椿には悪いが奴は俺が殺す。邪神教など絶対に許さん)
そう決めて2人の元に歩き出したが、ふと違和感を覚えた咲良は足を止めた。
(なんだ?)
咲良はその違和感が何なのか分からなかった。
しかし良い予感はしないので、何かが起こる前に速めに決着を付けようと足を前に進めるが既に手遅れだった。
「ジャン!あんた遅いのよ!今日集会がある事忘れてたんじゃないでしょうね!」
「そう怒鳴らないであげなよ。どうやらお客さんの相手をしていたみたいだしね」
突然後方に現れた一組の男女がジャンに声を掛ける。
「うわ。魔臓薬飲んでるじゃない。バカじゃないの?」
「魔臓薬を飲んでも苦戦する相手を褒めるべきかな?」
「ちっ…お前らか」
ジャンの知り合いだと言うのは確定だが、その表情からはどこか怯えがある様に見て取れる。
そして咲良はその男女の顔を見て目を見開いた。
「…な…お前ら…」
「ん?あ…亮太だ」
「うそ、佐伯?本当に?」
その男女は咲良の良く知る人物だった。
彼らは東野裕也と上田美久。地球で大学に通っていた頃、陸、秀樹、穂花と共に仲良くしていた友人達だ。
咲良が感じ取った違和感は彼らの存在だったのだ。
「生きていたんだね。良かったよ」
「全く。佐伯は何時も心配ばかり掛けるわね」
裕也と美久は心の底から咲良が生きていた事を喜んだ。
「何故お前らが此処にいる…」
「こいつを迎えに来たのよ。いつも時間通りに来ないんだから。大学の頃の佐伯にそっくりよ」
「今、どうやって来た…」
2人は突然現れた。だが咲良は2人の足元に散らばるキラキラとした破片に見覚えがあった。
「それは転移結晶だな?」
「よく知ってるね。ん?というか何で亮太が此処にいるの?」
「佐伯がジャンの客だからじゃない。それぐらい分かるでしょ」
「あ、そっか。じゃあ亮太は敵って事だね」
「分かりきった事言わないで。私たちにとっては殆どの人間が敵なんだから」
「なにを…」
咲良は衝撃が大きすぎて言葉を紡げない。しかし幸か不幸か頭はしっかりと働いているので2人が邪神教だという事は嫌でも理解出来た。
「邪神がどんな存在か分かっているのか!?」
「もちろんだよ」
「それより早く戻るわよ。あの人に怒られるわ」
「それもそうだね。ジャン、行こうか」
「あぁ…」
「逃がすか!」
咲良はオリバーの様に転移結晶で逃げられる前にジャンに切り掛かるが…
ガキン!!
「なにっ!」
ジャンと裕也、美久を包む様に展開された何かが村正の一刀を防いだ。それも魔を切り裂く魔断の一刀を防いだのだ。
「また会おうね亮太」
「佐伯、皆によろしく言っといてちょうだい」
パキンッ
その言葉を最後に2人はジャンと共に転移結晶の能力を発動して消えた。
「くそ…」
咲良はまんまと逃げられた事が悔しくて村正の柄をギュッと握りしめる。
「あの…咲良さん…」
椿が恐る恐る咲良に話しかける。
もし椿が余計な事をしなければ、裕也と美久が来る前にジャンを仕留められたはずだ。その事を理解しているようで、申し訳なさそうにしている。
「ふぅ…済んだ事だ。気にするな」
「しかし…」
「奴らとはいずれまた会う事になるだろう。その時に借りを返せ」
「はい!必ず!」
咲良はジャンや裕也達とまた会う事を確信していた。邪神の復活を目論む者とその抑止力となる者が相見えるのは必然だからだ。
「咲良さん。あの突然現れた者達と知り合いの様でしたね」
「同郷だ。まさか邪神教だとは思いもしなかったがな」
「あの消え方は転移で間違いないと思いますが…そんな魔道具は聞いた事ありませんよ」
「そりゃそうだろう。転移結晶を作るには魔紅晶と呼ばれる鉱石が必要だからな」
「魔紅晶?とても希少な鉱石という事ですか?」
椿は鍛冶師ではない。だが冒険者として様々な依頼を熟してきた。その中にはもちろん鉱石最終の依頼も含まれているので比較的鉱石には詳しい方だ。そんな椿でも魔紅晶は聞いた事が無かった。
「ある意味希少と言えるだろうな。何しろ魔紅晶は人工物だからな」
「なるほど。自然界に無いのなら聞いた事が無いのも頷けます。となると咲良さんは製造方法を知っているという事ですね?」
「興味あるのか?」
「もちろんです。あれが実用化されれば多くの命を救うことが出来ます」
「そうか…だが作る事は許されない」
「何故です?」
「もし…魔紅晶の素材が人間の心臓だとしたら?」
「…え?」
咲良の言葉を椿は直ぐに理解することが出来なかった。
椿は飛燕を刀身に留めたまま切りつける。
咄嗟の行動にしては理に適っている為威力はかなり上がったが、それでも決定打には欠ける。
その後も椿は怒涛の攻撃をジャンに仕掛けるがあまり効果は無い。それどころか魔臓薬を飲んでからかなりの時間が経過した為にジャンは溢れ出る魔力を徐々に制御出来るようになっていた。
その様子を咲良は厳しい眼で見つめていた。
椿の気持ちを咲良は理解できる。だが気持ちに流されてしまえば望まない結果になる事は充分にあり得るし、何より先ほどの覚悟は偽物だったのかと口には出さないが非難する。
(椿には悪いが奴は俺が殺す。邪神教など絶対に許さん)
そう決めて2人の元に歩き出したが、ふと違和感を覚えた咲良は足を止めた。
(なんだ?)
咲良はその違和感が何なのか分からなかった。
しかし良い予感はしないので、何かが起こる前に速めに決着を付けようと足を前に進めるが既に手遅れだった。
「ジャン!あんた遅いのよ!今日集会がある事忘れてたんじゃないでしょうね!」
「そう怒鳴らないであげなよ。どうやらお客さんの相手をしていたみたいだしね」
突然後方に現れた一組の男女がジャンに声を掛ける。
「うわ。魔臓薬飲んでるじゃない。バカじゃないの?」
「魔臓薬を飲んでも苦戦する相手を褒めるべきかな?」
「ちっ…お前らか」
ジャンの知り合いだと言うのは確定だが、その表情からはどこか怯えがある様に見て取れる。
そして咲良はその男女の顔を見て目を見開いた。
「…な…お前ら…」
「ん?あ…亮太だ」
「うそ、佐伯?本当に?」
その男女は咲良の良く知る人物だった。
彼らは東野裕也と上田美久。地球で大学に通っていた頃、陸、秀樹、穂花と共に仲良くしていた友人達だ。
咲良が感じ取った違和感は彼らの存在だったのだ。
「生きていたんだね。良かったよ」
「全く。佐伯は何時も心配ばかり掛けるわね」
裕也と美久は心の底から咲良が生きていた事を喜んだ。
「何故お前らが此処にいる…」
「こいつを迎えに来たのよ。いつも時間通りに来ないんだから。大学の頃の佐伯にそっくりよ」
「今、どうやって来た…」
2人は突然現れた。だが咲良は2人の足元に散らばるキラキラとした破片に見覚えがあった。
「それは転移結晶だな?」
「よく知ってるね。ん?というか何で亮太が此処にいるの?」
「佐伯がジャンの客だからじゃない。それぐらい分かるでしょ」
「あ、そっか。じゃあ亮太は敵って事だね」
「分かりきった事言わないで。私たちにとっては殆どの人間が敵なんだから」
「なにを…」
咲良は衝撃が大きすぎて言葉を紡げない。しかし幸か不幸か頭はしっかりと働いているので2人が邪神教だという事は嫌でも理解出来た。
「邪神がどんな存在か分かっているのか!?」
「もちろんだよ」
「それより早く戻るわよ。あの人に怒られるわ」
「それもそうだね。ジャン、行こうか」
「あぁ…」
「逃がすか!」
咲良はオリバーの様に転移結晶で逃げられる前にジャンに切り掛かるが…
ガキン!!
「なにっ!」
ジャンと裕也、美久を包む様に展開された何かが村正の一刀を防いだ。それも魔を切り裂く魔断の一刀を防いだのだ。
「また会おうね亮太」
「佐伯、皆によろしく言っといてちょうだい」
パキンッ
その言葉を最後に2人はジャンと共に転移結晶の能力を発動して消えた。
「くそ…」
咲良はまんまと逃げられた事が悔しくて村正の柄をギュッと握りしめる。
「あの…咲良さん…」
椿が恐る恐る咲良に話しかける。
もし椿が余計な事をしなければ、裕也と美久が来る前にジャンを仕留められたはずだ。その事を理解しているようで、申し訳なさそうにしている。
「ふぅ…済んだ事だ。気にするな」
「しかし…」
「奴らとはいずれまた会う事になるだろう。その時に借りを返せ」
「はい!必ず!」
咲良はジャンや裕也達とまた会う事を確信していた。邪神の復活を目論む者とその抑止力となる者が相見えるのは必然だからだ。
「咲良さん。あの突然現れた者達と知り合いの様でしたね」
「同郷だ。まさか邪神教だとは思いもしなかったがな」
「あの消え方は転移で間違いないと思いますが…そんな魔道具は聞いた事ありませんよ」
「そりゃそうだろう。転移結晶を作るには魔紅晶と呼ばれる鉱石が必要だからな」
「魔紅晶?とても希少な鉱石という事ですか?」
椿は鍛冶師ではない。だが冒険者として様々な依頼を熟してきた。その中にはもちろん鉱石最終の依頼も含まれているので比較的鉱石には詳しい方だ。そんな椿でも魔紅晶は聞いた事が無かった。
「ある意味希少と言えるだろうな。何しろ魔紅晶は人工物だからな」
「なるほど。自然界に無いのなら聞いた事が無いのも頷けます。となると咲良さんは製造方法を知っているという事ですね?」
「興味あるのか?」
「もちろんです。あれが実用化されれば多くの命を救うことが出来ます」
「そうか…だが作る事は許されない」
「何故です?」
「もし…魔紅晶の素材が人間の心臓だとしたら?」
「…え?」
咲良の言葉を椿は直ぐに理解することが出来なかった。
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