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第9章 派生流派と天乱四柱
邪神信者
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「これで俺は誰にも負けない力を得た!」
「それはどうかな?」
「なっ!」
ジャンの背後に現れた咲良が村正で切りつける。しかしジャンは直ぐに咲良から距離を取った。
「ちっ…その魔力が邪魔だな」
村正の一刀はジャンに傷を与えていなかった。
進行形でジャンの体から溢れ出ている魔力が壁となって村正の一刀を邪魔したのだ。
「はははっ!これは凄いな!」
ジャンは自身の魔力が膜の様に纏わりついて防御力を上げている事に気付いた様だ。
「これならどうです!」
今度は椿が暁月流弐ノ型 伸月を放つと、ジャンの胸元に命中して吹き飛んでいく。
「効いていると良いのですが…」
「ダメだな」
「え?」
咲良には刃が体まで届いておらず、伸月の伸びる勢いで吹き飛んだだけだと分かっていた。
それを証明するようにジャンは平然と立ち上がる。
「次はこっちの番だ!参ノ型 斬波!」
ジャンが刀を地面に突き刺すと2人の足元から無数の刃が襲い掛かる。その斬波は琴音と同等レベルまで昇華されていた。
2人は瞬時にその場を離れるが、魔力量に物を言わせて屋敷内全ての地面から斬波が生み出される。
その結果、咲良が気を失わせた盗賊共は皆串刺しとなって息絶えた。
「なんてことを…」
「お前の弟子だろう?巻き添えにするとは…屑だな」
空中に魔力の足場を作って逃れた2人は口々にジャンを非難する。
「知った事か。そいつらはただの捨て駒に過ぎない。代わりは幾らでもいる」
「ほぅ…妙な言い方をするな」
咲良はジャンの言葉に引っ掛かりを覚えた。
何の目的も無く盗賊団を結成しているのなら捨て駒とは言わない。何かしらの目的があるからこそ駒になるのだ。
つまりジャンが暁月流を名乗って盗賊行為をしていたのには理由がある。魔臓薬を持っていたことからオリバーと関わりがある可能性も否定出来ない。
「お前はオリバーを知っているか?」
「なに?オリバーだと…」
「知ってる顔だな」
「そうか…魔臓薬を知っている事からしてお前オリバーに会った事があるんだな」
やはり咲良の想像通りジャンはオリバーを知っていた。それもただの知り合いという訳では無さそうだ。
「何の話です?」
「後で話す。で、お前たちは一体何だ?」
「冥土の土産に教えてやる。俺たちは邪神教だ」
「邪神教?何ですそれは?」
「お前…………正気か?」
咲良は生存本能で勘が鋭くなっているので、ある程度は相手がどんな事を言うのか予想がつく。しかしジャンの言葉は予想外で動揺を隠せなかった。
「邪神がどんな存在か分かっているのか?」
「当然だ。俺たちは邪神を蘇らせる為に活動しているからな。そして世界を再び破滅させてやる」
「……なんだと…」
「この腐った世界を終わらせる。この手でな」
「ジャン…あなたは何を考えているのです?」
椿は邪神の事を知らない様だ。いくら特級冒険者といえ何千年も前の存在を知り得る術は殆どない。閲覧禁止書物になら載っているだろうが、そもそも邪神の存在を知らなければ調べようとすらしないだろう。むしろジャンが邪神について知っている方がおかしいのだ。
「椿、今は黙っていろ」
「しかし…」
反論しかけた椿であったが咲良の表情を見て思わず口を噤んだ。その表情は怒りに満たされており反論出来る余地は無かった。
咲良は嘗てない程怒っていた。
邪神と最も深く関わりのあるクロノスから直接事の顛末を聞いていたのでその恐ろしさも理解している。だからこそ世界の調停者を導く者として邪神教の存在を許す訳にはいかない。
「邪神は既に滅んだ。蘇らせるなど不可能だ」
「それはどうかな?邪神が1体とは限らないぞ?」
「まさか…新たな邪神を生み出すつもりか!?」
咲良は邪神が1体とは限らないという意見を真っ向から否定は出来なかった。
嘗て邪神となった神、そして世界の調停者を生み出した神、咲良が知っている限りで既に2体の神がいる。この2体の神が同一の神ならば話は変わってくるが、別個体なら他にも神がいる可能性は大いにある。
咲良はその可能性に気付いていなかった自分に腹が立つと同時に恐怖を感じた。何故なら唯一の対抗手段であるクロが幼い今、邪神が生まれれば間違いなくアスガルドは滅ぶからだ。いくら咲良でも邪神に勝てると言い切れるほど己惚れてはいない。
「邪神を蘇らせるなど絶対に許さん。椿の為にと手を抜いていたがもう止めだ」
咲良はジャンと対峙した当初から全力では無かった。魔臓薬によって増加した力を制御されると厄介なのに変わりはないが基本は椿の援護に徹し、とどめも椿にさせるつもりだった。
「……死ね」
咲良は魔力の足場から飛び降りるとアスガルドに来てから初めて本気の殺意を持ってジャンに切り掛かる。
「何度やっても同じ事だ!」
ジャンは魔力の防御力に自信があるのか避けようとすらしない。魔臓薬を飲む前のジャンなら決して取らなかった行動だ。
「…壱ノ型 魔断」
「ぐあぁぁ!!」
咲良の魔断はあっさりと魔力を切り裂いて、ジャンの右肩から脇腹にかけて刀の傷を刻み込んだ。
咄嗟に後方に逃れたジャンだが、片膝をついて傷口を手で押さえる。
「凄い…あの防御力を一瞬で無効にした」
空中から傍観していた椿は咲良の一刀に惚れ惚れする。
「な…なぜだ…」
魔力の防御があっさりと破られた事にジャンは驚愕を隠せない。
「お前の魔力など紙切れ同然だ」
暁流壱ノ型 魔断は魔力そのものを切り裂く型だ。他の型でも再現は可能だが魔断は魔力を切る事に特化しているので、ただ溢れ出るだけの魔力など魔断の前には意味を成さない。
「お前はもう終わりだ。眠れ…弐ノ型 飛翔」
「ふざけるなぁ!壱ノ型 飛燕!」
咲良の飛翔とジャンの飛燕がぶつかり合う。だが当然の事ながら本気を出した咲良の飛翔に叶うはずもなく、ジャンの飛燕はあっさりと押し負ける。
「まだだぁ!!」
ジャンは諦める事無く飛燕を放ち続ける。
「おおおぉぉぉ!!」
たった1つの飛翔に対してジャンは無数の飛燕を放つ事でようやく相殺出来た。
「はぁはぁはぁ…舐めるなよ!」
「よく頑張ったな。なら次だ」
咲良がまた飛翔を放とうとした時、2人の間に椿が割り込んで来た。
「…何のつもりだ…」
咲良はその行動に少し驚きつつも椿を睨みつける。
「待って下さい!私が…私が戦います!」
椿は咲良にそう叫ぶと反転してジャンに駆けて行った。
「それはどうかな?」
「なっ!」
ジャンの背後に現れた咲良が村正で切りつける。しかしジャンは直ぐに咲良から距離を取った。
「ちっ…その魔力が邪魔だな」
村正の一刀はジャンに傷を与えていなかった。
進行形でジャンの体から溢れ出ている魔力が壁となって村正の一刀を邪魔したのだ。
「はははっ!これは凄いな!」
ジャンは自身の魔力が膜の様に纏わりついて防御力を上げている事に気付いた様だ。
「これならどうです!」
今度は椿が暁月流弐ノ型 伸月を放つと、ジャンの胸元に命中して吹き飛んでいく。
「効いていると良いのですが…」
「ダメだな」
「え?」
咲良には刃が体まで届いておらず、伸月の伸びる勢いで吹き飛んだだけだと分かっていた。
それを証明するようにジャンは平然と立ち上がる。
「次はこっちの番だ!参ノ型 斬波!」
ジャンが刀を地面に突き刺すと2人の足元から無数の刃が襲い掛かる。その斬波は琴音と同等レベルまで昇華されていた。
2人は瞬時にその場を離れるが、魔力量に物を言わせて屋敷内全ての地面から斬波が生み出される。
その結果、咲良が気を失わせた盗賊共は皆串刺しとなって息絶えた。
「なんてことを…」
「お前の弟子だろう?巻き添えにするとは…屑だな」
空中に魔力の足場を作って逃れた2人は口々にジャンを非難する。
「知った事か。そいつらはただの捨て駒に過ぎない。代わりは幾らでもいる」
「ほぅ…妙な言い方をするな」
咲良はジャンの言葉に引っ掛かりを覚えた。
何の目的も無く盗賊団を結成しているのなら捨て駒とは言わない。何かしらの目的があるからこそ駒になるのだ。
つまりジャンが暁月流を名乗って盗賊行為をしていたのには理由がある。魔臓薬を持っていたことからオリバーと関わりがある可能性も否定出来ない。
「お前はオリバーを知っているか?」
「なに?オリバーだと…」
「知ってる顔だな」
「そうか…魔臓薬を知っている事からしてお前オリバーに会った事があるんだな」
やはり咲良の想像通りジャンはオリバーを知っていた。それもただの知り合いという訳では無さそうだ。
「何の話です?」
「後で話す。で、お前たちは一体何だ?」
「冥土の土産に教えてやる。俺たちは邪神教だ」
「邪神教?何ですそれは?」
「お前…………正気か?」
咲良は生存本能で勘が鋭くなっているので、ある程度は相手がどんな事を言うのか予想がつく。しかしジャンの言葉は予想外で動揺を隠せなかった。
「邪神がどんな存在か分かっているのか?」
「当然だ。俺たちは邪神を蘇らせる為に活動しているからな。そして世界を再び破滅させてやる」
「……なんだと…」
「この腐った世界を終わらせる。この手でな」
「ジャン…あなたは何を考えているのです?」
椿は邪神の事を知らない様だ。いくら特級冒険者といえ何千年も前の存在を知り得る術は殆どない。閲覧禁止書物になら載っているだろうが、そもそも邪神の存在を知らなければ調べようとすらしないだろう。むしろジャンが邪神について知っている方がおかしいのだ。
「椿、今は黙っていろ」
「しかし…」
反論しかけた椿であったが咲良の表情を見て思わず口を噤んだ。その表情は怒りに満たされており反論出来る余地は無かった。
咲良は嘗てない程怒っていた。
邪神と最も深く関わりのあるクロノスから直接事の顛末を聞いていたのでその恐ろしさも理解している。だからこそ世界の調停者を導く者として邪神教の存在を許す訳にはいかない。
「邪神は既に滅んだ。蘇らせるなど不可能だ」
「それはどうかな?邪神が1体とは限らないぞ?」
「まさか…新たな邪神を生み出すつもりか!?」
咲良は邪神が1体とは限らないという意見を真っ向から否定は出来なかった。
嘗て邪神となった神、そして世界の調停者を生み出した神、咲良が知っている限りで既に2体の神がいる。この2体の神が同一の神ならば話は変わってくるが、別個体なら他にも神がいる可能性は大いにある。
咲良はその可能性に気付いていなかった自分に腹が立つと同時に恐怖を感じた。何故なら唯一の対抗手段であるクロが幼い今、邪神が生まれれば間違いなくアスガルドは滅ぶからだ。いくら咲良でも邪神に勝てると言い切れるほど己惚れてはいない。
「邪神を蘇らせるなど絶対に許さん。椿の為にと手を抜いていたがもう止めだ」
咲良はジャンと対峙した当初から全力では無かった。魔臓薬によって増加した力を制御されると厄介なのに変わりはないが基本は椿の援護に徹し、とどめも椿にさせるつもりだった。
「……死ね」
咲良は魔力の足場から飛び降りるとアスガルドに来てから初めて本気の殺意を持ってジャンに切り掛かる。
「何度やっても同じ事だ!」
ジャンは魔力の防御力に自信があるのか避けようとすらしない。魔臓薬を飲む前のジャンなら決して取らなかった行動だ。
「…壱ノ型 魔断」
「ぐあぁぁ!!」
咲良の魔断はあっさりと魔力を切り裂いて、ジャンの右肩から脇腹にかけて刀の傷を刻み込んだ。
咄嗟に後方に逃れたジャンだが、片膝をついて傷口を手で押さえる。
「凄い…あの防御力を一瞬で無効にした」
空中から傍観していた椿は咲良の一刀に惚れ惚れする。
「な…なぜだ…」
魔力の防御があっさりと破られた事にジャンは驚愕を隠せない。
「お前の魔力など紙切れ同然だ」
暁流壱ノ型 魔断は魔力そのものを切り裂く型だ。他の型でも再現は可能だが魔断は魔力を切る事に特化しているので、ただ溢れ出るだけの魔力など魔断の前には意味を成さない。
「お前はもう終わりだ。眠れ…弐ノ型 飛翔」
「ふざけるなぁ!壱ノ型 飛燕!」
咲良の飛翔とジャンの飛燕がぶつかり合う。だが当然の事ながら本気を出した咲良の飛翔に叶うはずもなく、ジャンの飛燕はあっさりと押し負ける。
「まだだぁ!!」
ジャンは諦める事無く飛燕を放ち続ける。
「おおおぉぉぉ!!」
たった1つの飛翔に対してジャンは無数の飛燕を放つ事でようやく相殺出来た。
「はぁはぁはぁ…舐めるなよ!」
「よく頑張ったな。なら次だ」
咲良がまた飛翔を放とうとした時、2人の間に椿が割り込んで来た。
「…何のつもりだ…」
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※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
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