神の盤上〜異世界漫遊〜

第4章 鍛錬と鍛冶

雲泥ノ差

アスガルドと異世界人の事を聞いた後、クロノスが神妙な顔をしながら亮太に尋ねてくる。

『お主にひとつ提案があるのじゃが』

「ん？なんだ？」

『ここにしばらく住む気はないかの？』

「…ここに？」

亮太はいきなりの提案に驚いたが理由を尋ねた。

『お主と話すのが楽しくての。老いぼれの暇つぶし相手になってくれんかと思うての。他にも理由はあるが。それに…お主にとっても悪い話ではないはずじゃ』

「…まぁ確かに…」

亮太はここにいる事についてのメリットどデメリットを考えたがメリットしか浮かばなかった。
それもそのはず、鍛治師として多くのことを学ぶことができるし、自分を鍛える事に関しても強者中の強者であろうクロノスに教えを請うこともできるからだ。

（まぁ…急ぐ旅でもないし…ここで力を付けれるだけ付けるか）
「…なら…しばらくの間世話になる」

『そうかそうか…それは何よりじゃ！』

その日からクロノスから様々なことを学んだ。
主に鍛治師と戦闘面、そして医学だ。

クロノスの鍛治師としての腕前は度肝を抜かれた。
村正など足元にも及ばないような武具をクロノスはいとも簡単に作って見せた。
クロノスの技術は見ていても何をしているのか検討もつかない。亮太の鍛治師としての技術は地球で読んだ書籍が元になっている為、アスガルドの技術は一切知らない。恐らくクロノスの技術はアスガルドの技術を用いており、それを数百年鍛えたものだと考えれば、亮太が理解できるはずもない。
しかし鍛治師としての才能を持っている亮太からするととても面白かった。
カンッカンッカンッ、と鉄を打つクロノスの後ろ姿は神秘的でしばらく見とれてしまった。

鍛治師としても素晴らしかったが、クロノスの医師として様々な効果を持つ薬の精製も凄いものだった。
しかし一番驚いたのはクロノスの戦闘力だ。戦闘面では正直、面白いと感じる余裕はなく、かつて勝つ気でいた自分が恥ずかしくなるほどクロノスと亮太の実力は離れていた。
離れているという表現すら当てはまらないのではないかというほどだ。
比べることすらおこがましい、そう言ったレベルほど実力に差があった。

訓練として斬り合った時は軽く片手であしらわれてしまった。どんな手で挑んでも全てを読んでいるかの様に防がれてしまうのだ。

技術も力も読みも経験も何もかもが亮太のさらに上をいった。自分の実力がアスガルドではどれほどかはまだはっきりとは分からないが、それでも誰もクロノスには勝てないのではと思うほど強かった。

（竜のくせに人化しても強いとか反則じゃねぇか）

悪態をつく亮太だったが、クロノスと訓練することでレベルが上がったのは予想外だった。
ゲームなどのように、敵を倒さないとレベルが上がらないわけではないようだ。
さらに言えば、筋トレや模擬戦によってレベルだけでなくステータスも伸びる。簡単にいえば、筋トレをしまくればレベルは上がらなくても筋力値は上がるということだ。