神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第7章 弟子と神器回収

村人火葬

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村の中心では秀樹と穂花が生き残った村人を庇うように盗賊と対峙しているが、形勢はかなり不利に見える。

「もう諦めたらどうだ?ヒヒッ!」
「ギャハハ!そうそう!荷物全部置いてったら命だけは助けてやるぜー」

盗賊一人一人の実力は秀樹達とあまり変わりない。実力が拮抗した相手から村人を守りながら戦わなければならないが、人を殺す事を良しとしていない為、無駄に体力を消耗している。

「くそっ!俺たちは村人1人助けれないのか!」
「私達…ここで死ぬのかな…」

盗賊の後ろから1人の男が歩いてくる。咲良が感じた妙な気配を持つ男だ。

「おい!早くしろてめぇら!」
「お頭!今楽しいとこだったのに…仕方ねぇ…さっさと殺すか」
「ギャハハ…だなぁ」

2人の盗賊が秀樹と穂花に襲いかかる。
そのスピードは中々早く、体力を消耗している2人には反応するので精一杯のようだ。

「おらおらおらー!死ねぇ!」

1人の盗賊が穂花に何度も剣を振り下ろす。
穂花も必死に得物であるダガーで防ぐが、力負けしてしまい大きく仰け反った事で隙が生じる。

(あ、だめだ…防げない…)

穂花は目を閉じた。


(あれ?…衝撃が…来ない)

目を開けるとあるはずの盗賊の頭は無く、ボトリと頭が地面に落ちるところだった。

「……え?…」

盗賊の頭を落としたのはもちろん咲良だ。
暁流弐ノ型 飛翔で切り飛ばしたのだ。

咲良は次に秀樹が対峙している盗賊に向かって肆ノ型 鬼哭を繰り出し、心臓を貫いた。

「全く…無茶しやがって」

穂花と秀樹が振り返るとそこには咲良がいた。

「…どうして?」
「間に合って何よりだ」

そのまま咲良は残りの盗賊を片っ端から斬り伏せていく。

「さて…残りはお前か」

下っ端を全て倒すと、お頭と呼ばれていた男に向き直る。

「お前はなんだ…」
「ただの旅人だ…気にするな…」
「旅人ね……悪いが俺は引かせてもらうぞ」
「勝手にしろ」

お頭は森の奥へと消えて行った。
妙な気配を持っていたので今は深追いするべきでは無いと思い見逃した。

「おい!咲良!なんで殺した!?」
「そうだよ…助けてくれたのは感謝するけど…」
「そうか…なら次は助けない…勝手に死ね」
「なっ!!」
「ひどいよ…」

2人は怒りと悲しみが混じった複雑な顔を咲良に向ける。

「それに!…なんで今の男を逃した!?」
「なら追いかけたらどうだ?」
「ぐっ!」
「自分が出来ないことを他人に押し付けるな」

咲良はそう吐き捨てると治療した男の方へと向かった。

「終わったぞ」
「あ…あぁ…ありがとう」

結局助けることのできた村人は5人とごく僅かだった。

「ほんとにありがとう…村は壊滅だが5人だけでも生き残ることができた」

助けた男が咲良たちにお礼を言った。

「気にしないでください…助けられなかった人の方が多いですから」
「頭の男も逃してしまったしな」

秀樹は咲良を睨みながら答える。

「いや…助けてもらっただけで十分だ。それ以上は望まない。それに、彼がいなければ全員死んでいたしな」

男は咲良を見ながら答えた。

「これからどうするんだ?村はこんな状況だが」
「そうだな…コーチンに行ってなんとかするしかないな」
「そーか、なら一緒に来ると良い。街まで護衛する」
「いいのか?」
「助けるなら最後までしっかり助けてやるさ」
「あんた優しいんだな」

この男と喋ると王都のある男を思い出す。話し方もそっくりだ。

「うるせぇ…それに俺は咲良だ」
「そうか咲良か…俺はルーグだ。よろしくな」
「あぁ、なら旅の準備をしてくれ。まぁ荷物は荒らされているだろうが…」

咲良はそのまま村に転がったままの村人と盗賊の死体を布に包みながら一箇所に集め始めた。

「準備できたぞ」

丁度全ての死体を集め終えたところでルーグが秀樹と穂花を連れてやってきた。

「そうか。今から火葬する」
「盗賊と一緒に火葬するつもり!?」

生き残った村人の女性が険しい表情で咲良に突っかかる。

「その気持ちも分からないではないが、死んだら皆同じ命だ。そこに生前が善か悪などない」

そういうと焚き木を組んで火を起こす。

「言い残すことはあるか?」

村人に聞くと、ルーグが前に出て来る。

「じゃあ、村のみんな…捨て子だった俺をここまで育ててくれてありがとう。これからはみんなの分も必死に生きるよ…本当に…ほん…とうに……あり…が…とう……うっ」

咲良は泣き崩れるルーグを横目に火を付ける。
火は徐々に大きくなり村人と盗賊を天に召していく。

ルーグは涙を流しながらも、燃え尽きる最後まで目を離さなかった。

秀樹と穂花は自分の力の無さが悔しいのか血が出るほど拳を握りしめている。

「そろそろ行くか…ルーグ」
「あぁ…またせて済まない」
「気にするな…じゃあ出発するぞ。ルーグ達は真ん中を歩いてくれ。俺は後ろだ」
「わかった」

村人を入れて人数が9人となった一同は、コーチンに向けて出発する。
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