魔王の馬鹿息子(五歳)が魔法学校に入るそうです

何てかこうか?

文字の大きさ
6 / 45
オリギナ魔法学校

第六話 親に直談判

しおりを挟む
「で? この私にたってのお願いってのは何だ?」
「お、俺……ぼ、僕をオリギナ魔法学校に推薦して下さい。お母様」

 この俺が緊張で震えながら母の前に立っている。母の名前はシヲウル。文字通りの”死を売る”大魔王だ。機嫌を損ねただけで尻叩き百発は軽い。しかしそれでも学校に入ってみたかったのだ。
 魔界に戻った後、すぐさま母の部屋に直行した。部屋で椅子に座ったままの母に向かって直立不動で直談判しているのだ。

「何でだ?」
「ぼ、僕は学校に入学して――」
「お前の入学目的じゃ無い。私がお前を推薦する理由だ。なぜ私がお前の入学を推薦しなくてはならない?」
「お、お母様は、昔ジブリルを推薦したって聞いたことがあって、そ、それで僕を推薦してくれたらと思って」

 母が片眉を上げる。それだけで背中に滝のような汗を掻く。だがこの緊張と引き替えても入学してみたい。

「ジブリルは優秀だった。この魔界で最高レベルの部類に入る。お前の乳母を務めたぐらいだからな。対してお前は? 自分で自分の面倒をみきれない様な、極低レベルを推薦するのか? 私が推薦しなくてはならないのか? よく考えてからおねだりしろ」
「お、俺はジブリルより! 僕はジブリルより才能があると思う」

 最後の方は消え入りそうな声になってしまった。母がこっちをにらみつけてくるからだ。視線すら外してしまった。

「お前の言っている才能は攻撃だけだろう? ジブリルは特別製だ。純粋培養の天使だからな。闘争本能がほぼ皆無、攻撃能力を行使することが出来ない。問題は起こされても、ジブリル自身が起こさない保証があったんだ。お前にそれは無い」
「や、約束します。絶対に問題は起こしません」

 母がため息をついた。なにやら考えているようだ。これを邪魔してはならない。お願いの連呼も感情の爆発もやってはならない。
 深呼吸して、いくらでも待ってやる。
 まっすぐ見た母の顔と視線が重なった。こいつ悩む素振りをして俺の態度を見ていたのか! 相手の態度で一気にざわつく気持ちを深く息を吐いて落ち着かせる。
 ……どうだ! 俺は挑発にだって耐えられるんだぞ!
 俺が待つ態度を変えないことを悟った母が言葉を切り出す。

「……お前は手加減を覚えたな?」
「はい、もちろんです!」
「……他のおねだりは無いか?」
「ありません!」
「……いいだろう。推薦してやる。但し、お前が問題を起こした場合は即、連れ戻す。殴り飛ばしてでもな。いいな?」
「わかっております!」

 俺は自分で顔が笑みくずれるのを止められない。見ていろシュンカ、一撃必殺、魔王の推薦状を見せてやる!
 俺は大魔王の作ったゲートをくぐっていく。ふ、ふはははは、笑いが止まらない。これで俺は晴れてオリギナ魔法学校の生徒になるのだ!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

蛮族女王の娘《プリンセス》 第3部【王国編】(完結編)

枕崎 純之助
ファンタジー
王国に囚われた弟を救い出すため、ダニアの金の女王ブリジットの娘であるプリシラがついに王国に乗り込む。 一方、姉である銀の女王クローディアに恨みを募らせる王国軍のチェルシーは、かつて自分を捨てた姉に復讐するため修羅の道を突き進む。 金と銀の女王の血を引く2人の少女が、戦乱の大陸を舞台に激突! 戦いの果てに果たされるのは弟の奪還か、あるいは復讐の成就か。 2人の少女の意地と誇りがぶつかり合うファンタジー大河ドラマ。 今……最終章の幕が開く。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です1~またクビになったけど、親代わりのメイドが慰めてくれるので悲しくなんてない!!~

あきくん☆ひろくん
ファンタジー
仕事を失い、居場所をなくした青年。 彼に仕えるのは――世界を救った英雄たちだった。 剣も魔法も得意ではない主人公は、 最強のメイドたちに守られながら生きている。 だが彼自身は、 「守られるだけの存在」でいることを良しとしなかった。 自分にできることは何か。 この世界で、どう生きていくべきか。 最強の力を持つ者たちと、 何者でもない一人の青年。 その主従関係は、やがて世界の歪みと過去へと繋がっていく。 本作は、 圧倒的な安心感のある日常パートと、 必要なときには本格的に描かれる戦い、 そして「守られる側の成長」を軸にした 完結済み長編ファンタジーです。 シリーズ作品の一編ですが、本作単体でもお楽しみいただけます。 最後まで安心して、一気読みしていただければ幸いです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...