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オリギナ魔法学校
第十三話 始業前
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しばらく待つついでに部屋の机にある本を取り上げる。
ぺらぺらとめくってみる……おい、絵がひとっつもないぞ? 慌てて最初のページから見直す。俺の知っている本と違う!
ようやく見つけた絵はデフォルメされたものではなく、正しい比率で人間がかかれた絵だった。……こんな絵は俺の好みではない。そして内容も実用一辺倒の構えと実益しか語られていない。
別の本を取る。オリギナ文学……こいつも挿絵が少ない。そして内容はさっきの本よりも薄い。文字ばっかりで正直読む気がしない。
数学……算数の間違いだろう? 中には見たことのない記号がずらりと並ぶ。割り算まではわかるがそれ以上のことがかかれている。
腕組みして本を見る。本を閉じて、開いても内容は変わらない。俺の知っている本はもっと明るい色でカラフルでカッコよく大魔王が活躍するお話だった。
ぎゅっと握りこぶしを作って腕をふるえば空が裂け、大地が割れる。魔力は暴風だって、地獄の業火だって作り出せる。そう書いてあったし、そうできた。
俺は絵本で魔法を覚えたのだ。大体、絵にかいてあったことを真似したらできたし、それ以上のことは考えたこともなかった。
クラウディアの本には絵がなく、どうでもいいことが長々と書いてある。意識を炎に集中するための呼吸方法なんて考えたこともない。というかそんなことが魔法に必要だなんて初めて知ったぞ?
しばらく本を読みふける。ダメだ。人間のやっていることが理解できない。炎の魔法だけで十ページ以上!? こんなもの俺からすれば、ただ威力が違うだけだ。超初級の種火“ファイ”、中級の火炎“バーストファイア”などと書いてある。だけどこれを区別する必要を俺は感じない。
「……何を読んでいるの?」
「お前の教科書だ。意味がさっぱり分からない。なあ、これ呼吸とか本当に大事なのか? 威力で魔法を分ける必要があるのか?」
「呼吸も大事、威力で分ける必要もあるんだよ。みんなで力を合わせる時にはね」
「? そうなのか?」
「そうだよ。みんなバラバラに違う魔法をとなえたら威力が重ならないでしょう?」
「みんなで、か……」
全く分からない。俺は一人で凡人数千人分の魔法を唱えることができる。息を合わせる方法を俺は身につけなくてもいいかもしれない。俺に興味があるのは四種同時魔法とか、防御能力を無視する攻撃方法だ。俺はそっちを身につけたい。どの道、今日の授業を見ればそれがわかるはずだ。
気を取り直して学校に行く準備をしよう。
「……朝飯にするぞ」
「そうだね」
二人で共同炊事場に行って、パンとスープを作って食事をとる。俺がいたせいでほかの連中が何かざわついていたが、クラウディアの態度がいつも通りだったので大きな騒ぎにならなかった。
「相変わらず、料理はうまいな」
「まあ、ここにいればねぇ。そういえば食堂使ったんでしょ? なんとなくわかるんじゃないかな」
「ああ、わかる。食堂は安い、ボリュームもある。だが致命的に旨さが足らない。うまいもの食いたければ自分で努力するしかないよな」
クラウディアが頷いている。
さて、食器は自分で洗って元に戻しておくか。ひょいひょいと洗って元の棚に戻す。そのあとはクラウディアの部屋に戻った。
「さあ、今日の授業の準備しなくちゃ」
「何を用意するんだ?」
「ん~、時間割だと、歴史、数学、体術訓練、魔道学かな」
「歴史ってこの国の歴史の話か」
「その通りだよ。自分の国で他国の歴史はやらないと思うよ」
俺の感情は複雑だ。クラウディアの言う通りなのだが、オリギナの歴史には全く興味がない。ただこの学校に入るなら身につけないといけない知識のようだ。
「そう難しいことは考えないで、まずは見てみたいんでしょ?」
「そう、そうだな。まずは見てみないことには始まらん。この学校の実力を見せてもらおうか」
クラウディアの準備を見届け、二人で女子寮を抜ける。校舎に入り教室に入っていく。
前回ただ通り過ぎただけの教室は前方中央に黒板とでかい机があって、それに対向する形で階段状に生徒用の長机が配置されている。
この場合一番見やすいのは一番奥の高い位置にある机だろう。ふわっと浮いて一番奥の席に陣取る。
椅子に深く沈む。席が体に合わない。~~っ、こんなくだらないこともあるとは……よく覚えておかないと俺が大変なことになる。
隣にクラウディアが座る。
「一応今日はサポートするから、わからないことがあったら聞いて」
「多分わからないことだらけだぞ」
「私だって最初はそうだったよ」
フン、と鼻を鳴らして、始業を待つ。
「あとどのくらいで授業が始まるんだ?」
「一時間ぐらいだね」
「な、なんでそんなに早く来た!?」
「君だって一番最後に入ってみんなに一斉に驚かれるのいやでしょ? 一人ひとり慣れた方がいいと思ってね。早く来たの」
それはその通りなのだが、一時間も早く来るのか。そう思っているとクラウディアは最初の授業の準備をしている。おいおい、いくら何でも早すぎだろう?
「それにね、すこしオリギナについても勉強してもらわないとね」
ぺらぺらとめくってみる……おい、絵がひとっつもないぞ? 慌てて最初のページから見直す。俺の知っている本と違う!
ようやく見つけた絵はデフォルメされたものではなく、正しい比率で人間がかかれた絵だった。……こんな絵は俺の好みではない。そして内容も実用一辺倒の構えと実益しか語られていない。
別の本を取る。オリギナ文学……こいつも挿絵が少ない。そして内容はさっきの本よりも薄い。文字ばっかりで正直読む気がしない。
数学……算数の間違いだろう? 中には見たことのない記号がずらりと並ぶ。割り算まではわかるがそれ以上のことがかかれている。
腕組みして本を見る。本を閉じて、開いても内容は変わらない。俺の知っている本はもっと明るい色でカラフルでカッコよく大魔王が活躍するお話だった。
ぎゅっと握りこぶしを作って腕をふるえば空が裂け、大地が割れる。魔力は暴風だって、地獄の業火だって作り出せる。そう書いてあったし、そうできた。
俺は絵本で魔法を覚えたのだ。大体、絵にかいてあったことを真似したらできたし、それ以上のことは考えたこともなかった。
クラウディアの本には絵がなく、どうでもいいことが長々と書いてある。意識を炎に集中するための呼吸方法なんて考えたこともない。というかそんなことが魔法に必要だなんて初めて知ったぞ?
しばらく本を読みふける。ダメだ。人間のやっていることが理解できない。炎の魔法だけで十ページ以上!? こんなもの俺からすれば、ただ威力が違うだけだ。超初級の種火“ファイ”、中級の火炎“バーストファイア”などと書いてある。だけどこれを区別する必要を俺は感じない。
「……何を読んでいるの?」
「お前の教科書だ。意味がさっぱり分からない。なあ、これ呼吸とか本当に大事なのか? 威力で魔法を分ける必要があるのか?」
「呼吸も大事、威力で分ける必要もあるんだよ。みんなで力を合わせる時にはね」
「? そうなのか?」
「そうだよ。みんなバラバラに違う魔法をとなえたら威力が重ならないでしょう?」
「みんなで、か……」
全く分からない。俺は一人で凡人数千人分の魔法を唱えることができる。息を合わせる方法を俺は身につけなくてもいいかもしれない。俺に興味があるのは四種同時魔法とか、防御能力を無視する攻撃方法だ。俺はそっちを身につけたい。どの道、今日の授業を見ればそれがわかるはずだ。
気を取り直して学校に行く準備をしよう。
「……朝飯にするぞ」
「そうだね」
二人で共同炊事場に行って、パンとスープを作って食事をとる。俺がいたせいでほかの連中が何かざわついていたが、クラウディアの態度がいつも通りだったので大きな騒ぎにならなかった。
「相変わらず、料理はうまいな」
「まあ、ここにいればねぇ。そういえば食堂使ったんでしょ? なんとなくわかるんじゃないかな」
「ああ、わかる。食堂は安い、ボリュームもある。だが致命的に旨さが足らない。うまいもの食いたければ自分で努力するしかないよな」
クラウディアが頷いている。
さて、食器は自分で洗って元に戻しておくか。ひょいひょいと洗って元の棚に戻す。そのあとはクラウディアの部屋に戻った。
「さあ、今日の授業の準備しなくちゃ」
「何を用意するんだ?」
「ん~、時間割だと、歴史、数学、体術訓練、魔道学かな」
「歴史ってこの国の歴史の話か」
「その通りだよ。自分の国で他国の歴史はやらないと思うよ」
俺の感情は複雑だ。クラウディアの言う通りなのだが、オリギナの歴史には全く興味がない。ただこの学校に入るなら身につけないといけない知識のようだ。
「そう難しいことは考えないで、まずは見てみたいんでしょ?」
「そう、そうだな。まずは見てみないことには始まらん。この学校の実力を見せてもらおうか」
クラウディアの準備を見届け、二人で女子寮を抜ける。校舎に入り教室に入っていく。
前回ただ通り過ぎただけの教室は前方中央に黒板とでかい机があって、それに対向する形で階段状に生徒用の長机が配置されている。
この場合一番見やすいのは一番奥の高い位置にある机だろう。ふわっと浮いて一番奥の席に陣取る。
椅子に深く沈む。席が体に合わない。~~っ、こんなくだらないこともあるとは……よく覚えておかないと俺が大変なことになる。
隣にクラウディアが座る。
「一応今日はサポートするから、わからないことがあったら聞いて」
「多分わからないことだらけだぞ」
「私だって最初はそうだったよ」
フン、と鼻を鳴らして、始業を待つ。
「あとどのくらいで授業が始まるんだ?」
「一時間ぐらいだね」
「な、なんでそんなに早く来た!?」
「君だって一番最後に入ってみんなに一斉に驚かれるのいやでしょ? 一人ひとり慣れた方がいいと思ってね。早く来たの」
それはその通りなのだが、一時間も早く来るのか。そう思っているとクラウディアは最初の授業の準備をしている。おいおい、いくら何でも早すぎだろう?
「それにね、すこしオリギナについても勉強してもらわないとね」
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