12 / 45
オリギナ魔法学校
第十二話 軽快な朝
しおりを挟む
朝の鐘の音が聞こえた。
目をパチッと開く。フフン、なかなか快調な出だしだ。
体を起こす。
横にいるクラウディアの肩を揺すってやる。素晴らしい朝が来たのだ。
クラウディアは眠そうな目をこすりながらも体を起こす。
「おはようだな!」
「……おはよう」
クラウディアの顔に隈が見える。ふふん、昨日頑張りすぎるからこうなるのだ。適度に動いて適切に寝る。ははは、こんなことができない奴だったか。勝ったな。前は食事で負けたが、睡眠なら俺の勝ちだ。
寝て起きて快勝。素晴らしい出だしだ。
「……ちょっとシャワー浴びてくる」
この一言を鷹揚に頷いて許可する。
寝癖を伸ばしながらクラウディアが共用水場に出かけていった。俺も軽めに入浴しよう。
俺が向かったのは洗濯用の井戸だ。
バケツ三杯分ぐらいの水を魔法でくみ上げて、空中でボール状に固定し指先をつけて突沸させる。なあに、俺の魔力なら朝飯前の簡単な魔法だ。そのあと、適当に冷まして服を脱いで水のボールに飛び込んだ。
魔法でぐるぐる水を回転させる。時々潜って全身を丸洗いだ。五分あれば全身洗えるぞ。
この後、ボールから抜け出して服を突っ込む。同じ様にぐるぐると水を掻きまわして、仕上げに水をすべて蒸発させて洗濯も終了だ。
洗いたての服を着こんで準備を完了する。
俺の行動が終わるのを待っていたかのように声がかかる。
「見事ですね」
「……シュンカか? 覗きは良くないぞ。いくら俺に魅力があってもだ」
「そうはおっしゃっても、……流石に女子寮の井戸前でやる事ではありませんが?」
「そうなのか? どこにも禁止なんて書いてなかったぞ。それに洗う物はこの井戸でと書いてあったぞ」
「……こちらの不注意でした。体は”洗う物”でしたね」
「だろう?」
俺はシュンカを納得させて頷いている。そう、俺は常に正しいのだ。
「……常識か……あのクラウディアが苦労したわけです」
小言と一緒にシュンカがため息ついて頭を抑えている。
舌打ちしてシュンカをにらみつける。そしてシュンカに見せつけるようにあからさまに耳をいじる。
「おい、小言のつもりなら聞こえないようにいえよ。俺の耳はいいんだぞ? あと、言葉には注意しろ! お前は女だから許してやるが男なら張り倒してたぞ」
「ええ、失礼しました」
鼻息荒くなるべく胸を張って偉さを醸し出す。
シュンカを相手に、この学校の一番の権力者相手にふんぞり返る。
とっ、ちょっと待て、そういえば、なんでこいつはここにいるんだ?
「そういえば何の用だ? お前には学校があるだろう?」
「ああ、そうですね。貴方の技術に見とれてしまったもので……用事としては昨日の魔力結晶のつくり方を教えていただけないかと思いましてね」
頭を掻く。魔力結晶のつくり方ならあとでもいいんじゃないか?
「そんなことなら、後にし――」
「待てませんね。私は今すぐ知りたい。私は魔法に魅せられたのですよ。人生を狂わされたと言っていい。昨日は一時的な感情でチャンスを逃してしまったけれど。機会は自分の手で手繰り寄せるもの。逃がしませんよ」
シュンカの目に狂気が見える。
ふふふ、流石に魔法学校の校長だ。俺も少し緊張する。俺自身がこいつの狂気に脅威を感じているのがはっきりわかる。
「作り方だけだからな」と念を押して両手を出せと命令する。
「いいか、つくり方は簡単だ。小さく強く一気にだ」
シュンカの両手を俺の両手で包む。俺の魔力がシュンカの手を通過して手の平で作った空間に集積される。こうすればどのぐらいの魔力をどんな強さで流すのかがわかるはずだ。
「小さい火の玉をイメージしろ。火の魔法が成り立つギリギリぐらいの奴だ」
「火ですか? 純粋に魔力だけを取り出すのかと思っていました」
「別に電撃でもいい。小さく、強く、勢いよくだ。作ったな? これからは少し痛いぞ」
警告してから一気に魔力を大量に流す。昨日の魔力風を手の平だけで出しているようなものだが、シュンカは動じない。こういうところは流石に魔法学校の校長だな。
魔力は小さい火の玉に集中し燃え上がるより早く透明な結晶の様に固まる。最終的に親指ぐらいの水晶の塊みたいなのが出来上がった。
これでシュンカの顔を見る。シュンカは驚いていたがすぐに恍惚の表情に変わった。
「わかったな?」
「わかりました。と、言いたいですが、私が作れるようになるまで教えてくれませんか?」
「そこまでは責任持てないぞ。大体、魔力の総量は個人差があるしな」
俺は出来上がった魔力結晶を見る。まあ大体これで俺の魔力量の二十分の一ぐらいか、人間なら凡人数百人分ぐらいの魔力に相当する。如何に魔法の技量があろうとも絶対的な魔力量がなければ作れない代物だ。
あらためてシュンカを見る。……人間なら規格外の才能だろう。
「まあ、おまえなら作れるんじゃないか? 指先ぐらいの大きさならお前でもできるだろ」
「練習しておきます」
俺はそのままシュンカを置いてクラウディアの部屋に戻る。クラウディアはまだ戻っていない。
目をパチッと開く。フフン、なかなか快調な出だしだ。
体を起こす。
横にいるクラウディアの肩を揺すってやる。素晴らしい朝が来たのだ。
クラウディアは眠そうな目をこすりながらも体を起こす。
「おはようだな!」
「……おはよう」
クラウディアの顔に隈が見える。ふふん、昨日頑張りすぎるからこうなるのだ。適度に動いて適切に寝る。ははは、こんなことができない奴だったか。勝ったな。前は食事で負けたが、睡眠なら俺の勝ちだ。
寝て起きて快勝。素晴らしい出だしだ。
「……ちょっとシャワー浴びてくる」
この一言を鷹揚に頷いて許可する。
寝癖を伸ばしながらクラウディアが共用水場に出かけていった。俺も軽めに入浴しよう。
俺が向かったのは洗濯用の井戸だ。
バケツ三杯分ぐらいの水を魔法でくみ上げて、空中でボール状に固定し指先をつけて突沸させる。なあに、俺の魔力なら朝飯前の簡単な魔法だ。そのあと、適当に冷まして服を脱いで水のボールに飛び込んだ。
魔法でぐるぐる水を回転させる。時々潜って全身を丸洗いだ。五分あれば全身洗えるぞ。
この後、ボールから抜け出して服を突っ込む。同じ様にぐるぐると水を掻きまわして、仕上げに水をすべて蒸発させて洗濯も終了だ。
洗いたての服を着こんで準備を完了する。
俺の行動が終わるのを待っていたかのように声がかかる。
「見事ですね」
「……シュンカか? 覗きは良くないぞ。いくら俺に魅力があってもだ」
「そうはおっしゃっても、……流石に女子寮の井戸前でやる事ではありませんが?」
「そうなのか? どこにも禁止なんて書いてなかったぞ。それに洗う物はこの井戸でと書いてあったぞ」
「……こちらの不注意でした。体は”洗う物”でしたね」
「だろう?」
俺はシュンカを納得させて頷いている。そう、俺は常に正しいのだ。
「……常識か……あのクラウディアが苦労したわけです」
小言と一緒にシュンカがため息ついて頭を抑えている。
舌打ちしてシュンカをにらみつける。そしてシュンカに見せつけるようにあからさまに耳をいじる。
「おい、小言のつもりなら聞こえないようにいえよ。俺の耳はいいんだぞ? あと、言葉には注意しろ! お前は女だから許してやるが男なら張り倒してたぞ」
「ええ、失礼しました」
鼻息荒くなるべく胸を張って偉さを醸し出す。
シュンカを相手に、この学校の一番の権力者相手にふんぞり返る。
とっ、ちょっと待て、そういえば、なんでこいつはここにいるんだ?
「そういえば何の用だ? お前には学校があるだろう?」
「ああ、そうですね。貴方の技術に見とれてしまったもので……用事としては昨日の魔力結晶のつくり方を教えていただけないかと思いましてね」
頭を掻く。魔力結晶のつくり方ならあとでもいいんじゃないか?
「そんなことなら、後にし――」
「待てませんね。私は今すぐ知りたい。私は魔法に魅せられたのですよ。人生を狂わされたと言っていい。昨日は一時的な感情でチャンスを逃してしまったけれど。機会は自分の手で手繰り寄せるもの。逃がしませんよ」
シュンカの目に狂気が見える。
ふふふ、流石に魔法学校の校長だ。俺も少し緊張する。俺自身がこいつの狂気に脅威を感じているのがはっきりわかる。
「作り方だけだからな」と念を押して両手を出せと命令する。
「いいか、つくり方は簡単だ。小さく強く一気にだ」
シュンカの両手を俺の両手で包む。俺の魔力がシュンカの手を通過して手の平で作った空間に集積される。こうすればどのぐらいの魔力をどんな強さで流すのかがわかるはずだ。
「小さい火の玉をイメージしろ。火の魔法が成り立つギリギリぐらいの奴だ」
「火ですか? 純粋に魔力だけを取り出すのかと思っていました」
「別に電撃でもいい。小さく、強く、勢いよくだ。作ったな? これからは少し痛いぞ」
警告してから一気に魔力を大量に流す。昨日の魔力風を手の平だけで出しているようなものだが、シュンカは動じない。こういうところは流石に魔法学校の校長だな。
魔力は小さい火の玉に集中し燃え上がるより早く透明な結晶の様に固まる。最終的に親指ぐらいの水晶の塊みたいなのが出来上がった。
これでシュンカの顔を見る。シュンカは驚いていたがすぐに恍惚の表情に変わった。
「わかったな?」
「わかりました。と、言いたいですが、私が作れるようになるまで教えてくれませんか?」
「そこまでは責任持てないぞ。大体、魔力の総量は個人差があるしな」
俺は出来上がった魔力結晶を見る。まあ大体これで俺の魔力量の二十分の一ぐらいか、人間なら凡人数百人分ぐらいの魔力に相当する。如何に魔法の技量があろうとも絶対的な魔力量がなければ作れない代物だ。
あらためてシュンカを見る。……人間なら規格外の才能だろう。
「まあ、おまえなら作れるんじゃないか? 指先ぐらいの大きさならお前でもできるだろ」
「練習しておきます」
俺はそのままシュンカを置いてクラウディアの部屋に戻る。クラウディアはまだ戻っていない。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ライフ・サンクチュアリ ~追放された回復術師の第二の人生~
都一
ファンタジー
回復魔法使いアシュ・ルーンフォードは、英雄パーティ、アジュールブレイドを追放された。
彼の回復魔法は強力すぎるがゆえに魔力制御ができず、戦闘中に倒れてしまう——回復役として致命的な欠陥を抱えていたからだ。「安定した回復役の方が役に立つ」。冷酷な言葉と共に、仲間を、居場所を失った。
辺境の町エルムヘイヴンに流れ着いたアシュは、廃墟となった古いギルドを拠点に、小さなギルド「ライフ・サンクチュアリ」を立ち上げる。剣士ミラ、孤児のエリーゼ、騎士オズワルドやレオナルド——新たな仲間たちと共に、地道に依頼をこなしながら、もう一度やり直そうとしていた。
しかし、アシュの平穏な日々は突如として終わりを告げる。
胸に浮かび上がる黒い痣。それは、300年前に存在した「神官王」の力が目覚めた証だった。自らの回復魔法「ライフ・サンクチュアリ」——それは単なる回復魔法ではなく、生命そのものを操る神官王の遺産だった。なぜアシュがこの力を使えるのか? 彼の出自に隠された秘密とは?
そして、その力を狙う謎の組織「ヴォイド」が暗躍を始める。次々と襲いかかる刺客、仲間の裏切り、明かされていく衝撃の真実——。
使えば使うほど命を削る、諸刃の剣。それでも、アシュは仲間を守るために戦い続ける。
追放から始まった第二の人生は、やがて世界の運命を左右する戦いへと繋がっていく——。
辺境の小さなギルドから始まる、命を賭した希望と絆の物語。果たしてアシュは、仲間たちと共に未来を掴むことができるのか?
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる