18 / 64
17.隣りに立つために(後編)
しおりを挟む
ーーーゴーン!
訓練場にゴングが響き、騎士たちの掛け声が一斉に上がる。
打ち込み訓練が始まった。
俺の相手は、細身ながらも俺より一回り大きな男だ。
その手に握られた木剣が、唸りを上げて振り下ろされる。
「くそっ、どこにそんな力があるんだよ!」
俺は握りしめた木剣で受け止めて、体を捻ってなんとか躱した。
最初のうちは、まだ動けた。
フィンと訓練を重ねてきたおかげで、相手の剣筋を読む感覚が身体に染みついている。
「シュッ!」という音に合わせて頭を下げて剣を躱し、相手の空いたわき腹へ突きを放つ。
だが、相手はすぐさま盾で受け止めた。
俺は、両手で剣を握っているから、盾は使えない。
その分、速さで勝負するしかない。
すぐに剣を引き、今度は足元を狙う。
相手の「チッ」と舌打ちする音が聞こえた。
(俺、初めてなのに結構やれてる!)
なんて調子に乗った、その瞬間。
ガチャッ、と音がして、ぐらついていた腕当てが外れた。
「しまった!」
動揺した俺に、相手にが反応する。
次の瞬間、相手の木剣が大きく振り下ろされ、空を切り裂く音が響いた。
訓練場の空気が一瞬で張り詰めた。
「や、やばい!」
心臓の鼓動が耳の奥で鳴り響く。
顔は兜で守られているのに、俺は反射的に腕を顔の前に出してしまった。
相手も慌てて剣を止めようとしたが、勢いは止まらない。
(やばい、これ絶対骨折する!)
身体が固まって動けない。
目をつぶった、その刹那ーー。
ガンッ!!
鋭く響く音。
目を開けると、俺の前に金色の髪が飛び込んできた。
フィンだ。
彼の剣が相手の木剣を弾き飛ばし、訓練場の地面に「ドン!」と突き刺さる。
「馬鹿野郎!」
フィンの声が、まるで雷のように訓練場に響いた。
「エリゼオ! こんなことして、死にたいのか!?」
兜の隙間から見えるフィンの手が、震えていた。
いつも穏やかな彼の瞳が、今は怒りと恐怖で燃えている。
「エリゼオの実力で打ち込み訓練なんて……自殺行為だ! もしお前が傷ついていたら、俺は、俺は……」
フィンの言葉が震え、掠れて消えた。
その続きが、痛いほど分かってしまう。
俺が傷つくのが、怖かったんだ。
「……ごめんなさい」
涙が兜の中で溢れ、視界がぼやける。
泣くなと思っても、止まらなかった。
「フィンを助けるために……頑張ろうと思ったのに……結局、迷惑かけて……。ほんと、ごめんな」
俺はうつむいて謝るしかできなかった。
フィンの手がまだ震えていた。
フィンは俺の顔を見なくても、最初から俺だって分かってくれていたんだ。
俺だと気づいて、鎧も着けずに俺の所へ来てくれた。
それこそ、フィンの方が危ない。
それでも、俺を助けようと俺の前に立ってくれた。
俺は、フィンを守りたかっただけなのに。
それなのに、逆に俺は、フィンを危険に巻き込んだ。
(やっぱり、俺ってダメダメだな……)
そんな俺を見つめていたフィンは、しばらく黙り込んでから、掠れる声で言った。
「……エリゼオ。私のわがままで、君を無理に騎士団に入れた。
こんな危険な目に合わせて、悪かった。
もう、ここには来なくていい」
「え……?」
なんだよ。
俺が勝手に危険なことしたのに。
なんでお前が謝るんだよ。
悪いのは俺なのに。
でも、何も言えなかった。
胸が痛くて、ただ頷くことしかできなかった。
その日のうちに、俺は騎士見習いの身分を返上した。
俺の暴走で、みんなに迷惑かけたんだから、仕方ないんだ。
「お世話になりました」
帰り際、みんなに頭を下げた。
すると、意外なほど多くの声が返ってきた。
「元気でな」
「お前、厳しい基礎練を嫌がらずに頑張ってたから、応援してたんだけどな」
「また遊びに来いよ!」
俺、一人で頑張ってたつもりだったけど、ちゃんと見てくれてたんだ。
今更気づくなんて、遅いよな。
胸の奥がジンと熱くなった。
カリオが俺の手を取って握手する。
「騎士をやめても、俺たちは友達だからな。また会おう」
カリオは俺の手をギュッと握る。
俺は、泣きそうになりながらも笑って見せた。
「ありがとな。俺、カリオと友達になれてほんとに良かったよ。
カリオ、無茶して辞めることになった俺が言うのもおかしいけど、怪我だけは気をつけろよ」
俺の言葉にカリオは少しだけ眉を寄せて、でも力強く頷いた。
それから俺は、みんなに見送られながら騎士団を後にしてサーラと馬車に乗ったんだ。
俺は、少しずつ遠ざかる王城を見上げる。
どんなに離れても、王城は大きいままで、俺はなんだか胸が詰まった。
俺は、なんてことないふりをして、サーラに話しかける。
「サーラ……俺、もう騎士訓練には行けなくなったよ」
「何故ですの?」
サーラは小首をかしげたが、泣きそうな俺の顔を見て、何も言わずにそっと俺の頭を撫でてくれた。
これじゃ、どっちが年上なんだか分からないよな。
サーラの手の温もりに涙が溢れ出す。
「ありがと……」
小さく笑みを作っても、もう涙は止まらなかった。
騎士見習いになってから、たくさんフィンには世話になった。
フィンは忙しい中でも、俺の訓練に付き合ってくれたし、俺のレベルに合わせた訓練メニューを組んでくれた。
少しずつ成長できるように、挑戦課題もさりげなく混ぜてくれた。
だから、俺も頑張ろうって思えた。
それに、騎士団のみんなも俺がちょっと怪我しただけですごく心配してくれた。
時々、甘いものをくれる騎士もいた。
カリオって友達もできた。
最初はフィンの強引な勧誘で始まった見習い生活だったけど、気づけば、あの場所は俺にとって大切な居場所になっていた。
それを、俺の軽率な行動で失ってしまった。
王城から遠ざかるほどに、その現実が胸に重くのしかかってくる。
「俺、ほんとに……バカだな……」
つぶやいた声は、涙に溶けて風とともに消えてしまった。
訓練場にゴングが響き、騎士たちの掛け声が一斉に上がる。
打ち込み訓練が始まった。
俺の相手は、細身ながらも俺より一回り大きな男だ。
その手に握られた木剣が、唸りを上げて振り下ろされる。
「くそっ、どこにそんな力があるんだよ!」
俺は握りしめた木剣で受け止めて、体を捻ってなんとか躱した。
最初のうちは、まだ動けた。
フィンと訓練を重ねてきたおかげで、相手の剣筋を読む感覚が身体に染みついている。
「シュッ!」という音に合わせて頭を下げて剣を躱し、相手の空いたわき腹へ突きを放つ。
だが、相手はすぐさま盾で受け止めた。
俺は、両手で剣を握っているから、盾は使えない。
その分、速さで勝負するしかない。
すぐに剣を引き、今度は足元を狙う。
相手の「チッ」と舌打ちする音が聞こえた。
(俺、初めてなのに結構やれてる!)
なんて調子に乗った、その瞬間。
ガチャッ、と音がして、ぐらついていた腕当てが外れた。
「しまった!」
動揺した俺に、相手にが反応する。
次の瞬間、相手の木剣が大きく振り下ろされ、空を切り裂く音が響いた。
訓練場の空気が一瞬で張り詰めた。
「や、やばい!」
心臓の鼓動が耳の奥で鳴り響く。
顔は兜で守られているのに、俺は反射的に腕を顔の前に出してしまった。
相手も慌てて剣を止めようとしたが、勢いは止まらない。
(やばい、これ絶対骨折する!)
身体が固まって動けない。
目をつぶった、その刹那ーー。
ガンッ!!
鋭く響く音。
目を開けると、俺の前に金色の髪が飛び込んできた。
フィンだ。
彼の剣が相手の木剣を弾き飛ばし、訓練場の地面に「ドン!」と突き刺さる。
「馬鹿野郎!」
フィンの声が、まるで雷のように訓練場に響いた。
「エリゼオ! こんなことして、死にたいのか!?」
兜の隙間から見えるフィンの手が、震えていた。
いつも穏やかな彼の瞳が、今は怒りと恐怖で燃えている。
「エリゼオの実力で打ち込み訓練なんて……自殺行為だ! もしお前が傷ついていたら、俺は、俺は……」
フィンの言葉が震え、掠れて消えた。
その続きが、痛いほど分かってしまう。
俺が傷つくのが、怖かったんだ。
「……ごめんなさい」
涙が兜の中で溢れ、視界がぼやける。
泣くなと思っても、止まらなかった。
「フィンを助けるために……頑張ろうと思ったのに……結局、迷惑かけて……。ほんと、ごめんな」
俺はうつむいて謝るしかできなかった。
フィンの手がまだ震えていた。
フィンは俺の顔を見なくても、最初から俺だって分かってくれていたんだ。
俺だと気づいて、鎧も着けずに俺の所へ来てくれた。
それこそ、フィンの方が危ない。
それでも、俺を助けようと俺の前に立ってくれた。
俺は、フィンを守りたかっただけなのに。
それなのに、逆に俺は、フィンを危険に巻き込んだ。
(やっぱり、俺ってダメダメだな……)
そんな俺を見つめていたフィンは、しばらく黙り込んでから、掠れる声で言った。
「……エリゼオ。私のわがままで、君を無理に騎士団に入れた。
こんな危険な目に合わせて、悪かった。
もう、ここには来なくていい」
「え……?」
なんだよ。
俺が勝手に危険なことしたのに。
なんでお前が謝るんだよ。
悪いのは俺なのに。
でも、何も言えなかった。
胸が痛くて、ただ頷くことしかできなかった。
その日のうちに、俺は騎士見習いの身分を返上した。
俺の暴走で、みんなに迷惑かけたんだから、仕方ないんだ。
「お世話になりました」
帰り際、みんなに頭を下げた。
すると、意外なほど多くの声が返ってきた。
「元気でな」
「お前、厳しい基礎練を嫌がらずに頑張ってたから、応援してたんだけどな」
「また遊びに来いよ!」
俺、一人で頑張ってたつもりだったけど、ちゃんと見てくれてたんだ。
今更気づくなんて、遅いよな。
胸の奥がジンと熱くなった。
カリオが俺の手を取って握手する。
「騎士をやめても、俺たちは友達だからな。また会おう」
カリオは俺の手をギュッと握る。
俺は、泣きそうになりながらも笑って見せた。
「ありがとな。俺、カリオと友達になれてほんとに良かったよ。
カリオ、無茶して辞めることになった俺が言うのもおかしいけど、怪我だけは気をつけろよ」
俺の言葉にカリオは少しだけ眉を寄せて、でも力強く頷いた。
それから俺は、みんなに見送られながら騎士団を後にしてサーラと馬車に乗ったんだ。
俺は、少しずつ遠ざかる王城を見上げる。
どんなに離れても、王城は大きいままで、俺はなんだか胸が詰まった。
俺は、なんてことないふりをして、サーラに話しかける。
「サーラ……俺、もう騎士訓練には行けなくなったよ」
「何故ですの?」
サーラは小首をかしげたが、泣きそうな俺の顔を見て、何も言わずにそっと俺の頭を撫でてくれた。
これじゃ、どっちが年上なんだか分からないよな。
サーラの手の温もりに涙が溢れ出す。
「ありがと……」
小さく笑みを作っても、もう涙は止まらなかった。
騎士見習いになってから、たくさんフィンには世話になった。
フィンは忙しい中でも、俺の訓練に付き合ってくれたし、俺のレベルに合わせた訓練メニューを組んでくれた。
少しずつ成長できるように、挑戦課題もさりげなく混ぜてくれた。
だから、俺も頑張ろうって思えた。
それに、騎士団のみんなも俺がちょっと怪我しただけですごく心配してくれた。
時々、甘いものをくれる騎士もいた。
カリオって友達もできた。
最初はフィンの強引な勧誘で始まった見習い生活だったけど、気づけば、あの場所は俺にとって大切な居場所になっていた。
それを、俺の軽率な行動で失ってしまった。
王城から遠ざかるほどに、その現実が胸に重くのしかかってくる。
「俺、ほんとに……バカだな……」
つぶやいた声は、涙に溶けて風とともに消えてしまった。
177
あなたにおすすめの小説
巣ごもりオメガは後宮にひそむ【続編完結】
晦リリ@9/10『死に戻りの神子~』発売
BL
後宮で幼馴染でもあるラナ姫の護衛をしているミシュアルは、つがいがいないのに、すでに契約がすんでいる体であるという判定を受けたオメガ。
発情期はあるものの、つがいが誰なのか、いつつがいの契約がなされたのかは本人もわからない。
そんななか、気になる匂いの落とし物を後宮で拾うようになる。
第9回BL小説大賞にて奨励賞受賞→書籍化しました。ありがとうございます。
欠陥Ωは孤独なα令息に愛を捧ぐ あなたと過ごした五年間
華抹茶
BL
旧題:あなたと過ごした五年間~欠陥オメガと強すぎるアルファが出会ったら~
子供の時の流行り病の高熱でオメガ性を失ったエリオット。だがその時に前世の記憶が蘇り、自分が異性愛者だったことを思い出す。オメガ性を失ったことを喜び、ベータとして生きていくことに。
もうすぐ学園を卒業するという時に、とある公爵家の嫡男の家庭教師を探しているという話を耳にする。その仕事が出来たらいいと面接に行くと、とんでもなく美しいアルファの子供がいた。
だがそのアルファの子供は、質素な別館で一人でひっそりと生活する孤独なアルファだった。その理由がこの子供のアルファ性が強すぎて誰も近寄れないからというのだ。
だがエリオットだけはそのフェロモンの影響を受けなかった。家庭教師の仕事も決まり、アルファの子供と接するうちに心に抱えた傷を知る。
子供はエリオットに心を開き、懐き、甘えてくれるようになった。だが子供が成長するにつれ少しずつ二人の関係に変化が訪れる。
アルファ性が強すぎて愛情を与えられなかった孤独なアルファ×オメガ性を失いベータと偽っていた欠陥オメガ
●オメガバースの話になります。かなり独自の設定を盛り込んでいます。
●最終話まで執筆済み(全47話)。完結保障。毎日更新。
●Rシーンには※つけてます。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放
大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。
嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。
だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。
嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。
混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。
琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う――
「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」
知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。
耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる