思い出処方箋

みしぁ

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1錠 「症状にあったお薬を・・・」

紫音side

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「ふぅ~、暇だね。締切も終わったしやることないよ。」

白髪の中性的な顔立ちの男性が呟いた。
この処方箋の店主の冬夜は机に突っ伏して愛用の万年筆をコロコロと転がしていた。

「俺としてはな、正直こっちの仕事が入らない方が嬉しいんだけどな。
お前は危機管理能力が著しく欠如してるんだよ・・・。てか、客に薬作るだけで毎回こんな目に合うんだよ・・・。」

俺は腰に手を当て呆れたように息を吐き出した。

「仕事には手を抜かないのは紫音も知っているでしょ。これにこのスリルがいいんじゃないか。
小説家の仕事は自分が体験できない世界観だったり自由な空間を作り出すことができるけど、こっちの仕事は自分が考えたストーリーが1人にはリアルになる。
それはすごいことじゃないか。」

冬夜は両手を広げ得意げに言った。

「そのすごさは分かってやれねぇな。
他人の事実を変えちまうんだったらあんまりいい事だとは思えねぇよ。」

「ほんと紫音はお堅いよねぇ~。」

と言って薄く笑ってみせた。

「俺も仕事には極力口を出したかねぇが、お前は薬を作るだけじゃなくて客の要望している記憶について調べつくすじゃないか。
そうゆうのは探偵とかに任せればいいんじゃないのか?」

「そうゆうのも込みで値段提示しているから問題ないよ。
自分で調べないと納得いかないんだよ。どうも他人は信用できないしね。
それに、探偵なんて雇ったらその分費用がかかるじゃないか。」

「お前・・・物書きでだいぶ稼いでるんだろ。どんだけ金にがめついんだよ・・・。」

俺は頭を抑えて再度ため息を吐いた。

「まぁ、危険なことさえしなきゃ何も言わねぇよ。」

そう言うと冬夜はふふっと笑って、

「約束はできないなぁ~。もし危険だと思ったら紫音が助けてくれるだろう。」

と、さも当たり前のように言った。
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