思い出処方箋

みしぁ

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1錠 「症状にあったお薬を・・・」

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今回記憶の操作をする人物は殺人の罪で服役中の小松原恵美。
被害者は相沢幸溢。2人の関係については恋人同士だったそうだ。
ただ、小松原は相沢が浮気していると勘違いして逆上。夜の公園で相沢を刃物で複数回刺して殺した。
小松原の証言によると「彼を殺して、自分も死ぬつもりだった。」とのこと。
小松原が浮気相手だと勘違いしている女性は相沢の幼なじみでよく小松原のことを相談していたそうだ。
断じて深い関係に陥ったことはないそうだ。




「殺された日は相沢と小松原の付き合って3年記念日だったらしいよ~。」

そこで冬夜に依頼されたわけか。

「この仕事ほんとはやりたくないんだよね。」

ほんとにやりたくないようで、またソファーで寝転がりだした。

「いつも記憶の操作してるだろ。何が嫌なんだ。」

俺が質問してみると、

「それがね~、小松原の記憶から相沢を消して欲しいんだって。
僕さ、記憶を上書きするのはいいんだけど消すのは嫌なんだよ。」

「何が違うんだ。」

「全く違うでしょ。上書きは相手からしたら元とは違うけど記憶が残るわけだけど、消すとその間の記憶が全くない。何があったのか思い出せなくなるんだよ。
それに、作家を生業にしている僕からしたら屈辱のことだよ。」

自分の才能が1つも発揮出来ないしね~、と続けて言った。

こんなこと言ってるが、相手が報われないのが1番嫌なんだろう。
なんだかんだ言ってこいつは、他人に興味がないようで他人思いなんだ。

「………内容はわかった。嫌な仕事だとしても、またお前は無理をするんだろう。
そしたら俺はお前を支えるしかないだろ。」

冬夜はまた綺麗に笑うとそのまま黙った。

支えるなんて言ってるけど、こいつを助けることによって俺はじぶんという存在を許せることができる。それを分かってか、こいつは何も言わずにそばに置いていてくれるのだろう。
支えられているのは俺なんだ。
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