83 / 106
6.厄災の魔女と一人の人間
女王の決意
しおりを挟む
リュラはゆっくりと目を開いた。目前に広がるのは半壊したレイアスの城。変わり果てた城の姿に、リュラは驚愕する。彼女の姿はいつの間にか龍になっており、自分が破壊したという事は明らかだった。クレイスと話し、それから悪夢にうなされていたのは覚えているが、レイアスの城を壊した記憶など無い。それでも、こんな大きな城を半壊させる事が出来るのは龍である自分しか有り得なかった。
「…これは……私がやったのか…?」
「女王! 正気に戻ったんだね!」
呆然としていると、耳元で従者の声が聞こえた。悪夢のように憎しみに満ちた声ではなく、いつもの明るいものだ。感触から、彼は龍の自分の角を掴んでいるようだった。
「シェルバー…?」
「そ、そろそろ限界だから塔の屋根の方へ降りてもらっていい? そこでラビィが待っているだろうから」
そう言われ、リュラは素直に塔の屋根へと降り立った。レイアスの城で一番高い塔も派手に壊れていて、出入り口である窓があったはずの場所にシェルバーの言う通りラビィが待っていて、リュラの正気が戻ったと気付いた彼女は赤い瞳から涙を流して喜んだ。
「リュラジョー、元に戻ったんだね…良かった…」
「…ラビィ、すまない」
ラビィは龍の姿のリュラを見るのは初めてだ。しかし、怖がる素振りを見せずに近寄ってリュラの手を優しく撫でた。そんな中、シェルバーはリュラから転がるように降りた。その背中には額に桃色の布を巻いたライジルがいて、その瞼は固く閉ざされている。シェルバーも声色は元気だが、あちこちに切り傷を負っていて痛々しい。
「シェルバー…お前、怪我を…? それに、ライジル…気を失っているのか…? 私が、暴れたからこんなに傷ついているのか…?」
「それは仕方が無い。女王は厄災の魔女に暗示をかけられたんだろう?」
「いや、違う。私が暴れたのは…自分の弱さのせいだ。私が弱いからクレイスに付け込まれ、結果暴れる形になってしまった。私のやった事は許されないものだ」
脳裏に悪夢が過る。自分を罵る声、憎しみに満ちた国民の表情―
以前のままのリュラだったら、この惨状を目の当たりにしたら耐えられなかっただろう。今も身体は震えるし、心臓が痛い位に鼓動を鳴らしている。このまま卒倒したくなる気持ちを押え、リュラは前を見据える。
悪夢に震えていた中で、ヒュウが掛けてくれた言葉を思い出す。何があっても逃げてはいけない、一人じゃない。リュラは銀の鱗に覆われた手を強く握り締める。
「だが、私は逃げてはならない。私のしてしまった過ちを償っていかなければならない」
地面に寝かされたライジルに駆け寄るラビィ。ライジルが呼吸をしている事を確認すると、安堵のため息を吐き、そのまま涙を流した。
もう、国民に悲しみの涙を流して欲しくなかった。あの悪夢が本当になってしまうとしても、リュラはもう逃げないと決めた。
「こんな事をしてしまった私を、国民は非難するだろう。それでも、私はこの城を、ミレジカを再建する為に尽力していかなければ。…シェルバー。お前は、こんな愚かな女王について来てくれるか…?」
リュラは凛として一番の側近に尋ねる。心の中は不安でいっぱいだった。傷だらけにした女王の言う事なんて聞くものかと言われるのではないかと。しかし、シェルバーは屈託の無い笑みを見せた。
「当たり前だよ女王! 俺はあなたの従者だ。あなたを尊敬している。何があってもあなたについて行くよ」
迷いの無い言葉に泣きそうになった。ヒュウが眠りに就いた後も自分を一番側で支えてくれた従者。自由奔放な自分に、シェルバーはずっとついて来てくれた。不思議と悪夢のシェルバーの憎しみに満ちた顔が浮かばなくなっていた。
そうだ、と呟いてシェルバーは懐から赤色の石が付いたイヤリングを取り出した。龍のリュラが人型になる事が出来る魔法のイヤリングだ。不測の事態を考慮して、側近であるシェルバーは予備をいくつか持ち歩いている。その予備をリュラはシェルバーから受け取り、大きな爪でそれを器用に自分の耳に付けた。するとたちまち龍の姿が変化し、徐々に小さくなり人型になる。赤い髪を一つに纏め、黒いライダースーツを纏った美女。龍の名残である銀色の鱗は右頬と胸元で美しく輝いている。赤と紫の混じった瞳を細め、リュラは悠然と微笑んだ。
「では、この騒ぎの謝罪を国民にしないとな。シェルバー、手配を頼めるか」
「そうしたいのは山々なんだけど…。女王、実はクレイスが地下牢から逃げ出したかもしれない。クレイスは燈達が探しているらしい」
「…何だと?」
眉を潜めたリュラの脳裏に、クレイスの笑顔が浮かびあがる。クレイスが自分に悪夢を見せたのも、龍に変化させて地下牢を破壊させ逃げるつもりだったのかと瞬時に察知したリュラは悔しそうに拳を思い切り握った。
「私は、まんまと奴の思い通りに動いたという事か…」
「後悔している場合じゃないぞ女王! 早く燈達を助けに行かないと…!」
従者に急かされ、リュラは大きく頷いた。
その時、屋根の上に寝かされていたライジルが呻き声を上げてからゆっくりと目を開いた。
「あ…! ライジル、でいいのかな!?」
「……ああ、そうだ」
起きたのはヒュウではなく、ライジルだった。ラビィは変わらない彼の様子に一安心した。
「ライジル、目覚めたか。…すまなかった。私が未熟なせいで、ライジルを傷付けてしまった」
「…大した事ねぇよ、これくらい。正気に戻ったようで良かった」
上半身を起こしてライジルは口角を上げた。そしてそのまま立ち上がろうとするライジルを、側にいたラビィが慌てて止める。
「だ、駄目だよライジル! まだ安静にしていないと…!」
「……」
ライジルは額に巻かれた桃色の布に手を当てる。そしてラビィを見てから不自然に顔を逸らした。
「…悪いな、ラビィ。お前のワンピース破かせちまって」
「そんなのどうだっていいよ! ライジルが無事で良かった…」
「…ありがとう」
そっぽを向いたまま礼を言うライジルを不思議に思ったが、素直に礼を言う事に照れているのだと思ったラビィはにこりと笑った。ラビィはこの時、何かが引っかかったのだがそれよりもライジルの目覚めを喜ぼうと深く考えなかった。
二人の間に和やかな空気が漂っていたが、シェルバーが「お取り込み中の所悪いけど」と割って入ってきた。
「俺達はこれからクレイスの元へ行く。二人はどうする? ここで休んでいるのもいいと思うけど…」
その言葉に、二人は顔を見合わせた。返事は勿論決まっていた。大切な仲間達を放って休んでいられるわけがない。ライジルとラビィは同時に頷くと、リュラとシェルバーに向き直った。
「「勿論、行く!」」
「…これは……私がやったのか…?」
「女王! 正気に戻ったんだね!」
呆然としていると、耳元で従者の声が聞こえた。悪夢のように憎しみに満ちた声ではなく、いつもの明るいものだ。感触から、彼は龍の自分の角を掴んでいるようだった。
「シェルバー…?」
「そ、そろそろ限界だから塔の屋根の方へ降りてもらっていい? そこでラビィが待っているだろうから」
そう言われ、リュラは素直に塔の屋根へと降り立った。レイアスの城で一番高い塔も派手に壊れていて、出入り口である窓があったはずの場所にシェルバーの言う通りラビィが待っていて、リュラの正気が戻ったと気付いた彼女は赤い瞳から涙を流して喜んだ。
「リュラジョー、元に戻ったんだね…良かった…」
「…ラビィ、すまない」
ラビィは龍の姿のリュラを見るのは初めてだ。しかし、怖がる素振りを見せずに近寄ってリュラの手を優しく撫でた。そんな中、シェルバーはリュラから転がるように降りた。その背中には額に桃色の布を巻いたライジルがいて、その瞼は固く閉ざされている。シェルバーも声色は元気だが、あちこちに切り傷を負っていて痛々しい。
「シェルバー…お前、怪我を…? それに、ライジル…気を失っているのか…? 私が、暴れたからこんなに傷ついているのか…?」
「それは仕方が無い。女王は厄災の魔女に暗示をかけられたんだろう?」
「いや、違う。私が暴れたのは…自分の弱さのせいだ。私が弱いからクレイスに付け込まれ、結果暴れる形になってしまった。私のやった事は許されないものだ」
脳裏に悪夢が過る。自分を罵る声、憎しみに満ちた国民の表情―
以前のままのリュラだったら、この惨状を目の当たりにしたら耐えられなかっただろう。今も身体は震えるし、心臓が痛い位に鼓動を鳴らしている。このまま卒倒したくなる気持ちを押え、リュラは前を見据える。
悪夢に震えていた中で、ヒュウが掛けてくれた言葉を思い出す。何があっても逃げてはいけない、一人じゃない。リュラは銀の鱗に覆われた手を強く握り締める。
「だが、私は逃げてはならない。私のしてしまった過ちを償っていかなければならない」
地面に寝かされたライジルに駆け寄るラビィ。ライジルが呼吸をしている事を確認すると、安堵のため息を吐き、そのまま涙を流した。
もう、国民に悲しみの涙を流して欲しくなかった。あの悪夢が本当になってしまうとしても、リュラはもう逃げないと決めた。
「こんな事をしてしまった私を、国民は非難するだろう。それでも、私はこの城を、ミレジカを再建する為に尽力していかなければ。…シェルバー。お前は、こんな愚かな女王について来てくれるか…?」
リュラは凛として一番の側近に尋ねる。心の中は不安でいっぱいだった。傷だらけにした女王の言う事なんて聞くものかと言われるのではないかと。しかし、シェルバーは屈託の無い笑みを見せた。
「当たり前だよ女王! 俺はあなたの従者だ。あなたを尊敬している。何があってもあなたについて行くよ」
迷いの無い言葉に泣きそうになった。ヒュウが眠りに就いた後も自分を一番側で支えてくれた従者。自由奔放な自分に、シェルバーはずっとついて来てくれた。不思議と悪夢のシェルバーの憎しみに満ちた顔が浮かばなくなっていた。
そうだ、と呟いてシェルバーは懐から赤色の石が付いたイヤリングを取り出した。龍のリュラが人型になる事が出来る魔法のイヤリングだ。不測の事態を考慮して、側近であるシェルバーは予備をいくつか持ち歩いている。その予備をリュラはシェルバーから受け取り、大きな爪でそれを器用に自分の耳に付けた。するとたちまち龍の姿が変化し、徐々に小さくなり人型になる。赤い髪を一つに纏め、黒いライダースーツを纏った美女。龍の名残である銀色の鱗は右頬と胸元で美しく輝いている。赤と紫の混じった瞳を細め、リュラは悠然と微笑んだ。
「では、この騒ぎの謝罪を国民にしないとな。シェルバー、手配を頼めるか」
「そうしたいのは山々なんだけど…。女王、実はクレイスが地下牢から逃げ出したかもしれない。クレイスは燈達が探しているらしい」
「…何だと?」
眉を潜めたリュラの脳裏に、クレイスの笑顔が浮かびあがる。クレイスが自分に悪夢を見せたのも、龍に変化させて地下牢を破壊させ逃げるつもりだったのかと瞬時に察知したリュラは悔しそうに拳を思い切り握った。
「私は、まんまと奴の思い通りに動いたという事か…」
「後悔している場合じゃないぞ女王! 早く燈達を助けに行かないと…!」
従者に急かされ、リュラは大きく頷いた。
その時、屋根の上に寝かされていたライジルが呻き声を上げてからゆっくりと目を開いた。
「あ…! ライジル、でいいのかな!?」
「……ああ、そうだ」
起きたのはヒュウではなく、ライジルだった。ラビィは変わらない彼の様子に一安心した。
「ライジル、目覚めたか。…すまなかった。私が未熟なせいで、ライジルを傷付けてしまった」
「…大した事ねぇよ、これくらい。正気に戻ったようで良かった」
上半身を起こしてライジルは口角を上げた。そしてそのまま立ち上がろうとするライジルを、側にいたラビィが慌てて止める。
「だ、駄目だよライジル! まだ安静にしていないと…!」
「……」
ライジルは額に巻かれた桃色の布に手を当てる。そしてラビィを見てから不自然に顔を逸らした。
「…悪いな、ラビィ。お前のワンピース破かせちまって」
「そんなのどうだっていいよ! ライジルが無事で良かった…」
「…ありがとう」
そっぽを向いたまま礼を言うライジルを不思議に思ったが、素直に礼を言う事に照れているのだと思ったラビィはにこりと笑った。ラビィはこの時、何かが引っかかったのだがそれよりもライジルの目覚めを喜ぼうと深く考えなかった。
二人の間に和やかな空気が漂っていたが、シェルバーが「お取り込み中の所悪いけど」と割って入ってきた。
「俺達はこれからクレイスの元へ行く。二人はどうする? ここで休んでいるのもいいと思うけど…」
その言葉に、二人は顔を見合わせた。返事は勿論決まっていた。大切な仲間達を放って休んでいられるわけがない。ライジルとラビィは同時に頷くと、リュラとシェルバーに向き直った。
「「勿論、行く!」」
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
揺れぬ王と、その隣で均衡を保つ妃
ふわふわ
恋愛
婚約破棄の断罪の場で、すべては始まった。
王太子は感情に流され、公爵令嬢との婚約を解消する。
だが、その決断は王家と貴族社会の均衡を揺るがし、国そのものを危うくする一手だった。
――それでも彼女は、声を荒らげない。
問いただすのはただ一つ。
「そのご婚約は、国家にとって正当なものですか?」
制度、資格、責任。
恋ではなく“国家の構造”を示した瞬間、王太子は初めて己の立場を知る。
やがて選ばれるのは、感情ではなく均衡。
衝動の王子は、嵐を起こさぬ王へと変わっていく。
そして彼の隣には、常に彼女が立つ。
派手な革命も、劇的な勝利もない。
あるのは、小さな揺れを整え続ける日々。
遠雷を読み、火種を消し、疑念に居場所を与え、
声なき拍手を聞き取る。
これは――
嵐を起こさなかった王と、
その隣で国家の均衡を保ち続けた妃の物語。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる