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第二章
3-2.閑話・神の使者2(Side.ディア・キリスティス)
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大分間が空いてしまいました(汗
無事に自動車免許取得したので、またチビチビ書いて行こうと思います。
______________________
(いやぁ~、からかい甲斐があるのぉ)
表面上は変わらずとも、脳内では目まぐるしいほど思考を巡らせているであろう目の前の甥に、ディアは心の中でニヤニヤとした意地の悪い笑顔を浮かべていた。
アルフレッドが転生者であり、且つ既に以前のアルフレッドではない事など、ディアはとっくに知っている。勿論、彼の父親であるリュシアンも。
『あの子の前世の人格は、何というか、詰めが甘い部分はあっても、賢いし、とっても粘り強かったんだろうね。覚醒してくれて助かったよ』
暗に『駄目息子の人格が消えて良かった』と言っている今世の兄に、第一に言う事がそれか? と呆れた事は記憶に新しい。
(まぁ、不要だと破棄されるよりかはマシではあるがの)
普段家族には甘いリュシアンだが、腐っても王だ。国を、民を導く者が愚かでは困る。
悪魔の力で何事にも興味を抱けずにいたアルフレッドは、その真実を知る者からみれば完全なる被害者だ。それはリュシアンも認識している。
しかし、それはそれ。たとえどんな理由があろうとも、国を破滅に向かわせるような者は切り捨てなければいけない。
(賢王の子が愚王、とまでは言わずとも、上に立つ器を持たぬ王は何処の国にもおるものじゃが)
ある世界では、『兄弟三人で国を統治しろ』と、王は子どもたちに国を与えたのに、当の三人兄弟は領地を巡り争った挙げ句、国が三つに分裂してしまった国があった。
そしてまたある世界では、父親が敵に討たれたというのに仇討ちもせず、かといって領地も守り切れず、終いには仇の前で自慢の蹴鞠を披露したりなど、まぁトップに立つより文官としての才があった者なども存在していた。
後者の話は本人にとって最良の後生を過ごせはしたが、基本、愚かなトップが最期まで平穏に生きられるのはごく僅かだ。
そしてこの世界、王国・グランディオーソでは、出来の悪い王子の行く末はあまり良いものではない。
(この国は平民、貴族の子どもには優しいが、王族にはめっちゃ厳しいからのぉ。子は宝故、無駄に失いとうない)
奇跡の中生まれてきた子どもたちは、人間にとっても神にとっても宝である。それでなくても、次世代を担って行くのはいつだって若き命たちだ。役立たずと散らすのは、何度転生しようと心苦しい。
これが貴族の子であれば、野に放つだけで済んだかもしれない。しかし、アルフレッドは王族だ。変な者と一緒になり子孫を作らぬよう然るべき処置をした後、王族籍から除名してさよならバイバイすることが出来れば良いが、手間がかかるのに加え、危険要素がなくなる訳ではない。
そんなトラブルの種を自由に生かしておくなど、この国の王家は優しくない。それはこのグランディオーソならではの法でもあった。
(平民、貴族の子どもらの保護はどの国よりも進んでおるのに、王家内だけは未だにガッチガチの古く悪い体勢のままじゃからの~。まぁ、儂の目の黒い内は誰も死なせんが)
そのためには、目の前にいる甥をもっと成長させなくてはならない。
前世の記憶を得てからというもの、物凄い勢いで知識を吸収しているのは知っている。剣の扱いも以前よりマシになったとの事だ。だが、それでも求める基準以下であるのと同時に、この世界の常識や王族としての心構えなどの基礎はあまり上達していないのも事実であった。
(魔法の扱いも進んでおらんようじゃし……元凶の彼奴が、ちっとばかし手を貸すべきなんじゃが)
脳裏に浮かぶのは、ショウたちをこの世界に転生させた、親にして親友の主の姿。
創造神・ディミオルゴは、前世の娘のために行動こそすれど、ショウのために手を貸そうとはしないらしい。
(本人は見守るなどと言うておるが、押し付けているようにしか見えんからのぉ)
今世を望んだのはショウ自身。それは変わりない事実。だが創造神が拾ったのは、ショウの願いではなくミツキの願いだ。ようはミツキの願いを叶えたのであって、ショウの願いを叶えた訳ではない。
ならもう少し寄り添ってやっても良いのではないか? と、彼らを眺めながらディアは考えていたのだが、ディミオルゴの意志は変わらないらしい。というより、変える必要性を感じてないと言った方が合っている気がする。
(そこまでショウに興味もないのであろうの。手伝ってと言えば手伝うのであろうが、それだけなんじゃろうなぁ~)
ディミオルゴの関心は、ノエルとジリアンの幸せにしか向いていない。
前世で愛する二人を守り切れず、初めて失う苦痛を味わった神は、どうやら今世では本気で二人を守り抜こうとしているらしい。それはそれで構わないのだが、ではショウやマリアを駒の如く扱って良いのかと問えば答えは否だ。
彼らにだって彼らの人生がある。幸いにも、マリアもアルフレッドもノエルを守る意志があり、そのための力をつけるべく道を進んではいるが、誘導してその道を歩ませようとするのは言語道断。ディアはそれを許さない。
創造神というのは、生み出した後は殆ど見守るだけの存在だ。だがここまで手を出している以上、最後までちゃんと面倒をみてほしいものだ。
(ま、彼奴がノータッチな分儂が何とかする故、大いに学び、何度もコケるが良いぞ、小童どもよ!!)
ディア・キリスティスは、神の使者であると同時に、非常に情に厚い王弟であった。
______________________
※ディア・キリスティスは神であるものの、何度も人間として転生し人間の世界で生きている間に、生来の性質も相俟って人間の感覚に近い感情を持っています。
対してディミオルゴ(ディルク)は、気に入った者はとことん可愛がり守ろうとするものの、それ以外にはあまり関心がないため、どこかアッサリしています(これでも前世ミツキたちと関わった事で大分情が生まれています)
無事に自動車免許取得したので、またチビチビ書いて行こうと思います。
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(いやぁ~、からかい甲斐があるのぉ)
表面上は変わらずとも、脳内では目まぐるしいほど思考を巡らせているであろう目の前の甥に、ディアは心の中でニヤニヤとした意地の悪い笑顔を浮かべていた。
アルフレッドが転生者であり、且つ既に以前のアルフレッドではない事など、ディアはとっくに知っている。勿論、彼の父親であるリュシアンも。
『あの子の前世の人格は、何というか、詰めが甘い部分はあっても、賢いし、とっても粘り強かったんだろうね。覚醒してくれて助かったよ』
暗に『駄目息子の人格が消えて良かった』と言っている今世の兄に、第一に言う事がそれか? と呆れた事は記憶に新しい。
(まぁ、不要だと破棄されるよりかはマシではあるがの)
普段家族には甘いリュシアンだが、腐っても王だ。国を、民を導く者が愚かでは困る。
悪魔の力で何事にも興味を抱けずにいたアルフレッドは、その真実を知る者からみれば完全なる被害者だ。それはリュシアンも認識している。
しかし、それはそれ。たとえどんな理由があろうとも、国を破滅に向かわせるような者は切り捨てなければいけない。
(賢王の子が愚王、とまでは言わずとも、上に立つ器を持たぬ王は何処の国にもおるものじゃが)
ある世界では、『兄弟三人で国を統治しろ』と、王は子どもたちに国を与えたのに、当の三人兄弟は領地を巡り争った挙げ句、国が三つに分裂してしまった国があった。
そしてまたある世界では、父親が敵に討たれたというのに仇討ちもせず、かといって領地も守り切れず、終いには仇の前で自慢の蹴鞠を披露したりなど、まぁトップに立つより文官としての才があった者なども存在していた。
後者の話は本人にとって最良の後生を過ごせはしたが、基本、愚かなトップが最期まで平穏に生きられるのはごく僅かだ。
そしてこの世界、王国・グランディオーソでは、出来の悪い王子の行く末はあまり良いものではない。
(この国は平民、貴族の子どもには優しいが、王族にはめっちゃ厳しいからのぉ。子は宝故、無駄に失いとうない)
奇跡の中生まれてきた子どもたちは、人間にとっても神にとっても宝である。それでなくても、次世代を担って行くのはいつだって若き命たちだ。役立たずと散らすのは、何度転生しようと心苦しい。
これが貴族の子であれば、野に放つだけで済んだかもしれない。しかし、アルフレッドは王族だ。変な者と一緒になり子孫を作らぬよう然るべき処置をした後、王族籍から除名してさよならバイバイすることが出来れば良いが、手間がかかるのに加え、危険要素がなくなる訳ではない。
そんなトラブルの種を自由に生かしておくなど、この国の王家は優しくない。それはこのグランディオーソならではの法でもあった。
(平民、貴族の子どもらの保護はどの国よりも進んでおるのに、王家内だけは未だにガッチガチの古く悪い体勢のままじゃからの~。まぁ、儂の目の黒い内は誰も死なせんが)
そのためには、目の前にいる甥をもっと成長させなくてはならない。
前世の記憶を得てからというもの、物凄い勢いで知識を吸収しているのは知っている。剣の扱いも以前よりマシになったとの事だ。だが、それでも求める基準以下であるのと同時に、この世界の常識や王族としての心構えなどの基礎はあまり上達していないのも事実であった。
(魔法の扱いも進んでおらんようじゃし……元凶の彼奴が、ちっとばかし手を貸すべきなんじゃが)
脳裏に浮かぶのは、ショウたちをこの世界に転生させた、親にして親友の主の姿。
創造神・ディミオルゴは、前世の娘のために行動こそすれど、ショウのために手を貸そうとはしないらしい。
(本人は見守るなどと言うておるが、押し付けているようにしか見えんからのぉ)
今世を望んだのはショウ自身。それは変わりない事実。だが創造神が拾ったのは、ショウの願いではなくミツキの願いだ。ようはミツキの願いを叶えたのであって、ショウの願いを叶えた訳ではない。
ならもう少し寄り添ってやっても良いのではないか? と、彼らを眺めながらディアは考えていたのだが、ディミオルゴの意志は変わらないらしい。というより、変える必要性を感じてないと言った方が合っている気がする。
(そこまでショウに興味もないのであろうの。手伝ってと言えば手伝うのであろうが、それだけなんじゃろうなぁ~)
ディミオルゴの関心は、ノエルとジリアンの幸せにしか向いていない。
前世で愛する二人を守り切れず、初めて失う苦痛を味わった神は、どうやら今世では本気で二人を守り抜こうとしているらしい。それはそれで構わないのだが、ではショウやマリアを駒の如く扱って良いのかと問えば答えは否だ。
彼らにだって彼らの人生がある。幸いにも、マリアもアルフレッドもノエルを守る意志があり、そのための力をつけるべく道を進んではいるが、誘導してその道を歩ませようとするのは言語道断。ディアはそれを許さない。
創造神というのは、生み出した後は殆ど見守るだけの存在だ。だがここまで手を出している以上、最後までちゃんと面倒をみてほしいものだ。
(ま、彼奴がノータッチな分儂が何とかする故、大いに学び、何度もコケるが良いぞ、小童どもよ!!)
ディア・キリスティスは、神の使者であると同時に、非常に情に厚い王弟であった。
______________________
※ディア・キリスティスは神であるものの、何度も人間として転生し人間の世界で生きている間に、生来の性質も相俟って人間の感覚に近い感情を持っています。
対してディミオルゴ(ディルク)は、気に入った者はとことん可愛がり守ろうとするものの、それ以外にはあまり関心がないため、どこかアッサリしています(これでも前世ミツキたちと関わった事で大分情が生まれています)
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