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3.ウェブ小説家の異世界転移
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ウェブ小説作家、時田翔は我が目を疑った。
時田翔
「ここは何処だ?」
自宅でくつろいでいたはずだ。妻が食事を作っている間に、Twitterで相互フォローをしている狸田真の小説でも読もうかと、サイトにアクセスしたところであった。
視界は見渡す限り、針葉樹林の森が広がっている。夜だったはずなのに、今は太陽が高い位置に登っている。それなのに、とても肌寒い。
夢の中か? 疲れていて、眠ってしまったとか...? だが、寒さや物体の質感はリアルだし、意識もはっきりしている。
少し離れた場所に、何やら黒い物体が落ちているのが見えた。微かに動いている。
時田翔
「な、何だ?」
そっと近付く。
毛玉?
黒いふさふさの毛玉がもそもそと動いて、顔を持ち上げた。
猫だ!
その愛くるしい黒猫の姿に、翔は安心して近付き、手を伸ばした。
シャー!!!
黒猫は牙を見せて威嚇してきた。慌てて、翔は手を引っ込める。
黒猫
「触らないで頂けますか? セクハラなんで」
猫が喋った!?
黒猫の尻尾がゆらゆらと揺れる。
尻尾が分かれている!? 妖怪の猫又!? いや、もしかして...
時田翔
「ここは狸田真の小説の世界? だとすると、この猫は魔獣!?」
翔は慌てて間合いをとる。
黒猫
「いえ; 魔獣ではありません。おいらは葛城煌と申します。貴方も狸田さんのフォロワーさん?」
時田翔
「え!? 貴方も!? 私もです! 狸田さんのコラボ企画に参加申し込みを致しました。まさか、こんな事になるとは思っておらず...あ、申し遅れました、私は時田翔と申します。ウェブではミステリーホラーやファンタジーなどの小説を書いております。」
葛城煌
「あ、これはご丁寧に有難うございます。私は歴史ファンタジーなどの小説を書いております」
時田翔
「何故、猫の姿に?」
葛城煌
「あ、はい、それは...」
ガサガサ...
茂みから黒い影が現れた。
翔は震え上がった。
ここが本当に狸田真の小説の世界ならば、この森には恐ろしい魔獣が現れる!
煌も同じことを思ったらしく、翔に駆け寄って、翔の胸にしがみ付いた。
ガササッ
黒い影は、軽やかな足取りで地面を駆け、翔と煌をめがけて飛びかかってきた。
時田翔
「ぎゃぁああああ~~!!!」
葛城煌
「曇りなき 心の月を 先だてて 浮世の闇を 照してぞ行く(伊達政宗の辞世の句)」
翔は尻餅をついて倒れたが、煌の小さな体が潰れないように、魔獣の牙の餌食にならないように、腕に力を込めてガードした。
ベロン! ベロン!
熱くて湿った舌の感触が、翔の腕を舐めまわした。
!?
片目を開けて確認すると、トライカラーのボーダーコリーのような中型犬が、自分の上にのしかかっている。つぶらな瞳で自分達を見つめてくる。
時田翔
「い、犬!?」
葛城煌
「ビ、ビックリした」
犬
「仲間がいたぁ~!」
時田翔&葛城煌
「「犬が喋った!?」」
犬
「そんなこと言ったら、そちらの方も猫じゃないですか!」
葛城煌
「まぁ、そうですけど」
犬
「私はROM-tと申します。お話は聞いていました! 私も狸田さんのフォロワーなんです! あのタヌキ野郎が、コラボ企画なんかするから、大変な目に!!」
時田翔
「貴方も狸田さんの被害者でしたか!」
ROM-t
「お仲間がいて本当に良かった! 心細かったんです! どうやって帰ったらいいのやら、不安で、不安で!」
葛城煌
「でしたら、一緒に行動しましょう! 元の世界に戻る方法を考えないと」
時田翔
「大抵の異世界ファンタジーの場合は、魔王を倒すと元の世界に戻れますよね?」
葛城煌
「恋愛小説の場合はヒーローとカップルになれると帰れるものもありますよね? 乙女ゲームみたいな設定の小説だったらですけど」
ROM-t
「狸田さんの小説の場合は、魔王が魔王ではなくて、引き篭もりの文化人のようですし、主人公の友人でもあるようですよ。魔王を倒す線はないかと思います」
葛城煌
「ロムティさんは、小説を読まれたのですか?」
ROM-t
「はい。以前、狸田さんの小説をTwitterの朗読会で朗読したことがありまして、冒頭の部分は読んでいます」
時田翔
「私も全部ではありませんが読んでいます」
葛城煌
「私は読もうとしたら、この世界に落ちてしまったので、作品紹介だけしか読めていません。でも、小説のタイトルからして主人公は地球からの転生者ですよね? 主人公に会って、相談出来れば、助けてもらえるのでは?」
ROM-t
「そうだ! きっとそうですね!」
時田翔
「確か、主人公はジーンシャン辺境伯の子息で、アントニオ ・ジーンシャンという名前だったはずです! 穏やかな性格のようでしたし、助けてくれる可能性は非常に高いです!」
葛城煌
「では、主人公のいる場所を目指しましょう!」
時田翔
「ここは何処だ?」
自宅でくつろいでいたはずだ。妻が食事を作っている間に、Twitterで相互フォローをしている狸田真の小説でも読もうかと、サイトにアクセスしたところであった。
視界は見渡す限り、針葉樹林の森が広がっている。夜だったはずなのに、今は太陽が高い位置に登っている。それなのに、とても肌寒い。
夢の中か? 疲れていて、眠ってしまったとか...? だが、寒さや物体の質感はリアルだし、意識もはっきりしている。
少し離れた場所に、何やら黒い物体が落ちているのが見えた。微かに動いている。
時田翔
「な、何だ?」
そっと近付く。
毛玉?
黒いふさふさの毛玉がもそもそと動いて、顔を持ち上げた。
猫だ!
その愛くるしい黒猫の姿に、翔は安心して近付き、手を伸ばした。
シャー!!!
黒猫は牙を見せて威嚇してきた。慌てて、翔は手を引っ込める。
黒猫
「触らないで頂けますか? セクハラなんで」
猫が喋った!?
黒猫の尻尾がゆらゆらと揺れる。
尻尾が分かれている!? 妖怪の猫又!? いや、もしかして...
時田翔
「ここは狸田真の小説の世界? だとすると、この猫は魔獣!?」
翔は慌てて間合いをとる。
黒猫
「いえ; 魔獣ではありません。おいらは葛城煌と申します。貴方も狸田さんのフォロワーさん?」
時田翔
「え!? 貴方も!? 私もです! 狸田さんのコラボ企画に参加申し込みを致しました。まさか、こんな事になるとは思っておらず...あ、申し遅れました、私は時田翔と申します。ウェブではミステリーホラーやファンタジーなどの小説を書いております。」
葛城煌
「あ、これはご丁寧に有難うございます。私は歴史ファンタジーなどの小説を書いております」
時田翔
「何故、猫の姿に?」
葛城煌
「あ、はい、それは...」
ガサガサ...
茂みから黒い影が現れた。
翔は震え上がった。
ここが本当に狸田真の小説の世界ならば、この森には恐ろしい魔獣が現れる!
煌も同じことを思ったらしく、翔に駆け寄って、翔の胸にしがみ付いた。
ガササッ
黒い影は、軽やかな足取りで地面を駆け、翔と煌をめがけて飛びかかってきた。
時田翔
「ぎゃぁああああ~~!!!」
葛城煌
「曇りなき 心の月を 先だてて 浮世の闇を 照してぞ行く(伊達政宗の辞世の句)」
翔は尻餅をついて倒れたが、煌の小さな体が潰れないように、魔獣の牙の餌食にならないように、腕に力を込めてガードした。
ベロン! ベロン!
熱くて湿った舌の感触が、翔の腕を舐めまわした。
!?
片目を開けて確認すると、トライカラーのボーダーコリーのような中型犬が、自分の上にのしかかっている。つぶらな瞳で自分達を見つめてくる。
時田翔
「い、犬!?」
葛城煌
「ビ、ビックリした」
犬
「仲間がいたぁ~!」
時田翔&葛城煌
「「犬が喋った!?」」
犬
「そんなこと言ったら、そちらの方も猫じゃないですか!」
葛城煌
「まぁ、そうですけど」
犬
「私はROM-tと申します。お話は聞いていました! 私も狸田さんのフォロワーなんです! あのタヌキ野郎が、コラボ企画なんかするから、大変な目に!!」
時田翔
「貴方も狸田さんの被害者でしたか!」
ROM-t
「お仲間がいて本当に良かった! 心細かったんです! どうやって帰ったらいいのやら、不安で、不安で!」
葛城煌
「でしたら、一緒に行動しましょう! 元の世界に戻る方法を考えないと」
時田翔
「大抵の異世界ファンタジーの場合は、魔王を倒すと元の世界に戻れますよね?」
葛城煌
「恋愛小説の場合はヒーローとカップルになれると帰れるものもありますよね? 乙女ゲームみたいな設定の小説だったらですけど」
ROM-t
「狸田さんの小説の場合は、魔王が魔王ではなくて、引き篭もりの文化人のようですし、主人公の友人でもあるようですよ。魔王を倒す線はないかと思います」
葛城煌
「ロムティさんは、小説を読まれたのですか?」
ROM-t
「はい。以前、狸田さんの小説をTwitterの朗読会で朗読したことがありまして、冒頭の部分は読んでいます」
時田翔
「私も全部ではありませんが読んでいます」
葛城煌
「私は読もうとしたら、この世界に落ちてしまったので、作品紹介だけしか読めていません。でも、小説のタイトルからして主人公は地球からの転生者ですよね? 主人公に会って、相談出来れば、助けてもらえるのでは?」
ROM-t
「そうだ! きっとそうですね!」
時田翔
「確か、主人公はジーンシャン辺境伯の子息で、アントニオ ・ジーンシャンという名前だったはずです! 穏やかな性格のようでしたし、助けてくれる可能性は非常に高いです!」
葛城煌
「では、主人公のいる場所を目指しましょう!」
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