【完結】乙女ゲームに転生した転性者(♂→♀)は純潔を守るためバッドエンドを目指す

狸田 真 (たぬきだ まこと)

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第一章 乙女ゲームに転生した転性者は純潔を守るためバッドエンドを目指す

42.結婚式イベント1

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 アンジェリカはホワイト伯爵にエスコートされ、新しく建設された式典会場に足を踏み入れた。

 その瞬間にファンファーレが鳴り響き、厳かな賛美歌が歌われる。

 あれ? 結構、朝早いと思ったけど、すでにお客様も全員揃って、お待ちになってるぞ? 皆、早過ぎない? 主催者の俺らが最後の入場ってまずくない!?

 ブレイデン君の晴れ姿を見ようと、ブラック家の方々も各地から多数集まっており、ホワイト伯爵より高位の貴族や王家の方々まで、座席でお待ちになっている。

 もちろん、デボラ様も招待している。2人の恋を応援すると決めたんだから当然だ! 手紙に『ブレイデン君の晴れ姿を見に来て欲しい』と書いたら、どうやら、来てくれたようだ。

 すぐにでも遅れた事を謝りに行きたいが、何だかすでに、式典がスタートしているようで、一言も喋れる雰囲気じゃないぞ!? もう、成り行きに身を任せるしかない!

 祭壇の前に伯爵とアンジェリカが到着すると、曲が変わり、今度はブレイデンが入場した。

 マントを翻し颯爽と歩く姿に、会場からは甘い溜息が聞こえてくる。

 ブレイデンが祭壇の前まで来て跪くと、ホワイト伯爵が装飾のいっぱい付いた模造刀を抜いて、ブレイデンの肩に当てる。

ホワイト伯爵
「ブレイデン・ブラックをホワイト領の騎士に任命する。 ブレイデン・ブラックの名をブレイデン・ブラック・ホワイトと改め、我がホワイトに迎えよう」

ブレイデン
「死が永遠の眠りをもたらすまで、この地を守り、死が永遠の眠りをもたらしても、この地に骨を埋め、愛する人と共にある事を誓います」

 会場からは大きな拍手が贈られる。

 改名までするなんてビックリだよね! 俺も式典の流れを聞いて、マジでビックリしました! そういえば、他領から来た人がホワイト領の騎士になるのなんて初めて見たかも! ホワイトが名字になったら、マジでファミリーじゃん! ホワイト領に永住するって本気だったんだなぁ~。

 白いフワフワのドレスを着た幼い花娘が、ブレイデン君に白い薔薇のブーケを渡すと、ブレイデン君は俺にブーケを渡した。俺はブーケを受け取ると伯爵であるパパンに渡す。そう! 俺はパパンの助手的な役割なのだ!

 今度はホワイト領で最も若い騎士が剣を持ってくるので、俺が受け取り、ブレイデン君に、その剣を授けた。

アンジェリカ
「誓いを受け取り、ブレイデン殿を我が歩む道の同伴者とします」

 ブレイデンは剣を受け取り、俺の手の甲に口付けした。

ブレイデン
「貴女に永遠の忠誠を誓います」

 会場から、先程よりも大きな拍手が贈られる。

 招待席から、おもむろに国王陛下が立ち上がり、祭壇の前に歩み出る。

国王
「ブレイデン・ブラック・ホワイトはギルドをまとめ上げ、アカデミーを建設し、ホワイト領という王国にとって重要な拠点を守る騎士となった。王国の発展を支える彼を、男爵から改め、子爵に任命する!」

 王国では領地を守る者におくられる爵位が伯爵である。子爵という爵位は、伯爵の代わりに、城や要塞を管理する者におくられる爵位だ。そのため、子爵の爵位を保有する者のほとんどは伯爵の子息である。

 いやぁ~、マジで凄いよね! ついこの前まで、平民だったのに、男爵から子爵にまで昇進しちゃうとか、大出世も良いところ! でも、驚くのは、この立派なブレイデン君より、俺のパパンの方が偉い身分なんだよなぁ~。そして、それを将来的には俺が受け継ぐ訳だ。世襲制って凄いよね! さっきも、伯爵代理の俺に忠誠を誓ってたし、この勇者様、俺の部下になるんだぜ? マジで優越感半端ない! めっちゃ良い気分!

 アンジェリカが、そんな事を考えていたら、伯爵が耳打ちしてきた。

ホワイト伯爵
「アンジェリカ、ボーッとしている場合ではないぞ! 次は杯の交換じゃ!」

アンジェリカ
「おう、そうだった!」

 杯の交換は、同盟や結婚式などで行われる儀式だ。杯に注がれた酒を飲んで、毒が入っていない(敵ではない)ことを互いに確認し、相手と杯を交換して、また飲むことで、相手をもてなし、身内に迎えるという意味がある。

 杯は会場にいる全員に配られ、ワインが注がれた。

ホワイト伯爵
「新たなるホワイト家の一員に乾杯!」

「「「乾杯!!!」」」

 ブレイデン君は杯に口を付けると、一番近くにいた俺を最初の杯の交換相手に選び、杯を差し出してきた。

 俺も自分の杯に口を付けてから、杯をブレイデン君に差し出し、ブレイデン君の杯を受け取った。

 これっていわゆる間接キスってやつじゃね? 皆が注目してるし、なんかちょっと恥ずかしい!

 ブレイデン君は俺の杯を受け取ると男らしく一気に飲み干した。慌てて俺もブレイデン君の杯を飲み干す。

 今までで1番大きな歓声が上がり、会場のあちらこちらで、他の皆も一斉に杯の交換を始める。

 わぁお! これ、めっちゃ良いお酒だ! めっちゃ美味しい! オカワリ貰おう!

 アンジェリカが移動しようとすると、ブレイデンがアンジェリカを捕まえて抱きしめた。

「「「おぉ!」」」

 会場にどよめきが起きる。

 コ、コイツ! 酔ってやがる! 俺も酔ってるけど!

 次の瞬間、ブレイデンの端正な顔が近付き、俺の顔の上に影を落とした。

 鼻と鼻が触れて、ブレイデンのエキゾチックでウッディな香りが感じられた。

 チュ...

 ん? 何か柔らかくて生暖かいものが俺の唇をはむはむしている?

 周囲から手を叩く音や口笛を吹く音、溜息やら黄色い悲鳴が聞こえてくる。

 あれ? これ...キスじゃね? うっわ! マジか!? ブレイデン君、酔うとキス魔になるのか! 今度、シラフのときに注意せねば!!

 てか、これ! 俺のファーストキスじゃね!?

 (※ファーストキスではありません)


_________________________________________
作者:狸田真より

 本日は、ホワイト家とブラック家の結婚式にご参列、誠に有難う御座います。

 また、ご祝儀(【お気に入り登録】)本当に有難うございます。

★ご祝儀を贈って下さった旨、【感想欄】へ書き込み頂けると、ホワイト家の者よりお礼の言葉を返信させて頂きます。
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