【完結】乙女ゲームに転生した転性者(♂→♀)は純潔を守るためバッドエンドを目指す

狸田 真 (たぬきだ まこと)

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第二章 ワタクシが妊娠!? ...子供の父親は誰なのです!?

6.謎の手紙

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『夜の闇を照らす光
 デボラ・シルバー様

 貴女を遠くから見上げ
 眺める事しかできない 卑しい男がおりました

 夢も希望もない 毎日の中で
 どれほど貴女に勇気付けられるのか
 貴女は思いもしないでしょう

 永遠に触れる事が出来ない
 そう思っていた星が
 あの晩
 彗星の如く 落ちてまいりました

 触れてはいけないと 男は分かっていました

 しかし 一体誰が 貴女の涙を前に
 抗うことが出来るのでしょうか?

 慰めを求める 貴女の手を
 振り払う事が?

 哀れな男は 燃える彗星に 触れてしまった!

 身を焦がし 息絶えることを知りながら

 星に焦がれるシモベより』


 この手紙は...子供の父親から!?

デボラ
「この手紙は何処にあったの!?」

御者
「馬車の座席です」

デボラ
「手紙を置いていった男を見た!?」

御者
「いいえ」

 デボラは、間の抜けた声で応対する御者の男にイライラした。

デボラ
「役立たずね! ちゃんと馬車の管理をしていなさいよ!」

御者
「申し訳ございません。ですから、ちゃんとお掃除をしておりました!」

デボラ
「もういいわ! 帰るから馬車を出して!」

御者
「おぉ怖! 承知致しましたよ。でも、そんなに不快なお手紙だったのですか?」

デボラ
「そうね」

御者
「左様でございますか」


 馬車に揺られながら、デボラは手紙を何度も読み返した。

 手紙の内容は不愉快ではなかった。

 むしろ、その逆で、自分を想う男の健気さに、心動かされるものがあった。

 男は星を見上げるようにワタクシを見上げ、ワタクシに対する恋心に身を焦がしている。

 美しい字に、美しい言葉...きっと、教養の高い人物だろう。

 だが、なぜ手紙を書きながら、その手紙に名前を書かなかった?

 もしかして、既婚者なのかしら...


 あの晩、ホワイト領にいて、教養があり、ワタクシの護衛騎士がワタクシに近付くことを許す相手、そして...既婚者の男...まさか!?

 相手はブレイデン様だというの!?


 馬車の車輪が回る。デボラの心を表すように、軋んだ音を立てながら。
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