【完結】乙女ゲームに転生した転性者(♂→♀)は純潔を守るためバッドエンドを目指す

狸田 真 (たぬきだ まこと)

文字の大きさ
69 / 88
第二章 ワタクシが妊娠!? ...子供の父親は誰なのです!?

17.卑しい男の愛の詩(うた)

しおりを挟む
ピーター
「すべて知ってしまわれたのですか...でしたら...申し上げたいと思います」

 デボラは首を傾げた。

 あら? 思っていた反応と違いますわ?

ピーター
「卑しい身分に生まれた 卑しい男は
 毎日 馬小屋の汚物を掃除し
 綺麗な屋敷で過ごす事はほとんどなく
 生きていくために必要な 僅かなお金で
 ささやかに暮らしておりました

 朝早くから 夜遅くまで
 暑い夏の日も 寒い冬の日も
 毎日変わることのない日々

 ささやかな私の ささやかな幸せは
 銀色に輝く美しい星を
 遠くから眺める事でございました

 貴女様の馬車を担当する事になった時
 私がどれ程飛び上がって喜んだことか!
 きっと貴女様は
 想像する事すら出来ないでしょう

 肌を切り裂くような雪の降る寒い日でも
 私は喜んで馬車を水洗いした
 肌を刺すような日差しが降り注ぐ日でも
 私は微笑みながら馬車の傍らに立った

 心を切り裂くような言葉を貴女様が口にしても
 私は涙を見せなかった」

 デボラも、アンジェリカも、その他の皆も、誰もがピーターの言葉に聞き入った。

 デボラは混乱していた。

 この男は...!?

ピーター
「ある晩 私の全てである銀の星が
 私の眠るベッドの上に落ちて来ました

 プラチナよりも美しく輝く銀の髪が
 私の上に降り注ぎ
 エメラルドよりも神秘をたたえる瞳から
 涙の雫が溢れておりました

 その雫は
 熟れた桃のように色付く頬をつたって
 私の頬まで濡らしました

 細い指が私の腕を掴み その肉に爪をたて
 愛して欲しいと 熱い息を私に吹きかけた...」

デボラ
「ストーップ! ちょお~っと待ちなさい! ここは屋外! 街の往来! 人が聞いてるの! 黙りなさい!」

 ピーターは今にも泣きそうな顔で笑った。

ピーター
「ですが...最後のチャンスだと...」

デボラ
「うるさい! そんなに早く死にたいの!?」

ピーター
「いえ? ですが、どちらにせよ、ワタクシメは処刑される運命ですので、ここで口を閉じたら2度と、想いを告げることが出来ません」

デボラ
「はぁ? 自業自得でしょ!? さっきから何が言いたい訳!? ワタクシを辱めたいの!?」

ピーター
「自業自得ではありません! お嬢様にあんな風にのしかかられて、正気でいられる者は男ではありません!」

アンジェリカ
「めっちゃ分かる!」

デボラ
「アンジェリカ! アンタは黙ってて!」

ピーター
「愛しております」

デボラ
「は!?」

ピーター
「ですから、申し上げたいことを申し上げました。愛しております。この命が惜しくない程に!」

 デボラは真っ赤になって叫んだ。

デボラ
「何で笑ってるのよ! 泣きなさいよ! 謝って! 泣いて許しを乞いなさい! 死にたくないと言いなさい!」

 ピーターはそれでも笑っていた。

ピーター
「お嬢様が許して下さっても、私の死刑は覆す事は出来ないでしょう? お嬢様こそ私に謝って下さい。お嬢様のために死ななくてはいけないのですから」

デボラ
「許さない...絶対に許さない! 謝ったりなんかしないんだから! 死んだら絶対に許さない!」

 デボラは真っ赤な顔をさらに真っ赤にして叫んだ。大粒の涙を流しながら。
しおりを挟む
感想 110

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

困りました。縦ロールにさよならしたら、逆ハーになりそうです。

新 星緒
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢アニエス(悪質ストーカー)に転生したと気づいたけれど、心配ないよね。だってフラグ折りまくってハピエンが定番だもの。 趣味の悪い縦ロールはやめて性格改善して、ストーカーしなければ楽勝楽勝! ……って、あれ? 楽勝ではあるけれど、なんだか思っていたのとは違うような。 想定外の逆ハーレムを解消するため、イケメンモブの大公令息リュシアンと協力関係を結んでみた。だけどリュシアンは、「惚れた」と言ったり「からかっただけ」と言ったり、意地悪ばかり。嫌なヤツ! でも実はリュシアンは訳ありらしく…… (第18回恋愛大賞で奨励賞をいただきました。応援してくださった皆様、ありがとうございました!)

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

処理中です...