虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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二章 穢れの少女

残された者達の心

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※主人公視点ではありません

———————————


———時間は少し遡り、レオン達が旅立った後のマルゲリータの町では混乱が生じていた。そしてある一人の少女は誰もいない道を歩き、詰まらなそうにしていた

「———はぁ~あ、レオン昨日はすぐ家に引き籠っちゃった‥‥。今日という今日は無理やり外に出して”Cランクのこの私がレオンを鍛えてあげなきゃ!」

少女こと、アザレアはレオンの家にただいま向かっている最中だった。
呑気に鼻歌を歌いながら歩く彼女は数分もすればレオンの家の前に到着していた

「レオーン!出て来なさ~い‥‥‥‥?ちょっと~!開けなさいよ!」

激しく扉を何度も叩くが反応が全くない

「ねえ?冗談はいいから!」

アザレアは何度も何度もレオンを呼ぶが反応が返ってこない

「‥‥‥もしかして!そんな!?嘘よ‥‥!」

アザレアは扉を勢いよく殴り、壊した。中に入るが不気味な程に静かな空間が広がり、部屋中を見渡すがレオンらしき人物は見当たらない。
恐る恐るリビングのソファーに移動するとソファーの上に一枚の紙切れが置いてあった。その紙切れを取るとある文字が書いてあるのに気づく

「ん~‥‥‥『学園でまた会おう』え?!」

アザレアは意味が分からずその場で混乱し取り乱していた

(なぜ?どこに行ったの?嘘よ‥‥)

「‥‥ッ!みんなに知らせなきゃ!もう、何のよ!!!!馬鹿‥‥」

アザレアは紙を片手に持ってレオンの家を飛び出し、町の中央広場まで走る
涙を腕で拭いながらただひたすらに走り抜けた


◊◊◊


「アザレアちゃん!本当かい!?あのレオンが居なくなったて?!」

「どういうことだ!?なんで町のみんなに相談もなしに!」

町の大人達の反応は信じられないと言った表情で何度もアザレアに確認する

「おい、レオンどうしたというんだ」

「レオン君が行方不明なんて、そんな‥‥」

「レオン‥‥」

広場にいる同年代の子供達でさえ驚きを隠せない顔をしている。そんな中アザレアはソファーに置いてあった紙をみんなに見せた

「ソファーにこの紙が‥‥‥」

その紙を見た瞬間に冗談ではないと気付き始める大人達と同級生達

「なんて事‥‥‥」

「くそッ‥‥!」

その後皆が広場に集まっていると町の長が話を聞きつけ駆けつける

「おいおい‥‥なんだこの紙は‥‥…」

町の長がアザレアの近くまで駆けつけると持っていた紙を見つけ、じっくりと読み込んだ

「なるほどな、学院で会おうなんて男らしいじゃねーか。なあおい?あいつもあいつなりにこの5年間考えていたんだろうよ」

「そんな!レオンは親を殺されて‥‥!」

アザレアは悔しそうな表情をし町の長にあたる。そんなアザレアを見た町の長は頭に手を置き優しく撫でた

「あいつなら大丈夫だろ。レオンを信じてやれ?男はな、いつの間にか大人になって成長して帰ってくるもんだ」

町の長はアザレアに、皆に心配するなと言う。それでもアザレアは心配だった

「でもッ!レオンはまだ試験も受けていないし、それに‥‥魔獣に食べられてしまっているんじゃ?!」

再度混乱しているアザレアに町の長は優しく話しかける

「アザレア嬢ちゃん‥‥もう行っちまった者は連れ戻せねー。せめてあいつが帰ってこれる環境を整えな。あいつが学園で会おうって言うならそれまで嬢ちゃん達は魔法と剣技の腕を鍛えておきな。レオンのガキを驚かせてやりな、な?」

「‥‥親父の言う通り。俺たちはただ待とう。そして俺たちが強くなったとこを間近で見せつけようぜ!」

同年代のワルドスはアザレアを元気づける為に頑張って説得する。 
するとアザレアはなんとか冷静になり、雲が一切無い快晴の空に向けて叫んだ

「わかったわ5年後学院で‥‥レオンッ!絶対に来なさいよ!待ってるからッ!」

と丁度その時、人族魔法剣士軍が、魔装車に乗って町の広場に到着した。ゾロゾロと魔装車から降りてくる軍人達を見て町の長は何事かと言葉を投げかける

「‥‥どうしたのですか?軍の皆さん、もう亀裂を修復されたのですかな?」

町の長が派遣された軍のリーダー‥‥ディア・ロンバルに話しかける。しかしディアの方は罰が悪そうな表情を見せ予想外の言葉を並べる

「確かに亀裂は修復、完治しました。しかし、我々は何一つ‥‥関わっていないのです」

「ど、どう言う意味ですかな?」

ディアは手を強く握り締め、歯を強く噛みしめながらありのままを答えた

「‥‥ある二人組が夜番、我々の野営地に襲来しました。その者は化け物じみた力で私を圧倒し、亀裂に用事があると言うと亀裂に近づいていきなんと可視化できる魔力ヴィズアリタを周辺に漂わせ亀裂が徐々に消えていきました。その後、彼らはすぐに去って行きましたが‥‥‥我々はただ観ていることしかできませんでした‥‥‥」

「‥‥!そんなことが!?お怪我はありませんか?」

「生憎、擦り傷一つも我々にはありません‥‥」

ディアは軍が何もできなかったこと、自信があの者の前では無力でしかなかったことをずっと悔いている。そんな彼女に町の長と大人達、そしてアザレア達はただ話を聞く事しかできなかった。

「軍の秘密事項に差し支えなければ一つ質問いいですかな?」

町の長は恐る恐るディアに尋ねる。

「答えられる範囲ならばなんでも話すと誓いましょう」

「感謝します‥‥その者達とはどういった人物でしたか?」

町の皆が聞きたかった質問を長が代表して聞く。

「‥‥…彼らは見た目と背丈からして、男女の『子供』でした‥‥マスクで素顔は確認できませんでしたが‥‥‥信じてもらえるとは思っていません、私も信じたくはないのです。あの魔力、魔法が子供の枠を逸脱しています。正真正銘の化け物でした」

「まさか‥‥そんなことが‥‥それほどなのですか‥‥」

「はい‥‥可視化できる魔力ヴィズアリタなど世界の上位5名選ばれし者セレツィナートにしかできぬ御技」


———この話を傍で聞いていたアザレアは少し違和感を感じていた。レオンが町を飛び出したのと、亀裂の完治がどうも重なる。時系列も昨日の夜にレオンが居なくなったのと妙に被っている。しかし、今まで観てきたレオンとディアの言っている子供が全く似ても似つかない。

それに『男女』と言っていた。アザレアはあり得ないと思い込むがどうも違和感を隠せなかった。このことを思っていたのはアザレアだけではなく、同年代のベラ、カメリア、ワルドス達もまた同じ考えをしていた。 

「「レオン‥‥一体あなたは『お前は』」」
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