虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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二章 会談と予兆

各国の王達 Ⅳ

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そして場面は未開の地、浮遊島に変わる

浮遊島はこの広大な大陸の中心に位置し、上空3000mほどの高さに存在する
また浮遊島の真下には湖が存在し、その面積や形はまるで浮遊島から模られたかのように見える

そしてこの浮遊島を行き来する手段は魔法エレベーターである。各国の湖の港に建設された魔法エレベーターは特殊な構造をしており、普通なら円盤上の上に乗るだけだが浮遊島に行き来する

しかし、風や雨、雹などに襲われるため箱型の魔法エレベーターに改良されている。また湖の港は大変賑わっており、広大な湖は第二の海とも言われ、漁業が盛んである

国内の観光スポットとしても人気を誇り、貴重な魚料理やダイビング、高級ホテルなどに泊まり人気が後を耐えない

そして湖と同じ面積を誇る浮遊島には誰が住んでいるのか? 

無論、天族が5000年前から住み続けている

天族は元々地上で暮らしていたが、5000年前の大戦により天族の国全土が宙に浮き現在では浮遊島になってしまった
そんな歴史を持つ浮遊島に住む天族は、背中に純白の翼を生やし金色の髪を靡かせる美しい種族である。天族が住む浮遊島は自然が蔓延り、浮遊島であるはずが、川が流れ湖など存在する

また浮遊島の大陸には天族が築いた都市が存在し、名を空中都市エーテルと呼ぶ

地上の国の首都や王都などとあまり変わりないが、まるで空にいるような風景は地上に住む人々にとって新鮮かつ幻想的に映り、不思議な体験を味わえると人気である

そんな空中都市エーテルの端に佇む、一際目立つ大きな建物が存在する。
純白な外壁を纏い、雲と重なる程に高く聳える建物‥‥それは権力者や統治者のような身分の高い者が住まいし王の城

そんな王城の一角、玉座の間にて四人の人影があり、うち一人は玉座に腰を据え、うち3人は玉座に座る人物にひれ伏していた

平伏す3人のうちの一人が火口を切り出す

「———“ミカエル”様、地上に降りる準備が整いました」

「ええ。ありがとう、ガブリエル」

ミカエルと言う玉座に鎮座する女性は発言したガブリエルと言う男性に向かって口元を上げて微笑み返す

玉座に鎮座する天族の女性はこの浮遊島、空中都市エーテルの真の王である。純白の翼を生やし、金色の髪を伸ばし、青い瞳を宿らせる天族の王ミカエル
浮遊島の最高司令官にして天族長を務め、天族の頂点に立つこのミカエルは年齢にして300歳を上るが、とても若々しく二十代にしか見えない

天族は他の種族に比べ寿命が10倍に長い。地上での10歳ならこの浮遊島においては100歳ほどになるが、地上と浮遊島での差なために10歳の地上と100歳の浮遊島に暮らすものは同じ頭脳や知識ではない。あくまで寿命が長いと言うだけである

「———ところで今回もガブリエルにラファエルとウリエルも同行ですよね」

「「「はい。同行いたします」」」

3人は一糸乱れぬ動作で同時に言葉を発し、王ミカエルはその3人を母のような眼差しで捉える。
この空中都市エーテルにおいては軍が存在せず、代わりに空を守護する番人として存在している。その中でも3人と王ミカエルは天族の中でも頂上に位置する高位の存在であり、四大天族と言われる。最強の守護者であり、天上の番人でもある四大天族

四大天族は神に最も近い存在と言われ、地上の人々や同族にさえ崇められてきた

そんな四大天族を統べる王ミカエルは天変地異などの厄災には非常に敏感であったために、次第に予知ができるようになっていた

子を見守る母親のような瞳を向けていた王ミカエルの表情は次第に雲行きが怪しくなり、透き通る声の質も変わっていく

「そう、ありがとう。————今年は、何か胸騒ぎがします。この四年のうちに“二度も厄災の片鱗を捉えては強大すぎる魔力が地上で犇めき合っています‥‥そして今回の五種族会談。我々の、天族の管轄外で何かが起きようとしているかもしれません。厳重に警戒を御願い致します」

王ミカエルが言う二度もの厄災の片鱗とはレオンが放った魔法の事である。空を管轄する天属にとっては無視できぬ空間の歪みが生じ、2年前は調査に大忙しだった王ミカエル

しかし、原因が一才解明されず途方に暮れていた。そして王ミカエルが感じる胸騒ぎ

それは現実になるのか、それとも杞憂に終わるのかはまだ現時点ではわからない。もし、王ミカエルが予知した時にはすでに手遅れなのか、あるいは未来が変動するのかまだ誰も知らない‥‥
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