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学園都市編 青年期 一章 学園
動き出す組織
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「なあなあ!レオンって言うんだろう?!さっきの剣技凄かったぜっ!」
「ああ!心から痺れたぜブラザー!お前が本当に魔力測定で過去最低値の1000を叩き出したやつとは思えないぜ!」
「あの王女様も度肝抜かれていたしよ!レオンって一体何者なんだ?!」
———俺は今、教室にてAクラスの男子に詰め寄られている状況にいる。数人の男子に周囲を取り込まれ質問攻めと称賛を送ってくれて嬉しいのだが‥‥お前ら距離が近いなっ!目を輝かせて来て俺はお宝ではないぞ
まあ、何故こうも男子達から詰め寄られているのかというと2学年専用練習場で行われた俺とレオナルドの模擬試合での事だ。数刻前の模擬試合にて俺はレオナルドの最上級魔法を打ち破り勝利を収めた。あの時の‥‥先生を含めたAクラスの驚いた顔は見ていて面白かったな
後は人族の王族であるヴァレンチーナ先輩には‥‥‥
『私と一戦交えましょう?!それとその刀を拝見しても!』などとその場でグイグイと詰め寄られたのだが、丁度よく鐘が鳴りオリエンテーションが終了した。
鐘を聴いたヴァレンチーナ先輩は『残念‥‥』と言って渋々帰っていってしまった。そして例のレオナルドはまたも気絶してしまい、今は医療施設のベッドの上で眠っているだろう。
そんなことがあり、今はこの状況である。取り敢えず詰め寄る男子達の距離が近くて引いてしまうのだが、適当にあしらうか‥‥
「‥‥‥ハ、ハハハありがとう」
と言ってみたものの一向に引こうとしないな‥‥
そういえばファシーノは‥‥‥
「ファシーノさんってとっても綺麗ね~!スタイルも良くて羨ましいわ!」
「艶のある髪質と透き通る白いお肌‥‥ズバリ美容に気をつけていることは?!」
「はいはい!レオン君とはどういったご関係で!?」
どうやらファシーノの方も質問攻めをされている。大丈夫だろうかと心配してみたが杞憂で終わりそうだな‥‥
「———ふふふ、美容には睡眠と食事かしら?ある人に我慢は良くないと言われてね。あとはそうね、レオンとの関係はひ・み・つ・よ?」
「「「キャァッ~~!!」」」
隣では女子達の悲鳴が聞こえてくる。女子達の反応を窺うにファシーノが何か言ったのだろう。顔を真っ赤にしては女子達の間で何か言い合っているのだがあまり詮索はしないでおこう‥‥聞いても何もできないしな‥‥
ファシーノさん‥‥俺を男子の敵にしないでくれよ‥‥
———女子達の楽しげな会話が聞こえる中、教室に戻ってきたウルティア先生は全体を見渡し確認した後、Aクラスに号令をかけた
「はーい!みんな静かにしてねっ?オリエンテーションの後は今後について説明するわよ」
◊◊◊
「ふぅ‥‥これで全部だな。引越しは体力を使ってしょうがない。それにしても広くていい部屋だ」
ということでウルティア先生の話が終わったAクラスは寮生活の説明を受けて解散となり、今は寮に荷物を運び終わったところだ。1学年寮は男女別々なため途中でファシーノと別れてしまった。
共に男子寮と女子寮の建物の作りは似ている。一階はリビング兼エントランスになり2階からクラス毎に別れ、勿論最上階はSクラスである。1フロアに300人程が個室な為この寮は30階建てである。
また女子寮は24時間警備で、常に周辺を警備隊が徘徊している。それも超厳重だ。女子寮の敷地に入るためには学園序列が記載されているカードを見せ、性別を確認する。一大事な用が無い限り男子が女子寮に近づくことは不可能。塀を飛び越えようが、地面に洞窟を掘ろうが警備隊が常に監視の目を光らせている。
本当、男子達の夢を壊しに来ているな!チクショ—‥‥‥
っといけない、荷物を運んで少々血が昇ってしまったな。
それと食事、朝食と夕食についてはレストランで取るとの事。寮には食事をするとこはなく部屋にキッチンがある程度。またレストランは全学年、食事が取れる程に大きいと噂だ。全学年合わせておよそ3万人の生徒が入れると言うことは相当なのだろう‥‥
一体どんな食事にありつけるのか楽しみでしょうがないなっ!
そう考えていたら窓の外は日が落ち暗くなっていた。随分と引っ越しに時間が掛かったらしい
「———外の空気でも吸うか」
俺は窓の取手を掴み内側に引いた。この窓は人が余裕で通れる程に大きく、窓から余裕で侵入できてしまう。夜の涼しい風が心地よく、いつまでも外を眺めていたい程だ。俺がいる29階からの景色はこの学園地区のほんの一部を見下ろせる。
最奥には光が密集している箇所がちらほら見えるがあれは他の地区の明かりだろう。
空に浮かぶ星を眺めながら、俺は紅茶を淹れて一息する。ほんのりと甘い紅茶は体に染み渡り、疲れを癒してくれる。そんな時、風が一瞬強く吹き荒れ部屋の中を掻き乱した。
風が止むと、俺は紅茶のカップを机に置き窓の外を眺め————
「———何かあったか?」
何もない空に向かって声をかけるが勿論、空には誰もいない。俺が声をかけたのは部屋にいるはずのない“彼女”に対してである。黒い衣を纏いて同色の仮面を被る赤髪の”彼女”は跪く形のまま微動だにせず暗い部屋の中で声を発した。
「———はっネロ様、お伝え致します。学園都市にてある不審な動きを感知しました。デリカート様が直々に調査をし浮き彫りになったのが‥‥‥“バラトロ”の情報です」
「———ほう、バラトロがようやく動き出したか」
俺は空を眺めながら息を吐くように答えた。そして“彼女”からはさらにバラトロの情報が伝えられる。
「———また、2年前の事件にてネロ様が倒したと思われていた例の男も生きております」
「———!セレスか?そうか、生きていたか。しぶとい奴だな。だが無傷ではないのだろう?」
「———はい。デリカート様率いる隠密部隊からの報告によりますと、肢体はほとんど残っていないとの事です。右半身はネロ様の魔法によって失われた、と。そしてそのセレスがいる居場所も確認いたしました」
「———本当か?よく見つけた”ヴィーナス”。一体奴はどこに隠れている?」
俺は後ろに振り返りヴィーナスにセレスの居場所を問いかける。薄暗い部屋の中で跪いたままのヴィーナスから伝えられた報告。それは俺の予想を上回っていたものだった———
「———セレスは現在、学園都市の地下深く。囚人を捕らえる牢獄のさらに最下層にいます。あの事件後、軍に捕縛され身柄を拘束されたセレスは今も情報を吐かず、鎖に繋がれ拷問の日々と‥‥」
———セレス、なんて生命力だ。生きていると言うよりもなんとか命を繋いでいるといべきか。また厄介な事だ。まさか軍に捕まり、この学園都市の地下にいると言うのだから。拷問をされ口を割らず、か。
口を割ろうがどうせ死は免れないだろう。それにバラトロはこの事を知っているもののわざと泳がしていたのか? だとするならばバラトロの次の目的はセレスなのか? いいや、バラトロが仲間を助けるために動くとは考えにくい‥‥
情報がまだ少ないな
「———あ、あのネロ様?」
俺は考えに老け込んでいた時、心配そうにこちらを見つめるヴィーナス。
どうやら俺の返事がなく困っていたのだろう。その困った仕草も男の心にとても響いてしまう。流石に無視し続けるのは可哀想になってきたのでやめようか
「———すまないヴィーナス。少し考えてね。それに君の困った仕草は可愛いよ。いつもクールなヴィーナスがこんな一面も見せるのかと思ってしまってね」
「わ、私はっ!私は‥‥‥誰よりもネロ様の事を想っておりますっ!この胸の中に流れる魔力がネロ様と私を繋ぐ‥‥‥私はネロ様が望むのなら‥‥!」
と言うヴィーナスの耳が少し赤く染まっていたのを俺は見逃さなかった。
「———ありがとうヴィーナス。これからまた忙しくなりそうだな」
「ああ!心から痺れたぜブラザー!お前が本当に魔力測定で過去最低値の1000を叩き出したやつとは思えないぜ!」
「あの王女様も度肝抜かれていたしよ!レオンって一体何者なんだ?!」
———俺は今、教室にてAクラスの男子に詰め寄られている状況にいる。数人の男子に周囲を取り込まれ質問攻めと称賛を送ってくれて嬉しいのだが‥‥お前ら距離が近いなっ!目を輝かせて来て俺はお宝ではないぞ
まあ、何故こうも男子達から詰め寄られているのかというと2学年専用練習場で行われた俺とレオナルドの模擬試合での事だ。数刻前の模擬試合にて俺はレオナルドの最上級魔法を打ち破り勝利を収めた。あの時の‥‥先生を含めたAクラスの驚いた顔は見ていて面白かったな
後は人族の王族であるヴァレンチーナ先輩には‥‥‥
『私と一戦交えましょう?!それとその刀を拝見しても!』などとその場でグイグイと詰め寄られたのだが、丁度よく鐘が鳴りオリエンテーションが終了した。
鐘を聴いたヴァレンチーナ先輩は『残念‥‥』と言って渋々帰っていってしまった。そして例のレオナルドはまたも気絶してしまい、今は医療施設のベッドの上で眠っているだろう。
そんなことがあり、今はこの状況である。取り敢えず詰め寄る男子達の距離が近くて引いてしまうのだが、適当にあしらうか‥‥
「‥‥‥ハ、ハハハありがとう」
と言ってみたものの一向に引こうとしないな‥‥
そういえばファシーノは‥‥‥
「ファシーノさんってとっても綺麗ね~!スタイルも良くて羨ましいわ!」
「艶のある髪質と透き通る白いお肌‥‥ズバリ美容に気をつけていることは?!」
「はいはい!レオン君とはどういったご関係で!?」
どうやらファシーノの方も質問攻めをされている。大丈夫だろうかと心配してみたが杞憂で終わりそうだな‥‥
「———ふふふ、美容には睡眠と食事かしら?ある人に我慢は良くないと言われてね。あとはそうね、レオンとの関係はひ・み・つ・よ?」
「「「キャァッ~~!!」」」
隣では女子達の悲鳴が聞こえてくる。女子達の反応を窺うにファシーノが何か言ったのだろう。顔を真っ赤にしては女子達の間で何か言い合っているのだがあまり詮索はしないでおこう‥‥聞いても何もできないしな‥‥
ファシーノさん‥‥俺を男子の敵にしないでくれよ‥‥
———女子達の楽しげな会話が聞こえる中、教室に戻ってきたウルティア先生は全体を見渡し確認した後、Aクラスに号令をかけた
「はーい!みんな静かにしてねっ?オリエンテーションの後は今後について説明するわよ」
◊◊◊
「ふぅ‥‥これで全部だな。引越しは体力を使ってしょうがない。それにしても広くていい部屋だ」
ということでウルティア先生の話が終わったAクラスは寮生活の説明を受けて解散となり、今は寮に荷物を運び終わったところだ。1学年寮は男女別々なため途中でファシーノと別れてしまった。
共に男子寮と女子寮の建物の作りは似ている。一階はリビング兼エントランスになり2階からクラス毎に別れ、勿論最上階はSクラスである。1フロアに300人程が個室な為この寮は30階建てである。
また女子寮は24時間警備で、常に周辺を警備隊が徘徊している。それも超厳重だ。女子寮の敷地に入るためには学園序列が記載されているカードを見せ、性別を確認する。一大事な用が無い限り男子が女子寮に近づくことは不可能。塀を飛び越えようが、地面に洞窟を掘ろうが警備隊が常に監視の目を光らせている。
本当、男子達の夢を壊しに来ているな!チクショ—‥‥‥
っといけない、荷物を運んで少々血が昇ってしまったな。
それと食事、朝食と夕食についてはレストランで取るとの事。寮には食事をするとこはなく部屋にキッチンがある程度。またレストランは全学年、食事が取れる程に大きいと噂だ。全学年合わせておよそ3万人の生徒が入れると言うことは相当なのだろう‥‥
一体どんな食事にありつけるのか楽しみでしょうがないなっ!
そう考えていたら窓の外は日が落ち暗くなっていた。随分と引っ越しに時間が掛かったらしい
「———外の空気でも吸うか」
俺は窓の取手を掴み内側に引いた。この窓は人が余裕で通れる程に大きく、窓から余裕で侵入できてしまう。夜の涼しい風が心地よく、いつまでも外を眺めていたい程だ。俺がいる29階からの景色はこの学園地区のほんの一部を見下ろせる。
最奥には光が密集している箇所がちらほら見えるがあれは他の地区の明かりだろう。
空に浮かぶ星を眺めながら、俺は紅茶を淹れて一息する。ほんのりと甘い紅茶は体に染み渡り、疲れを癒してくれる。そんな時、風が一瞬強く吹き荒れ部屋の中を掻き乱した。
風が止むと、俺は紅茶のカップを机に置き窓の外を眺め————
「———何かあったか?」
何もない空に向かって声をかけるが勿論、空には誰もいない。俺が声をかけたのは部屋にいるはずのない“彼女”に対してである。黒い衣を纏いて同色の仮面を被る赤髪の”彼女”は跪く形のまま微動だにせず暗い部屋の中で声を発した。
「———はっネロ様、お伝え致します。学園都市にてある不審な動きを感知しました。デリカート様が直々に調査をし浮き彫りになったのが‥‥‥“バラトロ”の情報です」
「———ほう、バラトロがようやく動き出したか」
俺は空を眺めながら息を吐くように答えた。そして“彼女”からはさらにバラトロの情報が伝えられる。
「———また、2年前の事件にてネロ様が倒したと思われていた例の男も生きております」
「———!セレスか?そうか、生きていたか。しぶとい奴だな。だが無傷ではないのだろう?」
「———はい。デリカート様率いる隠密部隊からの報告によりますと、肢体はほとんど残っていないとの事です。右半身はネロ様の魔法によって失われた、と。そしてそのセレスがいる居場所も確認いたしました」
「———本当か?よく見つけた”ヴィーナス”。一体奴はどこに隠れている?」
俺は後ろに振り返りヴィーナスにセレスの居場所を問いかける。薄暗い部屋の中で跪いたままのヴィーナスから伝えられた報告。それは俺の予想を上回っていたものだった———
「———セレスは現在、学園都市の地下深く。囚人を捕らえる牢獄のさらに最下層にいます。あの事件後、軍に捕縛され身柄を拘束されたセレスは今も情報を吐かず、鎖に繋がれ拷問の日々と‥‥」
———セレス、なんて生命力だ。生きていると言うよりもなんとか命を繋いでいるといべきか。また厄介な事だ。まさか軍に捕まり、この学園都市の地下にいると言うのだから。拷問をされ口を割らず、か。
口を割ろうがどうせ死は免れないだろう。それにバラトロはこの事を知っているもののわざと泳がしていたのか? だとするならばバラトロの次の目的はセレスなのか? いいや、バラトロが仲間を助けるために動くとは考えにくい‥‥
情報がまだ少ないな
「———あ、あのネロ様?」
俺は考えに老け込んでいた時、心配そうにこちらを見つめるヴィーナス。
どうやら俺の返事がなく困っていたのだろう。その困った仕草も男の心にとても響いてしまう。流石に無視し続けるのは可哀想になってきたのでやめようか
「———すまないヴィーナス。少し考えてね。それに君の困った仕草は可愛いよ。いつもクールなヴィーナスがこんな一面も見せるのかと思ってしまってね」
「わ、私はっ!私は‥‥‥誰よりもネロ様の事を想っておりますっ!この胸の中に流れる魔力がネロ様と私を繋ぐ‥‥‥私はネロ様が望むのなら‥‥!」
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