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第一章
10.「此処まで来ると最早何でも有りな気がして来た。」
しおりを挟む「それじゃあ、その属性から説明するよ。」
この世界には魔法が存在する。それは神様であるラツリューン様も言っていた事と相違無い。
主要なのは3つ。火(赤)、水(青)、土(黄)で所謂美術とかで原色と呼ばれるもの。この3色でどの色も作れると言われている。
この世界の魔法も同じでこの原色3つは全員が持っているが其処から発展させるのはその人の実力次第となっている。マリはまだ原色1色しか試していないので発展できるかまだ分からないのだが。
そして、3色で作れない特殊なモノは無(無色)とされて、これは個人の魔法と呼ばれその人独自の魔法になる。ある時、何を使えるのかがパッと思い浮かぶ魔法と言われて発展でどうにかなるものではない。
他にも原色に囚われない魔法の取得者もいるのだがそれは後に語ることにする。
「先ずはこの3つを使える様にしなきゃいけない。」
因みにだがこの知識をマリが知っていたのは先程神様と会った時にいつの間にか『アイテムボックス』に〝初めてでも分かる!! 魔法の知識~初級編~〟という題の本が追加されていたのでその本を見ながら説明して自分もひっそりと勉強していた。因みにめっちゃ分かり易く書かれている。二人に教えている途中に『水魔法』を使った事を思い出して「いきなり風とか試さなくてよかった」とか思い安堵していた。
「で、この魔法の発動はそのものをイメージする事なんだ。でも、この発動方法は誰にも、勿論リジンさんにも秘密にしてくれ。」
「「女将さんにも駄目なのー?」」
「だって、」
マリは言葉に詰まる。この方法が異端だからと子供に説明できる訳もなく。本来は詠唱を必要とするものと書いてあったからだ。そこでマリが考え出した答えは、
「どうやって強くなったか秘密にしたいと思わないのか? 吃驚させたいだろう?」
「ちょっと無理があったか」と次にどんなことを言うべきか悩んでいるとリンとジンがその前に答えた。
「「女将さんビックリさせる! だから秘密なの!!」」
「そう、ここだけの秘密。」
何とか納得させられたことに息を吐く。日本にいた時は子供は苦手だったのでどう対処していいか分からない事が多く苦労した事を思い出したマリはまた同じ苦労を背負っている事に考え込む。
「マーリさん、」
「どうしましたー?」
考え込んでいたせいでリンとジンに話し掛けられ、我に返るマリは咳払いを一つして話の続きをする。
「それじゃあ、魔法を使ってみよう。」
マリ自身も『水魔法』以外は使った事が無いので初挑戦となる訳だが今身近に在り最も想像しやすい『土魔法』の取得を目指す事にした。だが、具体的に〝土〟とはどうすれば良いのかという点で悩んでいたマリだったが嬉しさで声を上げる二人が手の平から生み出し続けている土を見て驚く。
「わーい!」
「出来たよー!」
「......。」
「「マーリさん?」」
「二人は何を想像したんだ?」
「うーん、普通にこの地面の土を見て触ってたら出来てましたー。」
「そんな簡単に....」と戦慄していたがマリ自身も出来ないと発展させる基盤が出来ないので二人を真似して地面を触りながら考える。
が、マリはそう簡単に上手く行かず行き詰っていた。リンとジンの二人はキャッキャッと声を上げながら〝水〟と〝火〟を試していてどちらも直ぐに出来ていた。見ていても出来る訳では無いのでマリは目を瞑り他の事を考える事にした。〝土〟といっても色々な種類がある。
---自分が最も想像しやすいのは.......。
「わー!」
「さらさらー!」
「?」
その声でマリは目を開けると自分の手から零れ落ち続けているのが〝砂〟という事に気付いた。魔法の元は〝土〟と言われているので『土魔法』の習得はまだ難しいかと諦めかけていた。
すると最初こそ五月蝿かったレベルアップの音、新しいスキルの獲得音が前より若干静かに頭に鳴り響き、半信半疑でマリは『ステータス』を表示させた。
~~~~~
マーリ=ユズリ(マリ=ユズキリー) 17歳 女 獣人
レベル2
スキル
・『アイテムボックス』
・『鑑定』、『隠蔽』、『偽装』
・『水魔法』
・『土魔法』〈NEW〉
・『算術』
特殊スキル
・言語理解
・不老不死
・ラツリューンの加護
新たに『土魔法』を習得しました。
~~~~~
「いや、今の砂ですけど。」という突っ込みを思わず口にしそうなところでリンとジンにじっと見つめられている事に気付く。間一髪、心の中で留めたマリは習得した安心感か、はたまたセルフ突っ込みを何とか留めたからなのか独り言をぼやく。
「....此処まで来ると最早何でも有りな気がして来た。」
「マーリさん?」
「大丈夫ですか?」
「え、ああ。大丈夫だ。」
「こんな予想外でスキルが取れてしまった事以外は」とひっそりと心の中で付け加えながら、リンとジンの二人の様に土を出せなかった事にこれまた心の中で涙を流したのだった。
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