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さまーばけぃしょんが始まりまする
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この手首の傷はつい最近つけたものだった。
生徒会室のソファーでひとり物思いにふける。
世間一般でリストカットと言われる自傷行為をよくしてしまう。ストレスが強く発生した時、精神が不安定の時、まあ死を感じたい時、とか。
いつもは腐男子としてチャラ男会計を演じていたり、萌えを捜索、観察したりして何ともないように見せてはいるが、自分の精神が薄氷の上に乗っかっているようなものなのはよくわかっている。
傷をつけたのは何時だったか、よく覚えていない。前からそうだったが、自傷行為する時の精神状態は正常なものではないからいつも気づいたら傷が出来ていた、という風になる。
現状、まともな精神だったら、多重人格なんてならないはずなので当たり前のことなのだが。
俺の身体は普通のホモサピエンスではないので通常では体に残るような傷といった傷などは長く残らないのだが、それでも治るまでの時間はかかったりする。この傷の具合ならまあまあ深く切っていたが精々一週間ちょっとぐらいだろう。この傷をつけたのは三日前、気づいたら手に包丁を持って切っているところだった。危ない。料理している時だったんだが、火事になりそうで怖い。
その日からバレないようにカーディガンも着込んだが無駄となってしまった。
少なくとも見てしまった彼らは気にするようになるだろう。俺の評価には自傷行為をする人、とつくようになったであろう。ああいやだ。せっかく普通に見えるようにしていたのに。
「あれ?」
やってしまった。
「あー、掃除しなきゃいけねぇな。めんどくせぇ」
血が腕から零れ落ちて、テーブルを汚していた。手には何も持っていないけれど、爪が真っ赤に染まっているから引っ掻かいてしまったのだろう。大体何も持っていないとこうなる。過去に五回はやったはず。
掃除をしなきゃ、とは言ったものの何もする気が起きなかった。このまま消えてなくなりたい。俺がいたという証をすべて消し去って、
消し去って?
どうでもいっか。俺が死ぬことはない、出来ないし、現にこの部屋の窓から飛び降りてもどこかは犠牲にしたって死ぬことは出来ない。いずれにしても最後は綺麗に元通りになる。心臓を突いたって、脳を潰したって、内臓を全部取り外したって、まあ痛いには痛いけど。俺の器が壊れなければ意味がないんだ。
「あはは」
本当に俺はどうしたいのだろうか、なにがしたいのだろうか
どうせ、どうせ―――
「馬鹿みたい」
―――抗うことなんて出来ないのに
「椿?……って、何をやっているんだ!」
あるはずのない、俺以外の声が聞こえた
そこにはもう帰ったはずの会長がいた。俺の手元を見て、血を見て焦って走り寄ってきた。
俺はなにもしない。ただ見るだけ
会長は棚から設備されていた救急箱を持ってきて血を拭い取り消毒をする。そして丁寧に包帯を巻いてった。テーブルに広がった血を拭って、救急箱を片づけた。
「ふう……」
何も言わない。何かを言おうとしてもどうすればいいかなんて、わからない。
「いつも、こんなことをやっているのか?」
「ああ」
これからのことを考えるとその返答は駄目だろうが気がついたら答えていた。
今はどう動けばいいかわからない。でも、問いには答えられる。
答えた瞬間、会長の眉間のしわがさらに深くなった。
「今はリストカットだけだけど、前は首にも傷をつけたり絞めたり、体にもつけたりしてた。まあ首はこのファッションじゃすぐ見えるからやめたけど」
俺はそのまま零れ落ちていく言葉を堰き止めることが出来なかった。
どうせ死なないんだから、手首も首も変わらない。
「もう、やめろ。そんなことやったって」
「やったってなに?そんなことってなに?何も知りも分かりもしないのに?会長は俺の何を知ってんの?俺の何を理解してんの?なぜこんな行動をとるのか、取らなければいけないのか、なにも…知らないだろ?」
「……ッ、そう、だな」
「俺は好きでやってんの、こうしなければ保てられないからやってんの。」
「……すまな」
「ああ、ごめん、こんな酷いこと言って。今の俺、ちょっとぐしゃぐしゃだから。ああ、もうわからない、わかんないよ」
「……椿?」
上手く考えられない、思考が纏まらない。だめだな、そろそろ人格を分けないと、崩壊する。
「会長」
「なんだ?」
「今あったことはすべて忘れて、全部、全部……忘れて」
「……」
「な?頼むよ」
「…わかった、俺は何も見なかった。」
「それでいい、これは俺個人の問題だからな。」
「……」
「……もう、帰るわ。会長もここでの用事が終わったら、すぐ帰れよ。結構遅い時間だからな」
背中に視線を感じながら俺は部屋を出た。
◇❖◇
「個人の問題、か……」
俺にも大樹たちにもあるようにそれぞれ闇を抱えている。今回、生徒会内で別れたのもそれがあったからだろう。だが椿が繋げてくれた。俺は何もできずに逃げたままだったが、椿はちゃんと向き合って、解消とは言わずも俺含めて救われた。
「今度は俺らの番だろう。……何も知りも分かりもしないのに、とりあえず調べてみるか。」
彼がどう、生きてきたのかを
彼はきっと知られたくないのだろう。彼自身の情報なんて少ししか知らない。こないだまで演技していたことを知らなかったぐらいだ。
自己満足と言われたらそうだと答えよう。知らないなんて言われたからには調べてやる。そして今度は助けてやるんだ。
だから待ってろよ、椿
生徒会室のソファーでひとり物思いにふける。
世間一般でリストカットと言われる自傷行為をよくしてしまう。ストレスが強く発生した時、精神が不安定の時、まあ死を感じたい時、とか。
いつもは腐男子としてチャラ男会計を演じていたり、萌えを捜索、観察したりして何ともないように見せてはいるが、自分の精神が薄氷の上に乗っかっているようなものなのはよくわかっている。
傷をつけたのは何時だったか、よく覚えていない。前からそうだったが、自傷行為する時の精神状態は正常なものではないからいつも気づいたら傷が出来ていた、という風になる。
現状、まともな精神だったら、多重人格なんてならないはずなので当たり前のことなのだが。
俺の身体は普通のホモサピエンスではないので通常では体に残るような傷といった傷などは長く残らないのだが、それでも治るまでの時間はかかったりする。この傷の具合ならまあまあ深く切っていたが精々一週間ちょっとぐらいだろう。この傷をつけたのは三日前、気づいたら手に包丁を持って切っているところだった。危ない。料理している時だったんだが、火事になりそうで怖い。
その日からバレないようにカーディガンも着込んだが無駄となってしまった。
少なくとも見てしまった彼らは気にするようになるだろう。俺の評価には自傷行為をする人、とつくようになったであろう。ああいやだ。せっかく普通に見えるようにしていたのに。
「あれ?」
やってしまった。
「あー、掃除しなきゃいけねぇな。めんどくせぇ」
血が腕から零れ落ちて、テーブルを汚していた。手には何も持っていないけれど、爪が真っ赤に染まっているから引っ掻かいてしまったのだろう。大体何も持っていないとこうなる。過去に五回はやったはず。
掃除をしなきゃ、とは言ったものの何もする気が起きなかった。このまま消えてなくなりたい。俺がいたという証をすべて消し去って、
消し去って?
どうでもいっか。俺が死ぬことはない、出来ないし、現にこの部屋の窓から飛び降りてもどこかは犠牲にしたって死ぬことは出来ない。いずれにしても最後は綺麗に元通りになる。心臓を突いたって、脳を潰したって、内臓を全部取り外したって、まあ痛いには痛いけど。俺の器が壊れなければ意味がないんだ。
「あはは」
本当に俺はどうしたいのだろうか、なにがしたいのだろうか
どうせ、どうせ―――
「馬鹿みたい」
―――抗うことなんて出来ないのに
「椿?……って、何をやっているんだ!」
あるはずのない、俺以外の声が聞こえた
そこにはもう帰ったはずの会長がいた。俺の手元を見て、血を見て焦って走り寄ってきた。
俺はなにもしない。ただ見るだけ
会長は棚から設備されていた救急箱を持ってきて血を拭い取り消毒をする。そして丁寧に包帯を巻いてった。テーブルに広がった血を拭って、救急箱を片づけた。
「ふう……」
何も言わない。何かを言おうとしてもどうすればいいかなんて、わからない。
「いつも、こんなことをやっているのか?」
「ああ」
これからのことを考えるとその返答は駄目だろうが気がついたら答えていた。
今はどう動けばいいかわからない。でも、問いには答えられる。
答えた瞬間、会長の眉間のしわがさらに深くなった。
「今はリストカットだけだけど、前は首にも傷をつけたり絞めたり、体にもつけたりしてた。まあ首はこのファッションじゃすぐ見えるからやめたけど」
俺はそのまま零れ落ちていく言葉を堰き止めることが出来なかった。
どうせ死なないんだから、手首も首も変わらない。
「もう、やめろ。そんなことやったって」
「やったってなに?そんなことってなに?何も知りも分かりもしないのに?会長は俺の何を知ってんの?俺の何を理解してんの?なぜこんな行動をとるのか、取らなければいけないのか、なにも…知らないだろ?」
「……ッ、そう、だな」
「俺は好きでやってんの、こうしなければ保てられないからやってんの。」
「……すまな」
「ああ、ごめん、こんな酷いこと言って。今の俺、ちょっとぐしゃぐしゃだから。ああ、もうわからない、わかんないよ」
「……椿?」
上手く考えられない、思考が纏まらない。だめだな、そろそろ人格を分けないと、崩壊する。
「会長」
「なんだ?」
「今あったことはすべて忘れて、全部、全部……忘れて」
「……」
「な?頼むよ」
「…わかった、俺は何も見なかった。」
「それでいい、これは俺個人の問題だからな。」
「……」
「……もう、帰るわ。会長もここでの用事が終わったら、すぐ帰れよ。結構遅い時間だからな」
背中に視線を感じながら俺は部屋を出た。
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「個人の問題、か……」
俺にも大樹たちにもあるようにそれぞれ闇を抱えている。今回、生徒会内で別れたのもそれがあったからだろう。だが椿が繋げてくれた。俺は何もできずに逃げたままだったが、椿はちゃんと向き合って、解消とは言わずも俺含めて救われた。
「今度は俺らの番だろう。……何も知りも分かりもしないのに、とりあえず調べてみるか。」
彼がどう、生きてきたのかを
彼はきっと知られたくないのだろう。彼自身の情報なんて少ししか知らない。こないだまで演技していたことを知らなかったぐらいだ。
自己満足と言われたらそうだと答えよう。知らないなんて言われたからには調べてやる。そして今度は助けてやるんだ。
だから待ってろよ、椿
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