229 / 280
告白
2
しおりを挟む
「それで、何の用なんだ…………?」
ついに来た。
俺はカップをテーブルに置いて姿勢を正す。そして一回深呼吸をした。
「椿が…何を抱えているのか、知りたいからだ」
普通は踏み込まないだろうがな―――
「だが、きくんだ。お前がどんな思いをして、どんな状況に身を置いているのか」
「…………」
口をうっすらと開けて俺を見つめる。何を考えているのか、わからない。
「だから、教えてくれないか。なにか、助けになれるかもしれない」
どうしてこんなに胸が痛むのだろうか。昼間も椿のことばかり気になって仕事もうまくできなかった。その答えを求めるためにも俺は椿にきく。
「たすけなんて…………なれるわけない」
返ってきたのは絶望と諦念に打ちひしがれた感情だった。力なく、零れたかのように出てきた言葉は椿の置かれた状況を痛いほど示していた。
それでもじっと見つめていると目が合い、椿は動揺したように体を揺らして目を下げた。
「…………わかったよ、教えてあげる。どうせ知っても意味ないものだと思うけどな…………」
そうやって語られたのは彼の異常性を示すもの。
「俺は、教団…………【白の祝福】にいたんだ…………それ以前の記憶はない。捨てたから…………」
捨てたとはなんだ、疑問に思ったがそれはひとまず置いておくことにした。
椿はあまり減っていないコーヒーを見たまま口を開く。
「俺は…な、そこで【白】をやっていたんだよ…………かいちょうはさ、この世ならざる者って、信じてるか……?」
その問いかけに俺はしばし腕を組んで考える。この世ならざる者…………
「信じてる…………と言えば嘘になっていただろう。だが、今は…………」
と、椿を見ると意外にしっかりと頷いた。
「いるんだよ…………特に、会長の家系は身近だな…」
「なぜ?」
「その会長の名前…龍って、名乗るのを許されているんだろ…………?しかも、わざわざお前の父親の夢にまで出てな」
…………神龍か。その存在を信じることができたのもあの合宿の肝試しの時からだった。それまでは、神龍について聞かされたりしたが御伽噺の域を出なかったから信じることもなかった。
「俺も、その類なんだよ。まあ、その役割から逃げたならず者だけどな」
皮肉気に言うが、その役割が今の椿を追い詰めている一因だろう。なぜだか、彼に雁字搦めに巻き付く白い鎖が見えた気がした。
「役割は…………」
―――ひトごロシ
「この世に巣食う害虫どもを潰し、花に昇華させ、浄化する。そうして世界を白く、清く変えて浄化するんだ」
だから、ごめんな…………人殺しがこんな近くにいて怖いだろ?
そう、震えた声を出して無理矢理笑う。
―――助けて
そんな声が聞えた―――――――――
ついに来た。
俺はカップをテーブルに置いて姿勢を正す。そして一回深呼吸をした。
「椿が…何を抱えているのか、知りたいからだ」
普通は踏み込まないだろうがな―――
「だが、きくんだ。お前がどんな思いをして、どんな状況に身を置いているのか」
「…………」
口をうっすらと開けて俺を見つめる。何を考えているのか、わからない。
「だから、教えてくれないか。なにか、助けになれるかもしれない」
どうしてこんなに胸が痛むのだろうか。昼間も椿のことばかり気になって仕事もうまくできなかった。その答えを求めるためにも俺は椿にきく。
「たすけなんて…………なれるわけない」
返ってきたのは絶望と諦念に打ちひしがれた感情だった。力なく、零れたかのように出てきた言葉は椿の置かれた状況を痛いほど示していた。
それでもじっと見つめていると目が合い、椿は動揺したように体を揺らして目を下げた。
「…………わかったよ、教えてあげる。どうせ知っても意味ないものだと思うけどな…………」
そうやって語られたのは彼の異常性を示すもの。
「俺は、教団…………【白の祝福】にいたんだ…………それ以前の記憶はない。捨てたから…………」
捨てたとはなんだ、疑問に思ったがそれはひとまず置いておくことにした。
椿はあまり減っていないコーヒーを見たまま口を開く。
「俺は…な、そこで【白】をやっていたんだよ…………かいちょうはさ、この世ならざる者って、信じてるか……?」
その問いかけに俺はしばし腕を組んで考える。この世ならざる者…………
「信じてる…………と言えば嘘になっていただろう。だが、今は…………」
と、椿を見ると意外にしっかりと頷いた。
「いるんだよ…………特に、会長の家系は身近だな…」
「なぜ?」
「その会長の名前…龍って、名乗るのを許されているんだろ…………?しかも、わざわざお前の父親の夢にまで出てな」
…………神龍か。その存在を信じることができたのもあの合宿の肝試しの時からだった。それまでは、神龍について聞かされたりしたが御伽噺の域を出なかったから信じることもなかった。
「俺も、その類なんだよ。まあ、その役割から逃げたならず者だけどな」
皮肉気に言うが、その役割が今の椿を追い詰めている一因だろう。なぜだか、彼に雁字搦めに巻き付く白い鎖が見えた気がした。
「役割は…………」
―――ひトごロシ
「この世に巣食う害虫どもを潰し、花に昇華させ、浄化する。そうして世界を白く、清く変えて浄化するんだ」
だから、ごめんな…………人殺しがこんな近くにいて怖いだろ?
そう、震えた声を出して無理矢理笑う。
―――助けて
そんな声が聞えた―――――――――
20
あなたにおすすめの小説
ひみつのモデルくん
おにぎり
BL
有名モデルであることを隠して、平凡に目立たず学校生活を送りたい男の子のお話。
高校一年生、この春からお金持ち高校、白玖龍学園に奨学生として入学することになった雨貝 翠。そんな彼にはある秘密があった。彼の正体は、今をときめく有名モデルの『シェル』。なんとか秘密がバレないように、黒髪ウィッグとカラコン、マスクで奮闘するが、学園にはくせもの揃いで⁉︎
主人公総受け、総愛され予定です。
思いつきで始めた物語なので展開も一切決まっておりません。感想でお好きなキャラを書いてくれたらそことの絡みが増えるかも…?作者は執筆初心者です。
後から編集することがあるかと思います。ご承知おきください。
オム・ファタールと無いものねだり
狗空堂
BL
この世の全てが手に入る者たちが、永遠に手に入れられないたった一つのものの話。
前野の血を引く人間は、人を良くも悪くもぐちゃぐちゃにする。その血の呪いのせいで、後田宗介の主人兼親友である前野篤志はトラブルに巻き込まれてばかり。
この度編入した金持ち全寮制の男子校では、学園を牽引する眉目秀麗で優秀な生徒ばかり惹きつけて学内風紀を乱す日々。どうやら篤志の一挙手一投足は『大衆に求められすぎる』天才たちの心に刺さって抜けないらしい。
天才たちは蟻の如く篤志に群がるし、それを快く思わない天才たちのファンからはやっかみを買うし、でも主人は毎日能天気だし。
そんな主人を全てのものから護る為、今日も宗介は全方向に噛み付きながら学生生活を奔走する。
これは、天才の影に隠れたとるに足らない凡人が、凡人なりに走り続けて少しずつ認められ愛されていく話。
2025.10.30 第13回BL大賞に参加しています。応援していただけると嬉しいです。
※王道学園の脇役受け。
※主人公は従者の方です。
※序盤は主人の方が大勢に好かれています。
※嫌われ(?)→愛されですが、全員が従者を愛すわけではありません。
※呪いとかが平然と存在しているので若干ファンタジーです。
※pixivでも掲載しています。
色々と初めてなので、至らぬ点がありましたらご指摘いただけますと幸いです。
いいねやコメントは頂けましたら嬉しくて踊ります。
メインキャラ達の様子がおかしい件について
白鳩 唯斗
BL
前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。
サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。
どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。
ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。
世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。
どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!
主人公が老若男女問わず好かれる話です。
登場キャラは全員闇を抱えています。
精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。
BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。
恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
あの夏の日を忘れない ~風紀委員長×過去あり総長~
猫村やなぎ
BL
椎名由は、似てるという言葉が嫌いだった。
髪を金にして、ピアスを付けて。精一杯の虚勢を張る。
そんな彼は双子の兄の通う桜楠学園に編入する。
「なぁ由、お前の怖いものはなんなんだ?」
全寮制の学園で頑張り屋の主人公が救われるまでの話。
もういいや
ちゃんちゃん
BL
急遽、有名で偏差値がバカ高い高校に編入した時雨 薊。兄である柊樹とともに編入したが……
まぁ……巻き込まれるよね!主人公だもん!
しかも男子校かよ………
ーーーーーーーー
亀更新です☆期待しないでください☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる