元現代人はそれでも安定を切望する

1の章

22.バイバイ

「カデン君、君はどうして教師が注意をしたのにも関わらず、後方の平民科で騒ぎを起こした？たかだか男爵家三男風情が、アーノルド殿下に迷惑をかけるんだ？」

男４人のうち、紫頭１人が前に出てカデン糞カスに向かって見下しながら怒っていた。

「いえ、申し訳御座いませんでした。」

カデン糞カスは、苦虫を噛み潰したような顔で謝罪した。が、何となくこんなことで済む訳がない気が。

「貴様には、学校へ戻ったら退学届を出して貰う。」

説教していた人間の後ろ、右から濃紺・金髪・深緑の男３人で、真ん中の腕組みをしている金髪が涼しい顔をしながら処罰を言い渡していた。多分、あれがアーノルド殿下だな。

「なっ、そんな横暴な！たかだか、平民へ文句を言っただけではないですか！」

おっ、カデン糞カスが一丁前に殿下へ喰ってかかった！不味いよ～、ちょっとは反省を示していれば自主休学位で済んだんじゃない？

あっ、殿下が不敵に笑ったぞぉ～ありゃ、腹黒かな？こわぁ～い、あんな上級貴族なんかに絡まれたら最後だね。退散しよう、そうしよう。あいつは、私が手を掛けるまでもなく、自滅の道を自分で今掴んだ。

バイバイ、カデン糞カス！

さぁ～、ホリーさんとランチランチ！

と、私は千里眼を解除し回れ右をしたら、目の前に大型犬みたいなグレーのハスキー犬みたいなのが座ってた！

げぇ～、魔獣に後ろを取られてた！死ぬの？！

この間５秒くらい。

『やっと、こちらを見たか小娘よ。先程から我が、ずぅぅぅっと呼んでいたのだぞ。もう、途中心が折れてここで座って気づくまで待っていた。まずは、我に謝れ。』

おおっ、いきなり話し始めたと思ったら謝罪要求された。ここは、丁重に謝罪をしよう。命大事にだから。

「あの、呼ばれていることに気づかずお待たせしてしまい大変申し訳御座いませんでした。」

ペコリと頭を下げる。

『うむ。宜しい、謝罪を受取ろう！して、小娘よ先程から何をしておったのだ。我にも説明せよ』

はい。しますよ。

そして、これまでの経緯をザックリ魔獣へ話しました。

『くくくっ、小娘は面白い考えをしておるなぁ～。気に入った、我と契約せよ！』

「はぁ～⁉︎何でそうなるんですか？ちゅーか、魔獣さんはナニモノですか？普通に喋ってるし、絶対に魔獣なんて、低級じゃないですよね？」

『やっとそこに触れるか。遅いぞ小娘！我は偉大なるフェンリルなのだ！敬うがいい！』

うっわぁ～犬顔なのになぜかドヤ顔に見える。

「謹んで、辞退させて頂きます。では、私は友人と昼食を控えていますのでこれにて失礼します。」

『コラっー‼︎待つのだ！我が、創造神様に叱られる！契約するのだ！』

「えっ、創造神様に叱られるって。いわれて来たんですか？」

『そうなのだ！だから、必ず我と契約するのだ。』

キューンキューンって聴こえて来そうな位目と耳に、話し方はともかく良心が痛むわぁ～。

「うぅ。分かりました。創造神様にはお世話になりましたし、フェンリルさんと契約しますよ～。」

くっ、冗談で言ったフラグが回収されてしまった。

浅はかだったぁ～、あんなことを思い出さなければフラグなんて立たなかったぁ～。