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連載
追放ご令嬢は華麗に返り咲く2
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「――あっという間だとは思っていたけど、本当に早かった。ティアの結婚式、甥達誕生、姪誕生。そりゃあ、僕も年をとるよね。最近、寝ても疲れが取れなくなってきたし」
「リストおじさま、さっきから何をぶつぶつ言っているのー?」
「早く本を読んで―」
可愛らしい二つの声がしたので、僕は視線を声がした方へと向ける。すると、そこにはふかふかの寝具が。
寝具にはパジャマを着た四歳くらいの男児が二人横になり、顔を右手にいる僕へと向けていた。
青空色の髪が彼らの動きに合わせてさらさらと揺れ動く。
彼らは僕の甥っ子達……ティアとライの子供だ。
名前はトラスとリラスといって双子の四歳児。
ティアの小さな頃を思い出させる愛らしい顔立ちをしているけど、目元がライに似ている。
二人のうちどちらかはファルマの未来の王なのだが、将来の夢はお父様のようにお医者さんと言っている。
ライの職業は国王なのだが……?
トラス達は僕達に会うために護衛と侍女付きでファルマからエタセルへとやって来て、今日から三日間屋敷に泊まっていく。
久し振りに会える孫に両親は大喜びで熱烈歓迎。
最終日にはティアと姪のイリアも一緒にやって来る。イリアはまだ二歳で小さい。ティアが居ないと不安になりまだうちには泊まれないため、ティアと一緒に来る予定だ。
ティアが多忙過ぎてここ一年くらい他国のパーティーでしか会っていないので久し振りに会えるのが嬉しい。
甥達がうちに泊まる時は、僕が面倒見をしている。
居間で遊ばせていたが、そろそろ寝る時間だったので寝室へ連れて行き、寝かしつけようとしたのだが、本を読むようにせがまれて今に至る。
「まだ寝ない。遊ぶ!」と言わないから珍しいなぁと思ったが、今日は本だったのか。
二人はレイガルド様の子息達と仲が良く、日中はエタセル城で遊びまくっていたから疲れているはずなのに、目が冴えているようでテンションが高い。
子供の体力ってすごいな。
「二人ともこの本が本当に好きだね。会うたびに読んでいる気がするよ」
二人とも大きな琥珀色の瞳をきらきらと輝かせ、僕が手にしている本を見詰めていた。
本のタイトルは、追放ご令嬢は華麗に返り咲く~エタセル再建記~。
エタセルで発売されているティアの本だ。
「僕達だいすきなの。ねぇ。リストおじさま。早く本読んでー」
「おとうさまは読んでくれるけど、おかあさまはその本読んでくれないの。恥ずかしいからって。なんで恥ずかしいんだろうねー」
「自分の物語だからね……」
「おじさま、こっちこっち」
リラスが布団をめくり、ポンポンと寝具を叩いて僕を招く。
どうやら横になって読んでという事らしい。
読んでいる途中で寝ちゃいそうだなぁと思いながら誘いを受け、ふかふかの布団の上へ。
やばい。疲れた体にふかふかの寝具は……瞼を閉じれば今すぐ眠れそう。
夢の世界に片足を踏み出しかければ、「おじさまー!」という声と共に体を揺すられ現実の世界へ。
「おじさま、早く!」
「早くー!」
「はいはい」
僕は本を広げて唇を開いた。
「じゃあ、読むよ。むかしむかし、リムス王国に一人の――」
この物語はティアがエタセルを再建させて終わっているけど、彼女の話はまだまだ終わらない。
今もなお、ティアは王妃としてその手腕を発揮しているから。
「リストおじさま、さっきから何をぶつぶつ言っているのー?」
「早く本を読んで―」
可愛らしい二つの声がしたので、僕は視線を声がした方へと向ける。すると、そこにはふかふかの寝具が。
寝具にはパジャマを着た四歳くらいの男児が二人横になり、顔を右手にいる僕へと向けていた。
青空色の髪が彼らの動きに合わせてさらさらと揺れ動く。
彼らは僕の甥っ子達……ティアとライの子供だ。
名前はトラスとリラスといって双子の四歳児。
ティアの小さな頃を思い出させる愛らしい顔立ちをしているけど、目元がライに似ている。
二人のうちどちらかはファルマの未来の王なのだが、将来の夢はお父様のようにお医者さんと言っている。
ライの職業は国王なのだが……?
トラス達は僕達に会うために護衛と侍女付きでファルマからエタセルへとやって来て、今日から三日間屋敷に泊まっていく。
久し振りに会える孫に両親は大喜びで熱烈歓迎。
最終日にはティアと姪のイリアも一緒にやって来る。イリアはまだ二歳で小さい。ティアが居ないと不安になりまだうちには泊まれないため、ティアと一緒に来る予定だ。
ティアが多忙過ぎてここ一年くらい他国のパーティーでしか会っていないので久し振りに会えるのが嬉しい。
甥達がうちに泊まる時は、僕が面倒見をしている。
居間で遊ばせていたが、そろそろ寝る時間だったので寝室へ連れて行き、寝かしつけようとしたのだが、本を読むようにせがまれて今に至る。
「まだ寝ない。遊ぶ!」と言わないから珍しいなぁと思ったが、今日は本だったのか。
二人はレイガルド様の子息達と仲が良く、日中はエタセル城で遊びまくっていたから疲れているはずなのに、目が冴えているようでテンションが高い。
子供の体力ってすごいな。
「二人ともこの本が本当に好きだね。会うたびに読んでいる気がするよ」
二人とも大きな琥珀色の瞳をきらきらと輝かせ、僕が手にしている本を見詰めていた。
本のタイトルは、追放ご令嬢は華麗に返り咲く~エタセル再建記~。
エタセルで発売されているティアの本だ。
「僕達だいすきなの。ねぇ。リストおじさま。早く本読んでー」
「おとうさまは読んでくれるけど、おかあさまはその本読んでくれないの。恥ずかしいからって。なんで恥ずかしいんだろうねー」
「自分の物語だからね……」
「おじさま、こっちこっち」
リラスが布団をめくり、ポンポンと寝具を叩いて僕を招く。
どうやら横になって読んでという事らしい。
読んでいる途中で寝ちゃいそうだなぁと思いながら誘いを受け、ふかふかの布団の上へ。
やばい。疲れた体にふかふかの寝具は……瞼を閉じれば今すぐ眠れそう。
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「おじさま、早く!」
「早くー!」
「はいはい」
僕は本を広げて唇を開いた。
「じゃあ、読むよ。むかしむかし、リムス王国に一人の――」
この物語はティアがエタセルを再建させて終わっているけど、彼女の話はまだまだ終わらない。
今もなお、ティアは王妃としてその手腕を発揮しているから。
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