命の犠牲と報酬

ハーマ

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悲しみ

1人の人間として

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澪城視点

澪城「ただいま……と言っても誰もいないけどな」

辰城を失い革命軍の指導者が瑠依に変わってから早一週間……澪城は未だに悲しみから抜け出せないでいた……

猫「ニャン」

狼「ワウ」

澪城「ただいま  誠(まこと)、真(しん)」

家で飼っている猫と狼に食事を与えた澪城はそのまま風呂に入り烏の行水の如くすぐ上がる

♪♪♪

澪城「ん?」

風呂から上がり着替えていると突然携帯が鳴り服を着ながらその電話に出る澪城

澪城「もしもし」

拓海『澪城か?今平気?』

電話をしてきたのは首領として今はちゃんと働いている拓海

澪城「拓海か……この時間に連絡してきたからびっくりしたぞ  風呂入ったばかりだけど全然平気」

拓海『良かったら組織来ないか?今丁度パーティが始まる頃だ』

澪城「でも招待制じゃないのか?」

拓海『チケットはポストに入れといた』

と言われ髪を力を使って乾かしてポストを開けるとそこには確かに招待状が……

澪城「時間がかかるかもしれないけどそれでもいいなら」

拓海『おう  部下がお前は来ないのかと騒いでるから少し時間を遅らせるぞ?来てくれるだけでも有難い』

澪城「何で部下が騒いでんだよ……」

とは言いつつも少し笑いながら澪城は電話を切ってからスーツに着替えて誠と真に擬人化してもらう

誠「ご主人は帰ってきたと思ったら出かけるって本当に多いにゃあ」

どうしても猫だから猫らしい言語になる誠

真「拓海さんを友に持っているのだから不可抗力だろう 
と言うか真はまだ最後の言葉に「にゃあ」が付くのか?」

そして厳つい顔立ちで正論を言う真

誠「こればかりは中々治らないにゃあ……」

澪城「誠は可愛げのある顔だからまだ許されるけど真は見た目厳ついからな……怖がられる」

真「えー……」

澪城「取り敢えず……スーツを着てこい」

流石に普段着で「飛来」に行くのはいただけないのでスーツを着るように要求

澪城  車はアヴェンタドールで行くか……誠は狭い所を好むから後ろの席の無い所に寝転がるだろうし

誠と真がスーツを着ている間に家の戸締りをして車の鍵をポケットに入れる

誠「ご主人」

澪城「出来た?なら行くぞ?それと飛来の中では名前呼び必須な」

真「了解した  いつも通りでいいんですよね?」

澪城「ん」

2人の準備が完了したので澪城はアヴェンタドールを運転して飛来へ

飛来構成員「澪城様  良くぞお越しくださいました……車は何時もの所にお停めになって下さい」

飛来の敷地内に入ると車の中の検査がありいつもの人に澪城は相手されるので少し笑う

澪城「拓海に「パーティがあるなら早めに言ってくれ」って伝えておいて」

飛来構成員「お伝えしておきます」

構成員とそんな話をして澪城はいつもの場所に車を停めていく

拓海「皆様大変長らくお待たせいたしました  これより2日間のパーティを行います……存分にご堪能を」

澪城達が到着してすぐにパーティが始まり拓海がベランダで外を眺めていた澪城に近寄る

拓海「折角のパーティなのに外眺めてるなよ」

そう言いながら氷の入った飲み物を澪城に渡すと「すまない」と言って澪城もそれを口にするが……

澪城「アルコールか?」

拓海「飲める質だろ?」

澪城「今日車なんだけど」

拓海「知ってる」

拓海は澪城が来るまで来たことを知っておきながら酒を渡したのだ

拓海「ココ最近仕事詰め詰めだったろ  少し休んだって文句は言われないよ」

澪城「そう言う拓海こそ詰め詰めだったろ  このパーテイは気休めなんじゃないか?」

拓海「否定はしないよ」

澪城の言葉は的確で……拓海は否定こそしないが認めるわけでもない

拓海「澪城」

澪城「ん?」

拓海「澪」

澪城「どうした?」

ふと拓海か澪城の愛称を呼び出す……最近よく見せる拓海の感情が表に出てしまった時の癖……

拓海「澪」

澪城「ここにいる」

拓海「澪」

澪城「…………」

何度も何度も繰り返される呼びかけ……先日は拓海の妻の命日で拓海は酷く疲弊していた……息子も革命軍の指導者としての道を歩き出したので人肌が恋しいのかもしれない

澪城「……拓海  お前今日フリーか?」

澪城は純粋に拓海を見ていられなくなった……本音が出る程……ここまで追い詰められるまで身の内に気持ちを隠してしまったから……

拓海「フリー  何で?」

澪城「夜通してパーティするんだろ?確かダンスの時間があったな?その後はお前もここにいなくていい訳だ……お前の部屋開けとけ」

拓海「………良いのか」

澪城「お前も1人の人間だ……人肌が恋しいのも理解できるし革命軍側のお前にとって辰城の死はでかいだろ」

澪城の言葉に拓海は何も言わなかったが……静かに頷き一旦酒を飲み終えてから席を外す

澪城「誠、真」

誠、真「はっ」

酒を飲み終え誰かと話をしていた誠と真を呼び声に反応した誠と真は澪城の前で跪く

澪城「今宵は好きにしろ」

真「と申しますと?」

澪城「許可を出している  それだけだが異論か」

真「いえそのような事はありません  主の赴くままに」

パーティー中は主従関係になるので澪城が命令を下し2人は立ち上がって居た場所に戻る

???「相変わらずパーティー中は主従関係なんだな  澪城」

澪城「……白鴎  琥神(はくおう  らいが)様……私に何か御用でも?」

澪城に声をかけた人物……その人は後に90000年もの間名を知られる事となる越前家よりも長い歴史を持つ、「武装隠密家系」の白鴎家5代目当主  白鴎  琥神

琥神「まぁ呼ばれたから来たらお前が居たってだけだよ  それじゃあな」

単純に声をかけただけらしく琥神はそのまま別の場所へ

琥神「よっ  越前の所のせがれ」

越前家当主「琥神様……俺もう3代目当主になりましたって何回も言いましたよ?いつまで俺を「せがれ」って言うんですか?」

琥神「どうも子供に見えてな  ……息子はどうだ?」

越前家当主「………長男の海賀(かいが)は病で当主になれる身体ではありません……だから必然的に煌になるかと」

どうやら琥神は各家の当主と通じておりその話を振っている

琥神「そう言えば煌どうした?」

越前家当主「実は一緒に来たんですが姿が先程から見えなくて……」

琥神「そうか」

とそう言って琥神は歩いていく

誠「御主人  先程の御方は?」

話が終わったのか誠と真が澪城に話しかける

澪城「白鴎家第5代目当主「白鴎  琥神」様」

と言う澪城の言葉に2人が驚く

真「御主人は越前家とも関わりを持っているのに白鴎家とも関わりが?」

澪城「情報提供って形でな」

誠「つまりは情報屋ですか?」

澪城「まっそういう事」

澪城  琥神様が居るってことは……

澪城「神我人(かがと)様」

白鴎家初代当主もパーティに参加

神我人「よっ澪城」

元気いっぱいな白鴎家唯一の優男の笑顔が澪城の少し痛む心の傷を癒す

神我人「今度酒飲みに行かないか?」

澪城「良いんですか?」

神我人「ああ  拓海君も誘った」

澪城「抜け目ないですね……」

と笑っているが神我人は苦笑

神我人「そろそろダンスが始まるから相手を探してくる」

と言って神我人は歩いていき周りを見渡すと……

飛来構成員「誠様  ダンスを共に御一緒しても?」

と誠はお誘いを受けている真っ最中

誠「許す」

誠はスイッチが入ると口調が真と似るのでギャップが凄い

飛来構成員「真様  私とダンスを共に」

対して真の相手は跪いて真の手の甲にキスをしてそう言うので相当誠に気があるのだろう

拓海「澪  手を」

不意に拓海に声をかけられた澪城は拓海が言われた通りに手を取る

拓海「これから2時間ダンスのお時間となります  お相手を変えるも変えないも御自由にお楽しみ下さい」

マイクをとって拓海がそれを言った瞬間  ダンスの音が流れ出し拓海と澪城が壇上で踊り出す

観客「高度かつ美しい……」

動きも激しくキレもあるダンスに観客からは歓声が出始める……美しくも激しいダンスの中に哀しみも混じってより美しく見えてしまう

神我人「俺達も踊るか?琥神」

琥神「そうですね  神我人様」

拓海と澪城が踊り始めたので白鴎家の当主2人が踊り出したので他の者達も踊り出す

~2時間後~

拓海「……皆様お楽しみ頂けたでしょうか?楽しい時間をお楽しみ下さい」

澪城「主催は大変だな  拓海」

ダンス時間が終了してから澪城がそんなことを言う

誠、真「御主人」

澪城「ん?」

誠、真「少々お誘いを受けたのですが……どうすれば?」

澪城「折角の誘いだ  乗ってやれ」

「そもそも酒が入ったから運転できん」と澪城は言うので2人は少し嬉しそうに「はい!」と言って何処かへ

拓海「行こう」

澪城「ああ」

澪城  誠と真は踊った相手に気があるんだろう……

嬉しげなあの表情で2人の気持ちを察しながら澪城は拓海と部屋へ向かう

拓海「オートロックの防音だから大声出しても平気だぞ」

澪城「大声出させる気満々かよ」

制服を脱ぎながら澪城はそう言って笑ったが拓海はその表情が辛げに見えた

拓海「無理して笑うな」

上半身の服を脱ぎ終えまだ服をセーターまでしか脱いでいなかった澪城を拓海は押し倒しながらそう言う

澪城「…………」

拓海「澪」

澪城「っ……う……」

真っ直ぐな目で見られ優しく名前を呼ばれた澪城は耐えきれずに涙を零した……息子の死を嘆きながらも決して涙を見せまいと我慢をしていた澪城でも……やはり息子の死を嘆かずにはいられない

澪城「一時でいい……一時でいい……から……忘れさせてくれ……」

泣きながら澪城は馬乗りをしている拓海に訴えた……

澪城「苦しいんだ……息子の死を悲しんでないわけじゃない……寂しいわけじゃない……辛いんだよ……拓海……」

拓海「号泣だな  澪」

澪城「泣かせたのはどこの誰だと………んぅ……んん」

まるで「もう泣くな」と言うかのように拓海は澪城にキスをした……深く甘いキスを……

拓海「俺が忘れさせてやる  その悲しみを」

そう言って拓海は澪城の着ていたワイシャツのボタンを開け手を忍ばせた……
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