捕食者と逃げる者

ハーマ

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彼の秘密

真と颯斗

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真視点

クラスメイト「なぁ……お前って学生じゃねぇんだろ?何でここにいんの?」

真  また絡んでるよ……元軍人に何で絡むのかな

颯斗「同じことを何度も聞いて楽しいか?しつこいんだよ」

クラスメイト「んだよ  こっちがせっかく話しかけてるのに」

颯斗「上から目線のお節介は必要ない……悪いがお前らより知識も頭もあるんだ必要が無いのなら話しかけてくるな  読書の邪魔だ」

真  いつ聞いても凄い言い様だな……

いつ聞いても鋭い颯斗の言葉

真  けど実際に頭良いし知識も豊富……更には軍人だったから運動能力も高い上捕食者の居場所が分かる……

実質真達は颯斗の力のお陰で何回も命を救われているので何も言えない

真「いって」

クラスメイト「あー悪ぃ悪ぃ  手が滑ったわ」

真  絶対にわざとだろ……

颯斗「わざとやっていただろ」

不意に本を読んでいた颯斗が真の所まで来てそう言う

クラスメイト「あ?俺らが「わざとやった」って言う証拠あるのかよ?」

颯斗「趣味が悪いと言われたらあれだが……これならどうだ?」

そう言って颯斗はいつから起動していたのかスマートフォンを見せる

クラスメイト「…………」

真「一体いつからこの動画を撮って……」

颯斗「1週間前からずっとだ  これを教師にばらまかれたくないのなら、これ以上真にちょっかいをかけるのは辞めるんだな」

クラスメイト「ちっ」

真  1週間前からずっと撮ってたんだ……時折俺の方を鋭い眼光出みていたのは証拠を撮っていたから……

颯斗「すぐに助けなくて悪かったな」

真「お陰様で助かった  煌翔」

颯斗「颯斗で良い  飯は?」

真「まだ  一緒に食べる?」

真の言葉に颯斗は「おう」と言って一緒に食事

颯斗「………捕食者が近付いてる」

昼休憩を終え  授業中に捕食者の匂いを嗅ぎ取った颯斗がそう言うと真以外は急いで全員帰路へ

真「…………」

真  どうしよう……

颯斗「真  お前家は?帰らないのか?」

真「……俺  両親を捕食者に囚われて……家も無い」

颯斗「………俺と来い真  俺は基本家に帰らない」

真  家があるのに帰らない?

と思いつつも荷物を持って颯斗の後ろを歩く

真「このバイク颯斗のだったのか?」

颯斗「なんとなく嫌な予感がしてな  取り敢えずヘルメット渡すから被れ」

真「…………」

颯斗にヘルメットを渡されて真は頷いてから別のヘルメットをしてから、バイクを校門まで運びバイクに颯斗が乗ったので後ろに乗る

颯斗「それなりに飛ばすから腰に腕回しとけ  後刀持っててくれ」

真「分かった」

真  凄いな……29だからか……?

バイクの運転技術が他の者とは比較できないくらい上手く真はそのまま身を委ねる

颯斗「今日はここかな……」

真「廃病院?」

颯斗「あんまり廃病院とかで寝泊まりしたくねぇんだが……こう言う所だと捕食者も来ないから寝泊まりができる」

真「成程……」

心底嫌そうな顔をしながら颯斗はバイク事廃病院に入っていき真もその後を追う

颯斗「2日って所かな……学校に行けるのは」

廃病院に入りベッドのある場所で颯斗は外を警戒

真「颯斗は一体何でそんなに捕食者の行動が分かるんだ?」

颯斗「…………」

刀を持って外を確認していた颯斗に真は爆弾発言

颯斗「……人の心を持つ捕食者は洗脳される  そこから先は洗脳が解けるまでファーストレディの下僕……まぁ……俺みたいに意地で解く奴もいるけどな」

真「つまり颯斗は捕食者……?」

颯斗「……純血のな  だけどファーストレディのやり方とかに反発して無理矢理洗脳を解いて逃げ出してる」

真「だから助けてくれるんだ?」

真  純血の捕食者なら確かに混血の捕食者の居場所もわかるよな……

颯斗「……捕食者故に俺も飢える  だから極力人との接点を断たなければならない」

真「だからあんなに人を寄せつけようとしなかったの?」

颯斗「ああ  ひょんな事で飢えが来るからな」

そう言いながら颯斗は近くのベッドに寝転がり「夜が明けたらここを出るぞ」と言って、相当疲れが溜まっていたのか颯斗は目を閉じて眠ってしまう

真「……綺麗な顔」

浅く呼吸している颯斗の顔は他の人間よりも綺麗で髪が少し長い

真  颯斗は「捕食者」である事が嫌なんだ……

自分の事を話す時に間が空いた……まるで「話したくない」と言うかのように……

真  颯斗が捕食者の目になった時……一体どんな表情を見せるんだろう……

颯斗は些細な事では一切表情を崩さない……故に気になる所もある

~数時間後~

颯斗「真」

真「ん……」

颯斗「もうすぐ夜が明ける  行く準備をしてくれ」

真「分かった」

寝起きの良い真は颯斗の言葉で起きすぐに準備を開始

颯斗「待て……居る」

準備を終え  いざ行こうとした瞬間にタイミング悪く捕食者が来たのか颯斗は瞬時に警戒

捕食者「たく……颯斗はまた逃げ出したのかよ」

捕食者「ファーストレディのあの洗脳を何度も解くって結構凄いけどな……あの洗脳って声が聞こえただけでその言葉が命令になるんだろ?」

ファーストレディ「颯斗のはそれを3段階上げた状態で行っているのに、どういう訳かその洗脳を無理矢理解くのである意味感心しますね」

捕食者、颯斗、真「ファーストレディ(ファーストレディ……)」

真  颯斗とそっくり……

ファーストレディ「……其処に誰か居ますね?出てらっしゃい」

颯斗「(まさかバレて……)」

ファーストレディ「颯斗」

真  颯斗の存在がバレてる……気配は消していた筈なのに……

颯斗「ファーストレディにバレた……か」

真「(えっ……)」

いつ書いたのか……颯斗は真にバイクのある場所を書いた紙を渡してきてかなり小声で「先に行け」と言う

颯斗「相変わらず俺の居る場所はお見通し?」

まるで真を隠すかのように颯斗はファーストレディの前に出た……その表情は焦りと困惑

ファーストレディ「颯斗  私が貴方の居場所が分からないと思いましたか?」

颯斗「分かる時と分からない時がある  気配を消していれば比較的にわからない」

真  早く行かなきゃ……

ファーストレディが颯斗と話をしている間に真は急いでバイクのある場所へ

~同時刻~

ファーストレディ「……颯斗が護っていた少年を捕らえなさい」

颯斗  バレてたか

捕食者「はっ」

颯斗「させるかよ」

そう言って颯斗は常に常備していた拳銃を両手に持ち発砲

捕食者「なっ」

颯斗「仲間と言えど発砲はするよ?今は人間側なんでね」

捕食者「っ……!!」

ファーストレディ  発砲している割には私には当てない……

颯斗はファーストレディには銃口を向けずに大方の捕食者が倒れたあたりで猛ダッシュ

ファーストレディ「颯斗!!」

そして無意識に颯斗の名を叫んだファーストレディ

真「まだかな……」

そしてそんなことを知らない真はエンジンをかけおえ(鍵は渡されてた)て颯斗待ち

颯斗「真!!」

そして漸くかなりの猛ダッシュをしていた颯斗が到着しヘルメットを被ってバイクで逃走……

真「颯斗  大丈夫か?」

颯斗「はぁ……はぁ……っ……ゲホゲホ」

真「颯斗」

なんとか逃走に成功した真と颯斗だったが颯斗がバイクを降りた直後に咳き込む

颯斗「長時間……走……れない……んだ……今みたいに……ずっと……走ってると……呼吸困難を……起こす……から」

かなり辛そうな颯斗の背中を真は擦る

仁「聞きなれたバイクの音がしたと思ったら……颯斗大丈夫か?」

颯斗「なん……とか……仁……ほんと……悪い……匿って……くれ」

仁「最初からそのつもりだ!!そこにいる君も肩を貸してくれ……長時間颯斗は走れないから暫くは1人で行動出来ない」

真「はっはい!!」

真  かなり辛そう……本当に長時間走れないんだ

等と思いながら仁の仲間が颯斗のバイクを押し真と仁は颯斗に肩を貸してとある場所へ

颯斗「ゲホゲホゲホゲホ……っ……ゲホゲホゲホゲホゲホ」

仲間「水飲めるか?」

颯斗「ゲホゲホ……たぶ……ん……ゲホゲホゲホゲホゲホ」

仁「お前等は颯斗を颯斗の部屋に運んで警戒しておいてくれ  後君は俺と話をしよう」

未だ咳き込んでいる颯斗を連れて仁の仲間達は別の部屋へ行き真は仁と雑談?

仁「君名前は?」

真「稀城  真  貴方は?」

仁「走坂  仁  元軍人で28……つまり言うと颯斗の1歳下……真君は「無差別大量殺人事件」を知っているか?」

真「15年前に起きた事件?確か歴史にも残る惨劇で生き残ったのはたった1人だったって言う……」

真  それと颯斗に何の関係が……

仁「……その生き残りが颯斗なんだ」

真「えっ」

真  たった1人の生き残りが颯斗……?

仁「当時颯斗は14歳……既に軍人だった颯斗は不運にも仲間と買い物をしていた時に、「無差別大量殺人事件」に巻き込まれた……未確認生物が大型スーパーの中に入り込み人々を襲って血肉を貪った……必死に対策を取ろうとした店員達は何とか一時的な逃げ場を確保したが……その場所は既に未確認生物が居て其処に居た、颯斗達の部隊のメンバーは歳若かった颯斗を何とか逃がして全滅し……颯斗は未確認生物から逃れながら何とか見つからない場所を見つけた……そこから3年間その場所に監禁……17の時に俺達の部隊の者が発見したんだが…………どうして颯斗が夏だろうが冬だろうが長袖で右手だけ手袋をしているんだと思う?」

真「……傷跡?」

仁「ビンゴ  颯斗は3年間も同じ場所に監禁されている間食事を取る暇が余り無かった……故に自分の利き腕の肉を噛みちぎってそれ喰いながら生きながらえた……今ではファーストレディの治療技術で肉はあるんだが……かなりの広範囲で当時の噛みちぎった跡が残っているから颯斗はそれを気にしている…………手袋の事や「捕食者」である事はあまり触れないでいて欲しいんだ……すごく気にしているから……」

真「分かった」

仁にそう言われ呼吸が落ち着いて眠ってしまった颯斗の所に行くと、颯斗の服の前がが少しだけ開いていて右肩を見てみると、見た右肩には確かに何かに引きちぎられた痕跡が……

仁『手の傷跡があるから颯斗は捕食者になりきらない』

と最後に言われた言葉が真の中で渦巻く

真「波乱万丈な人生歩んでるんだな」

眠っている颯斗に真はそう呟いた……
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