公爵令嬢に転生しましたがルートなどを間違うと即死ゲームみたいです!

いずみ

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冷たい弟に宣言する!2

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 浮かんでいる画面が青色から黄色になったままで変わらない。
 先ほど、クレスに宣言したように習った勉強の復習をしたりして姉だと認めて貰わないいけない。
 クレスは父親と母親を5歳で亡くし、奴隷にされそうになっている。
 どうすれば、彼の心を明るくさせてあげられるのだろうか?
 
 この画面だが、青色は正常で黄色は少し危険で赤色は危険で黒色が死亡って感じになっているのかもしれない。
 信号機の様なものだと思ったが、黄色のまま変わらない。
 少しでもルートを間違えると即死亡。まだ死にたくないから、本当に言動に気をつけないと!
 けれど、クレスの事を考えるとそっとしておくのが一番なのではと思ってしまう。
「レシェお嬢様、お茶の時間です」
「あぁ、ありがとう。婆や」
「お勉強ですか?」
「クレスに認めて貰えるように頑張っているの」
「お嬢様が元は庶民だったものを気にする事はございません。お嬢様はのびのびとお過ごしください」
「いやいや、今は兄弟だもん。仲良くしたいじゃない! 私が努力して仲良くなれるならいくらでもするよ!」
「お嬢様は頭を打ってから変わられましたね。前までは庶民の事など奴隷として見ていたのに」
 確かに、前までの私だったらそうだろう。
「婆や、同じ人間だもの仲良くしないと」
「お嬢様がそう言われるのでしたら」
「婆やも庶民に対して厳しいのね」
 婆やもメイド長をしているだけあって身分は低いが貴族の出身だ。
 この世界の貴族は庶民を人間だと思っていないところがある。
 同じ人間なのだけれども。人の価値観を変えるのは難しい。
 


「レシェンヌお嬢様、今日の魔法の授業は実技をしたいと思っています」
「それで中庭なんですね、先生?」
「はい、足に風の魔法をかけて早く走る「疾風」という魔法を行ってほしいのです」
「「疾風」ですか、足に魔法をかけるんですね。難しそう」
「大丈夫です。足に魔法を集中してかければいいので」
「分かりました、足に魔法を集中させるっと」
 私は目を瞑って、体内を巡る魔法を足に行くように意識した。
 目を開けてみると、先生から拍手がくる。
「お上手です。一度で出来るなんて」
 足に風が纏わりついているのが分かる。
「では、中庭を走って見て下さい」
「はい、分かりました!」
 私は軽く中庭を走ってみた。普通に走るのと違い、一歩一歩が風が運んでくれて足が楽であり速さも倍早い。
 しかし、一つ疑問が。
「これ、どうやって止まるの?」
 早いのはいい、だが止まり方が分からない。
 先生、どうすればいいのでしょうか!
 画面が黄色から何故か赤色に変わっているのに気づいた。
 そして、何故か音までなっている。
 緊急事態だ!
 だが、突然なぜ画面が赤色に?
 走っていると目の前に大きな袋を持った男の大人が走って出てきた。
 行き成りの事で私は避けられずに、男にぶつかって男は遠い場所にある塀に激突していた。
 止まれたが、人を殺してしまったと思い顔を青くする。
 大きな袋がもぞもぞと動くので、私は吃驚した。
 この大きさからして、猪だろうか? 食材にしては何故シェフに渡すんのではなく外に出ようとしたのか?
 私は不思議に思いながら袋をあけた。
 いつの間にか、赤色の画面の危険音は消えていた。だが、まだ赤いままだ。
 袋の中には人間が入っていた。
 手を後ろで縛られて足も縛られ、顔には目隠し、口にも紐をかまされている。
 私は慌てて、目隠しをとって口の紐をとると、袋に中に居た人間はクレスだった。
 クレスは気を失っていた。
 

「これは一体?」


「お嬢様、何をなさっているんですか?」


 声をかけられて、後ろを振り向くと婆やが立っていた。
「お嬢様、そのまま見なかったことにしたら、また過ごしやすい生活が待っています。こんな下賤な者の事は忘れましょう」
「婆や?」
「そんな下等な者、お嬢様に必要ありません。さぁ、見なかった事に忘れましょう。全てはお嬢様のためです」
 赤い画面がまた音を発した。
 あぁ、これは婆やが計画した誘拐計画なのだと気づいたのだ。
「婆や、それは出来ないわ。この子は私の大事な弟よ。忘れたりなんてしない」
「……っ、俺は……」
「クレス、大丈夫!」
 私は慌ててクレスの方を見た。なんとか気が付いたようだった。



 図書室で本を探していると、このメイド長に声をかけられてから記憶がない。
 そして、レシェンヌが俺のために身をていして守ってくれているの知った。
『婆や、それは出来ないわ。この子は私の大事な弟よ。忘れたりなんてしない』そう言って、俺をそのメイド長から守ってくれていた。
 メイド長は俺がレシェンヌに冷たい態度が気に食わなかったのだろう。いや、庶民が自分の上にいるのが我慢出来なかったのだろう。

 レシェンヌは風の魔法で小さな風を指に集めて、腕と足の縄をきってくれた。

「お嬢様! そんな事をしてはいけません! お嬢様に不必要な存在なのですよ!」
「婆や、駄目よ。クレスは私の弟よ。血は繋がってないし、庶民の出だけれど、この子は私のたった一人の弟」
「お嬢様のためなのですよ! 庶民の癖にお嬢様に頭の一つも下げない! まして、偉そうにしているなんて許さない!」
「婆や、これはお父様が決めた事、それを覆す事はできないわよ」
「……っ!」

 メイド長はレシェンヌの言葉に口を噛みしめている。
 悔しそうに俺を見ていた。

「クレス、大丈夫! すぐに、医者を呼ぶから!」
「レシェンヌ、レシェ、うわぁあああああああああ!」

 俺は泣いた。

 母さんも父さんも居なくなってから、人に心配されたのはいつ振りだろう?
 父さんが亡くなっても、泣けなかったのに今は安心感から泣いてしまった。
 
「大丈夫よ、私がついているから」

 
「うわぁあああああああ、ごめんなさい! ごめんなさい、姉様ぁああああああ!」
 画面を見ると青色の変わっていた。正常値に戻ったのだろう。
 誘拐なんてされるなんて考えもしなかったから、危なかった。
 クレスと家族にならないと目標が達成されなくて即死亡だからね。危ない。
 私はクレスの背中に手をそえて、頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ、ごめんね。危険な目に合わせて。どうか、婆やを嫌わないでほしい。難しいけど……」
 誘拐されかけたのだ、許すのは難しいだろう。
 私が暗い顔をしているとクレスは泣きながら顔を横にふる。
「メイド長が怒るのは当たり前だ……だから俺は怒れない」
「そっか、ありがとう。クレスが優しすぎて私は心配だよ。婆やを許してくれて嬉しいけどね」
 複雑な気分で私はクレスの頭を撫で続けた。
「自動自得なんだよ。俺はきっと。だから、メイド長は悪くない」
「ありがとう、婆やの処分とか考えないとって考えていたから」
「え、姉さんを思っての事だから無効だよ」
「えっ! そんないけません! 旦那様の意見に背いたのですから罰がないというのは!」
「俺が悪かったんだから、俺が悪いの。メイド長は悪くない!」
「っ!……私は」
「なら、お互いに「ごめんなさい」して終わろう」
 お父様の耳には必ず家の事が今回の事が入るだろうけど、私とクレスが罰はなしと言えばお父様も軽い罰にしてくれるだろう。公爵家の人間の誘拐なのだ。重罪だと分かっていても、行動してしまった婆やの私への愛。きっとお父様も分かってくれるはずだ。お父様、どうか御慈悲をお願いします。当事者が許すと思っているので!
「姉さんを馬鹿にしてすみませんでした」
「坊ちゃん、本当に申し訳ございませんでした! 今後は誠心誠意をもって仕えさせて頂きます!」
 うんうん、いい話だな。

 さて、壁にめり込んでいる男をどうしようかと見ていると、男は其処にいなかった。周りを見てもいない。
 逃げた様だった。
 だが、婆やが雇った犯人は婆やの証言で見つけ次第、捕まるだろう。
 



 その夜、部屋で読書をしていると扉からノックの音が聞こえてきた。

「どうぞー」
 私が返事をすると、扉がガチャリと開き、クレスが入ってきた。パジャマ姿だった。
「お邪魔します」
「クリス、どうしたの?」
 私は読んでいた本をベッドの枕元に置いて、ベッドから降りてクリスに近付いた。
「一緒に、寝てもいいですか? 姉さん」
 そう言って、上目遣いで見てくる弟が滅茶苦茶可愛いかった。
「え、えっと、いいよ!」
「ありがとう、姉さん」
 嬉しそうに笑うクレスが笑うと薔薇が咲いた様に美しかった。
 綺麗な顔が笑うと綺麗すぎて罪だ。
 一緒にベッドに寝る態勢に入ると、クレスは早々と寝てしまった。
 今日はいろんな事があって疲れたのだろう。

 青色の画面には目標達成の文字があった。
 私は目標の事を忘れていたが、無事に目標達成に感動していた。
 目標が達成されたと書かれているなら、クレスが私たちを家族だと認めてくれた証だ。
 嬉しいなんてもんじゃなかった。
 家族が増えて踊り出したくなるが、踊るとクレスが起きてしまうので諦めた。
 私もゆっくり目を閉じて、夢の中に入っていった。

 こうして、目標を一つ達成できて家族が増えたのだった。

 
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