何でも屋

ポテトバサー

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第三章:さよなら未確認

UFO、UFOうるせぇな

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修「なに考えてんだか、手伝いをしに行ったんだろ?」

知哉「わ、わりぃ……」

 何でも屋の事務所では、公園から帰ってきた知哉が、修に呆れられていた。

知哉「けど悪気があったわけじゃないんだぜ?」

修「当たり前だバカ! どこのどいつが依頼者の手伝いを率先して邪魔すんだよ!」

知哉「でもあれだぜ? すっかり仲良しになったから、灰田さんなんか敬語使うのやめたからな? もうフレンドリーフレンドリー」

修「フンッ、唯一知ってる英語使いやがって」

知哉「他にも知ってるわ!」

 修と知哉の会話を聞きながら、重は暖かいウーロン茶を飲んでいた。相変わらずの親友に首を振った重は、何気なく事務所の引き戸へと目をやった。

重「どわっ!」

 重は謎の叫び声とともに、持っていた湯呑を落としてしまった。

修「どうした!?」
知哉「なんだ!?」

 重の声と湯呑が割れる音に驚き、二人は振り返る。そして重と同じように引き戸の方を見て声を上げる。

知哉「うわぁっ!」

修「うおっ! ちょ、ちょっと、椎名さん!」

 引き戸には、路上パフォーマンスを終えて帰ってきた椎名の姿があった。

重「椎名さん驚かさないでくださいよ!」

椎名「ごめんね重君、黙って入ってきちゃって……」

重「違いますよ! そのメイクですよ!」

 重の言葉にハッとした様子の椎名。椎名は観客のウケが良かったことに浮かれて、嬉しさからメイクを落とす事を忘れてしまったらしい。

椎名「あ、しまった! いま落としてくる!」

 椎名は荷物を床に置くと、洗面台がある控室へと駆け込んだ。

知哉「はぁー、ビビったぁ……」

 知哉はソファーから立ち上がると、帰ってきた椎名にお茶を入れてあげようと控室に続いた。

修「ふぅ……」

 急な出来事に疲れてしまった修は、ソファーに深く座った。一方の重は、割れてしまった湯呑の破片をしゃがんで片づけ始めた。

重「よかった、安い方の湯呑使ってて。不幸中の災いだったよ……」

修「災いじゃ最悪だろ! 幸いだろ、幸い!」

 湯呑が割れたことを思い出した修は、重を手伝い始める。

修「湯呑はしょうがねぇけど、火傷とか大丈夫かよ?」

重「ンフッ、あたしの心配してくれるの…… 修君だけよ?」

 艶やかな女性のような口調で話す重。

修「……そのボケ、いつまでやるつもりなんだよ?」

重「もちろん、ウケなくなるまで」

修「もう、ウケてねぇんだよ!」

 その後、修と重は他の依頼でお客からもらった餅を焼いていた。椎名と知哉がUFOについて話を聞きたいというので、小腹も空いたし餅でも食いながら、ということである。

修「はいよ、焼けたぜ。大先生、小皿も持つからさ、電気けしといて」

重「あいよ。箸は?」

修「いるか?」

重「椎名さんは使うかもしれないでしょ?」

修「じゃ、人数分頼むわ」

重「あいよ」

 二人が控室から出てくると、香ばしい餅の香りが事務所に広がった。

知哉「おっ、焼けたか」

椎名「はぁ…… いい匂いだねぇ」

修「はーい、焼けましたよ」

 修は皿を置くと二人の対面に座った。

修「熱いから気をつけてくださいね。知哉も気をつけろよ?」

知哉「あ、何それ? 『ちゃんとお前の事も心配してんだぜ?』みたいな、優しさを隠し切れなかったみたいな」

修「うるせぇよ! 下に兄妹がいると勝手に言葉が出ちゃうんだよ」

知哉「うーん、ウチの兄貴はそんなこと言わねぇけどな……」

修「誰が兄貴やったってお前には言わないだろ」

知哉「何だってんだ!」

 そう言って笑った知哉は、餅をしょう油につけてハフハフと食べ始める。

修「ったく。それで椎名さん、何から話せばいいですかね?」

椎名「うーんとねぇ、UFOってそもそも何なのかな?」

 その頃、思いだし笑いで眠ることが出来ず、起きてきた灰田に渡が同じ質問をしていた。

灰田「UFOはUnidentified-Flying-Objectの略でね、意味はそのまま未確認飛行物体ってこと。元々は軍隊で使っていた言葉なんだ」

渡「そうなんですか?」

灰田「うん、空軍がね。何かこうUFOっていうと、不規則に飛行する宇宙人が乗っている円盤って思うだろうけど、未確認飛行物体っていう意味をよく考えてみて?」

渡「えー、空を飛んでいる何かわからない物……」

灰田「そう、宇宙人とも円盤とも言ってない」

渡「言われてみればそうですね」

灰田「例えば、空に風船がふわふわと浮いているとする。それを誰かが目撃をする。が、距離が離れすぎていて風船なのか鳥なのか飛行機なのかわからない」

渡「なるほど、それもUFOってことなんですね?」

灰田「そういうこと」

 灰田の説明に納得している渡。事務所の方では、椎名と知哉も説明に納得していた。

修「……ってわけなんですよ」

椎名「あぁ、そういうことか。たとえ風船だろうが鳥だろうが飛行機だろうが、それが何であるか判明するまで、その飛んでいる物はUFOってことなんだ」

修「そうです、そうです。ですからUFOというものにもっと関心を持ってもらわないと困るんですよ。そのUFOが風船や鳥でもなくミサイルだったら?」

椎名「あっ、そういうことか! UFOをUFOのままにしておくとそういった危険性もあるんだね?」

修「はい、現に空軍ではUFOでスクランブル発進をしてますし、ミサイルや戦闘機となると一刻の猶予もありませんからね」

 その頃、公園では灰田がある書類を渡に見せていた。

渡「これがその論文ですか?」

灰田「そう、自分なりにUFOと地球外生命体・知的生命体との関係性をまとめてみたんだけど、大学側がどうもね……」

渡「そうなんですか…… えっ、大学?」

灰田「うん、それは大学教授時代に書いたんだ」

渡「えぇっ‼! 灰田さん教授だったんですか!?」

 渡が本物の教授に驚いているとき、事務所の方ではUFOの話が熱気を帯びてきていた。

重「絶対にエイリアンクラフトじゃないよ! 宙弧ちゅうこだって! 天弧てんこだって!」

修「いーや、あれはエイリアンクラフトだ!」

 二人の言う宙狐がわからなかった知哉は重に聞いた。

知哉「なぁ大先生、その宙狐ってなんなの?」

重「宙弧っていうのは妖怪の名前で、まぁ、狐火みたいな奴かな。空中にホワッと火が浮いててさ。それで高いところを飛んでる宙狐を天弧っていうんだよ」

知哉「大先生、それじゃ俺が中学生の頃、夜の海で見た二つのUFOもその天弧ってやつか?」

重「どこの海で見たか知らないけど、たくろう火の一種じゃないの?」

知哉「沢庵日?」

 修はそれを聞いた途端、空になったタバコの箱をくしゃっと丸め、知哉めがけて投げつけた。

修「んなわけねぇだろ!?」

重「た・く・ろ・う・火だよ知ちゃん。一つなら他の妖怪の可能性もあるけど、夜の海で一度に二つ以上となると、たくろう火じゃないかな? でもまぁ、瀬戸内海にいるって言われる妖怪だからねぇ」

知哉「ふーん、妖怪もいろいろとあるんだなぁ」

 椎名は三人の話が終わったのを確認すると、修に話しかけた。

椎名「ねぇ修君。修君が見たUFOってどんな形だった?」

修「んーと、一番最初にみたUFOの形は赤い球体でした。すごい速さで空を動き回って、消えたり現れたりで。そんでもって一番大きかったやつは六角形でしたね」

椎名「六角形?」

修「はい。駅前の病院にばあちゃんが入院しているときだったんですけど、3階だったかな? エレベーターホールの窓から見たんですよ。目の前のビルの屋上すれすれにその巨大な六角形が浮いてたんですよ。それで大慌てで病室の父親を呼びに行ったんです。そしたら『ちょっと待ってろ』って言われたんでイライラしながら窓のところに戻ったんです」

椎名「じゃもういなかったでしょ?」

修「それがですよ、まだいたんですよ! だからもう大慌てで…… あっ、この大慌てって言うのは早歩きですからね? うちの両親はマナー、モラルには厳しく‥」

知哉「わかってるって修、いいから先を話せよ?」

修「わーったよ。んで父親をもう一回呼びに行って、戻ってきた時にはもういなかったんですよ」

椎名「そういうときに限っていなくなっちゃうんだよねぇ」

修「そうなんですよぉ、んでバカにされるんですよ」

 それから、灰田と何でも屋五人のFYEの捜索は続いた。だが研究開始から3週間が過ぎてもUFOのUの字も見つけることが出来なかった。
 何でも屋たちは焦っていた。いくら依頼内容が研究の手伝いとはいえ、依頼料を受け取る。見つからないまま依頼料を受け取るのも後味が悪い。それに灰田の人となりがわかった今、純粋に研究が成功して欲しいと思っていたのだ。しかし、灰田は自身は相変わらずのほほんとした様子だった。

灰田「コーヒーいれたよ」

 深夜の公園。修と灰田はイスに腰を掛けてFYEを探していた。

修「あ、どうもすみません。いただきます」

 覗いていた双眼鏡を首にかけ、修はコーヒーを受け取る。寒空のせいか、眠気覚ましである暖かいコーヒーを飲んだ修は、逆に少しだけ眠気が増してしまった。

修「いやー灰田さん。なんかコーヒーが逆効果になっちゃってますよ」

灰田「…………………スースー」

修「いや、寝てるんですか!?」

灰田「ん………… いやいやいやいや! 寝てない寝てスースー」

修「寝ちゃってますよ!」

灰田「ははっ、冗談だよ冗談」

修「もう、勘弁してくださいよ」

灰田「ごめん、ごめん」

修「そういえば灰田さん……」

灰田「ん、なにかな?」

修「どのくらいになるんですか、研究を始めて?」

灰田「まだ白髪が一本も生えてないときから続けてるよ」

修「そうなんですか!? 長いですねぇ。きっかけは何だったんですか?」

灰田「准教授のときの事なんだけど。まぁ、もともとは日本の生物についての研究をしていてね。山奥で今みたいにテントを張って研究してたんだ」

修「えぇ」

灰田「それで、ある日の事。真夜中に観察を続けていると、使っていた暗視カメラが急に使えなくなっちゃってねぇ。仕方なく予備のカメラをと思ったんだけど、それもダメ。おかしいと思って他の機材も調べたら全部ダメになってたんだ」

修「嫌ですねぇ、そういうの。不気味ですし……」

灰田「そうなんだよ。しまいには懐中電灯も点かなくなっちゃって。その時、空気が少しずつ震えだしたかと思うと、聞いたこともないような重低音が頭の上から聞こえてきたんだよ。思わず僕は空を見上げた。するとね、高くそびえる木々の隙間から見えるはずの星空が見えなかったんだ」

修「……………」

 修は息を飲んで話を聞いていた。

灰田「そこには空の代わりに、形容しがたいほど大きな『何か』がゆっくり、ゆっくりと空を飛んでいたんだ。ほのかに白く光る『何か』を目の当たりにした僕は、気づいたら走り出していた、手にしていたカメラを片手にね」

 灰田はイスから立ち上がり、コーヒーを一口飲んだ。

灰田「真っ暗な森の中をライトも無しに走ってた。なんでそんなことが出来たかはわからないけど、とにかく走ったよ」

修「まぁ、危険から逃れようとしたときっていうのは、何でも出来るのかもしれませんね」

灰田「いやいや、僕は逃げたんじゃなく、その『何か』を追いかけたんだよ」

修「えっ!? 追いかけたんですか!?」

灰田「うん。それで低木が数本しか生えていないような、開けたところに出たんだ」

 灰田は当時のように空を見上げた。

灰田「まさしく、大きな空飛ぶ円盤でね。鈍く光る金属のようなボディはシームレスでね、継ぎ目なんて一つもなかったよ。時折、青いネオン管のような光を見せて、僕にその存在を見せつけるかのように、ゆっくりと飛んでいた……」

 灰田の言う情景が、修には不思議と手に取るようにわかった。

灰田「そして、気づいたら太陽が昇っていてね。それ以来、すっかりエイリアンクラフトに魅了されちゃって。生物学者、大学教授の傍らUFO研究を続けて、いつの間にかUFO研究家になっちゃったという訳なんだ。それで……」

 灰田はコーヒーカップをイスのホルダーに置くと、テントの中に入っていった。

修「どうしました?」

 修が問いかけると同時に、灰田はテントから出てきた。灰田の手には数枚の写真があった。

灰田「これがその時の写真なんだけど……」

修「えっ!? 撮れてたんですか!?」

灰田「うん。壊れてるって分かってたけど、ダメもとで何度もシャッターを切ってたら、何枚か撮れたんだよ。まぁ、ピントがあってるかどうか分からないんだけどね、なにせUFOだから」

 灰田は説明しながら、修に写真を渡した。

修「…………これはすごい。今までいろんなUFOの写真を見てきましたけど…… 確かにこれを実際に見たら魅了されてしまうかもしれないですね」

 そこから何となくの沈黙が続いた。灰田は自作のレーダーを見つめ、修は写真を見つめる。

修「あの…… 灰田さん?」

灰田「何だい?」

修「その…… あと一週間しかないわけですが……」

灰田「そうだね、時が経つのは本当に早いね」

修「えぇ…… それで、明日から何でも屋総動員でお手伝いしようと思うんです。まぁ、総動員って言っても五人しかいませんが…」

灰田「え、本当に!?」

修「はい。今までは多くても灰田さん含め四人体制でしたから、ラストスパートということで六人体制で挑もうかと思いまして」

灰田「いやー、それはありがたいなぁ」

修「なんとしても見つけましょう」

灰田「うん!」

 翌朝、残りのメンバーがポムポム公園へとやってきた。

修「なぁ知哉……」

 修が頭をぽりぽりとかきながら、困ったように話しかけた。

知哉「なんだ?」

修「なんだじゃなくてよ? 椎名さんどうにかなんねぇのか?」

 修の視界の先には、銀塊とピエロが一緒になって、きょろきょろと空を見ていた。ようするに、変な奴が一人増えてしまったのである。

修「それにお前、子供たちがよぉ」

 公園には、学校と母親から手に入れた『公園にいる変なのは変ではない』、つまり公園に可笑しなやつらがいるという情報手に入れて、小学生たちがやってきていた。そのため、ポムポム公園はいつもより賑やかだった。

修「二人ともやってることは変じゃねぇけどよ、なんとなく子供たちに悪影響のような……」

知哉「やってることが変じゃねぇから、言うに言えねぇんだよ」

 修と知哉は諦めてUFO探しを再開した。

子供A「ねぇお兄ちゃん?」

 その頃、渡は男の子4人組につかまっていた。

子供A「あれ宇宙人だよね?」

 一番やんちゃそうな男の子が聞いた。

渡「いや、一応人間なんだよね……」

 渡がそう言うと、やんちゃそうな子の横にいた一番賢そうな男の子が、うんうんと頷いた。

子供B「なるほど、宇宙人の定義には『一応人間』も入るのか……」

渡「あ、いやそういう訳じゃくてね……」

子供C「ピエロいいなぁー、ピエロいいなぁー、ピエロって何人?」

 一番背の高い男の子が聞いた。

渡「何人? あのピエロは日本人だけど、中国人もいるしアメリカ人もいるし……」

 すると、今まで黙っていたメガネをかけた一番おとなしい男の子が、何かに反応して口を開く。

子供D「ん!? あれは妖怪のホッスモリ!?」

渡「………あのね、あれは僕の友達で重っていうんだ。一応人間だから……」

子供B「えぇ!? では銀色宇宙人とアイウェア宇宙人が一緒にいる!?」

渡「いや、あのー、違うの、一応人間って言ったけど、別に宇宙人の定義じゃなく……」

 渡はその後も、かなりの時間、質問攻めにあった。
 日が暮れ、子供たちに帰宅を促す『家路』が市の放送で街中に流れた。子供たちは『また明日』と別れ、公園は淋しげな夕日色に染まっていった。
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