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リミテッドワーパーズ編

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その頃、リミテッドワープ都市では新の統治者を迎え入れる為のパレードが行われていた。

「隣街のラノワーテからやって来た、ブリューテ様であられます。」

「ご紹介に与りました、パレンツェールア・ブリューテでございます。風格と歴史ある都市を受け継いでいく所存です。統治者としての責務を担って参ります。」

統治者になることくらい、計算済み。私は、この都市を自分の思うがままに操り破滅に追いやる。それこそが、私の宿命。思う存分、権力に入り浸れるなんて。これこそ、私の望んでいた景色。ああ、何て快楽的。誰もが、ブリューテ様と頭(こうべ)を垂れる。いい気味。

パチパチパチパチ

「ブリューテ様。」

「ブリューテ様。」

「ブリューテ様。」

皆が、私を呼んでくれる。栄光が私に微笑む。何て、美しいのだろう。

「どうして…スフィア様ではないのですか。」

スフィア…それは、前女王か…。どうして、今更そやつの名を呼ぶのだ。そやつは、責務から 逃れる為に、この都市を捨て失踪したと聞いた。私が就任してしまった以上、もう関係がない。

「スフィア様は、お辞めになられました。もう、スフィア様はこの都市の人間ではありません。」

「そんな…あのお方は、この都市を善くして下さったし民を護衛(まも)って下さった方です。」

「そんなことは、もう昔のことだ。スフィア様は、この都市を見捨てたんだ。」
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