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開かれし異次元廻通路扉

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「到、到着しました。僕っ、僕は帰りますね。」 
初めて入ったが、とても不気味だ。ハンティング・トロフィー(鹿の剥製の壁掛け)がこちらを見ている。今にも、動き出しそうだ。蜘蛛の巣が至るところに張り巡っているし、本棚も本も埃まみれだ。その人は、本棚の本を一冊一冊机に置いていた。
「この図書館は、何百冊以上もあって探すのに苦労する。手伝ってくれ。」
「はい…。」 
本来なら、一人で探すものだ。だが、こんなところで時間を費やすのがいかに無駄なことか。この人間と一緒に、探す方が多少は時間短縮になるだろう。
「本の特徴を教えて下さい。」
「特徴か…。そうだな…背に歯車(ギア)と、針の紋章が刻まれている…。それくらいしか、情報は知らない…。」
「僕は、左奥から手前にかけて探しますね。」
「ああ…。」
 これも違う、これも違う…。これも、これも、これも違う…。繰り返すこと、4時間。さすがに腕が痛くなってきた。僕は、椅子に座り寛いでいた。僕が寛いでいる間も、その人は手を休めることなく血眼になって探していた。
「ちっ、的外れだったか…。くそっ、こうなったら…。」 
その人は、明らかに苛立っていた。よほど、必要な物なのだろう。
 「おい、人間。机に置いた書物をもう一度確認しろ。」
 「はい…。」 
そんなはずはない。10冊ある内1冊の魔廻書は、この世界にあると明記されている。何故、無いのだ。もしかして、既に何者かに開封されてしまったということか。何が何でも、手に入れなければ…。この際、厭わない。 
「シュアネテ。」
 その人が、唱えると本棚が凄まじい音を出し揺れ始めた。そして、隠し扉が出現した。この人、もしかして…シリテス達同様にゲームのキャラクターなのだろうか。
「やはり、的外れではなかったようだ。俺の見立て通りならば、この扉の何処にある。」



「ジュメイン・ゼアガーの仕業か…。物体移動の魔言を唱えたな…。」 
「この世界に身を潜めていたとは…。奴には、レーゲンラウムに帰還(かえ)ってもらわなければ。異次元世界の衰退を与える輩だからな。」 
「一掃しなければ、衰退の一途を辿ってしまう…。」
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