脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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ヴィサレンスと同盟

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私は夕食と湯あみを終え、彼を待つ。
彼の話とは何だろうか。


改まってするような話とは…と考えると、私のヴィサレンス行きの話しか思い浮かばず、気が重くなる。


「エミレィナ様。グリニエル様がお見えになられました。」

いつものようにローザの報告受け、私は彼を部屋に招き入れる。

「やあ、エミリー。ちゃんと夕食は食べられたかい?」
 私はコクンと頷き、すぐに彼に椅子を用意した。





「…エミリー。」

彼は用意した席につくことなく私を抱きしめる。私もそれに応えるように背に腕を回した。

するとゆっくりと彼が私から離れ、眉を下げた。

「エミリー。ヴィサレンスで暮らすと聞いたよ。」

それは私が予想していた通りのもので、私の胸はギュッと苦しくなる。



「…オークションに巻き込まれたミレンネの償いのためということで、向かうこととなりました。
…でも、それだけで済んでよかったと思っております。一国の皇女様を危険に晒したのですから、もっと要求されてもおかしくはなかったでしょう。

それに、嫁げと言われた訳でもありまけんし、あちらの国で私の立場が悪くならないようにと、ブルレギアス様が掛け合ってくださいましたもの…。

私は、ジョルジュワーンの役に立てるなら本望です。」


私がそう言うと、また彼は私を抱きしめた。

「君の決心はとても心強いよ。
私たち王家にとって、とても助かる忠誠心だ。

でもね、今だけは、1人の女の子としての声を私聞かせておくれ。」

「っ。」


彼はまだ私を抱きしめたままだ。

それはきっとら私の顔を見ないでくれるということだろう。

「…。私は、エル義兄様と、もっと一緒にいたいです。
こんなに急に国を後にしなければならないとは思っておりませんでした…。」

それは私の本心。
何日も胸の奥に仕舞い込んでいたものが、彼の言葉によって出てしまった。


すると彼は私の額にキスをする。

「殿下?」

「…エミリー。今回決められたことは、きっと簡単に覆せるものではない。
ジョルジュワーンがヴィサレンスに何か利益をもたらさなければ、難しいことだろう。
…でもね。」


「でも、必ず私が君を迎えに行く。
エミリーがまたジョルジュワーンで暮らすことができるように、私が力を尽くすと違うよ。

だから待っていておくれ。」

彼は私の顔を覗き込む。
私はその彼の唇を重ねた。


「待っております。
…でも、っだから…
義兄様の温もりを忘れないように、抱いてはくれませんか。」


その言葉にやはり彼は驚いている。

私と殿下は義理の兄妹だ。
兄である彼に頼むようなことではないとは分かってはいるが、どうしても不安で心細いのだ。


私の本心は自分では認めたくはない。
今私が彼に抱かれるのは、自身の寂しさのせいではあるのに、彼の性処理悩みを1度でも解決してあげるためだという理由に張り替えた。



「…本当にいいのか?」

「…はい。」


彼は私を抱き上げ、ベッドへと向かう。
そして、灯りを小さなものにすると、私の頬に触れた。

「エミリー。」

「エル…義兄さま…。」

耳元で囁かれる名前に、私は目を瞑る。

最後に温もりを感じられるだけでなく、彼の役に立てるというのはいいなと思った。

すると、彼の手が私のワンピースの裾から入ってきて、私の太ももを撫でる。

いつもの潜入であれば、寒気の走るはずのそれは、殿下にされていると思うだけで、全く違うものだった。


「…っん。」


くすぐったい。それなのに幸せだと思うのは、私が彼を尊敬しているからだろう。


「っ。」

裾から入ってきた手は、まるで私を割物のように優しく撫でていく。

「ぁ…。」




どれほどの時間が過ぎたのか分からないが、ふと、殿下が口を開いた。



「エミリー。私のことは好きか?」

「ええ、もちろんです。」


急に何を聞くのだろうか、そう思って被せ気味に答えたのだが、彼の手が止まった。


「殿下?」




「…エミリー。これはまた今度にする。
必ず君を捕まえてみせる。だから、今日はしないよ。」


私はどうして彼が止めたのかが分からなかった。

しかし、彼が私を抱きしめたままベッドに入ってくれたことでらどうでも良くなったのだ。


「……必ず迎えにきてくれますか?」

「ああ。エミリーが望むうちは絶対に諦めないよ。
それでもいいかい?」


「っ。…はい。
ずっと、ずっとお待ちしております。」


私は彼の胸に額を当て、ゆっくりと目を瞑る。そこからは一粒だけ涙が流れてしまった。


「今日は一緒に眠ってはくれますか?」

「ああ、勿論だ。朝までちゃんとここにいるよ。」

私は彼の腕にすっぽりと収まり、その夜を過ごした。



それは、先程まで覚悟していた熱いものではなく、ただただ穏やかなものでら私はとても安心した。

ずっと彼のそばにいられるならいいのに。
そう思いながら眠りへと誘われた。








朝起きると私は殿下の腕枕で寝ていた。

彼の腕枕で眠ることができるのは、妹である私と未来の彼の婚約者だけだろう。

その女性が公となるまでは私1人だけの居場所だというのに、あと何日かすれば、その居場所にいることすらできなくなってしまう。

でも、昨夜の彼は私を迎えにきてくれると約束してくれたため、私はそれを信じて待とうと思った。


そうして彼の綺麗な寝顔を見つめていると、目が合った。

「…エミリー。…おはよう。
今回は置いて行かれずに済んだようで嬉しいな。」

彼がそう言うのは彼の婚約者を選定するためのパーティーでのことだ。

私はあの時、廊下にいた近衛騎士達に見つからないようにと屋根裏から抜けて逃げた。
だからこうやって私が彼の目覚めまで隣にいたことは無かったのだ。

「誰に見られるような心配はありませんからね。…それよりも、眠れましたか?
ずっと腕をお借りしていたようですが、痺れたりしてはいませんか?」

「大丈夫だよ。、一緒に眠ろう。」

いつも通りわたしに優しい彼に、私は笑みを溢す。



彼ならきっと約束をはたしてくれる。

それなら私も、彼の役に立てるように、何ができるかを考えようと思った。





私と彼は各々分かれ、準備を済ませたあと、予定されていた報告会へと向かった。
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