脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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最悪の双子②

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『エミレィナ…このまま聞くがよい…。』


アネモスの声。
それは私の脳内に響いた。




『グリニエルがイメージを妾に伝えてきおった…。
本来なら出来ぬことじゃが…。
彼奴の想いも随分と真っ直ぐだからかの…。』



『1分後にルキアとケインシュアが2人を拘束し、2人もろとも双子を消す作戦となった。
異論は認めないそうじゃ。』


「っ!」


『主は妾の合図と同時に後退し、その攻撃から必ず外れよ…とのことじゃ。』



ルキアと隊長が身を呈して2人をこの世から消すという提案に、私はどうしても乗るわけにはいかないと思った。


なぜなら、双子がその攻撃で死ぬという確証がないからだ。



『やってみるしかない…ということじゃ。』

「…。」


それを最後に、アネモスの声は途絶え、また先程の様にレシファーが話し始めた。


『ねぇねぇ。僕らが凄いの分かっただろう?
僕らと一緒に暮らさないかい?』



「え?」


『そうだよ。君も僕らも親がいないし、同じヴィサレンスの血が流れているんだもん。
仲良くやれると思うんだ。』


本当にそう思っているのか、目を輝かせながら提案するその姿は子どもそのものだ。



「…私は…っ!」



そう口にすると、ルキアと隊長が飛び出し、レシファーとミカレルを拘束した。


『無駄だよ。』

『僕らを消そうとしてるんだろう。』



筒抜けのその作戦に、彼らは抵抗もしない。
その姿を見てすぐに私は飛び出した。


「アネモス。何でもいい!
必ず彼の魔法を阻止して!」


私はそう叫ぶとその間に立ち、グリニエル様の攻撃をアネモスの力を借りて壁へと逸らした。


「っ!エミリー!」


私が立ち塞がったことに気付いたグリニエル様が威力を落としてくれたおかげで、私は傷一つなく彼らを守ることができた。


「エミリー!どういうつもりだ!」


「やめてください!
そんなことをしても意味がありません!」



「っだが!!」


「…。」


私は彼の目をじっと見つめ、落ち着いてほしいと伝えた。


「…隊長もルキアも…2人を離してください。」




「それはできない。」



私のその要望は通らない。
それどころか隊長は、その拘束に力を加えた。

『ングッ……。』

レシファーが苦しむと、ミカレルの目がカッと開き、その瞬間、彼らを拘束していたはずのルキアと隊長が飛ばされた。


「っ!」

「クソっ!」



『僕らをどうするつもりだったの?』

『ねえ。教えてよ。』



2人の怒りに触れてしまったようで、ルキアと隊長は防壁の球体に囲われた。 


それが上へ上へと上がると、レシファーは開いていたその手をゆっくりと握り始めた。


ミシミシと鳴るのは隊長の入れられた防壁。
レシファーの手とリンクしている様に小さくなるその中で、隊長は今にも関節が外れそうなほどまでになっていた。




「待って!私はレシファーとミカレルに話があるわ。」


『…。』


『なんだい?
…いい話だといいんだけど。』



「ええ…。私ね、魔力が殆どないの。
それでも私と共にいたいと思ってくれる?」


『ああ。なーんだ。一緒に住む話か。
そんなの気にしないよ。
僕らが守ってあげる。』


『欠点はあればあるほど魅力的だよ。
僕らは君を気に入ったんだ。
何も気にすることなんてないよ。』



2人は子どもさながらの特性でコロコロと気持ちが移り変わる。
私のその提案に、2人は少し気分が良くなった様だ。



「…私ね、魔法も使えないけど、使えるのもあるの。
初めてやるのだけど、見てくれるかしら?」


『へぇー!どんな?』

『初めてなら僕らが見てあげるよ。
こう見えても僕らはとっても凄いんだよ。』




「小さくしかできないと思うから、もう少し寄ってくれるかしら?」


『勿論だよ。』

『でも変な気を起こさないでよね。
僕等に魔法は効かない。
自爆なんてされたら僕らは君というおもちゃを失っちゃうんだから。』


「大丈夫よ。
私は本当にちょこっとしか魔力がないもの。
2人を消すどころか自分でも死ねないわ。」



やはり2人には魔法は効かない。
きっとグリニエル様の魔法も同じことだろう。



グリニエル様は私の後ろから様子を伺う。
きっと手を貸すタイミングを見ているのだろう。そう思って、アネモスに伝言を頼んだ。


“見ていて下さい。”
それが届いたところで私は深呼吸をする。







「見ててね。
すぐ終わっちゃうかも。」

私の自嘲気味の発言に、彼らもつられて笑う。


『何をするの?』



「うふふっ…。行くわよー。
…我が名はエミレィナ・ヴィサレンス…
我の前に姿を現し、契りを結べ。」


『え…?』




「………太陽神ソアレ。」




彼らが間抜けな声を出すと、私の周りは光に囲われた。







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