脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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できること①

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ザワザワという風の音で目を覚ます。





私は既に自室のベッドに横になっており、ドレスもコルセットも外されているところを見ると、ローザが頑張ってくれたのだろうと、すぐに予想することができた。



『目が覚めたかの…。』



「…ぁ…アネモス……?」




私がゆっくりと体を起こすと、その声はさらに近くで聞こえるようだ。




「…アネモス…ありがとう。
連れてきてくれたのね………」



『礼などいらん…。
妾のためでもあるのだからの。』




「…ふふっ。心配しなくとも、私の想いは変わらないわ…。」



『想いは繋がった方が力を増す…。
だから妾は力を貸すのだ。
…まあ、もし、主が他に行けるならもっと気が楽なんだがな。』





アネモスは、それがありえないことだと分かっているというように、そう口にした。







「ごめんなさい…。
…ソアレもごめんなさい。
自由にしてと言ったばかりだったのに、すぐに呼び戻してしまって…。」




『…構わない。
我も少し甘く見ていた。
それを詫びさせて欲しい…』




ソアレは以前ほどトゲがなくなったのではないだろうか。



『この男は、あの時死ぬつもりだった。』



「え?」




『エミレィナの魔力は少ない。
だから双子の力を浄化する力は足らないと分かっていたんだ。
あの時、この男は、エミレィナを死なせるくらいなら自分が死ぬ方がいいと思って惜しみなく魔力を流し込んできていた。』



「っ!」


『まあ、我がコントロールしたから命には問題がなかったのだが、魔力を遮断した後も尚、魔力を送ろうとしてきおった…。
だから、少し眠らせたんだが、…耐性がたかったようで、脳に少し支障が出た。
…我のせいだ。
すまなかった…。』





魔力を全て注ぎ込めば人は死ぬ。
人に送り込む際に魔力は濃縮されるため、グリニエル様はかなり無理をした。

そのことは知っていたが、ソアレがそれを遮断し、更にグリニエル様を気絶させなければならないほどだったとは思いもしなかった。

だが、そうでなければグリニエル様は今頃…。
そう思ってしまえば強くは怒ることもできない。



私はその先を知る必要があるのだ。









「…どうしたら、良いのかしら。
やはり時間を要するものでしかないのかしら。」





『いや、もう一度我の力を使えばもしかすると…だが、エミレィナの魔力は少ない…。
一度でどうにかできるわけはないから、毎日、我に魔力を分けて欲しい。
…貯めるという言葉の方が正しいか…?』






『人から人へと移すのには魔力を膨大に必要とするが、契約済みの精霊に与えるのはまた違う。』


『毎日外に出て日に当たり、我の力を使ってくれれば良い。
我が貯蔵し、それを使ってまた奴に衝撃を与えよう。
魔力が少なくとも、毎日そのギリギリを使えば少しは足しになるというものだ…
ただ、かなり体力がいる。
眠くもなるだろう。』



「…。」


ソアレはできる案をすぐに提示してくれた。



私の魔力が少ないことを嫌味ったらしく言っている訳ではない。


ただ、単に、その事実の上でできることを教えてくれる。



その案を受け入れないはずはなかった。



「やるわ…。」



『なっ…エミリー。落ち着くのじゃ。
まずはよく話を聞いてだな…。』




すぐに返事をした私を落ち着かせるように、アネモスが間に割って入るが、私の気持ちは変わらない。




「いいの…。ソアレがそう言ったのなら他に方法はない。そう思うから…。
それに、どんな方法だろうとやる。
今の私はやることもないし、毎日外に出ることもできるから、大丈夫よ…。」




コクンと頷く私に、2人は何も言い返さない。





『それでは、とにかく休め。
明日の朝から…いつまでかかるかは分からないが、やってみよう。
無理はさせない。わかったな。』



「ええ。ありがとうソアレ。
おやすみなさい。」





『ああ。おやすみエミレィナ。』





それから、私は丸三日外で過ごした。



朝食を取ってすぐに日を浴びるために外へ行き、お昼前には力尽きて倒れるように眠りこける。




そしてそれをルキアが部屋まで運んでくれるという毎日が過ぎた。



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