38 / 68
僕は別にしたいとは一言も言ってないんですが!?
しおりを挟む
あれだけ色んな事があった夏休みもあっという間に終わってしまい、日常が戻ってきた。
何だかんだ夏休み後半も絢斗くんはちょいちょい宿題が分からないと理由を付けては脚繁く通っており、職員室かB組の教室で僕から教わっていた。余りにも来るものだから、他の先生方も呆れ顔をしながら一緒に見てくれたりしていた。そこで多少とも喧嘩っ早い…というイメージも払拭出来たらと思ったが。案外教員達からは普段大人しい子がまさかの…みたいなリアクションばかりだった。確かに…学校での絢斗くんは無口クールキャラではあったな、と改めて思い出した。家でのイメージが強過ぎていたな。
因みに金田さんに関しては絢斗くんほどでは無いが、補講以降も彼女もまた度々訪れては彼とワーキャー言い合いながら課題をやっていた。
部活動をしている訳でもないのに、こんなにも生徒が夏休みだと言うのに職員室に来るなんて無かったからか、教員達は面白そうにしていたのだった。
「あ!高城せんせぇ♡今日から毎日会えますね♡」
「う゛っ!!!」
夏休みの事をぼんやりと歩きながら振り返っていたら、聞き慣れた声と共に腰に強い衝撃が降りかかった。突然のタックルにより足腰は踏ん張ることが出来ず、重力に従って廊下に尻餅をついてしまったのだった。おしりが痛い…。周りの子達も何事かと驚いている。すんごく恥ずかしい…逃げ出したい気持ちが募っていく。
そんな状態の僕にも関わらず、腰元の重さは剥がれることはせず…。
「か、金田さん…。もうすぐ授業始まるから戻りなよ…。」
「えぇ…るみもう少しお話したいでーす♡」
「あと離れてくれると…大変嬉しいんだけど。」
「いやでーす♡」
タックルの犯人は言わずもがな金田さんである。
しかも彼女はするすると僕の上に乗り上げてきた。ダメすぎる…完全にこれは僕が捕まってしまう状況だぞ!?無理に引き剥がそうとするのだが、指先がワイシャツをしっかりと掴んでいるらしく離れないし。なんならより抱きついてこようとするしっ!!!ひぃぃぃーー!!!
助けて欲しくて生徒達に視線を送るがみんな逸らしてしまう。みんなそんなにも金田さんと関わりになりたくないのか。どんだけなんだよこの子!!絢斗くんよりも問題児なのでは!?誰かお助けくださーーい!!
心の中で大声で助けを求めていたら…。
ダダダダダダダダダ!!!!と大きな足音が廊下内に響き渡った。
「金田ぁぁぁ!!高城から離れろ!!!ダメって言ってんだろ!!!!」
「ぐはっ!!!」
今度は背中に強い衝撃が。あっぶな!!!反動で金田さんに突撃する所だったよ!?
声的に間違いなく僕の可愛い絢斗くんであった。態々駆けつけてきてくれたらしい。非常に嬉しいのだけども、騒ぎが大きくなっている気が…。
するりと首元に腕が回され、グイッと頭が彼の胸元に引き寄せられた。ふわっと浅見家の香りが広がる。
「やぁだ!浅見くんはいっつも一緒にいれるけど、るみはこういう時しか会えないんだから譲ってよ!」
「や、やだ!!」
「るみもやだぁ!」
「「むぅぅぅー!!」」
「……あ、あの…二人とも…。」
ど、どどどうしよう…。二人分の体重がなんだかんだで全力で乗せられてしまっているから身動きが全く取れない。
「ほらほら二人とも、高城先生が困ってるよ。戻りなさーい。」
「ひ、姫路先生…!!」
横から本担任の声が。見上げてみたら冷静さのある声を発しながらも、完全に瞳はにまにまとしていた。なんて…器用な。
二人は彼女に促されるまま教室に戻ってくれ、何とか抜け出す事が出来たのである。姫路先生…やっぱり強い。
最後の最後までぶーぶーと文句を言っていたが、一先ずは良しである。
ほんと、嵐な子達だよ…。
「ふふん、モテモテですね…高城先生。」
「……喜んでいいんですかね。」
「いーと思いますよ!ただ…金田さんが浅見くんのライバルとなってしまったのは驚きですけども。…ダメですからね、高城先生は浅見くん一筋じゃないと。」
「それは、分かってますよ。……あの子の彼氏は僕ですからね。誰にもあげないし、僕は彼以外誰のものにもなりませんよ。」
「………。」
あ、やべ。
ついつい熱が入ってしまった。絢斗パパ達に自分は絢斗くんの彼氏だと宣言してからどうしてもそこに関して力が入ってしまう。一度口にしてしまったからか、僕はあの子の彼氏なのだと自覚がちゃんと芽生えてきたのだと思う。それまで芽生えて無かったかと言えばそうでは無いが、やはり誰かに伝える様になると気持ちの持ちようが変わるのだろう。
だが、ここまでこの方に対してまで熱は入れる必要は無かったね…。
多分引かれてしまったのだろう。完全に口を閉ざされてしまった。
「あ、…す、すすすみませんいきなりこんなことを言われても困りますよね!?…っな、泣いてる!?!?」
「す゛み゛ま゛ぜん゛…。余りにも、余りにも素敵な推しカプのお言葉に心が締め付けられてしまいまして…っ!」
「推しカプ…。」
「尊い…ありがたや…ありがたや…高浅…。」
「拝まんでください…。」
こんなにも美人が…。ギャン泣きだよ。あぁあぁ…涙と…鼻水までも出てしまって。ポケットを探ったらたまたまポケットティッシュが入っていたので差し上げたのだった。いや、気持ちは嬉しいけども。ここまで泣かれてしまうとは。もしかしなくとも僕よりも熱量があるのではないだろうか。
その後、授業と職員室での作業を終えた。夏休み一発目の授業は何となくだが…緊張をしてしまった。それだけ夏休みは自分が思っていた以上にのんびりと過ごせていたようだ。そちらの感覚に慣れてしまっていたのだろう。改めて気を引き締めないと。
泣き止んだ姫路先生と教室内で、とある話し合いをみんなとすることになったのだった。
「十月に文化祭があるから、うちの教室で何をするか、決めましょう!」
「「「わーーい!!!」」」
文化祭。
そっか、夏休み明けたらもうそんな大イベントがあるのか。こう考えると学生というのは忙しいものだ。それ終わったらまた大きなテストもあるし。本当にバタバタだなぁ。でもそうか、文化祭かぁ。
自分が学生の時は、準備とかは楽しかった記憶がある。当日はちょっと…少しいや、大分大変だった記憶があるけども。全部が全部嫌な記憶ではなかった。
「まずはみんな何がしたいのか案を出してもらって、最後に投票で決めましょう。周りの子達と話し合ってもいいからね。」
姫路先生がそう伝えると、各々机なり椅子なり持ち寄りわいわいと話し合いをし始めていた。絢斗くんに関しては…彼が動くことは無く周りの子達が集まってきているようだった。流石だね。
彼等に考えてもらっている間、姫路先生に去年や今までどんなものがあったのか話を聞いてみる事にした。少しでもこの学校について知れればいいなって。
「ベタだけど、お化け屋敷とか。縁日とかでしょうか。あ、BL界隈だと男女逆転コスプレ喫茶とかよくありますよ。私は一度は目の当たりにしたいんですけどね。」
「何言ってんですか?」
姫路先生が声を抑えながら近付いてきた。悪い顔をしていらっしゃる。
「ほら…浅見くんがメイドコスとかしたら…可愛いじゃないですか…?」
それは…うん。
見てみたいかといえば、見たい。めっちゃ見たい。恥ずかしがりながらも、彼はきっと着てくれるだろう。家事も出来る子だしそういう意味でも似合うのだろう。それを着ながら、玩具を突っ込みながら家事をしたり…僕に奉仕とかして欲しい…。
きっとふにゃふにゃになってしまうだろう。なんなら着ただけでふにゃふにゃになってしまうかもな。
そんなの…当然表に出せる訳がないし…。
「…………僕の前だけ、が良いですね。」
「ありがとうございます!!!!!!」
「ぃ゛っっだ!!!うるさっ!!!!」
バッチーーーン!!!!とまた背中を思いっきり叩かれてしまった。
二度目だぞおい!!!!
「姫ちゃぁん、発作ぁ?」
「発作だね。みんな気にしないで頑張って考えてて。」
「あははっ、地味セン姫ちゃんに辛辣で草。」
そりゃそうだよ。なるって。
真面目に先生業をしている彼女は大変信頼しているし、憧れているのだが。今の発作状態の姫路先生に関しては多少雑に扱っても構わないと思っている。
そんな中、僕の服が引っ張られたのだった。何だろう、意見の衝突でもあったのかなと振り返ってみれば…絢斗くんが立っていた。頬っぺを赤くさせてモジモジしてる。可愛い。思わずニヤケそうになってしまいそうだ。
「け……どうしたの浅見くん。」
「……思い付かなくて。高城は昔何してたのかなって。」
「あ、それ私も気になります。」
まじか。
二人とも瞳をキラキラさせている。
「えぇ?………そうだなぁ、僕の時は………姫路先生がさっき言ってたのと似てましたね。無駄にノリがいいクラスだったので。」
「と言いますと?」
「…………執事喫茶をさせられました。」
「「!?!?」」
「……………本当は裏方が良かったんですけど、何故か接客をさせられてしまって。結構しんどかったですね。」
そう。これだ。
初めは裏方の機材とかを扱う係だったのだが、いつの間にか当日は接客係になっていたのだ。しかもご丁寧に僕のサイズの衣装まで用意されていたし。あれは…完全に嵌められたのだと思ったね。苦い思い出だ。
「ゆ、ぁぅっ…高城も執事の格好したのか?!」
「え、あ、うん。」
「……………見たい。」
「へ?」
「高城の執事姿、俺見たい!!!」
「私も見たいです!!!」
「……待ってね探すから。」
スラックスのポケットの中に入れっぱなしにしていたスマホを取り出し、過去の写真を巡る。最近昔の写真を求められてばかりだなぁ…。
大分遡ってみたら運良くその時の写真があった。無理矢理撮られた奴だ。女子達にヘアセットもされたんだっけ。
「こ、これだよ。」
「「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」」
二人の奇声が教室内に響いた。なんだなんだと教室のみんなも集まって来てしまい、僕の過去の痴態があっという間に広がってしまったのだった。
…………結果、僕と姫路先生込みでの執事喫茶をやることになってしまったのである。
非常に不満だ。
放課後、浅見家にて。
これも…もう何度目だろうか。僕の脚の間に座り込んでまたえぐえぐとしてしまっていた。
「勢いで…ゆーしの執事姿見たいって言っちまったけど……。モテちゃうじゃねーか!!!うわぁぁどうしよう…。」
「大丈夫だよ…僕みたいなヘタレはモテないから…。」
「あの写真見たみんなの顔忘れたのか!?大興奮だったぞ!!モテんの!!俺と金田からモテてんだから他の奴らからもモテんだよ!!っむっ……ぁぅ……っゆぅ…ひぃ……♡」
余りにも興奮状態だったから、ついお口を塞がせて貰った。直ぐにトロトロになってしまう彼が可愛いのだけど。瞳の奥は騙されないぞー!という意思が今日は見えた。
「……っはぁ……もぉ、心配しすぎだよ。どちらかと言うと絢斗くんの方がモテるんじゃないかなってそっちのほうが心配だけどね。」
「俺はへーき。ゆーしだけだから。」
「それじゃぁ僕も…。」
「ゆーしは違う!!!」
「なんでぇ!?!?!」
ほんと、なんでだよ。
何だかんだ夏休み後半も絢斗くんはちょいちょい宿題が分からないと理由を付けては脚繁く通っており、職員室かB組の教室で僕から教わっていた。余りにも来るものだから、他の先生方も呆れ顔をしながら一緒に見てくれたりしていた。そこで多少とも喧嘩っ早い…というイメージも払拭出来たらと思ったが。案外教員達からは普段大人しい子がまさかの…みたいなリアクションばかりだった。確かに…学校での絢斗くんは無口クールキャラではあったな、と改めて思い出した。家でのイメージが強過ぎていたな。
因みに金田さんに関しては絢斗くんほどでは無いが、補講以降も彼女もまた度々訪れては彼とワーキャー言い合いながら課題をやっていた。
部活動をしている訳でもないのに、こんなにも生徒が夏休みだと言うのに職員室に来るなんて無かったからか、教員達は面白そうにしていたのだった。
「あ!高城せんせぇ♡今日から毎日会えますね♡」
「う゛っ!!!」
夏休みの事をぼんやりと歩きながら振り返っていたら、聞き慣れた声と共に腰に強い衝撃が降りかかった。突然のタックルにより足腰は踏ん張ることが出来ず、重力に従って廊下に尻餅をついてしまったのだった。おしりが痛い…。周りの子達も何事かと驚いている。すんごく恥ずかしい…逃げ出したい気持ちが募っていく。
そんな状態の僕にも関わらず、腰元の重さは剥がれることはせず…。
「か、金田さん…。もうすぐ授業始まるから戻りなよ…。」
「えぇ…るみもう少しお話したいでーす♡」
「あと離れてくれると…大変嬉しいんだけど。」
「いやでーす♡」
タックルの犯人は言わずもがな金田さんである。
しかも彼女はするすると僕の上に乗り上げてきた。ダメすぎる…完全にこれは僕が捕まってしまう状況だぞ!?無理に引き剥がそうとするのだが、指先がワイシャツをしっかりと掴んでいるらしく離れないし。なんならより抱きついてこようとするしっ!!!ひぃぃぃーー!!!
助けて欲しくて生徒達に視線を送るがみんな逸らしてしまう。みんなそんなにも金田さんと関わりになりたくないのか。どんだけなんだよこの子!!絢斗くんよりも問題児なのでは!?誰かお助けくださーーい!!
心の中で大声で助けを求めていたら…。
ダダダダダダダダダ!!!!と大きな足音が廊下内に響き渡った。
「金田ぁぁぁ!!高城から離れろ!!!ダメって言ってんだろ!!!!」
「ぐはっ!!!」
今度は背中に強い衝撃が。あっぶな!!!反動で金田さんに突撃する所だったよ!?
声的に間違いなく僕の可愛い絢斗くんであった。態々駆けつけてきてくれたらしい。非常に嬉しいのだけども、騒ぎが大きくなっている気が…。
するりと首元に腕が回され、グイッと頭が彼の胸元に引き寄せられた。ふわっと浅見家の香りが広がる。
「やぁだ!浅見くんはいっつも一緒にいれるけど、るみはこういう時しか会えないんだから譲ってよ!」
「や、やだ!!」
「るみもやだぁ!」
「「むぅぅぅー!!」」
「……あ、あの…二人とも…。」
ど、どどどうしよう…。二人分の体重がなんだかんだで全力で乗せられてしまっているから身動きが全く取れない。
「ほらほら二人とも、高城先生が困ってるよ。戻りなさーい。」
「ひ、姫路先生…!!」
横から本担任の声が。見上げてみたら冷静さのある声を発しながらも、完全に瞳はにまにまとしていた。なんて…器用な。
二人は彼女に促されるまま教室に戻ってくれ、何とか抜け出す事が出来たのである。姫路先生…やっぱり強い。
最後の最後までぶーぶーと文句を言っていたが、一先ずは良しである。
ほんと、嵐な子達だよ…。
「ふふん、モテモテですね…高城先生。」
「……喜んでいいんですかね。」
「いーと思いますよ!ただ…金田さんが浅見くんのライバルとなってしまったのは驚きですけども。…ダメですからね、高城先生は浅見くん一筋じゃないと。」
「それは、分かってますよ。……あの子の彼氏は僕ですからね。誰にもあげないし、僕は彼以外誰のものにもなりませんよ。」
「………。」
あ、やべ。
ついつい熱が入ってしまった。絢斗パパ達に自分は絢斗くんの彼氏だと宣言してからどうしてもそこに関して力が入ってしまう。一度口にしてしまったからか、僕はあの子の彼氏なのだと自覚がちゃんと芽生えてきたのだと思う。それまで芽生えて無かったかと言えばそうでは無いが、やはり誰かに伝える様になると気持ちの持ちようが変わるのだろう。
だが、ここまでこの方に対してまで熱は入れる必要は無かったね…。
多分引かれてしまったのだろう。完全に口を閉ざされてしまった。
「あ、…す、すすすみませんいきなりこんなことを言われても困りますよね!?…っな、泣いてる!?!?」
「す゛み゛ま゛ぜん゛…。余りにも、余りにも素敵な推しカプのお言葉に心が締め付けられてしまいまして…っ!」
「推しカプ…。」
「尊い…ありがたや…ありがたや…高浅…。」
「拝まんでください…。」
こんなにも美人が…。ギャン泣きだよ。あぁあぁ…涙と…鼻水までも出てしまって。ポケットを探ったらたまたまポケットティッシュが入っていたので差し上げたのだった。いや、気持ちは嬉しいけども。ここまで泣かれてしまうとは。もしかしなくとも僕よりも熱量があるのではないだろうか。
その後、授業と職員室での作業を終えた。夏休み一発目の授業は何となくだが…緊張をしてしまった。それだけ夏休みは自分が思っていた以上にのんびりと過ごせていたようだ。そちらの感覚に慣れてしまっていたのだろう。改めて気を引き締めないと。
泣き止んだ姫路先生と教室内で、とある話し合いをみんなとすることになったのだった。
「十月に文化祭があるから、うちの教室で何をするか、決めましょう!」
「「「わーーい!!!」」」
文化祭。
そっか、夏休み明けたらもうそんな大イベントがあるのか。こう考えると学生というのは忙しいものだ。それ終わったらまた大きなテストもあるし。本当にバタバタだなぁ。でもそうか、文化祭かぁ。
自分が学生の時は、準備とかは楽しかった記憶がある。当日はちょっと…少しいや、大分大変だった記憶があるけども。全部が全部嫌な記憶ではなかった。
「まずはみんな何がしたいのか案を出してもらって、最後に投票で決めましょう。周りの子達と話し合ってもいいからね。」
姫路先生がそう伝えると、各々机なり椅子なり持ち寄りわいわいと話し合いをし始めていた。絢斗くんに関しては…彼が動くことは無く周りの子達が集まってきているようだった。流石だね。
彼等に考えてもらっている間、姫路先生に去年や今までどんなものがあったのか話を聞いてみる事にした。少しでもこの学校について知れればいいなって。
「ベタだけど、お化け屋敷とか。縁日とかでしょうか。あ、BL界隈だと男女逆転コスプレ喫茶とかよくありますよ。私は一度は目の当たりにしたいんですけどね。」
「何言ってんですか?」
姫路先生が声を抑えながら近付いてきた。悪い顔をしていらっしゃる。
「ほら…浅見くんがメイドコスとかしたら…可愛いじゃないですか…?」
それは…うん。
見てみたいかといえば、見たい。めっちゃ見たい。恥ずかしがりながらも、彼はきっと着てくれるだろう。家事も出来る子だしそういう意味でも似合うのだろう。それを着ながら、玩具を突っ込みながら家事をしたり…僕に奉仕とかして欲しい…。
きっとふにゃふにゃになってしまうだろう。なんなら着ただけでふにゃふにゃになってしまうかもな。
そんなの…当然表に出せる訳がないし…。
「…………僕の前だけ、が良いですね。」
「ありがとうございます!!!!!!」
「ぃ゛っっだ!!!うるさっ!!!!」
バッチーーーン!!!!とまた背中を思いっきり叩かれてしまった。
二度目だぞおい!!!!
「姫ちゃぁん、発作ぁ?」
「発作だね。みんな気にしないで頑張って考えてて。」
「あははっ、地味セン姫ちゃんに辛辣で草。」
そりゃそうだよ。なるって。
真面目に先生業をしている彼女は大変信頼しているし、憧れているのだが。今の発作状態の姫路先生に関しては多少雑に扱っても構わないと思っている。
そんな中、僕の服が引っ張られたのだった。何だろう、意見の衝突でもあったのかなと振り返ってみれば…絢斗くんが立っていた。頬っぺを赤くさせてモジモジしてる。可愛い。思わずニヤケそうになってしまいそうだ。
「け……どうしたの浅見くん。」
「……思い付かなくて。高城は昔何してたのかなって。」
「あ、それ私も気になります。」
まじか。
二人とも瞳をキラキラさせている。
「えぇ?………そうだなぁ、僕の時は………姫路先生がさっき言ってたのと似てましたね。無駄にノリがいいクラスだったので。」
「と言いますと?」
「…………執事喫茶をさせられました。」
「「!?!?」」
「……………本当は裏方が良かったんですけど、何故か接客をさせられてしまって。結構しんどかったですね。」
そう。これだ。
初めは裏方の機材とかを扱う係だったのだが、いつの間にか当日は接客係になっていたのだ。しかもご丁寧に僕のサイズの衣装まで用意されていたし。あれは…完全に嵌められたのだと思ったね。苦い思い出だ。
「ゆ、ぁぅっ…高城も執事の格好したのか?!」
「え、あ、うん。」
「……………見たい。」
「へ?」
「高城の執事姿、俺見たい!!!」
「私も見たいです!!!」
「……待ってね探すから。」
スラックスのポケットの中に入れっぱなしにしていたスマホを取り出し、過去の写真を巡る。最近昔の写真を求められてばかりだなぁ…。
大分遡ってみたら運良くその時の写真があった。無理矢理撮られた奴だ。女子達にヘアセットもされたんだっけ。
「こ、これだよ。」
「「うわぁぁぁぁぁ!!!!!」」
二人の奇声が教室内に響いた。なんだなんだと教室のみんなも集まって来てしまい、僕の過去の痴態があっという間に広がってしまったのだった。
…………結果、僕と姫路先生込みでの執事喫茶をやることになってしまったのである。
非常に不満だ。
放課後、浅見家にて。
これも…もう何度目だろうか。僕の脚の間に座り込んでまたえぐえぐとしてしまっていた。
「勢いで…ゆーしの執事姿見たいって言っちまったけど……。モテちゃうじゃねーか!!!うわぁぁどうしよう…。」
「大丈夫だよ…僕みたいなヘタレはモテないから…。」
「あの写真見たみんなの顔忘れたのか!?大興奮だったぞ!!モテんの!!俺と金田からモテてんだから他の奴らからもモテんだよ!!っむっ……ぁぅ……っゆぅ…ひぃ……♡」
余りにも興奮状態だったから、ついお口を塞がせて貰った。直ぐにトロトロになってしまう彼が可愛いのだけど。瞳の奥は騙されないぞー!という意思が今日は見えた。
「……っはぁ……もぉ、心配しすぎだよ。どちらかと言うと絢斗くんの方がモテるんじゃないかなってそっちのほうが心配だけどね。」
「俺はへーき。ゆーしだけだから。」
「それじゃぁ僕も…。」
「ゆーしは違う!!!」
「なんでぇ!?!?!」
ほんと、なんでだよ。
10
あなたにおすすめの小説
ブラコンネガティブ弟とポジティブ(?)兄
むすめっすめ
BL
「だーかーらっ!皆お前に魅力があるから周りにいるんだろーがっ!」
兄、四宮陽太はブサイク
「でも!それって本当の僕じゃないし!やっぱみんなこんな僕みたら引いちゃうよねぇ〜
!?」
で弟、四宮日向はイケメン
「やっぱり受け入れてくれるのは兄さんしかいないよぉー!!」
弟は涙目になりながら俺に抱きついてくる。
「いや、泣きたいの俺だから!!」
弟はドのつくブラコンネガティブ野郎だ。
ーーーーーーーーーー
兄弟のコンプレックスの話。
今後どうなるか分からないので一応Rつけてます。
1話そんな生々しく無いですが流血表現ありです(※)
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
お腹を空かせた双子の怪獣との春夏秋冬
ユーリ
BL
「腹へった」「さっさと食わせろ」
風華はとある事情から幼馴染の双子のお世話をすることになったが、この双子は常に腹を空かせている上にいつも風華を狙ってくる!ーー「だから僕は食べものじゃありません!」
お腹を空かせた双子の怪獣との春夏秋冬はいつだって大変!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる