地味教師とヤンキーくんのチグハグな2人の逢瀬

もちもちもちお

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【side浅見】要注意人物!!!

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本土でも両親に何度か水族館に連れてきてもらったことはあるのだが、修学旅行バフと、大好きな恋人と共に来ているからか、より一層館内全てが輝いて見えたのである。水の中を気持ちよさそうに泳いでいる色とりどりの魚達に自分の視線は釘付けで。何時間でも見ていられる。キラキラとした水面が美しいなぁって…素直にそう思えるのだ。普段スマホの画面ばかり見ているから、よりそう思えてしまうのかもしれないな。もっと、普段から自然を眺めよう…優志と一緒に色んな景色が見られたらいいなぁって思えたのだった。

そう考えながら水槽に長く意識を向けていると、バシバシッ!!と肩が強めに叩かれたのである。え、痛い!何だろうと手のひらを乗せた人…姫ちゃんが鋭い眼差しを一点に向けていたのであった。美人だからか…迫力が凄い。この人をこんなお顔にさせるなんて何事だとつい焦ってしまった。
彼女の向ける視線の先に自分も顔を向けてみると………。

例の教員に手を繋がれ、明らかにそいつに顔を寄せられている俺の大切な優志がそこに居たのであった。彼本人は状況を飲み込みきれていないらしく、呆けている。それをチャンスだと判断したのだろう…藤本の顔がより迫っていく。
ま、拙い!!
なんだアイツは!!
触られる!!
そう思った俺は床を力強く蹴り、藤本から優志を力ずくで引き離したのだった。



「な、何してんだあんた!!」
「っけ、絢斗くん…!!」
「…………っち。」

自分よりも上背がある優志を腕の中に抱きとめて、距離をとった。良かった、ギリ唇が触れ合う前に剥がせたみたいだ。
…それよりも大声を出してしまったからか周りからの視線が痛い。何事かとザワザワしている。
近くにいた向こう側の学校の生徒達も同様であり、冷めた眼差しで自分達を見てきている。こういうの、久しぶりだから少しだけ胸の奥がぎゅっとしてしまった。

「やっぱり、不良はどこ行ってもダメだな。」
「うるっさ。」
「迷惑とか考えられないのかね、向こうに行こうぜ。」

みたいな言葉が発せられているが、今はそんな事を気にしている暇はない。あいつらは自分の担任が何をしていたのか知らないらしい。呑気なものだ。これ以上この場に留まらずにさっさと何処かへと散って欲しいものだ。

「高城くん!浅見!大丈夫か!」
「高城先生!………あ、ふ、藤本…先生でしたっけ?うちの高城先生に何か御用でも?」

一緒に巡ってくれていた山根と東達が駆けつけてきてくれた。心配そうな顔をしてくれている。優志大好きマンな二人だ、きっと何とかしてくれるだろう。
けれども…。

「……私、見てましたよ。藤本先生、高城先生に詰め寄ってたんですよ。どういうことですか?」
「「「え゛。」」」

姫ちゃんだ。
明らかに誰が見てもわかるほどに激おこMAX状態であったのだ。美人が怒ると怖いという都市伝説は本当であったらしい。隣にアワアワと焦っている田中先生もどうしていいのか分からない様子だ。
そんな彼女に対して当の本人の藤本は飄々としており、何事も無かったかのように口を開いたのである。

「どうもこうも。高城にそばにいて欲しいので、戻ってきてくれないかって言っただけです。」
「…………………………………は?」

ブツンッ。
自分の中の何かがブチ切れた気がした。

「け、絢斗落ち着け!!」
「ここで騒ぎはやばいぞ。高城先生、外行かないか?一旦さ。」
「…………そう、だね。うん。そうしようか。」

俺がキレたのがわかったのだろう。
田所が機転を利かせ、外に出る事にした。
流石に教員全員が外に出る訳にもいかないし、関係のない田所達まで巻き込むわけにもいかない。
よって俺、優志、山根、姫ちゃんのみが出て行くことになったのであった。最後まで東が駄々をこねていたが、こればかりは致し方ないことだ。


もう秋だというのに沖縄の外気は結構まだまだ暖かい。日陰にあったベンチに腰掛けているというのにじんわりと額に汗が滲む。優志が近くにあった自販機で全員分の冷たい飲み物を買ってきてくれた。…当然藤本の分までだ。そこに関してモヤッとしてしまった。あいつは良いだろうに。

「……高城、その子は生徒だろ?関係ないじゃん。修学旅行なんだし、戻してあげなよ。」

俺達四人が横に座っているのに対し、藤本が優志の目の前に腰掛けそんな事を言ってきたのである。
ふざけんな、誰が席を外すかよ。大切な恋人にちょっかいを出されるのが分かってんのに置いていくとか無いから。なんなら二人だけで水族館デートする為に優志を引っ張って立ち去りたいくらいだぞ。

「……………心配だから俺はこのままで大丈夫。さっきみたいなことをされたらたまったもんじゃないし。」
「……ふぅん?君は朝食の時も、さっきの大水槽の時も高城と仲良くしていた子だよね。」
「だったらなんだよ。」
「妙に、仲良いなぁって気になってたんだよね。」
「藤本くん、この子は僕のクラスの子だ。僕みたいなオドオドしている奴にも分け隔てなく優しくしてくれるんだよ。面倒見がいい子ってだけだよ。」
「面倒見が良いからって、こんな場面にまで同席するんだね。他のお二方も。随分と…和気藹々とした学校に就任したみたいだ。」
「………そうだよ。僕にとってはとてもいい学校だ。だから、戻る気は無い。」
「……………なるほど。」

ピリピリとした空気が二人の間に流れているのがよく分かる。優志も口調では気迫では劣っているかもしれないが…横から見たらわかる。長い前髪と分厚い眼鏡のレンズの奥には真っ直ぐで強い瞳がそこに鎮座しているのである。負ける気は一切ない、そんな気概を感じさせていた。

「寂しいと、つまらないと言っていたけれど。さっきも言ったように、藤本くんならばあの学校で十分にやっていけると思う。」
「そんな事は無い。なあなあに惰性でやっているだけだ。高城がいた時の方が楽しかったよ。」
「…………それは、自分よりも下の人物を見て優越感を満たせるからじゃないの?」
「……………。」

あぁ…。
言ってしまった。
本当は、彼が一番あいつに何を伝えたいのか、何を感じていたのか分かってはいた。
だが、敢えてその言葉を避けていたらしい。多分、言われた俺達側の事を思ってのことだろう。
彼は結構周りを気にするタイプだ。だから強い言葉を避ける傾向がある。言ったあとのことを考えているのだろう。
これもそうだ、俺達部外者がその話を聞き彼の気持ちを察し、気まずい空気にさせない為に控えていたのだ。
だが、そんなことも取り払い今本人に伝えてしまった。
これは決定的に藤本に対しての拒否を示している。

「…ははっ、高城からそんな事を言われるとは思わなかったよ。」
「事実でしょう?僕はあの時は明らかに藤本くんの引き立て役だった。何をするにしても、君ありきだった。」
「……それは、たか、高城が…業務を滞らせていたのもあるだろう。」
「いいや、違うよ。」
「……。」

太腿の上に乗せられていた彼の手のひらがぎゅっと握り締められたのが見えた。

「僕が携わっていた業務を、よく掻っ攫っていたじゃないか。」
「…………え゛。」
「「え。」」
「……………………あはっ、バレてたのか♡」

うっとり、そんな言葉が似合う微笑みを藤本は浮かべていた。頬を赤らめ、テーブルに上体を預け…そして優志のネクタイをグッと掴んだのだった。
ガタッ!と音を立てて彼が引っ張られてしまったのである。また二人の距離がグッと物理的に近付いた。

「高城、高城ぃ…♡やっぱり、俺には高城がいないとダメなんだよ。ね、また一緒にいよーよ。ね?♡」
「嫌だって言ってるだろう!!!」
「あ!!高城くんに触らないでくれ!!僕の高城くんだぞ!!」
「そういう間男は邪魔なんですよ!!!!」
「ーーーーっ!!なんでいつもいつもお前は変な奴等ばっかり引っ掛けてくるんだ!!!」
「ひぇぇぇ…!!ごめんよぉぉぉー!!!」

弟の雄大然り、山根と東然り、あと金田!!ほんっっっとこいつの周りにいる人間は厄介なやつばかりじゃないか!!!
恋人がモテ過ぎるのも問題だ!!!!
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