地味教師とヤンキーくんのチグハグな2人の逢瀬

もちもちもちお

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男子会発足

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正月の夕飯後に男子会メンバーをメッセージグループに招集し三日についての話し合いを行うことになったのだった。いきなりの事だし、なによりもみんな正月の集まりやらで無理だとは思っていたのだが…。

『全然良いですよ!』
『俺も!楽しみだなぁ。高城先生のご両親にご挨拶しなきゃだね。』
『僕も、いつもお世話になってるって言わないとだ。』

…なんでみんなそんなに乗り気なの?
全員が即座に了承していたのだった。

しかも絢斗くんから個別でこんなことも言われてしまった。

『優志の両親にご挨拶するって母さん達に言ったら、可愛い系が良い?格好いい系が良い?って聞かれた。どっちが良い?』
『普通系が良いかな…。』

どうしよう、浅見家もノリノリなんだけど。僕の味方は一人としていないのかよ。
…楽しみではある、それは間違いない。けども、まさかこんな展開になるとは思わなかったのだ。コミュ障にはハードルが高すぎてついていけないよ。

そんな人間関係弱々な僕ではあったのだが、全員が了承してくれたのだ。このまま僕の一声で空気を壊すわけにもいかない。
母さん達が家の中にある客人用の布団を干し始めたのでそれを手伝い、それが終わると自室と雄大の部屋を片っ端から掃除をする事にしたのだった。
恐らく彼等は僕の部屋を中心に寝泊まりをするはず。雄大と僕の部屋は襖で仕切られているだけなので、そこを開けたら二部屋が合併しひとつの大部屋になる仕組みだ。きっと僕だけの部屋では彼等は収まらないだろうし、雄大も突撃する気満々だから二部屋開放することにした。

「…とりあえず、こんなものかな。」
「そうだね。後は…適当に酒類とかの買い出ししておけば良いかな兄さん。」
「そうだね。生徒達用にお菓子とかも買いに行こう。」



そして当日。

「「「「お邪魔しまーーす!!!」」」」
「いらっしゃい、みんな。」
「どーも。」

五人がにっこにこの笑顔で訪れたのだった。どうやら東先生が自身のワゴン車を出してくれたらしく、皆で仲良く我が家に来てくれたらしい。良かった、それならば帰りとかも送ってくれるだろうから安心である。

「わぁー!皆さんよく来てくれたわね。優志がお世話になってます。」
「元気だなぁ。ほら、あがってあがって。」

母さん達も喜んでくれているみたいだ。元気過ぎて疲れさせちゃうかなとか色々と考えていたが、そこに関しては問題なさそうである。

くいっ

「わっ。」

そう考えていたら服の裾を軽く引っ張られたのであった。なんだろう…そう思い見てみたら。

「……数日ぶり、ゆーし。」
「いらっしゃい、絢斗くん。」
「んひひっ、来ちゃった。」

……どうやらお母様達は彼を可愛い系路線で送り出してきたらしい。例の猫耳ニット帽に合わせた全体的に白いモコモコ系のアウターを着せてきたのだった。可愛い。間違いなく可愛い。よく見たら腰の所に尻尾付いてるし。どこでこんな服が売ってるのだ…凄いな。誰もいなかったら力の限り抱き締めてるぞ。

ひとまず家族の前でその姿は見せることは出来ないので、耳元をわしゃわしゃと撫で回させて自分の気を静めるように努めたのだった。



昨日の夜から母さんと雄大が食事の下準備を仕込んでいたらしく、テーブルの上には親戚の集まり以上に豪華な食事が並べられていた。
きっと生徒達の事を特に考えてくれたのであろう、肉料理がメインである。ガッツリ系と言うやつかな。大人達には酒のつまみになりそうなもの作ってくれたらしく、相当楽しみにしてくれていたみたいだ。

「ん!!高城先生ママのご飯美味しー!」
「ほんとだな。そりゃぁあれだけガタイが良くなるわけだ。」
「あらっ、お上手なのねー。ママ嬉しいわぁ。」

「高城くんの家か…高城くんの匂いがする。」
「ほんと山根先生もう少し落ち着いてくれますか。流石に俺だけじゃ止められませんからね。」
「……何をだ?」
「…………姫路先生助けてーーー。」

「兄さんにしては珍しいタイプのオトモダチみたいだね。」
「雄大、変に茶々入れるなよ。」
「……分かってるよ、父さん。」

みんな思い思いに食事を過ごしてくれているらしい。初めて友達と呼べる人達を自分の家に招き、家族に会わせるということに関して勝手が分からなかったが。こういう感じで良いのだな。あの学校に来てから初めての体験ばかりだ。
……良い意味で…青春を、やり直している気分である。

「ゆぅし、たのしーな。」
「……ふふっ、そうだね。」

唐揚げを箸で掴みながらピトッと傍に寄り、小さな声でそんな事を可愛らしい彼氏が言ってきたのだった。
事前に僕らの関係性についてはまだ話していないと伝えていたが、彼としてもそれで問題ないと言ってくれた。理解してくれたらしい。誰も彼も彼のお家のようにすんなりと受け入れてくれるような家では無いから。出来るだけ慎重に進めていきたいと思っていたのだ。

「お母さん達は随分とノリ気だったみたいだね。」
「ん?なんで?」
「…だってさぁ、こんな…。こんなかぁいい格好してきちゃって。」
「あぁ、確かに。ふふん、かぁいいだろ?」
「………困るくらいに。」

アウターの下も可愛かったのだ。
ワンサイズ大きめなモコモコシャツで、片方の肩が見えるようなデザインのトップス。下は黒のスキニーパンツであった。
シャツに至ってはチラッと僕の噛み跡が僅かに顔を出しており、それを目の当たりにしてしまった僕が色々と危うい。
ほんと…田中先生やら姫路先生をはじめとしてどうしてこうも僕達の周りの女性陣って癖が強いのだろうか。

「出来ないな?我慢しなきゃだな?」
「うぐぐぐ……そう、だね。」
「頑張れ♡頑張れ♡」
「がん、ばるぅぅ…。」

くそぅ!!
可愛いすぎる!!
押し倒しちゃいたいよぉぉ!
周りに配慮してコソコソと僕にしか聞こえない声で、そっと話しかける様がいじらしくて好き!周りを見れる良い子だね!

ぐっと盛り上がりそうな気持ちを抑え込むように、彼に注いで貰ったビールを一気に煽ったのだった。絢斗くんが淹れてくれたお酒が今日も美味しい。

「そうだ!私聞いてみたいお話があったのよねぇ。」
「ん?なに、母さん。」

そう言うと母さんは口元に手を添えてニコニコとし、声を発したのであった。

「優志に良さそうな子、いるのかしら♡」
「…………え。」

その場が、一気にシーン…と静まりかえる。それもそうだ。
良さそうな子、真横におりますし。
それを素直に言えないというのは、僕達学校関係者側の皆さんは承知であるから誰も何も言えない。
雄大はそれを理解しているからか、知らん顔をしているし。父さんに至ってはだいぶ酔いが回っているみたいで半分意識が飛んでいた。早すぎだろ。

だが、どうしてだろうか。
妙に………妙に母さんが真っ直ぐに僕を見つめてきているのが気になったのであった。
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