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番外編
言の葉朽ちて、――2
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クーノという人物に会ったとき、シグリィたちは正直驚いた。
「むっ。俺様を子供だと思ってあなどっているな!」
クーノは胸を張って「俺様ほどシェルに信頼されている人間はいない!」と豪語した。
「いや……君がクーノ?」
「そう言っている!」
「……女の子一人で、こんな大きな家を護っているのか?」
どう見てもまだ十歳をいくばくか過ぎたくらいの年齢のクーノは、男物の服を着ているがやっぱり女の子だ。くりくりとした瞳がかわいらしい。
「かわいい女の子ー」
思ったことをすぐ口に出すセレンがつぶやくと、クーノはいたくお気に……召さなかったらしい、セレンを壮絶な目でにらみつけた。
「俺様を女扱いするな!」
そんな仕種さえもかわいいことを、本人は分かっているだろうか。
「危なくないんですかね、女の子一人で……」
カミルが当然の心配をする。本当にクーノ一人で、リシェルドの元に来る客たちをさばいているのか?
しかしクーノは自信たっぷりに、
「俺様に任せな!」
と言った。「ベッドメイクから食事から何から何まで、俺様は叩き込まれているからなっ」
「誰に?」
「おふくろにだよ」
「そのお母さんは?」
クーノはむっとしたように口をひん曲げ、
「カーノンヴァルの街で宿の従業員をしてるさ。俺様は選ばれてこの村に据え置かれたんだ」
「ははあ……」
要するに、印刷業者がわざわざリシェルドのために(正しくは、リシェルドの本を買いつけに来る業者のために)少女を世話役としてこの村に置いていったということらしい。
それにしたって、子供を置いていくとはまたとんでもない決断だ。クーノは十五歳のシグリィよりも歳若く見える。
シグリィは目を細めてクーノを見て、「君はシェル……リシェルドさんとは仲がいいのか?」と訊いた。
クーノはふんぞり返った。
「とーぜんっ。俺様ほどシェルのことを理解してる人間はいないぜ!」
「それは頼もしいだろうな、シェルも」
ついつい微笑んだシグリィは、ふと思いついて訊いた。
「君は知っているのか? シェルが不便なこの村から離れたがらない理由を」
クーノは眉をひそめた。
「そういうことは詮索するもんじゃないぜ、お客さん」
「そうか」
「そうだ」
ほらほら、とクーノは三人を追い立てる。
「部屋貸してやんだから。言うこと聞けよ! ほら、二階が部屋になってるからな! 後で夕飯作ってやるよ!」
クーノはなんだかんだで、とても楽しそうだった。
クーノの作る素朴な夕飯を食べ終わった後、三人の自由行動が始まる。
カミルは旅道具の点検、セレンはクーノとのおしゃべりに夢中になっていた。
シグリィは一人クーノの家を出て、村の中をぶらついた。途中、色んな人に会ったが、不審そうに見られることがない。否、
「あんたもリシェルドを街へ連れていこうとしとるんか」
と渋い顔をされることは多々あった。
そうじゃありませんよ、と流し、シグリィはかの作家がどんな境遇でいるのかをだんだん知っていく。
リシェルドは天涯孤独のようだ。
けれど、なのか、だからこそ、なのか――あの小屋から離れようとしない。
(……いや……)
シグリィは村の中央部を見上げる。
小高い丘。そこにある白い小屋。
その隣に寄り添うようにしてある、大樹。
(あの樹が……)
どうしても気になった。シグリィの足は、自然と再び丘を登り、大木へと近づいていった。
目の前に迫った樹。白い花をつけている。
みずみずしい色をした緑の葉は、何枚取ろうとも尽きないように思えた。
シグリィは幹に手を触れる。
……脈動が聞こえる。水の、流れる音。
樹の鳴動の音。
首筋の青龍の《印》がほのかに熱くなるのを感じた。
「声が……」
生い茂る葉を、花を見上げて、彼はつぶやいた。
「聞こえる気が、するな……」
錯覚だ。分かっている。いや、錯覚じゃない。木々は生きている。
ただ確信として分かったことは、この樹がこの場所を愛し、根を張っているということ。動かない。揺るがない。
ふと人の気配がして、シグリィは振り向いた。
「やあ」
リシェルドが軽く手をあげた。「何をしているんだい?」
迷った後、シグリィは答えた。
「この樹の声を聞いてました」
リシェルドが黙り込む。青年から視線をそらし、シグリィは再度不思議な樹を見上げる。
「不確かな……はっきりと言葉になっていない声。だけど声に聞こえる。分かる。生きている。存在を誇示している……」
「……君はすごいね」
リシェルドはつぶやく。「今まで、そこまでその子のことを理解できた人はいなかった」
「私は青龍ですから」
「青龍でもだよ」
リシェルドは歩み寄ってきて、シグリィと同じように大木の幹に触れた。
サフラン色の瞳に睫毛の影を落とし、青年は言う。
「この子は……生きているよ。本当に。僕の相棒なんだ」
「相棒……」
「そうだな……この子の声が聞こえるっていう君になら、教えてもいいかもしれない」
リシェルドはシグリィの方を向いた。
「知りたいかい? 僕がこの子を相棒と呼ぶ理由を……」
シグリィはそのまま、リシェルドの小屋へ招き入れられた。
灯りのつきっぱなしの小屋の中は、窓を閉め切っている。
「窓は開けないんですか? 涼しいですよ、今夜は」
「風が入ると邪魔なんだ」
リシェルドはそう言って、まっすぐ小屋の隅に行く。
あの場所だ。日当たりのいい机。紙と葉だけが散乱し、ペンがない不思議な机。
その机を前に座って、リシェルドはシグリィを近くへと手招きすると、机の横に立たせた。
「ちょっと、静かにしててくれるかい」
シグリィがうなずくと、リシェルドは微笑み、机の上に散乱していたあの樹の葉を数枚手に持った。
卵型の形状の葉だ。まだ摘み立てなのか、緑が鮮やかで目に優しい。リシェルドは原稿用紙らしき紙を前に置くと、すっと瞼を半分下ろした。深い呼吸の音。
やがて、彼の手がすっと動いた。
葉の先端が、紙に触れていった。すーっ。まるで空気が触れるように自然に。紙をわずかにも動かすことなく、葉が紙を撫でていく。
シグリィは目を見張った。
何も書かれていなかった紙に、文字が浮かび上がったのだ。
それは整然とした文章だった。原稿用紙に手書きで書くよりはるかに早く、黒い墨で書かれたように浮き出てきた。
――僕は書くのが早いんだ。
リシェルドの言葉が頭をめぐる――
作家は、紙をめくった。真新しい白い紙が現れる。さっ。葉が紙の表面を撫でた。
再び浮き出た文字列。紙を埋める、文章。
そのまま作家はその作業を繰り返し、あっという間に十枚の原稿を書き終えた。
その頃には、リシェルドが手にしていた葉は小さくなっていた。まるでコンテがすり減ったかのようだ。
時間にして数分にも満たなかったに違いない。
「それは……」
シグリィは絶句していた。リシェルドはそんな少年を見て、微笑んだ。
「これが、“相棒”だよシグリィ君。……この言の葉の樹はね、僕の頭の中にある文章を読み取って全部こうして紙に書き出してくれるんだ」
「言の葉の、樹……」
おのずと手が、机の上の緑の葉に伸びていた。作家は止めなかった。少年はそれを手にし、物珍しそうに裏返したりして眺める。感嘆の息がもれた。
「……すごい」
「僕がこの土地から離れられない理由が分かったろう?」
シグリィはうなずいた。
だから彼は、この小屋から動かないのだ。相棒が――ここに根を張っているから。
「このことを知っているのは君とクーノだけだな……」
リシェルドはふうとため息をつく。「クーノは理解してくれた。僕を街に引っ張っていこうとする自分の父親に反対して、自らこの村に残ってくれたんだ」
「ああ……なるほど」
だからクーノはこの村にいるのか。リシェルドの最高の環境を護るために。
「君の仲間の二人はどうしたんだい?」
リシェルドは首を回しながら訊いてくる。
「クーノの宿にいますよ。セレンの方はクーノと話が盛り上がっているようでした」
「それはよかった。クーノも元がこの村の人間ではないから、時折寂しくなるようでね」
シグリィはうなずいた。あの少女は、自分から旅人であるシグリィたちに積極的に関わろうとしてきたのだ。文句を言いながらも世話を焼き、意地を張りながらも話を聞きたがる。
旅人という異質の存在は、クーノの心の慰めになるようだった。セレンは子供の相手がうまいから(精神年齢が同じという話もある)クーノも満足するのではないだろうか。
「クーノには教えたんですね、この言の葉の樹を」
尋ねると、リシェルドは苦笑した。
「クーノは最初、言の葉の樹に嫉妬したんだよ。僕が言の葉の樹の世話ばかりしているものだからね。俺様より大切なのかって……聞かなかったものだから」
「ああ」
想像がついて、シグリィは笑った。
ひょっとしたら、少女の淡い心の対象なのかもしれない。この目の前の亜麻色の髪の青年は。
護りたいと思わせるほどに。
そのサフラン色の瞳に宿るものは、優しくて……彼の描き出す物語は温かくて、ぬくもりにあふれている。
クーノがそれに憧れても、おかしくはない。
そう思うと、あの少年ぶった少女がますますかわいく思えて、笑みがこぼれて止まらなくなる。
リシェルドが不思議そうに、
「何かおかしいことがあるかい?」
と言った。
シグリィは首を振り、
「これからも相棒とクーノと仲良くやってください。いいお話を期待していますよ」
と片目をつぶった。
「むっ。俺様を子供だと思ってあなどっているな!」
クーノは胸を張って「俺様ほどシェルに信頼されている人間はいない!」と豪語した。
「いや……君がクーノ?」
「そう言っている!」
「……女の子一人で、こんな大きな家を護っているのか?」
どう見てもまだ十歳をいくばくか過ぎたくらいの年齢のクーノは、男物の服を着ているがやっぱり女の子だ。くりくりとした瞳がかわいらしい。
「かわいい女の子ー」
思ったことをすぐ口に出すセレンがつぶやくと、クーノはいたくお気に……召さなかったらしい、セレンを壮絶な目でにらみつけた。
「俺様を女扱いするな!」
そんな仕種さえもかわいいことを、本人は分かっているだろうか。
「危なくないんですかね、女の子一人で……」
カミルが当然の心配をする。本当にクーノ一人で、リシェルドの元に来る客たちをさばいているのか?
しかしクーノは自信たっぷりに、
「俺様に任せな!」
と言った。「ベッドメイクから食事から何から何まで、俺様は叩き込まれているからなっ」
「誰に?」
「おふくろにだよ」
「そのお母さんは?」
クーノはむっとしたように口をひん曲げ、
「カーノンヴァルの街で宿の従業員をしてるさ。俺様は選ばれてこの村に据え置かれたんだ」
「ははあ……」
要するに、印刷業者がわざわざリシェルドのために(正しくは、リシェルドの本を買いつけに来る業者のために)少女を世話役としてこの村に置いていったということらしい。
それにしたって、子供を置いていくとはまたとんでもない決断だ。クーノは十五歳のシグリィよりも歳若く見える。
シグリィは目を細めてクーノを見て、「君はシェル……リシェルドさんとは仲がいいのか?」と訊いた。
クーノはふんぞり返った。
「とーぜんっ。俺様ほどシェルのことを理解してる人間はいないぜ!」
「それは頼もしいだろうな、シェルも」
ついつい微笑んだシグリィは、ふと思いついて訊いた。
「君は知っているのか? シェルが不便なこの村から離れたがらない理由を」
クーノは眉をひそめた。
「そういうことは詮索するもんじゃないぜ、お客さん」
「そうか」
「そうだ」
ほらほら、とクーノは三人を追い立てる。
「部屋貸してやんだから。言うこと聞けよ! ほら、二階が部屋になってるからな! 後で夕飯作ってやるよ!」
クーノはなんだかんだで、とても楽しそうだった。
クーノの作る素朴な夕飯を食べ終わった後、三人の自由行動が始まる。
カミルは旅道具の点検、セレンはクーノとのおしゃべりに夢中になっていた。
シグリィは一人クーノの家を出て、村の中をぶらついた。途中、色んな人に会ったが、不審そうに見られることがない。否、
「あんたもリシェルドを街へ連れていこうとしとるんか」
と渋い顔をされることは多々あった。
そうじゃありませんよ、と流し、シグリィはかの作家がどんな境遇でいるのかをだんだん知っていく。
リシェルドは天涯孤独のようだ。
けれど、なのか、だからこそ、なのか――あの小屋から離れようとしない。
(……いや……)
シグリィは村の中央部を見上げる。
小高い丘。そこにある白い小屋。
その隣に寄り添うようにしてある、大樹。
(あの樹が……)
どうしても気になった。シグリィの足は、自然と再び丘を登り、大木へと近づいていった。
目の前に迫った樹。白い花をつけている。
みずみずしい色をした緑の葉は、何枚取ろうとも尽きないように思えた。
シグリィは幹に手を触れる。
……脈動が聞こえる。水の、流れる音。
樹の鳴動の音。
首筋の青龍の《印》がほのかに熱くなるのを感じた。
「声が……」
生い茂る葉を、花を見上げて、彼はつぶやいた。
「聞こえる気が、するな……」
錯覚だ。分かっている。いや、錯覚じゃない。木々は生きている。
ただ確信として分かったことは、この樹がこの場所を愛し、根を張っているということ。動かない。揺るがない。
ふと人の気配がして、シグリィは振り向いた。
「やあ」
リシェルドが軽く手をあげた。「何をしているんだい?」
迷った後、シグリィは答えた。
「この樹の声を聞いてました」
リシェルドが黙り込む。青年から視線をそらし、シグリィは再度不思議な樹を見上げる。
「不確かな……はっきりと言葉になっていない声。だけど声に聞こえる。分かる。生きている。存在を誇示している……」
「……君はすごいね」
リシェルドはつぶやく。「今まで、そこまでその子のことを理解できた人はいなかった」
「私は青龍ですから」
「青龍でもだよ」
リシェルドは歩み寄ってきて、シグリィと同じように大木の幹に触れた。
サフラン色の瞳に睫毛の影を落とし、青年は言う。
「この子は……生きているよ。本当に。僕の相棒なんだ」
「相棒……」
「そうだな……この子の声が聞こえるっていう君になら、教えてもいいかもしれない」
リシェルドはシグリィの方を向いた。
「知りたいかい? 僕がこの子を相棒と呼ぶ理由を……」
シグリィはそのまま、リシェルドの小屋へ招き入れられた。
灯りのつきっぱなしの小屋の中は、窓を閉め切っている。
「窓は開けないんですか? 涼しいですよ、今夜は」
「風が入ると邪魔なんだ」
リシェルドはそう言って、まっすぐ小屋の隅に行く。
あの場所だ。日当たりのいい机。紙と葉だけが散乱し、ペンがない不思議な机。
その机を前に座って、リシェルドはシグリィを近くへと手招きすると、机の横に立たせた。
「ちょっと、静かにしててくれるかい」
シグリィがうなずくと、リシェルドは微笑み、机の上に散乱していたあの樹の葉を数枚手に持った。
卵型の形状の葉だ。まだ摘み立てなのか、緑が鮮やかで目に優しい。リシェルドは原稿用紙らしき紙を前に置くと、すっと瞼を半分下ろした。深い呼吸の音。
やがて、彼の手がすっと動いた。
葉の先端が、紙に触れていった。すーっ。まるで空気が触れるように自然に。紙をわずかにも動かすことなく、葉が紙を撫でていく。
シグリィは目を見張った。
何も書かれていなかった紙に、文字が浮かび上がったのだ。
それは整然とした文章だった。原稿用紙に手書きで書くよりはるかに早く、黒い墨で書かれたように浮き出てきた。
――僕は書くのが早いんだ。
リシェルドの言葉が頭をめぐる――
作家は、紙をめくった。真新しい白い紙が現れる。さっ。葉が紙の表面を撫でた。
再び浮き出た文字列。紙を埋める、文章。
そのまま作家はその作業を繰り返し、あっという間に十枚の原稿を書き終えた。
その頃には、リシェルドが手にしていた葉は小さくなっていた。まるでコンテがすり減ったかのようだ。
時間にして数分にも満たなかったに違いない。
「それは……」
シグリィは絶句していた。リシェルドはそんな少年を見て、微笑んだ。
「これが、“相棒”だよシグリィ君。……この言の葉の樹はね、僕の頭の中にある文章を読み取って全部こうして紙に書き出してくれるんだ」
「言の葉の、樹……」
おのずと手が、机の上の緑の葉に伸びていた。作家は止めなかった。少年はそれを手にし、物珍しそうに裏返したりして眺める。感嘆の息がもれた。
「……すごい」
「僕がこの土地から離れられない理由が分かったろう?」
シグリィはうなずいた。
だから彼は、この小屋から動かないのだ。相棒が――ここに根を張っているから。
「このことを知っているのは君とクーノだけだな……」
リシェルドはふうとため息をつく。「クーノは理解してくれた。僕を街に引っ張っていこうとする自分の父親に反対して、自らこの村に残ってくれたんだ」
「ああ……なるほど」
だからクーノはこの村にいるのか。リシェルドの最高の環境を護るために。
「君の仲間の二人はどうしたんだい?」
リシェルドは首を回しながら訊いてくる。
「クーノの宿にいますよ。セレンの方はクーノと話が盛り上がっているようでした」
「それはよかった。クーノも元がこの村の人間ではないから、時折寂しくなるようでね」
シグリィはうなずいた。あの少女は、自分から旅人であるシグリィたちに積極的に関わろうとしてきたのだ。文句を言いながらも世話を焼き、意地を張りながらも話を聞きたがる。
旅人という異質の存在は、クーノの心の慰めになるようだった。セレンは子供の相手がうまいから(精神年齢が同じという話もある)クーノも満足するのではないだろうか。
「クーノには教えたんですね、この言の葉の樹を」
尋ねると、リシェルドは苦笑した。
「クーノは最初、言の葉の樹に嫉妬したんだよ。僕が言の葉の樹の世話ばかりしているものだからね。俺様より大切なのかって……聞かなかったものだから」
「ああ」
想像がついて、シグリィは笑った。
ひょっとしたら、少女の淡い心の対象なのかもしれない。この目の前の亜麻色の髪の青年は。
護りたいと思わせるほどに。
そのサフラン色の瞳に宿るものは、優しくて……彼の描き出す物語は温かくて、ぬくもりにあふれている。
クーノがそれに憧れても、おかしくはない。
そう思うと、あの少年ぶった少女がますますかわいく思えて、笑みがこぼれて止まらなくなる。
リシェルドが不思議そうに、
「何かおかしいことがあるかい?」
と言った。
シグリィは首を振り、
「これからも相棒とクーノと仲良くやってください。いいお話を期待していますよ」
と片目をつぶった。
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