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番外編
トキモドリ――3
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シグリィの「処方」は簡単だった。採集してきた実に何やらスパイスに似た薬草をかけ、それから手の中に包む。その包んでいる間に何かをしたような気がしたが、セザンには分からなかった。
ラフティの部屋には、相変わらずラフティの暴れる音だけが響く。両親は息子の体を、せめて怪我させないよう押さえることしかできなかった。
「――カミル、セレン。これからお前たちに、ラフティさんの過去に行ってもらう」
シグリィはそう言った。
二人の従者は、何に驚くでもなく「はい」とうなずいた。
「ま、待ってよ!」
セザンは我慢ができなかった。このまま何もできずに、手を握っていても振り払われるだけで、ただ待つだけなんてできるわけがない。
「私も、私も行く! 行けるんでしょう? 行くわ!」
シグリィはセザンを一瞥して、
「……下手をすると彼の〝時〟を傷つけますよ。身を護るすべもないあなたが行っても正直足手まといなんですが……」
はっきり言われて、セザンはつまった。
それでも、それでも――
――会いたい
――行かないで
「――この目で見なきゃ、納得できないのよ!!」
少年につかみかかりそうな勢いで叫んだ。同時にベッドの上で、ラフティが、
「助けて!」
と悲鳴をあげた。
セザンははっと振り向いて、ベッドの上の恋人の顔をのぞく。すっかりやせ細った彼の顔。いつもほんわかと穏やかに笑っていた彼の顔。彼が会いたい人。自分をこんなに嫉妬に燃やして仕方がない人。
「セザンちゃん」とラフティの母親が震える声で名を呼ぶ。
「お願いよ……」
ラフティのベッドのシーツを握り締めながら、セザンは蚊の鳴くような声で懇願した。
「私も行かせて……お願いよ……」
「………」
シグリィはため息をついた。
そして、懐から銀の短剣を出した。
「護身用です。これくらいは持っていきなさい」
「え……」
目を真っ赤にした顔で、セザンはそれを受け取り、カミルとセレンのようにシグリィが処方した方の『トキモドリの実』を差し出される。
「き……キミは行かないの……」
「今更何言ってるんですか。最初からカミルとセレンしか行かせる気はありませんでしたよ。二人が入っている間にこちらで何かあっても困るし――」
力がショートするだろうからな、と訳の分からないことを小さくつぶやいてから、
「とにかく受け取って。それからラフティさんの手を取ったまま飲んでください。それで彼の過去へ飛べるはずです」
「私たちはあちらで何をすれば?」
カミルが訊いた。
シグリィはラフティの悲鳴を聞きながら、
「――おそらく夢を邪魔している何かがいるはずだ。取り除いてこい」
「魔物の類ですか?」
「そうだな……『トキモドリ』は特殊すぎて、たまに魔の類になってしまうことがあるからな」
ただの幻想に惑わされているという可能性もあるが、とシグリィはラフティのベッドの端に手をかけた。
「その時はラフティに呼びかけて我に返るように仕向ければいい。……その場合は確かにセザンさんがいる方がいいかもしれないな」
「わ、私もできることをする! 頑張る!」
ラフティは渡された銀の短剣を胸に抱き、力一杯うなずいた。
そしてシグリィの『実』を渡された三人は、それぞれにラフティの手を取り、『実』を口にし――
そのまま、意識を失った。
◆◇◆◇◆
うっすらと目を開けると、世界が薄暗かった。
「………」
そのままぼんやり時を過ごしていると、誰かに揺さぶられた。
「……ザンちゃん、セザンちゃん、大丈夫?」
セレンの声だ。それをはっきりと認識した時、セザンははっと起き上がり、めまいでくらっと上体を揺らした。
「危ない!」
慌てて抱きとめてくれたのはカミル。「あ、むっつりスケベ!」とセレンが再び言い出したが無視して、
「いきなり起きない方がいい。ここは思ったより毒性のものに侵食されています」
と早口でカミルは言う。
「毒性の……もの?」
セザンはふらふらする頭を無理やりゆっくりめぐらせて、周囲を見た。
灰色の雲がかかったように、辺りは不気味に暗かった。少し遠くがもう見えない。まっすぐ歩くことさえ困難なのではないかと不安になる。
「こんなところで……ラフティ、見つかるのかな……」
「見つかるよ、だいじょーぶ」
セレンがセザンの額に手を当てながらウインクした。
「そこのむっつりスケベさんはね、気配に敏感なの。そういう探し物にはうってつけなのよ」
「……どこまでも人をむっつり呼ばわりしますか……セレン、仕事が見つかったら覚悟しておきなさい」
「いいいい今が仕事中よっ」
セレンが冷や汗をかきながらも胸を張って言うと、カミルは横を向いてちっと舌打ちした。
――果たしてそれがセザンが回復するまでの時間稼ぎのつもりだったのかどうかは知らないが。
とりあえず、セザンがようやく立ち上がれるようになったところで、二人は言い合いをやめた。
セザンに合わせて立ち上がったカミルが、すっと目を閉じる。
ぴん、と空気が張り詰めた気がした。ごくりとのどを鳴らすことさえ禁じられたようなその世界で、セザンは思わず息をとめた。
そろそろとセレンを見やると、こちらはいつになく真剣にパートナーを見ている。
カミルが少しだけ瞼を上げる。そして、
「……左手後方」
とつぶやいた。
「オッケー!」
とたんにセレンが張り切り出し、カミルから見て左手後方に向かって杖の先端を向けた。
「重き風に――抗えるものなし!」
どうっ! と目に見えぬ塊が杖の先から放たれた。それは灰色の雲を分け入り、拡散させていく。景色が晴れてきた。音が聞こえてきた。
悲鳴が――聞こえてきた。
「行かないで!」
見たくなかった。
見るしかなかった。
――セザンと付き合い出す頃より若い青年。必死に引き止めているのは――長い薄茶色の髪の。
「幻覚って言えるかしら? あれ」
セレンが腰に手を当てた。
「いや、魔物でしょう。厄介な――」
ラフティが追いすがる女は時にラフティを足蹴にし、時にラフティを抱きしめ、時にラフティをから逃げ、四方八方からラフティをもてあそぶ。そう、四方八方から――
「趣味悪いわあ」
カン! と高らかに杖の先を地面に叩きつけながら、セレンがため息をついた。
「本体を見つけ出さねばなりませんね?」
カミルが剣を抜いた。大量の女にもてあそばれているラフティを見つめながら――
くすくす、くすくす。
地面に足のついていない異様な女たちは、ラフティの姿を見てあざ笑う。
くすくす、くすくす。
一方でラフティを幻の炎で焼きながら、一方で額にキスをする。一方で腕をひねりながら、一方で優しく頬を撫でる。
それはラフティが夢の中で、彼女を求めすぎた結果だった。
――過去に戻るという罪に与えられた、罰だった。
薄茶色の長い髪の――
「さーて、どれが本物かな!?」
セレンが杖を一閃する。ラフティと女たちの上空で大爆発が起こった。
もうもうと白い煙が彼らの姿を隠す。その煙の中に、カミルが飛び込んでいく。
「煙は敵の目を隠しただけよ」
セレンが、何が何だか分からずにいるセザンに説明してくれた。
やがて煙の中から、カミルの声が飛んできた。
「セレン! 上でも横でもいい――とにかく外部を破壊してください! ここはどこかの中だ!」
「!」
セレンがくるくると杖を回し、先端をまっすぐ上に向けた。
「まっかせなさい!」
鋭き風に裂かれぬものなし――!
放たれたのは――カマイタチか何かだろうか? セザンには分からなかったが、その威力の余波は、近くにいただけのセザンの服さえも吹き飛ばしそうだった。
しばらく、間があった。
「……あら?」
セレンがうなっている。何も起こらない。
「力が足りなかったかしらねえ?」
「そうかもしれませんね」
と、いつの間にか晴れていた白い煙の跡地に、カミルが立っていた。
ラフティと大勢の女性たちが一様に気絶していた。カミルは頭上に向かって、
「もう少し威力の大きいのをお願いします。たしかあの包皮は硬かった……」
「………!」
カミルの言葉に思うところがあったらしい、セレンが真剣な顔になって、
「うかつだったわ。っていうか最初からそう言ってよねあなた。もう――」
と、
セレンの足元から力があふれ出した。彼女の長いスカートがひらりと空中に浮かぶ。光が四方に放たれる。杖の先端に――先端に埋め込まれている宝石に――輝きがともる――
彼女の海の色の碧い瞳が、目標を見据えた。
「我の邪魔をするもの微塵にして空(くう)なり! 破爆!」
轟が辺りを支配した。何か重いものが落ちてきて、そのまま浴びてしまいそうな錯覚に陥り、セザンはその場にしゃがみこみ頭を抱えた。そのセザンをかばうようにカミルが膝を立ててうずくまる。ぱらぱらと、何か細かな破片が落ちてくる。
不思議と目を閉じる気にはならなかった。けれど――音を聞くのが、なぜか怖い。
「来るわよ、カミル!」
セレンの声がした。カミルがセザンを片腕に抱きながら横に飛んだ。びしっと音がした。セザンは、何か鋭いものが地面をえぐったのを見た。
しゅるしゅる……と、背筋に怖気を感じるような音がした。それも――あちこちから。
もうもうと地面からまた煙が上がる。今度は何かと目をやれば、それは地面に倒れたままだった、ラフティをもてあそんでいた女たちを包む煙だった。煙に包まれた女たちは――そのまま消えるように小さくなっていく。
そして代わりに。
しゅるしゅると、セレンがぶちこわした包皮の外側から入り込んできた何かが、その形を取った。
セザンは震えた。奥歯を思い切り噛みしめ、そして叫んだ。
「――やっぱりあんただったのね、ハーベット――!」
ラフティの部屋には、相変わらずラフティの暴れる音だけが響く。両親は息子の体を、せめて怪我させないよう押さえることしかできなかった。
「――カミル、セレン。これからお前たちに、ラフティさんの過去に行ってもらう」
シグリィはそう言った。
二人の従者は、何に驚くでもなく「はい」とうなずいた。
「ま、待ってよ!」
セザンは我慢ができなかった。このまま何もできずに、手を握っていても振り払われるだけで、ただ待つだけなんてできるわけがない。
「私も、私も行く! 行けるんでしょう? 行くわ!」
シグリィはセザンを一瞥して、
「……下手をすると彼の〝時〟を傷つけますよ。身を護るすべもないあなたが行っても正直足手まといなんですが……」
はっきり言われて、セザンはつまった。
それでも、それでも――
――会いたい
――行かないで
「――この目で見なきゃ、納得できないのよ!!」
少年につかみかかりそうな勢いで叫んだ。同時にベッドの上で、ラフティが、
「助けて!」
と悲鳴をあげた。
セザンははっと振り向いて、ベッドの上の恋人の顔をのぞく。すっかりやせ細った彼の顔。いつもほんわかと穏やかに笑っていた彼の顔。彼が会いたい人。自分をこんなに嫉妬に燃やして仕方がない人。
「セザンちゃん」とラフティの母親が震える声で名を呼ぶ。
「お願いよ……」
ラフティのベッドのシーツを握り締めながら、セザンは蚊の鳴くような声で懇願した。
「私も行かせて……お願いよ……」
「………」
シグリィはため息をついた。
そして、懐から銀の短剣を出した。
「護身用です。これくらいは持っていきなさい」
「え……」
目を真っ赤にした顔で、セザンはそれを受け取り、カミルとセレンのようにシグリィが処方した方の『トキモドリの実』を差し出される。
「き……キミは行かないの……」
「今更何言ってるんですか。最初からカミルとセレンしか行かせる気はありませんでしたよ。二人が入っている間にこちらで何かあっても困るし――」
力がショートするだろうからな、と訳の分からないことを小さくつぶやいてから、
「とにかく受け取って。それからラフティさんの手を取ったまま飲んでください。それで彼の過去へ飛べるはずです」
「私たちはあちらで何をすれば?」
カミルが訊いた。
シグリィはラフティの悲鳴を聞きながら、
「――おそらく夢を邪魔している何かがいるはずだ。取り除いてこい」
「魔物の類ですか?」
「そうだな……『トキモドリ』は特殊すぎて、たまに魔の類になってしまうことがあるからな」
ただの幻想に惑わされているという可能性もあるが、とシグリィはラフティのベッドの端に手をかけた。
「その時はラフティに呼びかけて我に返るように仕向ければいい。……その場合は確かにセザンさんがいる方がいいかもしれないな」
「わ、私もできることをする! 頑張る!」
ラフティは渡された銀の短剣を胸に抱き、力一杯うなずいた。
そしてシグリィの『実』を渡された三人は、それぞれにラフティの手を取り、『実』を口にし――
そのまま、意識を失った。
◆◇◆◇◆
うっすらと目を開けると、世界が薄暗かった。
「………」
そのままぼんやり時を過ごしていると、誰かに揺さぶられた。
「……ザンちゃん、セザンちゃん、大丈夫?」
セレンの声だ。それをはっきりと認識した時、セザンははっと起き上がり、めまいでくらっと上体を揺らした。
「危ない!」
慌てて抱きとめてくれたのはカミル。「あ、むっつりスケベ!」とセレンが再び言い出したが無視して、
「いきなり起きない方がいい。ここは思ったより毒性のものに侵食されています」
と早口でカミルは言う。
「毒性の……もの?」
セザンはふらふらする頭を無理やりゆっくりめぐらせて、周囲を見た。
灰色の雲がかかったように、辺りは不気味に暗かった。少し遠くがもう見えない。まっすぐ歩くことさえ困難なのではないかと不安になる。
「こんなところで……ラフティ、見つかるのかな……」
「見つかるよ、だいじょーぶ」
セレンがセザンの額に手を当てながらウインクした。
「そこのむっつりスケベさんはね、気配に敏感なの。そういう探し物にはうってつけなのよ」
「……どこまでも人をむっつり呼ばわりしますか……セレン、仕事が見つかったら覚悟しておきなさい」
「いいいい今が仕事中よっ」
セレンが冷や汗をかきながらも胸を張って言うと、カミルは横を向いてちっと舌打ちした。
――果たしてそれがセザンが回復するまでの時間稼ぎのつもりだったのかどうかは知らないが。
とりあえず、セザンがようやく立ち上がれるようになったところで、二人は言い合いをやめた。
セザンに合わせて立ち上がったカミルが、すっと目を閉じる。
ぴん、と空気が張り詰めた気がした。ごくりとのどを鳴らすことさえ禁じられたようなその世界で、セザンは思わず息をとめた。
そろそろとセレンを見やると、こちらはいつになく真剣にパートナーを見ている。
カミルが少しだけ瞼を上げる。そして、
「……左手後方」
とつぶやいた。
「オッケー!」
とたんにセレンが張り切り出し、カミルから見て左手後方に向かって杖の先端を向けた。
「重き風に――抗えるものなし!」
どうっ! と目に見えぬ塊が杖の先から放たれた。それは灰色の雲を分け入り、拡散させていく。景色が晴れてきた。音が聞こえてきた。
悲鳴が――聞こえてきた。
「行かないで!」
見たくなかった。
見るしかなかった。
――セザンと付き合い出す頃より若い青年。必死に引き止めているのは――長い薄茶色の髪の。
「幻覚って言えるかしら? あれ」
セレンが腰に手を当てた。
「いや、魔物でしょう。厄介な――」
ラフティが追いすがる女は時にラフティを足蹴にし、時にラフティを抱きしめ、時にラフティをから逃げ、四方八方からラフティをもてあそぶ。そう、四方八方から――
「趣味悪いわあ」
カン! と高らかに杖の先を地面に叩きつけながら、セレンがため息をついた。
「本体を見つけ出さねばなりませんね?」
カミルが剣を抜いた。大量の女にもてあそばれているラフティを見つめながら――
くすくす、くすくす。
地面に足のついていない異様な女たちは、ラフティの姿を見てあざ笑う。
くすくす、くすくす。
一方でラフティを幻の炎で焼きながら、一方で額にキスをする。一方で腕をひねりながら、一方で優しく頬を撫でる。
それはラフティが夢の中で、彼女を求めすぎた結果だった。
――過去に戻るという罪に与えられた、罰だった。
薄茶色の長い髪の――
「さーて、どれが本物かな!?」
セレンが杖を一閃する。ラフティと女たちの上空で大爆発が起こった。
もうもうと白い煙が彼らの姿を隠す。その煙の中に、カミルが飛び込んでいく。
「煙は敵の目を隠しただけよ」
セレンが、何が何だか分からずにいるセザンに説明してくれた。
やがて煙の中から、カミルの声が飛んできた。
「セレン! 上でも横でもいい――とにかく外部を破壊してください! ここはどこかの中だ!」
「!」
セレンがくるくると杖を回し、先端をまっすぐ上に向けた。
「まっかせなさい!」
鋭き風に裂かれぬものなし――!
放たれたのは――カマイタチか何かだろうか? セザンには分からなかったが、その威力の余波は、近くにいただけのセザンの服さえも吹き飛ばしそうだった。
しばらく、間があった。
「……あら?」
セレンがうなっている。何も起こらない。
「力が足りなかったかしらねえ?」
「そうかもしれませんね」
と、いつの間にか晴れていた白い煙の跡地に、カミルが立っていた。
ラフティと大勢の女性たちが一様に気絶していた。カミルは頭上に向かって、
「もう少し威力の大きいのをお願いします。たしかあの包皮は硬かった……」
「………!」
カミルの言葉に思うところがあったらしい、セレンが真剣な顔になって、
「うかつだったわ。っていうか最初からそう言ってよねあなた。もう――」
と、
セレンの足元から力があふれ出した。彼女の長いスカートがひらりと空中に浮かぶ。光が四方に放たれる。杖の先端に――先端に埋め込まれている宝石に――輝きがともる――
彼女の海の色の碧い瞳が、目標を見据えた。
「我の邪魔をするもの微塵にして空(くう)なり! 破爆!」
轟が辺りを支配した。何か重いものが落ちてきて、そのまま浴びてしまいそうな錯覚に陥り、セザンはその場にしゃがみこみ頭を抱えた。そのセザンをかばうようにカミルが膝を立ててうずくまる。ぱらぱらと、何か細かな破片が落ちてくる。
不思議と目を閉じる気にはならなかった。けれど――音を聞くのが、なぜか怖い。
「来るわよ、カミル!」
セレンの声がした。カミルがセザンを片腕に抱きながら横に飛んだ。びしっと音がした。セザンは、何か鋭いものが地面をえぐったのを見た。
しゅるしゅる……と、背筋に怖気を感じるような音がした。それも――あちこちから。
もうもうと地面からまた煙が上がる。今度は何かと目をやれば、それは地面に倒れたままだった、ラフティをもてあそんでいた女たちを包む煙だった。煙に包まれた女たちは――そのまま消えるように小さくなっていく。
そして代わりに。
しゅるしゅると、セレンがぶちこわした包皮の外側から入り込んできた何かが、その形を取った。
セザンは震えた。奥歯を思い切り噛みしめ、そして叫んだ。
「――やっぱりあんただったのね、ハーベット――!」
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