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7話 スキルリスト

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 「ハゲの事は一旦置いておくかの。」

 どうも神様はハゲには興味がなさそうだ。確かに何らかの力でフサフサに出来るのならば神様自身既にフサフサのはず。
 それに外見で判断するなとか言ってた気もするし。余りに興味のなさそうな事を追求しても良くないだろう。
 それでも俺は感謝の気持ちでいっぱいだが伝わってるのかな。

 「勿論、伝わっておるぞ。」

 「あ、すいません。口に出てましたか。」

 「ワシは神だからな、何時でもではないが心は読めるぞい。」

 流石は神様。サラッと凄い事を言い出したな。これは絶対に親しくなってもっとチートを頂かなければ。強力なのを。

 ゴマすり苦手なんだけどな、何を言えば喜ぶのかな?
 情報がたりなくて何も思いつかない。
 ここが勝負所だよな、集中してより良い結果になるように誘導せねば。

 「また、ゲスい事を考えだしたの」

 しまったあ、心が読めると言われたばかりなのに。チートが、俺のチートが遠ざかるぅ。

 「飽きた言う割りにはチートに拘るのう」

 反省してます。格好つけてました。
 楽か辛いかなら楽して生活したい。
 ここが異世界なら尚更。

 「若さ以外にも求めるとは強欲じゃな」

 若さには正直感激したさ。だけどあんな恐竜達が住む世界で何の知識も技術、技能も無ければ抵抗する事も出来ませんよ?
 逃げ回るだけとかどんな罰ゲームですか?
 「あの、その、申し上げにくいんですが」

 「なんぞい?」

 「若さを返上するので他のチートと替えて貰えませんか?」
 
 「なんと?」

 本当にすいません。
 
 この世界で生きていく力が欲しいと正直に話した。

 「ふむ、まあ無理矢理この世界に連れてきた訳じゃし若さはプレゼントじゃ」

 「で、何が欲しいのじゃ?」

 「欲しいのは…。」

 何がこの世界で有用なのか解らない現状で安易にアレコレ欲しいとは言えず神様にお願いしたのは…。

 「それはスキルリストじゃな」

 「出来たら解説付きのが欲しいです。」

 長い下積みと幾多の経験により発動するスキル。
 習得条件が解らなければ努力のしようもない。

 「よかろう。」

 「この世界は其方が馴染め易いようにはしてある積もりじゃ。」
 
 「テレビゲーム的な世界と言えば分かり易いじゃろ。」

 「其方が正義の味方か悪の枢軸になり果てるかは今の時点では解らぬがありきたりでは面白くなかろう。のう?」

 でも、俺の人生なんですよね?面白い、面白くないって言われてもね。

 面白く行くならハゲの救世主的な感じでも良くないだろうか。興味なさそうだからならないけど救世主には。
 
 「ゲーム的なら死んでも、」
 「死んだら終わりじゃ!」

 復活無しとは無理ゲーじゃなければ良いが。
 「では今度こそ別れじゃ。」

 「えっ!まだ聞きたい事が沢山ある」

 「色々話しては冒険の醍醐味が薄れるじゃろうが。これでも話してやったほうじゃぞ!」

 命がけの冒険なんてしたくはありませんよ。

 「話しをするかわりに特別に今回だけスキルポイントを多めに付与しておいたぞい、嬉しかろう?」

 出た!今回だけ、特別とかって通販みたいな煽りが入ったよ。特別じゃなくて全員そうなんでしょ?
 
 「あれ、全員?」

 自分で言った言葉を繰り返し呟いた。

 「俺以外にも居るのかも。」

 そうだよ、俺だけとは限らないじゃ。
 同じ日本人とは限らないだろうけど。

 眺めていたスキルリストが手から消えた。

 「あっ!か、神様!」

 そんな神様、もう行っちゃったんですか?まだ全然見てないのに。こんな短時間では覚わらないですよ。

 「神様カムバック!」

 「まだ居るぞよ。」

 「へ?」

 失礼しました。スキルリストが消えたのは神様がずっと手に持ったままでは不便であろうと俺の脳に刷り込んでくれたらしい。

 「嬉しいかろう?」
 「もっとワシを褒め称えても!」

 なにやら神様は一人で盛り上がってるようだ。
 神様が言うにはリストを念じるだけで見る事が出来るとの事。
 これは有難い事なので素直に感謝の気持ちを伝えた。
 各リストに記載されてるスキルにはそれぞれ必要なポイント数が違うとの事なので後でじっくり検討しようと思う。
 同じように自分のパラメータも念じるだけで脳内に自分だけ解らしい。

 「では、さらばじゃ」

 「あ!か、神様ぁ!」

 今度こそ本当に行かれたようだ。
 結局最後まで神様の名前は聞けなかったのは何故なのか。
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