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74話
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「王女様?」
目の前に居る王女と名乗る女性を見たら王女という単語だけで気品があるように思えた。が、本物かどうかは怪しいので、悪人顔の人達にも聞いてみた。
「王女様からの報酬は魅力的だ、お前達はどんな報酬が用意出来る?」
悪人顔の男達から返答はなく睨み返された。
「それが返答か?」
素早く小刀を持ち悪人顔に向け投擲し短剣で斬り掛かった。
一方的な蹂躙だ、悪人顔の男達の口からは絶叫、悲鳴が鳴り響き静かになる。
「片付きました、王女様」
俺は王女に向かって膝をつき頭を下げる。
「名をなんと言う?」
王女からは労いの言葉はなく名を聞かれただけだった。
「田村フジオと申します」
フジオとお呼び下さいとニカッと笑ったがスルーされた。
仕方ないだろう、イケメンじゃないし。
「ではフジオとやら、荷物を纏めて出発するぞ」
「お待ち下さい」
王女からの命令に異を唱えた人物は見事な鎧を着こなす美女だ。
「死者達の弔いが先です、我らを守り死んで行った物達ですから」
美女は王女に進言し王女からの返事を待つ。
「先を急ぐ!」
「せめて、遺族達に形見だけでも届けねば」
美女は王女に必死に食い下がるが。
「くどい!」
王女からの一喝で美女は口をつぐみ、微妙な空気が漂いはじめた。
王族、しかも王女がこんな辺境で何をしているのか?護衛の人数も少ないのも気になる。
権力は王女にあるのは当然だが、どちらと仲良くなりたいかは勿論美女の方だ。
美女と親しくなるために敢えて肩を持つことにする。
俺は王女に向かって言葉を投げる。
「怪我人の手当も有りますし荷物を纏める時間必要です。その時間を利用して埋葬してはどうですか?」
護衛兵の何人かが無礼だとか言って来たが無視する、お前達とは仲良くなる必要がないので。
「……解った、出発までだ」
王女からの言質もあり死体を埋葬することが決まったが俺に対する視線はまるで敵対者のそれだ。
「感謝する」
美女がこちらに近寄り笑顔で感謝を述べてきた。
「私は当然の事を言っただけです」
正直、面倒臭いと思った。ほかって置いても獣達がたべるんじゃね?とか思ってましたが美女の歓心を買う為の発言だ。本意ではない。
「お名前を伺っても?」
「これは名乗らず失礼した、私の名は王女付き護衛隊長のアリアだ」
美女はアリアと名乗る。
「お顔と一緒で綺麗な名前ですね」
褒めておく、褒めるのは無料だから俺は女性に対してプレゼントを贈ったり旅行に連れて行ったりはしない、金が掛かるし時間も体力も必要ない。それに面倒臭い。
その点、褒めるのは金が掛からないし時間も体力も必要ない。
費用対効果は抜群だ!褒められて嬉しくないのは嫌いな相手からだけで今は俺に対して好意的だ。
「まあ、お上手なんですね」
ニコニコしていることから掴みとしては上々だ。
美人の笑顔は良い物だ、後は鎧の下を確認せねば。
これだけの美女だ、たとえ貧乳だとしても評価は下がらないだろうが確認したい。
「鎧は重くないですか?」
鎧の胸の辺りを見ながらアリアに聞く。
「これでも武人の端くれです」
顔から笑みが消えキリリとした顔で答えるアリア。
凄いねと体が丈夫なんだねと驚いた風に聞くと
「本当は……重いです」
内緒ですよと恥ずかしそうに答えてくれた。
エミリオから受けた心の傷はアリアとの会話で癒えていた。
美女との会話は良い物だ。
一旦アリアと別れ言い出しっぺの俺はスコップを持って穴を掘り始めた。
アリア効果のお陰か体が軽い、護衛兵の亡骸を1つの穴に1人ずつ埋葬する。
悪人顔の人達の亡骸は大きな穴に無造作に投げ込み持ち物は全て俺のマジックバックに収納した。
収納する時は誰にも見られないように注意を払う。
ふと、思った事があり試してみた。
穴を掘りながら思った事だが死体をマジックバックに収納出来ないかと。
軽かった体も穴を掘るのが段々と面倒になってきて試してみたら収納出来た。
残りの悪人達を一カ所に集めたあと気付かれないように収納し穴を埋め戻す。
板を十字に結び墓標の代わりに地面に突き刺す。
スコップを片手に広場に戻り報告した。
「埋葬終了しました」
お付きの護衛兵達が驚く。
「もう、終わったのか?」
護衛兵のの亡骸は1つの穴に1人ずつ、悪人達は大きな穴に投げ入れたと報告した。
それでも早過ぎると護衛兵が騒ぎだしたが転がっていた死体は1つもない。
悪人達はほとんどマジックバックの中だ。折りをみて捨てていこう。
「治療の手伝いをしましょうか?」
まだ治療中の人達が居たので声を掛ける。
王女を含め全員が俺を見た。
「治療も出来るんですか?」
出来ますよ、初級魔法ですがと伝え怪我人の元へ歩き出し治療を開始する。
「ヒール」
「ヒール」
「ヒール」
1人に付き3回ずつ唱えると軽症の人の怪我は治った。重傷者の傷は全快する事はなかったが大分痛みが和らいだようで感謝された。
「田村さん、貴方は一体……」
アリアから戸惑いの声が聞こえたので答えておく
「只の狩人ですけど」
目の前に居る王女と名乗る女性を見たら王女という単語だけで気品があるように思えた。が、本物かどうかは怪しいので、悪人顔の人達にも聞いてみた。
「王女様からの報酬は魅力的だ、お前達はどんな報酬が用意出来る?」
悪人顔の男達から返答はなく睨み返された。
「それが返答か?」
素早く小刀を持ち悪人顔に向け投擲し短剣で斬り掛かった。
一方的な蹂躙だ、悪人顔の男達の口からは絶叫、悲鳴が鳴り響き静かになる。
「片付きました、王女様」
俺は王女に向かって膝をつき頭を下げる。
「名をなんと言う?」
王女からは労いの言葉はなく名を聞かれただけだった。
「田村フジオと申します」
フジオとお呼び下さいとニカッと笑ったがスルーされた。
仕方ないだろう、イケメンじゃないし。
「ではフジオとやら、荷物を纏めて出発するぞ」
「お待ち下さい」
王女からの命令に異を唱えた人物は見事な鎧を着こなす美女だ。
「死者達の弔いが先です、我らを守り死んで行った物達ですから」
美女は王女に進言し王女からの返事を待つ。
「先を急ぐ!」
「せめて、遺族達に形見だけでも届けねば」
美女は王女に必死に食い下がるが。
「くどい!」
王女からの一喝で美女は口をつぐみ、微妙な空気が漂いはじめた。
王族、しかも王女がこんな辺境で何をしているのか?護衛の人数も少ないのも気になる。
権力は王女にあるのは当然だが、どちらと仲良くなりたいかは勿論美女の方だ。
美女と親しくなるために敢えて肩を持つことにする。
俺は王女に向かって言葉を投げる。
「怪我人の手当も有りますし荷物を纏める時間必要です。その時間を利用して埋葬してはどうですか?」
護衛兵の何人かが無礼だとか言って来たが無視する、お前達とは仲良くなる必要がないので。
「……解った、出発までだ」
王女からの言質もあり死体を埋葬することが決まったが俺に対する視線はまるで敵対者のそれだ。
「感謝する」
美女がこちらに近寄り笑顔で感謝を述べてきた。
「私は当然の事を言っただけです」
正直、面倒臭いと思った。ほかって置いても獣達がたべるんじゃね?とか思ってましたが美女の歓心を買う為の発言だ。本意ではない。
「お名前を伺っても?」
「これは名乗らず失礼した、私の名は王女付き護衛隊長のアリアだ」
美女はアリアと名乗る。
「お顔と一緒で綺麗な名前ですね」
褒めておく、褒めるのは無料だから俺は女性に対してプレゼントを贈ったり旅行に連れて行ったりはしない、金が掛かるし時間も体力も必要ない。それに面倒臭い。
その点、褒めるのは金が掛からないし時間も体力も必要ない。
費用対効果は抜群だ!褒められて嬉しくないのは嫌いな相手からだけで今は俺に対して好意的だ。
「まあ、お上手なんですね」
ニコニコしていることから掴みとしては上々だ。
美人の笑顔は良い物だ、後は鎧の下を確認せねば。
これだけの美女だ、たとえ貧乳だとしても評価は下がらないだろうが確認したい。
「鎧は重くないですか?」
鎧の胸の辺りを見ながらアリアに聞く。
「これでも武人の端くれです」
顔から笑みが消えキリリとした顔で答えるアリア。
凄いねと体が丈夫なんだねと驚いた風に聞くと
「本当は……重いです」
内緒ですよと恥ずかしそうに答えてくれた。
エミリオから受けた心の傷はアリアとの会話で癒えていた。
美女との会話は良い物だ。
一旦アリアと別れ言い出しっぺの俺はスコップを持って穴を掘り始めた。
アリア効果のお陰か体が軽い、護衛兵の亡骸を1つの穴に1人ずつ埋葬する。
悪人顔の人達の亡骸は大きな穴に無造作に投げ込み持ち物は全て俺のマジックバックに収納した。
収納する時は誰にも見られないように注意を払う。
ふと、思った事があり試してみた。
穴を掘りながら思った事だが死体をマジックバックに収納出来ないかと。
軽かった体も穴を掘るのが段々と面倒になってきて試してみたら収納出来た。
残りの悪人達を一カ所に集めたあと気付かれないように収納し穴を埋め戻す。
板を十字に結び墓標の代わりに地面に突き刺す。
スコップを片手に広場に戻り報告した。
「埋葬終了しました」
お付きの護衛兵達が驚く。
「もう、終わったのか?」
護衛兵のの亡骸は1つの穴に1人ずつ、悪人達は大きな穴に投げ入れたと報告した。
それでも早過ぎると護衛兵が騒ぎだしたが転がっていた死体は1つもない。
悪人達はほとんどマジックバックの中だ。折りをみて捨てていこう。
「治療の手伝いをしましょうか?」
まだ治療中の人達が居たので声を掛ける。
王女を含め全員が俺を見た。
「治療も出来るんですか?」
出来ますよ、初級魔法ですがと伝え怪我人の元へ歩き出し治療を開始する。
「ヒール」
「ヒール」
「ヒール」
1人に付き3回ずつ唱えると軽症の人の怪我は治った。重傷者の傷は全快する事はなかったが大分痛みが和らいだようで感謝された。
「田村さん、貴方は一体……」
アリアから戸惑いの声が聞こえたので答えておく
「只の狩人ですけど」
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