madder story

空野らん

文字の大きさ
2 / 13
story 0

This is too good to be true

しおりを挟む
俺はその話を聞いた後、卒業した女学院の中等部に訪問していた。
詳しい話は、直接話そうと先生に言われたからである。


「つまり、授業料も制服も諸々免除ってことですかっ!?」

俺は机から乗り出し目を輝かせた。
それを見ている先生はにこやかに笑いかけながら、毒を吐いた。



「ま、共学だけどね」そう言いきるとズズズっとお茶を含んだ。
たちまち俺は項垂れることしかできなかったらしく。
机の上を俺の上半身で占拠した。


「なんでなんですか…。夢の都はすぐそこなのに、なんで男もいないといけないんですか。何でハレームのみにならないんですか。逆ハレームなんて俺、望んでない」
しくしくと泣きながら、駄々をこねている俺に先生は微笑ましそうに語りかけた。


「良い条件だと思ったんだ。戌野岡は美少女が多いって聞くし、服部が乗り気になるかと思ったんだがなぁ。校則もそんなに厳しくないから、バイトもできる。だけど、そんなに服部が嫌がるのなら、この話はなかったことに…」
ちょっと待ったと言わんばかりに、俺は机の上をバーンと叩いた。
「いやいや、待ってください!誰も行かないとは言ってないじゃないですか!!」


それを見た先生は俺をみるやいなや笑っている。
手に持っていた、湯呑みを机の上に置いた。


「じゃ、行くってことで、進めていいか。書類の方は、ちゃんと準備しておくから、親御さんの方にはちゃんと説明しておかないと。いつ頃が、空いているかな?」

先生は何食わぬ顔で、ニコニコと語りかけた。
これは、あれだ、そうだしてやられた感じだ。
だが、俺は沈黙していた。親に話すってそんなの無理に決まっている。

「あの、先生。何言っているかわかってるんですか?」

そう言うと、ああそうだったと先生は考え始めた。



「伯父さんの方は、まだ交友はある?」


「今の所…?」

俺がそう返すので、先生は不思議そうに俺を見つめた。


「何で疑問形なんだ」

俺は即答した。「だって、伯父さんしつこいんですもん」





その話をかくかくしかじか、電話で伯父さんに説明すると、予定を合わせてくれた。
伯父さんはかなり都会に住んでいて、あまり会うことがなく特に伯父さんは顔が老け込んでいる。
写真には写りたくないからと写真さえもない。今にも顔だけ忘れそうである。

「久しぶり、茜ちゃん」

声を聞いて誰だかわかると、俺は伯父さんに駆け寄った。
そうすると、喜んでいるようで俺に笑顔を向けてくれた。

「電話は良くしてるからそんなでもないかな?」

俺はぶんぶんと左右に頭を振り、そんなことないと言ってみせた。
だって顔を見ないと分からないことだってあるのだ。



「伯父さん思ってたより、断然老けてるね!!」
電話で聞いた声より、かなりの見た目がおじさんぶりだっだのだ。
それを聞いた伯父さんは笑いかけながら、俺の肩を掴んだ。


「素直なことはいいことだよ。だけどね、茜ちゃん俺以外にあまりそんな事言ったらだめだよ」
笑っているはずなのに、そんな事言っている伯父さんは正直怖かった。

「気をつけます」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

桜庭かなめ
恋愛
 高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。  入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。  しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。  抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。  ※タイトルは「むげん」と読みます。  ※完結しました!(2020.7.29)

処理中です...