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ep.2
しおりを挟む「行き遅れなのは、私だってわかってるんですよ……!」
そんな暴言を吐く女性の隣で日本酒を含みながら、今、俺が陥ってる状況を説明するのには暫し時間を要するだろう。
隣の女性の破局現場を目撃してしまい。そんな彼女の現場で、彼女の心の中からの叫びに爆笑してしまった俺は、憂さ晴らしとお詫びも兼ねて、彼女と一緒に飲み屋にいる。
それはいいのだが、ここは個室ではなくカウンターだった。
「あの、桜子ちゃん。ここカウンターだから、あまり愚痴らない方が……」
そんな振られたアラフォー女性は桜子と言う名前だという事を会話中と、カウンターにいる店員さんの話で分かった。こうなっては終いだと店員さんの一言で、俺は飲み屋に連れてきたことを反省した。
「年齢なんて、気にしすぎない方がいいんじゃない? 桜子ちゃん、年齢よりも若く見えるし……」
「童顔なのはコンプレックスなんです」
フォローにはいるつもりが、無惨にも敗北した気分になる返答しか先程から頂けていない。
大丈夫だよっと言うと、無理ですっと突っぱねられ。
可愛いよっと言うと、お世辞はいらないっとそっぽを向く。
酔ってはいるんだろうが、こうも、否定されると寂しい気持ちになってしまう。
そんな俺を他所に、桜子ちゃんはビールの追加を店員に要望する。
火照った顔をしている様を見ながら、1杯の酒を口に運んだ。
目鼻立ちも整ってるし、美人すぎると逆にモテないってあるし、世でいう丁度いい顔の模範なんだろうけれど、性格が悪いってこともないし、話を聞くに連れて思うことは、自信がないんだろうなっと思うくらい自分に否定的だと言うところか。
「ねぇ、あの人。真文に似てない?」
そんな声が聞こえると、そのまわりで次々と声が響く。
「確かにそっくりだね。もしかして、本人だったり?」
「本人なわけないじゃん! こんな田舎にいる訳ないし」
とある女性グループから聞こえた会話を聞いた店員が俺に声を掛けた。
「俺も思ってたんすよー。真文に似てるってよく言われません?」
ずっと、気になっていた様子でこちらを見ていたのでやっと聞いてきたかという感覚で口を開いた。
「確かに言われはするんだけど。大スターと似てるってだけで見られるのも歯痒いよね」
「まぁ、そうですよね。男なのに結婚して引退。普通に戻って家族を営みたいって理由でしたっけ? 凄い話題になりましたけど。潔いというか、お嫁さんを大切にしてるんだなってなりましたよ」
店員がそう言葉を返すと俺はいつもの様に笑顔で受け答えをするばかりだ。
そんな中、酔った桜子ちゃんが口を開いた。
「次朗さんは、どうなんですか?」
俺がなんの事だか、分からないでいると、桜子ちゃんは我に返ったのかハッとした顔になったと思ったら、ぐびぐびとビールを口に入れた。
「桜子ちゃん?」
心配になり声をかけると、桜子ちゃんは笑顔で俺の方を向いた。
「女性と飲んでたらお嫁さんに失礼ですよね。もう、帰りましょう」
そう言って、立ち上がると瞬く間に桜子ちゃんが酔い潰れて倒れ込んだことは多分、忘れることはないだろう。
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