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ep.3
しおりを挟む「まさか、あの次朗くんが家に来るなんてなー。……あ、サイン貰ってもいい?」
桜子ちゃんをお家に送り届けに来たはいいものの、妙な事になってしまった。
行きつけのため店員さんに、桜子ちゃんの兄に電話をして頂き、迎えが厳しいという事で徒歩圏内だったので送り届けたはいいのだが、その先が予想外だった。
「え? まふっ……じゃなくて次朗くん?? 久しぶりだね!!? って覚えてるかな? 」
花屋の裏口から顔を出した。桜子ちゃんの面影がある、顔をした男が出てきたかと思うと俺の顔馴染みだったらしいが全く覚えていない自分はどれほど仕事に熱中していたのかと思うと残酷だと思った。
そのままお家に上がったのはいいのだが、桜子ちゃんを寝かしつけた後に第2回戦が始まってしまった。
「なんで、次朗くん地元に帰ってきたの? 落ち着いたから、地元にでも来たって感じ??」
そう、言ってくる男。木下 友樹は古き兄の友人で何度か俺も家に伺ったらしい。
何なら、弟の光哉の妻である撫子さんのご実家。
桜子ちゃんは弟の義妹って事になって、まぁ、親戚みたいなものかっとわかってはいるものの。
全て覚えていない、俺が腹立たしく、申し訳なさが立ち込める。
「そんな所です」
つまりは、俺が真文だと言うことがバレてしまっているということだ。
「奥さんは今来てないの? まさか、妊娠中って噂は本当だったりするの??」
案の定の、質問攻めにあってしまい。どう返せばいいか分かってはいるものの顔馴染みってこともあるが、友樹さんは気を許してしまいたくなる。
「結婚してない」
それを聞いた友樹さんは驚いた顔をした。
「だから、噂みたいなこともないよ。地元に帰ってきたのはふらりと来てしまったって言うか」
俺がそう言葉を続けると、友樹さんは心配そうに俺を見つめた。
「嘘をついてまで引退するって言う事は、それ程まで追い込まれてたってこと?」
俺はそれを聞くと首を横に振った。
「違うんだ。もう、何をすればいいか分からなくなったんだ」
「なんで?」
「俺はお金の為に仕事をしてきた。兄が中卒で仕事始めるくらい貧乏で、兄の負担を減らすため、弟の将来の為に必死で、それを生き甲斐にしてきたんだ。……でも、もう必要が無くなった」
涙が出そうだ。目標も分からず、何のために必死になっていたのか、仕事に打ち込めなくなった俺にサポートをしていた兄が提案したのは引退と言う漢字2文字だった。
「元が結婚した時と、次朗くんが引退したのって時期的に被ってるなーとは思っていたけど……」
友樹さんの思い詰めた表情から、ふふふっと笑みがこぼれたのを俺は逃しはしなかった。
「何を笑ってるんですか…」
ごめんごめんと言っている友樹さんをまじまじと見つめている俺に、友樹さんは謝罪の言葉ではなくある提案をしてきた。
「なんなら本当にしない? 」
「はい?」
なんの事だか、分からず俺が頭を傾けると友樹さんは話を続けた。
「結婚をだよ。桜子フリーだし、行き遅れた罪滅ぼしという事でっ!! 貰ってあげてくれない???」
何を言ってるんだこの人はと俺が見つめているのを他所に、友樹さんはニコニコといい提案だろうっ!?っと桜子ちゃんの言わないであろう台詞を言ってくる。
その提案は、その場で丁重にお断りした。
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